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March 17, 2010

我は神の子白波の クリス・コロンバス 『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』

100317_182802しかしあれですねえ。『ハリポ』以外はさほど当たったという話を聞かないのに、最近ファンタジー系の映画が多いこと。今回はその中でも特に直球ど真ん中をいく『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』をご紹介します。

アメリカの某都市で、母・継父と暮らす少年パーシー。学校生活にはなじめないものの、彼は「いつまでも水の中に潜っていられる」という特技を持っていた。ある時社会科見学に出かけたパーシーは、そこで得たいの知れない怪物に襲われる。助けにきてくれた先生は驚愕の事実を話す。実は君は、ギリシャの海神ポセイドンの息子なのだと・・・・

ぶっちゃけ『ハリー・ポッター』ですね。終了

というのはさすがに乱暴か 確かに『ハリポ』に影響を受けた箇所(大体1・2作と監督一緒だし)は多々あります。魔法学校みたいのがあったり、ロンとハーマイオニーみたいのが出てきたり、全体的にミステリーっぽい作りだったりとか。

しかしこちらはこちらで、独自の要素もいろいろあります。まず「ギリシャ神話」という定本があること。かの神話には神と人の合いの子が活躍するエピソードが数多くあるわけですが、舞台を現代に置き換えるとどうなるか・・・という試みがなされております。このしっかりした「原作」が、「なんでもアリ」ではない確固とした世界観を作っております。
もうひとつはパーシー君の家庭環境。ハリー君の場合は「両親は幼い頃に亡くなり、意地悪な叔父夫婦にひきとられて・・・・」といかにも童話チックでありますが、パーシー君の場合はかなり現実的。実父は幼い頃に事情で家を出、代わりにいけすかない継父と一緒に生活しなければならない。あまつさえ、台所で母ちゃんのお尻にタッチしたりなんかしている。子供としては果てしなくげんなりする場面です。そんなところで現代アメリカの世相が反映されていたりして。
で、別れてはいても一応「両親がそろっている」というのが、この作品の珍しい点でないかなと。ハリウッドのエンターテイメントって、主人公の親のことは全く語られないか、あるいはすでに死んでたりする場合が多いので。わたしとしては主人公が「母親を助けるためにがんばる」というストーリーにとても好感を持ちました。昔のアニメ・漫画にはこういうのいっぱいあった気がするんですけど・・・ まあパーシー君、一度かなり潔くあきらめたりもしてましたが。あとまだ見ぬ父に反感を抱きながらも、どんな人物?なのか思いを馳せてみたり・・・という描写も良かったですね。

しかしまあ、わたしの一番のヒットポイントは、なんと言っても怪獣がわんさか出てくるというところ。やっぱギリシャ神話ってのは怪獣の宝庫ですから。世界で最も怪獣の多い神話と言っても過言ではないでしょう。ミノタウロスにヒドラにケルベロス・・・ しょっぱなからそんなに出しちゃっていいの?というくらいの大盤振る舞いでした。
とりわけ感動したのがユマ・サーマン演じるメデューサ。ちゃんと髪の毛が生きた蛇になってるんですね。こんなにリアルでうねうねしたキモいメデュ-サは初めて見ました(まあそんなに映像化されることもないキャラですけど)。このメデューサなんかは、まさに技術の進歩があってこそ実現できたキャラクターでしょう。

あと当初主人公が難読症で、相棒が足が不自由(に見える)という設定。この辺は監督のハンデを背負った子供たちへのメッセージなのかもしれません。「君たちは実はとんでもないパワーを秘めているんだよーん!」という。あんまり本気にしちゃってもまずいような気もしますが、尊厳を保つきっかけくらいになればいいですよね。うん。

100317_182820んで、この話のオリジンとも言えるのが、四月に公開予定の『タイタンの戦い』なわけですね。予告を見たらこちらも怪獣てんこもりでかなり期待できそう。いや、これはウルトラマンじゃないと倒せないだろ、ってくらいバカでかいのが映ってました(笑) 怪獣バンザイ。

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Comments

こんばんは~
これ,期待せずに観たのに
案外面白かったです。パーシーかわゆいし(そこかい)

ゼウスをはじめとする神様たちが
何気に突っ込みどころ満載のことをしてくれるのも
(しょっぱなからあの兄弟喧嘩のくだらなさ)
それはそれで楽しかったです。

怪獣はわたしはメドゥーサとヒドラくらいしか知らなかったのですが
このシリーズ,他にもどんどん有名な怪物が出てきそうで楽しみですね。
羽根の生えたスニーカーとか
剣になるペンとかの小物も楽しかったです。

Posted by: なな | March 17, 2010 10:14 PM

コチラにもお邪魔します♪

タイタンの戦いは楽しみで~す
スッゴイ怪獣が出てきますよね!サム・ワーシントン君はすっかり大作にハマってきているし、、、面白いといいな♪

パーシーはかなり子ども向けの映画でしたよね~
ハリポタがどんどんダークになっていくので、コチラは純粋に単純にサクッとしたファンタジーでおすつもりなのかな?
物足りなさもありましたが、ギリシャ神話が好きなので、それなりに楽しんじゃった。

で、、、私が最もインパクトがあったのはユマのメドゥーサよりも何よりも、パーシーのママが継父と一緒にいた理由です。「臭いから」って・・・・可哀想じゃない?!(笑)

Posted by: 由香 | March 17, 2010 11:51 PM

>ななさん

ご来訪ありがとうございます 楽しめたようですね!
私はペルセフォネさんの色香にクラクラしました

わたしも昔ギリシャ神話好きだったので、神様方が不仲だったり、あちこちに子供作ってたりってのには「そうそう」と思いながら見てました(笑)

怪獣ネタ、もう半分くらい出ちゃった感がありますが、個人的には続編で(あれば)青銅の巨人タロスとか出てこないかなーと期待しております

魔法のペン!(笑) 初めて映画で「THIS IS A PEN」というあの言葉を聞きましたよ・・・

Posted by: SGA屋伍一 | March 18, 2010 07:34 AM

>由香さん

こちらにもありがとうございます
ワーシントン君、予告でがんばってましたね。しかし今回の敵はいままでで一番強い・・・というかでかいんじゃないでしょうか

そうそう、ハリポタよりも明るいムードでしたね。学校も薄暗いお屋敷じゃなくて林間だし。この辺がイギリスとアメリカの違いでしょうか

まあ、ツッコミどころもいろいろありましたけどね・・・ メデューサって神話の時代に既に倒されてたんじゃなかったっけ、とか

「臭いから一緒にいた」というのもよくわからん理由ですね(笑) だったらゴミ処理場のそばに住めばすむ話でしょうに。実はお母さんの趣味だったりして・・・ ポセイドンさんもなんか潮くさそうだし

Posted by: SGA屋伍一 | March 18, 2010 07:47 AM

こんばんは〜!
では、原作を読破した私が疑問にお答えしま〜〜す!
まず神も怪物も死なない設定です!(笑)
ですから、怪物は一定期間が過ぎると復活します。
復活するのは、何世紀も先だったり、案外早かったり
マチマチだそうです!!!そんなアホな!と思いますが、
ケンタウロス先生が言っておりました。

臭いから一緒にいた!(笑)というのは、
実は、デミゴッド(神とのハーフの子)は、街に潜む怪獣たちには
どうやらおいしい!存在らしいのです。
そして、怪獣達は匂いでデミゴッドがわかるのです。
なので、原作では訓練所にたどりつけずに殺されてしまう子供が
たくさんいる設定です。
母は怪獣達にパーシーの匂い?が見つからないように
臭い男を選んでそばに置いていたと告白しておりました。
それにしても、どんだけ臭いんだか・・・・(笑)

まあ、この先もいろんな怪物やゼウスの娘、ハデスの息子など
いろいろ登場しますが、基本はお子ちゃま向けぽいかなぁ〜。

映像的は、タイタンの戦いが3Dだし、断然すごそうですよね〜。

Posted by: ルナ | March 19, 2010 12:17 AM

こんばんは

ユマ・サーマンのメドゥーサには惹かれるんですが
こちらなんとなくスルーの予定。
ほんと最近ファンタジーもの多いですね。
『ダレンジャン』とか。(←これもスルーかな。。。)
『タイタンの戦い』には期待してます!
予告編で見る邪悪な造型の怪獣がステキすぎる。

『コラライン』を上映終了ギリギリになんとか観てきたので
感想書いたらまたお邪魔します♪

Posted by: kenko | March 19, 2010 09:25 PM

>ルナさん

ありがとうございます! おかげさまでだいぶ疑問が解消されました!
時間が経つと元に戻る・・・ずいぶん便利というか、都合のいい設定ですね でもそのおかげで有名どころの怪獣がいっぱい見られるわけだから、正解だったと思います

しかしそうすると冷蔵庫のあれ、あぶないんじゃないでしょうか? それとも冷凍しておけば勝手に復活したりしないのかな?

>原作では訓練所にたどりつけずに殺されてしまう子供が
たくさんいる設定です

なんだか海亀の子供たちが必死に浜辺まで向かっていく様子が思い浮かびましたよ・・・ 本当にギリシャの神様たちは生んだら生みっぱなしというか

>まあ、この先もいろんな怪物やゼウスの娘、ハデスの息子など
いろいろ登場しますが

そう聞くとやっぱり続きの話が気になりますね。全五巻読みきるのは大変なので、ぜひとも映画続編作ってほしいものです

Posted by: SGA屋伍一 | March 20, 2010 07:59 AM

>kenkoさん

おはようさんです

これ、kenkoさん向きの映画だと思うんですけどね~ かと言って「絶対見てください!」と、熱を入れてプッシュするほどでもなく
定番の面白さがある作品ですね

最近見たい映画が多くて、わたしも取捨選択に困っております。『幸せの隠れ場所』とか『渇き』までフォローできるか・・・

『タイタン』のあれはくじら座の元になったヤツなんですけどね。明らかにくじらじゃないよね、あれは(笑)

『コラライン』の感想、お待ちしておりますよ


Posted by: SGA屋伍一 | March 20, 2010 08:04 AM

やっぱ怪獣ですよね。
ボクは怪人より怪獣です。

上記コメントで触れられてなかった好きな箇所は
三つのポイントに行けってやつですかね。
一つずつクリアーしていって、
三つ過ぎたらどうなる?というのは
分かりやすく楽しめますね。

でも方向がゼウスでなく寄り道のハデス方面だったので
これは第一作で解決せずに終わりか?と心配になりました。
無事に終わっちゃうあたりがウエルメイドといいますか、
やや子ども向けといいますか。

まあ、最後の屋上バトルもパーシー君かっこよかったし、
ばっちし楽しめました!

ちなみに『ダレンシャン』、予告はちっとも惹かれなかった。
ポスターもファンタジー映画というより
ファッション雑誌の広告みたいで、
プロモーションが失敗しているのか、
本編がだめなのか、はてさて。

『タイタンの戦い』
リバイバル?じゃないよね。
昔のは、映像はともかく筋はちっともだったけど…。

Posted by: かに | March 20, 2010 08:46 PM

>かにさん

おはようございます
自分はウルトラよりはライダー派ですが、スクリーンで見るんだったらやっぱり怪獣のほうがいいですよね。迫力あって

「○つの試練をクリアして」という話は、割りとあると思うんですよ。ただこの話の場合、試練をクリアしても「ぬれ衣が晴れる・母ちゃんを取り戻せる」保証はまったくないんですよね。そいつを比較的無理のない形でぱたぱたっとうまく収拾したのには感心しました

屋上のシーンもよかったです。うらぶれた街角で空中戦をやってるあたりは『スパイダーマン』を思い出したりして。あとここぞというところで自分の真の力に目覚めるあのあたりは、超能力漫画の王道ですよね(笑)

『ダレンシャン』はサーカスの描写が面白いという話を聞いたので、一応見る予定です。後回しにしてるうちに終っちゃう、ということもありかもしれませんが・・・・
あと『タイタンの戦い』はたぶん昔のと同じ話だと思いますよー

Posted by: SGA屋伍一 | March 22, 2010 07:26 AM

SGAさんこんばんわ♪TB&コメント有難うございました♪

この監督でこんなタイトルなもんですから、やっぱりハリポタのイメージは払拭できないし、自分も観る前からちょっと二番煎じのような雰囲気も抱いていましたが、ギリシア神話を現代風にアレンジしていた部分は思いの他面白く活かされていて、細かいツッコミ所も全部ひっくるめて適度な娯楽作に仕上がっていたとは思いますねぇ~。

でも今思うと、メデューサ役のユマやゼウスのビッグ・ショーン・ビーンがかなりインパクトあったせいか、主人公のパーシー君の存在感が薄めだったかもしれません・・男が惚れるほどイケメンって感じにも見えなかったので、魅力も今ひとつといったところでしょうか?


そいえば怪獣・・とくれば、日本だとゴジラも挙げられますが、冒頭でポセイドンのおっちゃんが海面からゆっくり出てくるところがゴジラっぽかったな~?と思ったのは自分だけでしょうか?

Posted by: メビウス | March 23, 2010 12:03 AM

>メビウスさん

おはようございます。お返しありがとうございます

実はわたしもこれを見た動機は「他に適当なものがなかったから」という理由だったのですが、そのせいか意外と楽しめました

日本の漫画ではわりと名作古典の主人公が現代に転生して・・・ という話ありますけど、ハリウッドではこういうの珍しいですね。パーシー君は別に転生してるわけではないですが

あと「水を操る」という能力、主人公では珍しいですね。ただメビウスさんが「地味」という印象を抱いたのもこの辺にあるのかも。普通漫画じゃ「水を操る」って脇キャラの能力であることが多いですからね

ポセイドンがゴジラみたい、というのはわたしも思いました! 夜の街で、オヤジがぼーっとしてると海中からあがってくるあれは、ハリウッド版とよく似てました!

Posted by: SGA屋伍一 | March 23, 2010 07:26 AM

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