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February 08, 2010

なまもの地球紀行 ジャック・ペラン ジャック・クル-ゾー 『オーシャンズ』

081120_100611自然系のドキュメンタリーを扱うのは久しぶりですなー 2006年の『ホワイト・プラネット』以来かもしれません。70億をかけて世界の海を撮影したという、『オーシャンズ』、ご紹介します。

地球の実に70%を覆っているという海。カメラはそこに生きる、多種多様な生き物を追いかけます。浅瀬から深海まで。極地から熱帯まで。イグアナ、タコ、クジラ、カメ、カニ、シャコ、イルカ、アザラシ、その他本当にたくさん。そこはまさしく生き物の宝庫であります。そして、わたしたち人間がその世界に及ぼしている影響についても、映画では語られます。

少し前、バジリコより出版されていた『へんないきもの』という本が話題になりました。わたしも愛読しておりましたが、紹介されているうち、半分近くは海を住処とするいきものだったような気がします。それだけ海にはへんてこなヤツラが多いということですね。『へんないきもの』は大変面白い本でありましたが、惜しむらくは写真がほとんどなかったということ。しかしこの映画でそのうちの幾つかを実際に見られたのは僥倖でした。
例えばニューネッシーの正体であったというウバザメ。体長はおよそ12メートルほどもあり、洞穴のようなでかい口をぽっかりと開けっぱなしのままずっと泳いでいます。ネッシーに勝るとも劣らないほどの怪生物といえましょう。
あとその本ではコウイカが体をチカチカ点滅させて獲物を誘う、といった記述もありましたが、それも実際に見ることが出来ました。よく旬のものとして食卓にあがるコウイカは、こんな意外な芸当もできるんですのよ。

以下、印象に残ったシーンをさくさくっと挙げていきます。

クジラいろいろ

やはりスクリーンで見るクジラはでかいですね。実物ほどではないにせよ。重厚なマッコウクジラ、ややグロテスクなザトウクジラ、そして地球最大の生き物であるシロナガスクジラ。続けて見せてくれたので、それぞれの形状の違いがよくわかりました。


海中に突っ込んでいく海鳥

正確な種名は忘れました・・・・ まるで上空から放たれたミサイルがごとく、魚の群れをねらって一直線に潜水していきます。その勢いはまさしくすさまじいの一言でありました。そういえば『ホワイトプラネット』でも「100m潜る」と言われるウミガラスが紹介されていました。


カニカニ合戦

なんでか理由はよくわかっていないのですが、コシマガ二と呼ばれるカニは、ある時期群れを成して海底を移動します。やがて群れと群れとが激突し、積み重なったカニで巨大な山ができます。そうですね・・・ カニが『300』を演じたらちょうどこんな風になるんじゃないかと。本当に数が半端じゃないので、節足動物が苦手な人が見たら卒倒するかも。


ほかにも夕暮れを背に海上をジャンプするイルカや、沈没船の中に築かれている魚たちの王国などは、とても幻想的で一見の価値ありです。

映画では後半、急に環境に関する重いメッセージが語られます。美しい映像に浸っていたところに、突然冷や水をかぶせられたようでした。うーん、確かになんとかせねばならないのですが・・・ この構成に関しては、見る人によって意見が分かれるところでしょう。

090116_183023『オーシャンズ』は現在全国各地で公開中。でっかいことはいーことです。そのでっかさを、ぜひスクリーンで体感されてください。「こういうのだったら、NHKでも見られる」とか言わないで

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Comments

おはよー。なんかもう雪やんだみたいよ。
さっきまで凄かったのにね~

ものすごい接近してこうやって海の生き物を見られるのは嬉しかったし、前半はすごく良かったですよね。
確かに後半が蛇足だったけど。
まさに冷水をかぶされた気分・・・。大切なメッセージなのは分かるんだけどね。でも近年だと、「地球温暖化は嘘っぱち」説があちこちから出て来ているじゃない?それを聞くとまるで環境汚染について思考停止してもよいかのように思えてしまってなんだか私、寂しく思えてしまったり。
だから、こうやってやっきになって言いたくなる気も分からないではないんだ・・・。けれど、メッセージの伝え方がちょっと下手だったよね。

Posted by: とらねこ | February 18, 2010 10:46 AM

>とらねこさん

一日遅れでおはよーございます おかえしありがとうございまする

すごい雪でしたねー こんだけ寒いと「温暖化うそっぱち説」も信憑性を帯びてきたような。でも『デイ・アフター・トゥモロー』によると、温暖化がピークに達すると地球は急激に冷えるんだったかな? ・・・・わけがわかりません(笑)

それはともかく、この映画入りはいいみたいだけど、評判がイマイチで。やっぱり皆さん例のメッセージに反感を持ってしまったんですかね。あるところでは「プロパガンダ映画」とまで言われてたなあ
映像は見事だっただけに、そうした印象をもたれてしまうのはちと残念です
「伝え方」ってのも大事ですね。糾弾口調でなく、「みんなでがんばろうよ」って感じだったら良かったのかな

Posted by: SGA屋伍一 | February 19, 2010 07:03 AM

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