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March 06, 2010

Hello,darkness my old friend デニス・レヘイン 『闇よ、我が手を取りたまえ』

100306_182501今回は読書記事。日本でもそれなりに知られているようなそうでもないようなミステリー作家、デニス・レヘイン(ルヘイン)の『闇よ、我が手を取りたまえ』、ご紹介いたします。

パトリックとアンジェラは、ボストンで探偵事務所を営む古い友達同士。ある日彼らは精神科医ディアンドラから、顧客とアイリッシュ・マフィアのトラブルを解決してほしいと頼まれる。だが事件を調査するうちに、パトリックはその顧客の話が偽りであることに気づく。折りしも久しぶりに町に戻った女性が、惨殺されるという事件が起きる。
やがてパトリックは二つの事件と、自分の過去に深い関わりがあることを知る・・・

この本を読もうと思った動機は、ブログで仲良くさせていただいている★YUKAの気ままな有閑日記★の由香さんから薦められたので。レヘインさんに関しては、『ミスティック・リバー』や『スコッチに涙を託して』といった代表作の名は辛うじて知っていたものの、実際に読むのは初めて。そしたらこれ、実はシリーズ二作目であることに気がつきました(笑) でもまあ、独立した作品としても十分に楽しめます。

私立探偵もの・ハードボイルド小説もこの世に出でて幾星霜。すでにさまざまなバリエーションが生み出されています。この『闇よ~』の特徴的なところは、探偵が男女二人のコンビであるという点。二人は恋人同士ではなく、それぞれお互いに彼女や、なかなか縁の切れない前夫がいたりします。しかし恋愛感情がま~~~ったくないわけではなく、そのことをなんとか胸に秘めておこうとします。なんだか杏里か竹内まりやが歌いそうなシチュエーションですなあ。

しかし二人の住む町はそれほど甘ったるい場所ではなく。マフィアが暗躍し、死体があがることさえ珍しくない土地柄だったりします。さらにこの作品にはハンニバル博士にも似たサイコキラーも登場。それらに対し、パトリックとアンジーは果敢に立ち向かうわけですが。
顧客をならず者たちから守るためには、彼らとて暴力に訴えなければならないこともあります。実際パトリックは前作で凶悪犯を一人ヌッ殺している模様。その時のことをパトリックはとある人物に「神にでもなった気分だったろ?」と問われたりします。自分の父が暴力的な人間だったことも、彼を苦しめます。そんな暴力大好き人間たちに囲まれて、パトリックは果たして自分の理性を保つことが出来るのか。この暴力という麻薬への誘惑・・・ これが一応この作品のテーマとなっているようです。

久しぶりに読んだ探偵モノですが、ストーリーテーリングのうまさに追い立てられて、ほぼ二三日で読み終えることができました。いいヤツなんだけど、友人のためには恐ろしく凶暴になるブッパや、マフィアの殺し屋で、無敵の伝説を誇るパインといったキャラクターも、強い印象を残します。

主人公であるパトリックの人物造形も興味深いです。彼にはこれといって強烈な特徴があるわけではありません。わたしたちと同じように、恐怖におびえたり、ミスに落ち込んだりする等身大のキャラクター。サム・スペードやフィリップ・マーロウに比べれば、おおよそ「ハード」とは言いがたい人物です。そんな彼ですが、周囲からの人望は絶大に近いものがあります。このギャップは、恐らくこの小説が一人称で書かれているからでありましょう。パトリックは自分のことを決してよくは語りませんが、他人だからこそわかる、その人の良さというのもまたあるわけで。
そんな謙虚な男が自分を奮い立たせて、得体の知れない敵と対峙するお話というのは、やはり手に汗握って読んでしまいます。

100306_182325いつになるかはわかりませんが、一作目・三作目も読んでみたくなりました。
ただレヘインさんの著書って、町の本屋さんではいまひとつ目にしなかったりします。来月スコセッシ&ディカプリオという強力布陣で、別のシリーズの一作である『シャッター・アイランド』が公開されるので、その関係で少し増刷がかかるといいなと。
イラストはDVDスルー作品(・・・・)『ゴーン・ベイビー・ゴーン』でパトリックを演じたベン・アフレックのイメージで(追記というか訂正:パトリックを演じたのはベンではなく、弟のケイシーでした。ボクのバカ!)

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Comments

ヤッター読んで下さったのですね~
もしかして、、、気に入ってもらえたかしら?
>ストーリーテーリングのうまさに追い立てられて、ほぼ二三日で読み終えることができました。いいヤツなんだけど、友人のためには恐ろしく凶暴になるブッパや、マフィアの殺し屋で、無敵の伝説を誇るパインといったキャラクターも、強い印象を残します。
そうなのよ~ん(嬉)
上手いよね、物語の作り方が。
あとキャラも面白いのよ~セリフもいいし♪
私もシリーズを全部読みたいとか思っております。
「雨に祈りを」を買って少し読んだんだけど、何故か途中で他の本に手を出した(汗)、、、
「シャッター~」はねぇ・・・個人的にはイマイチでした(汗)
映画はどうだろうなぁ・・・・オチが分かって観ても面白いか不安・・・

ところで、「ゴーン・ベイビー~」の主役はベンの弟よん。
ベンは監督なのです~

Posted by: 由香 | March 07, 2010 02:50 PM

>由香さん

こちらにもどうも。お名前無断借用で申し訳ありません

わたしとしてはもうちょっとドライで骨太なお話の方が好みなんですけど、それを気にさせないくらいの面白さがありましたよん

ちょいと調べてみましたら、上に挙げた『スコッチに涙を託して』が第一作、そんで第五作の『雨に祈りを』がいまのところ最後の作品のようで。五作くらいだったら、わたしもなんとか全部読めるかも

『シャッター~』、由香さんはイマイチでしたか。なんでも全米ではかなりのヒットだそうですけど

>ところで、「ゴーン・ベイビー~」の主役はベンの弟よん。
ベンは監督なのです~

どかーん あはは・・・ やっちまった・・・
ご指摘ありがとうございます。あとで訂正いれときます

Posted by: SGA屋伍一 | March 08, 2010 07:53 AM

み~ん(←おやくそくですので)。。。ガラコ~。。。

シリーズものはいつ、いかなるときも、オレは、2作目から読む!! そんなスガちんを尊敬してます。。。

ええ、、、『シャッター』いまいちなの? こんどこそあのコンビに期待しているのだが、、、つーか、図書館で借りちゃったんだけど、読まずに見る方がいいのかなぁ。。。

サム・スペードって誰だっけ?

Posted by: 裏山& | March 09, 2010 12:35 AM

>裏山&さん

あらおひさしぶり。どこで浮気してたのん?

ナンバリングふってないシリーズものは、どっから読んでもいいと思うのですよ。ていうかちゃんとふっとけ!って話ですよね

ただ映画だといきなり「2」「3」から見ることってありますよね。あと子供のころは漫画の単行本とかメチャクチャな順番で読んだりしてましたねえ

サム・スペードはほれ、ダシール・ハメット『丸太の鷹』に出てくる探偵さんですよ。心配になって確認しちゃったじゃないですか みゅ~ん。。。

Posted by: SGA屋伍一 | March 09, 2010 07:27 AM

おはようございます!花粉の具合はいかがですか?
こちらは昨日おとついとまた雪です今日も寒い〜

デニス・レヘインさんの小説、つい最近図書館で『シャッターアイランド』を
借りて読んだばかりです。
「ディカプリオの映画のやつかぁ。読んでみよ♪」という軽いノリで。
途中まではあんまりノレなかったんだけど、最後まで読んで
また始めから読み直してみたくなる・・・そんなお話でした。
映画はきっと、レオさま熱演だろうなーと想像。。。
これも読んでみようかな。

Posted by: kenko | March 11, 2010 10:40 AM

>kenkoさん

おはようございます 花粉きてます!(笑) でもピークはまだまだこれからでしょう。ゾクゾクしますね!
西日本は勝手にあったかいとこという印象を抱いていましたが、kenkoさんとこの記事を読んでいると、認識を改めさせられますね・・・

で、もう原作読んじゃったのですか・・・ お気の早い
サスペンス映画ってオチがわかっちゃうと辛いような気もしますが、名匠スコセッシの映画ですから、それでも十分楽しめるかもしれませんね。実際全米ではかなりのヒットぶりのようです

この『闇よ~』、なかなか良かったですけど、できることなら第一作『スコッチに涙を託して』から読んだほうがいいかもしれません

Posted by: SGA屋伍一 | March 12, 2010 08:13 AM

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Tracked on March 07, 2010 02:43 PM

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