« 今日から半パイア ポール・ワイツ 『ダレン・シャン』 | Main | ザ・エビフライ ニール・ブロムカンプ 『第9地区』 »

April 20, 2010

鼻にピアス ニールス・アルテン・オフレヴ 『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』

100420_165357探そうぜ! ドラゴンタトゥー!! 首都圏より二ヶ月ばかり遅れて上映。そして既に終了(またかよっ)。スウェーデン発猟奇ミステリー映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』、ご紹介します。
『ミレニアム』誌の敏腕記者ミカエルは、とある企業の大物の不正を告発したため、罠にはめられて逆に自分の監獄行きが決まってしまう。服役までの間ヒマをもてあましていたミカエルに、一人の富豪がある依頼をもちかける。依頼の内容は、40年前自宅から忽然と姿を消した姪の消息をつきとめてほしいというものだった。調査を始めたがなかなか進展しないミカエルに、一人の女が現れてアドバイスを与える。彼女の名はリスベット。ゴス・スタイルに身を包み、天才的なハッカーの腕を持つ女。ミカエルは彼女に強力を頼み、二人は事件の真相へと迫っていく。

みなさんはスウェーデンっていうと何を思い浮かべます? わたしはとりあえず「寒そう」ということと、ノベール賞の授賞式開催地ってことくらいしかありません(平和賞のみスイスで行われます)。あと映画監督でいうとラッセ・ハルストレムさんがこちらのご出身ですね。ほかにもムニャムニャやムニャムニャが盛ん、なんてことも言われてますけど、まあ真偽のほどはよくわかりません。

この映画の原作は、スウェーデンでバカ売れしたというミステリー小説。「読んでないと職場での会話についていけないゾ!」ってくらい売れまくったそうです。全部で五部作の構想があったそうですが、原作者のスティーグ・ラーソン氏が途中でお亡くなりになったため、とりあえず三部までが発表されております。

「千年紀」「ドラゴン」「ミカエル」といったキーワードや、目にクマの入ったお嬢さんの顔がバーンと入ったポスターは、なにやら超自然的な内容を予想させますが、そんなことはなく、どっちかというとやや現実的な内容。怖いのは怪獣や悪魔ではなく、人間の心に巣食う闇であることを訴えたお話であります。そういやデビルマンさんもおっしゃってましたっけ。「悪魔はお前たちの心の中にいる!」って。

で、一番インパクトを放っているのはやはりヒロインのリスベット。強烈なルックスと激しい気性、謎めいた過去に類稀な推理能力と、これでもかっていうくらいキャラ立ちしまくっています。様々な才能を有している反面、時に虐げられたり、心のどこかに危うい一面を持っている。・・・こんなキャラクター、どこかで見たような・・・ そう、彼女は吉田秋生先生の名作『BANANA FISH』のアッシュ・リンクスとよく似てるんです。まあ男女の違いはありますけんど(^^; そしてアッシュには英ちゃんがいるように、リスベットにも悲しみを癒してくれる存在がおります。それがパートナーとなるミカエル(オヤジ)。他者から傷つけられることがほとんどだった彼女にとって、ミカエルは初めて「一緒にいたい」と思う相手だったのやも。理想の父親像を重ね合わせていたようにも思えます。

そんな風にリスベットの方がやたらエネルギッシュなため、普通のサスペンスものと男女の立場がまるで逆なんですよね。だいたいピンチに陥るのは男のほうで、助けに来るのは女の方。女子の方はピンチになっても自分で解決したりしてます。
恋愛部分でも男のほうが総じて受身系でした。いい雰囲気になってもオッサンのほうは「ちょっと待って。まだ心の準備が」みたいなことを言っていたり。男子の草食化の波は、北欧にまで広がっているのか!と暗澹たる思いに包まれました・・・

まあそんな二人に与えられたのが孤島における不思議な事件。それがやがてスウェ-デン全土へとひろがる猟奇犯罪へとつながっていきます。そう、この映画中の上くらいのサド描写がちょくちょくあるんですよね・・・
変態って大都市のうらぶれた一角とかに主に棲息しているのかと思ってましたが、自然の美しいスウェ-デンのような国にもけっこう存在しているようです。しかし全ての人間が変態なわけではありません(当たり前だ)。げんなりくる変態描写の一方で、人が純粋に誰かをいつくしむ姿なども描かれていて、本当に人間ってやつは幅が広いな~と思わせられました。

081212_183127そんな『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』はまだまだ全国で展開中。すでに続編も待機中で、クエンティン・タランティーノがハリウッド版リメイクを熱望している、なんて噂まであります。
この原作、各上下で計六冊もあるので、ちょっとトライするのに気が引けます。そんなわけで続けて映画公開してくれると大変助かります。よろしくー


|

« 今日から半パイア ポール・ワイツ 『ダレン・シャン』 | Main | ザ・エビフライ ニール・ブロムカンプ 『第9地区』 »

Comments

こんばんは!
スウェーデンのミステリーって、なんかピンとこなかったんですけど、
思ったより面白かったです。
『BANANA FISH』のアッシュ・リンクスは、ちょっと飛躍しすぎって
気もしますが(笑)、リスベットのキャラはインパクトありありでしたよね〜。
ミカエルとのコンビもなかなかいい相棒!でした。
たしかに、ある意味男女逆転してるトコもありますよね。
やはりそういう時代なんですかね〜。
こちらはまあ単館でしょうが。続編は大丈夫そうですねー。

Posted by: ルナ | April 21, 2010 at 01:06 AM

>ルナさん

ご来訪ありがとうございます! 
自分はスウェーデンのミステリー、というかスウェ-デン自体がイマイチピンとこなかったりします。これがノルウェーやフィンランドだったら、もう少しいろいろ思い出せるものがあるのだけど

アッシュはちょっと飛躍しすぎでしたかcoldsweats01 いやー、よくあるんですよ。「似てる似てる」というと「全然違うよ」とつっこまれることが・・・

アカデミー賞におけるキャサリン・ビグロー監督やサンドラ・ブロックにも思いましたが、本当に女性が強い時代になったなあと(笑) もうじき『バイオハザード4』も公開です

>続編は大丈夫そうですね

本国だけで十分もとはとったでしょうからね。問題は地元の劇場でかけてくれるか、ってことです・・・

Posted by: SGA屋伍一 | April 21, 2010 at 07:30 AM

こんばんは~♪

私は原作を読みたいなぁ~と思っているの。
多分好みの小説だと思うんだぁ~
最近忙しさにかまけて読書から遠ざかっているのですが、古本屋で見つけたらとっとと読みたいで~す♪(あくまでも古本屋で買おうとしている・笑)

映画は結構面白かったですよね。
サド描写には私もゲンナリするところがありましたが、、、こういう本格ミステリチックな映画もたまにはいいです。

続編も面白そうですよね!“火と戯れる女”ってタイトルもいいし♪

Posted by: 由香 | April 22, 2010 at 10:52 PM

>由香さん

おはよっすhappy01
原作にもチャレンジしようとはさすがに読書家の由香さんですね! わたしは真相がわかってしまったし、またすぐ第二部もやるようなのでいいかと(笑)
先日『シャッター・アイランド』も見ましたが、こちらの方はさらに「原作はいいや」と思ってしまいました。いや、映画は楽しめたんですがね

本格ミステリチックといえば、この映画横溝正史っぽいところもありましたね。こう、旧家のドロドロとした因縁みたいなものが特に
+サイコミステリーっぽくもありました

三部は「眠れる女と狂卓の騎士」だそうです。「ドラゴン・タトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる女」・・・ 彼女にするなら三部の人か・・・

Posted by: SGA屋伍一 | April 23, 2010 at 08:06 AM

こちらにも。

やっとDVDになったので観ましたが
原作に忠実ですね,特にリスベットの雰囲気なんぞは。
ミカエルはもっとイケメンかと想像していたので
ちょっとがっかり・・・・

スウェーデンは児童ポルノとかレイプとかが多い国で
未遂も含めて性犯罪の被害にあった女性が他国より多いとか。
だからこんなテーマのミステリが生まれるのかしら。

タラちゃんがリメイクしたがるというのもわかります。
タラちゃんが味付けすれば,
またがらっと雰囲気が違ったものになるのでしょうね。

Posted by: なな | June 07, 2010 at 02:30 AM

>ななさん

こちらにもコメントありがとうございます。ななさんも原作お読みになったんですね。この作品は「まずヒロインありき」なお話だと思うので、映画スタッフもキャスティングには相当気をつかったんではないでしょうか
わたしがちょっと気になったのはミカエルとリスベットがやけに年が離れていること。うーん、スウェ-デンではこういうカップルもちょくちょくあるんでしょうか

スウェ-デンというとわたしはそんなに悪い話は聞いたことがなかったのですが、そういう社会問題もあったのですね。当たり前のことですけど、どの国にもいいところと悪いところがあるというか

タラちゃんがリメイクしたらどうなるかなあ。きっとマシンガン撃ちまくりだったり、リスベットが日本刀振り回したりとか、そんなにぎやかな映画になりそう・・・

Posted by: SGA屋伍一 | June 07, 2010 at 12:36 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/48137575

Listed below are links to weblogs that reference 鼻にピアス ニールス・アルテン・オフレヴ 『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』:

» ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 [ルナのシネマ缶]
原作はスウェーデンの ミステリーで、 世界的ベストセラーです。 どうやら、3部作の1作目 みたいです。 思っていたよりずっと 暗く奥深い内容でした。 ジャーナリストのミカエル(ミカエル・ニクヴィスト)は、 ある大物実業家の違法行為を暴露するが、逆に名誉棄損で有罪になる。 そんな彼に目をつけた大企業の前会長が、40年前に行方不明になった姪の 調査を彼に依頼する。ミカエルは、調査を始めるがその過程で 天才ハッカーの調査員リスベット(ノオミ・ラパス)と知り合い、 彼女の協力... [Read More]

Tracked on April 21, 2010 at 01:07 AM

» ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 /THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO [我想一個人映画美的女人blog]
{/hikari_blue/}{/heratss_blue/}ランキングクリックしてね{/heratss_blue/}{/hikari_blue/} ←please click 1500万部を売上、世界最大の傑作ミステリー!と称賛を受けている話題作 スウェーデン発「ミレニアム」の映画化。 原作は未読だけど「ツインピークス」とか、ミステリーもの大好き。 タイトルには全く惹かれなかったけど、各界の著名人の方々が面白い!と太鼓判 ということなので面白いかも?と興味が。 「ミレニアム」は、劇中出... [Read More]

Tracked on April 22, 2010 at 09:15 AM

» ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 [★YUKAの気ままな有閑日記★]
スウェーデン発の原作は、40カ国以上で翻訳されており、今世紀最大のミステリーと絶賛されているそうなのでスッゴク気になっていました〜【story】ジャーナリストのミカエル(ミカエル・ニクヴィスト)は、ある大物実業家の違法行為を暴露し、名誉棄損で有罪になる。そんな彼に目をつけた大企業の前会長が、40年前に失踪した自分の姪についての調査を彼に依頼する。ミカエルは天才ハッカーの調査員リスベット(ノオミ・ラパス)と協力して、未解決事件の真相に迫るが―     監督 : ニールス・アンデン・オプレヴ【comme... [Read More]

Tracked on April 22, 2010 at 10:44 PM

» 『ミレニアムドラゴン・タトゥーの女』(2009)/... [NiceOne!!]
原題:MANSOMHATARKVINNOR/THEGIRLWITHTHEDRAGONTATTOO/MILLENNIUM:PART1-MENWHOHATEWOMEN監督:ニールス・アルデン・オプレヴ原作:スティーグ・ラーソン出演:ノオミ・ラパス、ミカエル・ニクヴィスト、スヴ... [Read More]

Tracked on May 09, 2010 at 08:12 AM

» ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 [虎猫の気まぐれシネマ日記]
近年のスウェーデン・ミステリはすごい。ということで,これは原作を先に流し読みしていた。原作者はスティーグ・ラーソン。世界中で大ベストセラーとなった3部作のうちの1作目だ。劇場では見逃したので,DVDで鑑賞。もちろん期待を裏切らない,面白く完成度の高い作品になっていた。 あらすじ: ジャーナリストのミ... [Read More]

Tracked on June 07, 2010 at 02:31 AM

» 『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』'0... [虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...]
あらすじ名誉毀損で有罪判決を受けたジャーナリストのミカエルは40年前、ストックホルムの孤島で忽然と姿を消した少女の捜索を依頼され・・・。感想監督デビッド・フィンチャー主... [Read More]

Tracked on August 14, 2010 at 09:38 PM

» 【映画】ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 [★紅茶屋ロンド★]
<ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 を観ました> 原題:Mn som hatar kvinnor 製作:2009年スウェーデン ランキング参加中 スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンの処女作でありながら遺作となった原作小説。彼が亡くなってから大ヒットし、ベストセラーとなった作品の映画化です。 全3部作となる小説と同様に映画も3部作で作られることになりました。 とは言っても、原作の存在を知らなかった私。 映画化になるにあたって、話題にも上っていましたが、イマイチ題名から惹か... [Read More]

Tracked on September 01, 2010 at 12:08 AM

» ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 (Män som hatar kvinnor) [Subterranean サブタレイニアン]
監督 ニールス・アルデン・オプレヴ 主演 ミカエル・ニクヴィスト 2009年 スウェーデン/デンマーク/ドイツ映画 153分 サスペンス 採点★★★ 一時、本屋に行ってもビデオ屋に行っても「ミレニアム!ミレニアム!」と時期外れも甚だしいミレニアム連呼に、「いよ…... [Read More]

Tracked on October 13, 2010 at 02:23 PM

« 今日から半パイア ポール・ワイツ 『ダレン・シャン』 | Main | ザ・エビフライ ニール・ブロムカンプ 『第9地区』 »