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May 28, 2010

花もケーキも踏み越えて ヴェラ・ヒティロヴァー 『ひなぎく』

100528_115921先日(もう二週間前になりますが・・・)、高田馬場は早稲田松竹という名画座へ、『ひなぎく』と『不思議惑星 キン・ザ・ザ』の二本立てを見にいって参りました。
正直見たかったのは『キン・ザ・ザ』の方で、『ひなぎく』はそれまでタイトルすら知らなかったのですが、映画の紹介を見るとこちらもなかなかぶっ飛んでいて面白そう。そんなわけで期待に胸を膨らませて鑑賞に臨みました。

『ひなぎく』は1966年、チェコスロヴァキアの作品。はっきりしたストーリーらしきものはなく、イェツィンカとヤルミラの姉妹が、自分たちの欲望の赴くまま、遊んだり、食べたり、いたずらしたりを繰り返します。お姉さんのイェツィンカはちょい微妙でしたが(笑)、ヤルミラちゃんの方はそれはもうめちゃめちゃ愛らしく、彼女がはしゃぐ姿を見ているだけで、このわけわかんない映画がけっこう楽しかったりしました。
そんなキュートでポップなセンスが多くの人をひきつけ、岡崎京子、野宮真貴、カヒミ・カリィ、小泉今日子といったそうそうたる方たちが『ひなぎく』に賛辞を寄せております。

二人は時折言い争いもしますが、数秒後には何事もなかったかのように、また一緒に行動しています。そんな不可分な彼女たちの姿を見ていると、なんだか二人の人間というよりも、一人の人間が心の中でくだらない自問自答を繰り返しているようにも感じられました。

タイトルの『ひなぎく』とは、恐らく姉の方がかぶっている花冠からきているのかも。そして姉妹たちも花のような存在であります。花は美しく咲けばいいものであり、働くことや考えることはしません。また、「自分の欲望に忠実」という点では猫のようでもあります。猫はそこに好物があれば誰のものかなんて考えずに、遠慮なくがっつきます。気になるものがあれば、ちらかることなど意に介さず、思う存分暴れ回ります。「欲望」といっても、実にたわいもない、そんなレベルのもの。

しかし時のチェコスロヴァキアは社会主義の名の下、人々から享楽をとりあげ、勤勉・労働をひたすら奨励。姉妹たちもいつしか「わたしたち、マジメに働く」なんて言葉をつぶやきはじめます・・・

肝心の部分は映らないものの、けっこうお色気香るシーンもあり、てっきり男性が撮ったものだとばかり思っておりました。が、あとで調べたところ、監督さんは女性であることが判明coldsweats01 だいたい「ヴェラ」って女性の名前ですしね・・・
そのヴェラ・ヒティロヴァー監督、こんな風刺と浪費たっぷりの映画を撮って、国から怒られなかったのだろうか・・・と疑問に思いましたが、やっぱり怒られたみたいです。ウィキによりますと「チェコスロヴァキア当局からは発禁処分を受け、ヒティロヴァは以降沈黙を強いられることとなる」とのこと。しかし『ひなぎく』の評判は周辺諸国にも伝わり、世界各地で転々と公開され続けます(日本での初公開は1991)。そしてヒティロヴァー監督は現在なおも現役続行中。実に頼もしいことであります。

100528_115959体制の圧力にも押しつぶされない、チェコのシニカルでシュールな気質が全編に満ちた作品。そんな『ひなぎく』は現在普通にDVDで観られます。レンタル版も出ている模様。実験映像と可愛い女の子が好きな方は、どうぞご覧になってみてください。
続きましては『キン・ザ・ザ』の方を語らせてもらいます。


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May 25, 2010

大陸的笑撃動画大全 『美と芸術の上海アニメーション』 ユーモア・ほのぼの編

100525_182005というわけで、新宿はケイズシネマで行われていた「美と芸術の上海アニメーション」特集上映。続きましてはユーモア・ほのぼの編です。てゆーか、これ見たのもう二十日も前だろ。どんだけグズなんだと。
えー、アクション・ドラマチック編はコチラ

☆おたまじゃくしが母さんを探す(1962)

実にタイトルどおりのお話。母さんカエルがちょいと目を離したすきに、孵化してしまったおたまじゃくしたち。周りの動物たちに尋ねてまわって、自分たちのお母さんを探します。
この作品のみ、以前にとある上映会で見たことがありました。Aプログラムの冒頭にもってこられているように、上海アニメの中でも代表的というか草分け的なポジションにあたる作品なのでしょう。
水墨画風に描かれた動物たちが愛らしくもリアルです。

お色気度:妙に艶っぽいナレーションのお姉さんの声に70点


☆鴫と鳥貝(1983)

川で船をこいでいた漁師は、シギとトリガイがケンカをしている場面に出くわす。
いわゆる「漁夫の利」の故事をアニメ化した作品(ただ、故事の方は鳥貝ではなくハマグリだと思ったが)
その気でやれば2分で済む話を10分かけてやってるので、間が長いように感じられるかもしれませんが、この作品の見所は、やはり水墨画で描かれた情緒豊かな風景。雄大な中国の山河に心癒されますた。

お色気度:肌をチラ見させてシギを誘惑する貝に75点


☆猿と満月(1981)

なにやらドラゴンボールを思い出させるタイトルですが、もちろん全然関係ありません。ある夜の森で、木の実を一生懸命集めていた猿たちは、天空に大きくおいしそうな食べ物を見つける。猿たちはなんとかそれを摘み取ろうと四苦八苦する。
お話的には、さとうわきこさんの童話「ちいさいねずみ」と少し似ているかも。背景や絵柄があんまり中国っぽくなく、むしろ南洋のジャングルがどこかを思わせるようなムードであります。

お色気度:特になし 0点


☆三人の和尚(1980)

ある山のてっぺんの寺に、なんとなく集まってきた三人のお坊さん。そこは下まで水を汲みにいくのが大変な場所で、坊さんたちはその係りを互いに押し付けあうようになる。いつしか寺は険悪なムードに・・・・

元気な赤い袈裟の坊さん、クールでひょろながい青い袈裟の坊さん、太っちょでのんびりやの黄色い袈裟の坊さん・・・ 並んでみるとまるで戦隊もののようです。
出だしは単調なように感じられましたが、お話は徐々に盛り上がりを見せ、クライマックスはなかなかエキサイティングですらありました。
「まんが日本昔話」でやったとしてもまったく違和感のない作品。ただひとつ違うのは、こちらには一切セリフがないということ。ちなみに今日挙げた『鴫と鳥貝』『猿と満月』もBGM以外はサイレントな作品です。

お色気度:着物をはだけて柔肌をみせつける太っちょの黄色坊さん(もちろん男)に70点


100525_182033ちなみにCプログラムでは『不射の射』『牧笛』『胡蝶の泉』『琴と少年』といった作品が上映された模様。
日本の著名な人形劇作家・川本喜八郎氏が参加された『不射の射』は、日本の人形劇・上海アニメ・チェコアニメをつなぐ作品であると思うので、ぜひとも拝見したかったのですが・・・ またの機会を待ちましょう。
なんか今回あんましお客さん入ってない感じでしたが(爆)、ケイズシネマさん、また味のあるアニメ特集よろしくお願いします~ 

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May 21, 2010

大陸的不可思議動画大全 『美と芸術の上海アニメーション』 アクション・ドラマチック編

100521_175004ここからしばらく旧作中心のマイナーな話題が続きます。お願い! 見捨てないで!
その第一弾がこれ。新宿はケイズシネマで行われていた「美と芸術の上海アニメーション」特集上映。かつて中国は上海美術映画製作所で作られ、若き日の宮崎駿や高畑勲を唸らせた珠玉の名作を、A・B・Cの三つのプログラムに分けて公開。わたしはAとBを鑑賞いたしました。今回はその二つのプログラムの中から、主にアクションやドラマに重きを置いたものを紹介します。

上海アニメの特長は、水墨画アニメを中心とした独特の美術センスもさることながら、直接的な描写は皆無なのにほのかなお色気が漂っているものが多かったりします。この辺おっぱい丸出しでも人魚が怪物にしか見えなかったチェコアニメとは対照的です。それでその作品で感じたお色気度数も並べて書いてあります。では参りましょう。


☆『ナーザの大暴れ』(1979)
今回の上映でもっとも時間が長く(といっても約一時間)、わたしがもっとも見たかった作品であります。ジャンプ漫画にもなった『封神演義』の一エピソードをアニメ化したもの。不思議な力を持つ少年ナーザと、悪さを繰り返して人々をこらしめる竜王たちとの戦いを描いたお話。ひたすら勧善懲悪、愉快痛快を貫いた一大エンターテイメント。
ナーザの持つアイテムが金の輪っかだったり羽衣だったり、ローラースケートのような火の玉だったりと、いちいち独特で面白かったです。
お色気度:女の子にしか見えないナーザ君が半裸で暴れまわるアクションに75点


☆『火童』(1984)
魔王に奪われた火種を取り戻すため、冒険の旅に出た少年のお話。中国の少数民族の昔話をもとにしているため、今回の作品の中では絵柄がかなり独特。まるで『みんなのうた』に出てきそうなタッチです。
先の『ナーザ』に比べると、やや物悲しいムードが漂っております。主人公の声をあてているのは『ワンピース』でおなじみの田中真弓さん。こんな地味な仕事もやってたなんて!
お色気度:「助けてもらったお礼に妹になります♪」と萌え感情を刺激する、妖精の娘さん 40点


☆『『鹿鈴』(1982)
猛禽に襲われて親からはぐれた子鹿と、一人の少女の友情の物語。上海アニメ独自の水墨画タッチがいかんなく発揮された作品。特にヒロインの表情には息を呑むほどの美しさがあります。・・・あまり大きな声ではいえませんが、某有名動画サイトで検索すると普通に見られます。今回機会を逃した人はどうぞ。
お色気度:まだ子供なのにドキッとするような視線を投げかけてくるヒロインに80点


☆『鹿を救った少年』(1985)
また鹿です。というか、今日挙げた四本はなぜかどの作品にも、主人公の相棒として「鹿」が登場します。
王の狩猟隊により、多くの動物たちの命が失われることを気に病んだ少年は、一計を考えて狩猟隊を追い払うことを決意します。
・・・・ぶっちゃて言っちゃうと、まるで『風の谷のナウシカ』のようなお話。
こちらは新聞漫画のような極めて簡略化された絵柄で、主人公の外見もちょっと微妙(笑)
ですがその内慣れてきて、最後にはちょびっと感動さえしたりして。
あとわたしついさっきまで主人公は女の子だとばかりだと思っていたのですが、記事を書くに当たりタイトルを見たらしっかりと「少年」と入っていました。あははcoldsweats01
お色気:服の中を這い回る虫?に、転げまわってはしゃぐナウシカボーイに65点


100521_175030上海アニメの特集上映は今月21日まで行われるよて・・・ って今日じゃねえか! バカ!
次回は「ユーモア・ほのぼの編」をお送りします。

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May 18, 2010

当たり前田のクラーケン ルイ・レテリエ 『タイタンの戦い』

100518_183654これは神話の時代の物語・・・・ 生まれてすぐに母親と死に別れたペガサス星人(せいと)は、たまたま通りがかった漁船に拾われ、漁師として育てられる。育ての父とともに魚を取る日々を送っていた星人だったが、ある日神々と人間のいざこざに巻き込まれ、船は沈没。家族もろとも海の藻屑と消えてしまう。
なんとか生き残った星人はアテナの聖闘士となって神々へ復讐することを誓うのだが・・・・

本当のあらすじはコチラ。伝説のストップモーション・アニメーター、レイ・ハリーハウゼンのカルト名作を、『トランスポーター』『インクレディブル・ハルク』のルイ・レテリエがリメイク。『タイタンの戦い』であります。

わたくし、この映画は「エコ」と人の関わりを描いた作品だと思っています。オリジナルがどこまで考えていたかはよくわかりませんが、ギリシャの神々の多くが何を表しているかといえば、それは「自然」であります。ゼウスは天、ポセイドンは海、アポロンは太陽、そのほかムニャムニャ。ただハデスなんかはちょっと違っていて、人の心の邪心やら恐怖心を表しているのでは、と思います。
自然というのは、決して人に優しいだけのものではありません。時にはその猛威でもって多くの人命を奪うこともあります。そうした理不尽な災害に対し、怒りを覚える人もいるでしょう。また、自然をコントロールしようとして手痛いしっぺがえしをくらうこともあるでしょう。
しかしそれでも人々はなおも生き残ろうとする努力を続けます。そして、なんのかんの言っても結局わたしたちは自然なしでは生きていくことはできません。敬意を払いつつ上手に接していくしかないのです。

あんまし評判の芳しくない本作ですが、わたしはけっこうのめりこんで見ておりました。物心ついたとき既に母は亡く、育ての親も不幸な事故で亡くし、ようやっと得た仲間たちも次々と失っていく。まるで「さよならだけが人生だ」を地でいくようなペルセウス。それでもグレたりせず、務めを果たそうと頑張る彼を見ていると、なんだか泣けてくるじゃあーりませんか。評価がちょっと甘くなっているのは、わたしの大好きな怪獣たちがわんさか出ているから、というわけでは決してあります。

で、その怪獣たち。まず砂漠でわらわらと出てくる巨大サソリタン。いまだかつてこんなにいい巨大サソリがあったでしょうか? というか、ほかに巨大サソリの出てくる映画をわたしは知りません(オリジナルくらいか?)
あとこないだ『パーシー・ジャクソン』にも出てきたメデューサ。ユマ・サーマンと比べてみるのも一興でしょう。
そして今回のメインディッシュとも言えるクラーケン。わたしのーきおくがーたしかならばー、クラーケンって北欧の方の怪物だったような気がするんですが。まあハリウッドの人たちってアバウトですからね・・・・ 「海の怪物ゆうたらクラーケンやろー」ということでそうしちゃったんでしょう。あとこの怪物、星座では「くじら座」として親しまれています。これまた明治ごろの学者さんが「海のでかいもんちゅうたらくじらやろー」ということでくじらにしちゃったんでしょうね。んっとにどなたもこなたも

みなさん、このクラーケン、最近別のメジャーな作品にも出演されてたの覚えておいででしょうか? ほら、あれですよ。『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』! あちらではもろにタコでしたが、今回かなりルックスが変わってますね。明らかに整形したものと思われます。

さて、こちらの映画の神様たち、やけにキンキラした鎧を着こんでおられますが、これは日本の漫画『聖闘士星矢』を意識したとのこと(なんか最近『星矢』の話ばっかりしてるような・・・)。かつてその漫画のファンだった自分としては嬉しいところですが、ちょっくら物足りない気も。
どうせ『星矢』をオマージュするなら、ペガサスが空中分解して鎧になるとか、鉄拳のみで怪獣を倒すとか、どう考えても死んでた仲間たちが平気で生き返ってきたりとか、そこまでやってほしかったですね!

20080521173358そんな『タイタンの戦い』、レテリエ監督は三部作を構想しているとのこと。それなりに儲けたらしいからあながち不可能ではないでしょうが・・・・ 話、完璧に終わってないかい? まあもしかしたら、ペルセウスではなく、ヘラクレスやテセウスといった他のギリシャ神話の英雄譚を映画化しよう、ということなのかもしれません。それだったら見てみたいかもな。とりあえず第一作?は現在ほどほどにヒット上映中であります。

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May 15, 2010

狼男だね ジョー・ジョンストン 『ウルフマン』

20071114192323思うんですけど狼男って英語だと「ワーウルフ(werewolf)じゃないんですかね~ まっ いいか。昨年『チェ』二部作の好演が記憶に新しい『ウルフマン』紹介いたします。

それは、いつ、どこで生まれたのか誰も知らない・・・(またですか) 19世紀末。イギリスの片田舎で、地方領主の息子が惨殺死体となって発見されるという事件が起きる。その弟である舞台俳優ローレンスは、犯人の正体を突き止めるべく長い間留守にしていた故郷に戻る。そこでローレンスは、想像を超えた怪物を目撃することになる・・・

監督はジョー・ジョンストン氏。わたくしのこの方に対する印象は「ノスタルジー職人」というものです。『ジュマンジ』とか『ロケッティア』とか、一昔前のお話を、ほのぼのした形で扱われた作品が多いんですよね。今回もそういう線でいくのかと思いきや、手足がちぎれるわ臓物ははみ出すわ、「ジョーさんどうしちゃったの・・・shockと思わずにはいられませんでした。

怪物映画で重要なポイントとはなんぞや。それは怪物を怖く見せるということです。これに関しては非常に分かりやすい手法があります。怪物の姿をあんまりはっきり見せないことです。これは居合いに関する格言とも似たものがありますね。居合いの剣は鞘に収められている状態でこそ真価を発揮する。鞘から抜かれたその剣は、言わば「死に剣」となるわけです。『聖闘士星矢』で知った言葉ですが。この手法を上手に使っていたのが『エイリアン』(一作目)や『ジェヴォーダンの獣』など。逆手に取って最初から丸出しだったのが『グエムル 漢江の怪物』

この映画も冒頭はなかなかようございました。まず怪物のスピードがものすごく早い。あまりの速さに全体の輪郭さえ不明瞭であります。おまけに夜しか現れないので、どんな色をしているのかもわかりません。
ところが後半になって全身像が明らかになってしまうと、これがなかなか微妙でして(笑)。なんだか狼というより猿系の生き物に近いような気がしました(まあ半分は人間なわけだし)。どちらかといえば人間のアンソニー・ホプキンスの方が不気味だったりして
そういえばホプキンスさん、前に何かのインタビューで「父親というのは未だにわたしにとってプレッシャーを与える存在」なんてことをおっしゃってましたっけ(普通のパン屋さんだったそうですが)。いやいや、あなたのお父さん役も相当におっかないオーラを放ってましたよ。

以下結末をちょいと割ってます。ご注意ください。
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お話部分はどうかと言いますと、いろいろよくわからないところとか、納得のいかないところがあります。ここでもアンソニーさんが何を考えているのかさっぱりわからず、見ている者を混乱させてくれます。
ただ、ふと気になったのは主役のローレンスがなんでか舞台俳優で、シェイクスピアに関する引用なんかがちょこちょこあったりするんですよね。シェイクスピアの作品では、よくささいなことがきっかけで登場人物がとち狂ったり、身内の間で痛ましい惨劇だ起きたりするじゃないですか。もしかしたら、ジョンストン監督なりのシェイクスピア悲劇がやりたかったのかな、と。なんか無常感漂う結末もシェイクスピアにありがちなパターンでしたしね。

主演は冒頭にも述べたようにベニチオ・デル・トロ氏。ここのところ演技派としての地位を確立している彼が、なぜこのようなB級映画に(失礼)出演したのか。ちょっと不思議に思いましたが、思い当たるフシがないでもないです。
幼少時、彼はウルトラマンが大好きだったそうです(プエルトリコで放送していたそうで)。たぶん出演の契約書を見たとき、「ウルフマン」を「ウルトラマン」と見間違えちゃったんじゃないでしょうかね。こういうこともありますから、重要な書類にサインする時には、よーく文面を確認いたしましょう。

20070117174418そんな『ウルフマン』、日本では初登場の週でさえ十位以内に入らなかったという厳しい仕打ちを受けることとなりました。うーん、こういう西洋妖怪ものって、日本ではイマイチヒットしませんよね。なぜかいまテレビじゃ『怪物くん』をやってますけど。

ジョンストン監督はこのあとマーヴルヒーローの一人『キャプテン・アメリカ』を手がけるそうです。ホプキンスさんもやはりその同僚の『ソー』に出演なさるそうで。この2タイトルもちょっとヒットは難しいと思いますが、個人的にはものすごい期待してますんで、配給会社さん、よろしくお願いします!

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May 11, 2010

荒野にたなびくは死神のバラッド 内藤泰弘・西村聡 『TRIGUN Badlands Rumble』

20071226185944はるか時の彼方 まだ見ぬ 遠き場所で 唄い続けられる 同じ人類のうた

本日はファン待望のトライガン劇場版、『TRIGUN Badlands Rumble』をご紹介いたします。その前に「トライガン」のあらましについて簡単にご紹介します。

遠い未来、西部劇のような環境の植民星で、人からは「人間台風」と恐れられながらも人助けに奔走するガンマン、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの戦いを描いた作品。
1995年に少年キャプテン誌にて連載開始。二年ほどで掲載誌が休刊という憂き目に遭うも、同じ年にヤングキングアワーズ誌にて『トライガン・マキシマム』として復活。翌年にはアニメ版『TRIGUN』も放映されます。原作は2007年に完結しますが、いまだ根強いファンは多く、この度アニメ版の設定に基づいたこの劇場版が製作されたというわけ。

人気の秘密は内藤先生のスタイリッシュでダイナミックな画風もさることながら、その根底に骨太なずっしりとしたテーマが流れているところにあるものと思われます。
今回の劇場版もそれは同じです。なんせ脚本を担当されてるのが、今日本で最も男臭いお話を書かれる小林靖子大先生。今回のテーマは、「果たして悪人を救う意義はあるのか」ということ。もしそいつを助けてしまったら、あとで大勢の人が泣きをみるかもしれない。それでもその人間を救う価値はあるのでしょうか。
ヴァッシュの答えは「先のことなど誰にもわからない。とにもかくにもまず助ける」というものです。ヴァッシュはなぜ赤いコートに身を包むのか。原作になんか理由が書いてあった気がしたのですが、忘れました(笑) ・・・それはともかくあの赤は、消防車の赤でもあるのかもしれません。消防士は救急活動の際その人が善人か悪人かなんて考えません。等しくすべての人を救うのが彼らの役割なのです。ヴァッシュのやっているのは、そういう、世の中になくてはならぬ仕事なのです。

そんなしっかりとしたテーマを語りつつ、弾けたアクションもてんこもり。特にこのマッドハウスさんの「間の取り方」というのは、世界最高峰なのではないかと。展開するギミック、放たれるキック、破壊される壁・マシン・建物、構えられる拳銃、ゴロゴロと転がっていく巨大な××。時にスピーディに、時にゆっくりと。この緩急自在の絵の動きに、いちいち快感がほとばしりました。

ただ・・・ ひとつ注文をつけさせてもらうなら、ヴァッシュにはもっと派手にいろいろ壊してほしかった(笑)。原作のあの壮大なクライマックスを知っているものとしては、今回のスケールがややダウンしたように感じられるのも確か。ま、それはまた次回への課題としておきましょう。
完全な防備が施された要塞都市や、見上げるほどの巨大ロボット群を相手に、ただ一人・・・いや二人で立ち向かう赤と黒の無敵のガンマン。そんな物語が、君は見てみたくないか? オレは見てみたい!

100424_122716トライガン劇場版は現在主要都市で絶賛公開中。その後全国を回る予定であります。

語るべきは 未来へ続く その軌跡のみ

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May 06, 2010

呼吸を止めて一秒あなた真剣な目をしたから ヤン・イクチュン 『息もできない』

100506_184853♪息もできないくらい ねえ君が好きだよ~ ・・・なんつーのんきな話ではなく。
力作が続く暴力系韓国映画。これまた世界各国の映画祭で賞をガバガバかっさらっていったという『息もできない』紹介いたします。

サンフンは借金の取立てやデモの鎮圧などで、暴力を振るうのを仕事にしている狂犬のような男。仕事以外でもナイフみたいとがっては、触るものを皆傷つけていた。そんな彼の前に風変わりな女子高生ヨニが現れる。自分をぶんなぐったサンフンを恐れるどころか、「慰謝料をよこせ」と強気なヨニ。痛ましい過去を持つサンフンと、悲しい環境で暮らすヨニは、いつしかお互いの存在に慰めを見出すようになっていく。

『チェイサー』の項でも書きましたが、弱者が強者に抵抗する暴力は爽快ですけど、強者が無抵抗の者をいたぶる暴力は不快でしかありません。この映画に出てくる暴力はほとんど後者のもの。なので、かなり痛々しく、重苦しい印象を残す作品です。
人を殴っても「バキッ」とか痛快な効果音は出ません。聞こえてくるのは、「むしゅっ」というようなくぐもった地味な音。わたしはあんまし人を殴ったことがないのでわかりませんが、実際に人の拳があたったら、たぶんそういう音がするのでしょう。

この映画を見ていてふと思ったのは、「自分を外から見る」ということ。「外から見る」と言っても、幽体離脱をするわけではなく。誰かに自分を重ね合わせて客観視してみるということです。
仕事で命じられた相手だけでなく、同僚や、町で暴力を振るっている者にまで鉄拳をお見舞いするサンフン。たぶんそれは殴られてる相手に昔の自分を見るからだと思います。
同時に彼は暴力を振るう者でもある。それは忌み嫌っていた父親と自分が同化していくということです。そんな自分に嫌気がさしたりはしないのでしょうか。たぶん、さしても、その衝動をどうにも抑えることができないのでしょう。
人は親から多大な影響を受けるもの。誰かが殴られるのが当たり前だった家庭で育ったサンフンは、誰かを恫喝したり殴ったりすることでしかコミュニケーションが取れません。ゆえに、周囲の者は彼を恐れ、腫れ物に触るように扱います。サンフンとて、本当は誰かの愛情を必要としていることも知らずに。しかしそんな彼を少しも恐れないヨニと触れ合うことで、サンフンに変化が生じ始めます。

この対比となっているのがヨニの弟のヨンジェ。家ではヨニに対して高圧的だったヨンジェですが、サンフンの仕事ぶりを見て普段の勢いはどこへやら、完全にドンびきしてしまいます。
サンフンが誰かをいたぶる姿を見て、ヨンジェは始めて自分がどれほど浅ましいことをしていたのか理解します。しかし暴力を振るわなければ始まらない仕事を選んでしまったため、ヨンジェの精神は次第に蝕まれていきます。

こうした視点は、たぶん監督のヤン・イクチュン氏が主演も兼ねていることから来ているのでは。俳優はその役になりきらなければ、その役を演じることができません。一方監督は一人の役だけでなく、全体を見渡さなければ務まりません。その両方を十二分にこなすのは至難の業かと思われますが、ヤン監督は見事にそれをやってのけています。

先の『チェイサー』『母なる証明』、あるいはパク・チャヌク監督の『オールドボーイ』などは、あまりにもドラマチックだったため、自分とはかけ離れた世界のお話のように感じられました。しかしこの『息もできない』の世界は確かに自分と地続きの世界が舞台となっている、と思います。それゆえに見終わったあと、どうにもやるせない気持ちに包まれました。

100506_184919今回の受賞で脚光を浴びたヤン氏は、監督の依頼もいろいろ来ているそうですが、「いまは休む時だから」と、当分の間撮る方はしないみたいです。この映画は資金集めも大変だったそうですが、やっぱりこの役を演じきったことで相当消耗したのではないかと思います。ちょっと残念な気もしますが、どうぞゆっくり鋭気を養われてください~


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May 04, 2010

君の力は百万ボルト ティム・バートン 『アリス・イン・ワンダーランド』

100504_172706不思議の国での冒険から数年後。美しい娘に成長したアリスは、ある資産家の息子から求婚される。いたたまれず逃げ出した彼女は、木の根っこに開いていた穴の中へと落下。そこにひろがっていたのは、彼女の記憶からすでに薄れつつあるあの不思議の国だった・・・

最近すっかりヒットメーカーと化しているティム・バートン&ジョニー・デップコンビの最新作。名作『不思議の国のアリス』を映画化ということですが、そのまんまじゃなくて原作の後日談という面白いアプローチをしております。2010年もっとも公開が待たれていた作品といっても過言ではないかと。
ただ・・・今回のレビューは言い訳から始まります・・・
言い訳のその一は、まずわたくし『アリス』の原作を読んだことがありません。だいたいおおまかな話は飲み込めたのですが、前もって読んでおいたほうが、きっと一層深くこの映画を味わえたと思います。
言い訳その二。わたくし大抵の映画は眠くても「入場料がもったいない!」と必死で起きているのですが、今回はなぜだがジョニデが出たあたりからモーレツな眠気に襲われて、最後までずーっとうつらうつらしながらみておりました。ああ、もったいねえ!! たぶんこれは映画が悪かったのではなく、ヘトヘトに疲れてる上に満腹状態で鑑賞に臨んだせい、そしてそんな状態で3Dヴァージョンを選んでしまったせいでしょう。やっぱりあの仕様というのは、視神経にけっこうな負担がかかるようです。

そんな体たらくだったというのに、感想文など書いていいものだろうか・・・・ いいや、書いちゃえ。というわけで、それなりに気づいた点をいくつかcoldsweats01

まずわたしがあちこちで聞き及んだところでは、『アリス』ってかなり難解というか、シュールなお話のようで。意味不明な詩やセリフがたくさんあって、ストーリーもまるで脈絡がなく進んでいくとか。まるで夢の中の話・・・そう、つげ義春の『ねじ式』を思い浮かべてしまいます。
しかし今回のバートン版は非常にわかりやすいお話でありました。こういうの、RPGやコミックとかでよくありそうな気がするなあ。現世からやってきた主人公が、異世界の危機を救うため、仲間とともに悪者に立ち向かっていくという。
テーマも明快、そしてとても現代的であります。女性であるアリスは、果たして金持ちのボンボンと結婚して主婦になるしか道はないのか? 「決してそんなことはない」とバートンは語ります。女性とて自分の夢のために剣を取り、戦い、冒険すべきであると訴えます。

というか、このお話かなり女性上位的ですよね・・・ 異世界を支配しているのは二人の女王だし、世界の危機を救うのもまた女子であります。主要な男性キャラクターも二人ばかり出てきますが、これがまた見てくれといい中身といい実に見事なヘナチョコだったりして(笑)。

そういえばこんなに女性が前面に出ているバートン作品も珍しいですね。わたーしーが覚えてるかぎりーではー 大概の場合彼の作品に出てくる女性というのは、主人公をそっと影から支えるとか、あるいは残酷な運命に翻弄されたりするはかなげなキャラがほとんどだったように思えます。この変化は一体いかなる理由によるものなのか・・・ とりあえず、よくわかりません。ごめんなさい。

100504_172746公開一週目の興行収入は軽く『アバター』を超えたという『アリス・イン・ワンダーランド』。今年を代表するヒット作品となることはまちがいないでしょう。
わたしも余裕があったらもう一回見てこようかなあ・・・ まだまだやってそうだし・・・

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May 01, 2010

適当掲示板95&いまごろ2010花見報告かよ!の巻き

100329_171131100329_171203♪さくら~もち~ さくらもちららら~(「桜餅」 作詞作曲 SGA屋伍一)

みなさんこんにちは。当ブログに関するご意見ご感想、そのほかいろいろここで受け付けております。今回はなにをいまさらという感もありますが、今年の花見のご報告などさせていただきます。桜も散っていい加減経ったいまごろになって。かれこれ一ヶ月は経つ今頃になって

で、まず上の画像ですが、これは三月末に雪が降った時のもの。桜のつぼみの上にうっすら雪が積もっているのがおわかりでしょうか。わかんないですね。この時はあまりの冷たさに半泣きになりながら仕事をこなしましたよ。んとーになんでこんな時期に雪が降るのか。世の中わけわかんねーことだらけです

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これはその数日後に行った小田原城の桜。まだつぼみも多く、せいぜい五、六分咲きといったところでしょうか。しかし全く咲いてない状態も予想できたので、こんだけで十分満足してしまったわたしたちがいます。本当、今年は咲くのが遅かったですよね・・・

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こちらは四月頭に行った井の頭公園の桜。コンディション的にはこの日が一番良かったですかね。人出も半端じゃなかったです。桜の下一杯やりながら歓談していたらとてもいい気持ちになってしまい、結局五時間も居座ってしまいましたcoldsweats01


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cherryblossom

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cherryblossom


こちらはその翌日見にいった伊東は伊豆高原の桜。今年は本当に花見ばかりしておりました・・・ この日は若干曇り空で、駆け足の鑑賞でしたが、やはり道路にすら~っと桜並木が続いている図は壮観でした。向かって左の二枚は行き道の途中で寄ったところのもの

最後に今はこんなのが咲いてるんです、ということで

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tulip

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向かって左から順に ツツジ(細かい品種名はわかりません) フジ(花札では四月の花) シャクナゲ(だと思います。一緒にいた人がそう言ってました) タンポポ(ぐっと地味に。英語名は「ライオンの歯」という意味があります

花が色とりどりに咲き乱れ、いい時期になりました。みなさんもふと歩みをとめて、周りの花々に目をとめてみてはいかぐげ!ぐぎゃぎゃ!(なれないことを言うと舌を噛むということです)

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