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February 20, 2010

博士の異常な劇場 テリー・ギリアム 『Dr.パルナサスの鏡』

100220_183427名匠テリー・ギリアムの最新作にして、実力派ヒース・レジャー最後の遺作。本日は話題性十分の『Dr.パルナサスの鏡』をご紹介いたします。毎度出遅れとりますがー

とある町の片隅で、怪しげな興行を行っているパルナサス博士とその一座。舞台に据えられた鏡の中に入った者は、自分の望みどおりの世界を体感することができるという。客層の悪さに悩まされながらも、めげずにショーを続ける博士たち。ある日博士の娘は、橋の下に吊るされて死にかけていた一人の男を救う。記憶をすっかり失っていた男は、そのまま一座に拾われることに。折りしも博士のもとには、「約束のものを返してもらう」と言うこれまた謎めいた男が訪れていた・・・・

『未来世紀ブラジル』で名を馳せたものの、大コケしたり、会社と大喧嘩したり、はたまた作品がポシャっちゃったりと毀誉褒貶の激しいギリアムさん。彼に対するわたしの認識は、「現実と妄想の混交を描くひと」というものです。本当にこれほどまでに長いキャリアを誇りながら、作るもののテーマがずっと一貫してる人も珍しい。ただテーマは一緒でもその度に手を変え品を変え、時にはエンタメよりだったり、時にはアートよりだったりするので、「マンネリ」という印象はありません。

で、そのお家芸とでもいうべき「妄想」の描写、今回も思いっきり突き抜けておりました。このお年でここまで弾けられるというのは、本当に素晴らしい。こういうしっちゃかめっちゃかなビジュアルが大好きなわたしとしては、十分楽しませてもらいました。

アクシデントには事欠かないギリアム氏ですが、今回も重要なキャストであるヒース・レジャーの急死という事態に見舞われました。それでも必死に映画を作り続ける監督と、ボロボロになってもショーを続ける博士の姿が、なんだか重なって見えたりして。
博士が監督だとするなら、妙に親しげな悪魔はスポンサー(映画会社)で、一座の面々はまとまらないスタッフを表しているんでしょうか? ・・・・そいつは例によって考えすぎか
しかしまあ、映画の中に夢や理想の世界を求めているという点では、わたしたちもこの作品に出てくるお客さんたちとさほど変わらないと思います。

先のアクシデントですが、ヒースの親友三人がかわるがわる代役を務めることにより、映画はなんとか完成いたしました。ちょっと強引ではありますが、この豪華俳優たちの競演も映画の見所のひとつです。

ちなみに各俳優に対するわたしのイメージは以下の通り。一緒に印象に残っている出演作も挙げておきます。

☆ヒース・レジャー・・・・ 故人。ジョーカー 『ブラザーズ・グリム』『パトリオット』『ダークナイト』
☆ジョニー・デップ・・・・ コスプレさん 『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ 『エド・ウッド』ほか
☆コリン・ファレル・・・・ 『アレクサンダー』でのホモ描写がきつかった 『アレクサンダー』『デアデビル』
☆ジュード・ロウ・・・・ 最近が影が薄い。毛も薄い。『ホームズ』で挽回を 『ロード・オブ・パーディション』『A.I.』

ファンの方、なにとぞご容赦のほど・・・・

以下はちょっとネタバレです

ひとつ不満があるとすれば、ヒース他が演じたトニーの扱いに関してでしょうか。わたしは彼が善人であると信じたかったので。少なくともヒロインを助けたい、と必死になるその姿に、偽りはなかったはず。それが急転直下してああいう形になってしまったので、「そりゃねえだろ~」と思ってしまいました
まあこの皮肉っぽいというか、意地悪っぽいところもギリアム氏の個性のひとつなんでしょうかね・・・・


さて、最近読んだインタビューの中で、ギリアム氏はキャストの一人で今をときめくジョニー・デップ氏について、次のように語っておられました。
「彼のことは大好きだよ。嫌いでもあるけどね。(中略)ヤツは僕のビッチではいてくれないんだ。あいつはティム・バートンのビッチなんだよ

・・・・・これまたすごい三角関係。しかしこのトライアングルは、ややギリアムさんに分が悪いかなあ。

100220_183633一方のティム・バートンはあてつけのようにデップ出演の『アリス・イン・ワンダーランド』を公開予定。二人の妄想を見比べてみるのも一興かと。
また、ギリアム氏は一度頓挫した『ラ・マンチャの男』に再びチャレンジするそうです。がんばれギリアム! 切ない片思いのことは忘れて!

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Comments

SGAさんこんばんわ♪

ギリアム監督の度重なるアクシデントやトラブルの噂は自分も聞き及んだりしてますが、今回もヒースの急死というアクシデントに見舞われたりと、ここまで不運に付き纏われる監督さんというのもなんか珍しい気がしますねぇ^^;SGAさんのいうようにギリアム監督がパルナサス博士のイメージだとしたら、博士が助けようと躍起になってた娘はさしずめ監督が意地でも完成させようとしてる作品そのものといった感じでしょうか?(汗

そいえば自分も最後に明かされたトニーの正体は結構意外でしたねっ。最初こそ良い人ってイメージが先行してましたけど、途中でチンピラ4人組が出て来た辺りからちょっときな臭い感じがほんわか漂ってきましたし、最終的にはやっぱり腹黒だったようで良くも悪くもイメージダウンしちゃいましたねぇ~w


※それとこちらのTBが全く反映されない状況になっちゃってようなので、代わりにURLの方へ記事のアドレスを貼り付けておきました。

Posted by: メビウス | February 21, 2010 08:52 PM

>メビウスさん

おはようございます! ご来訪ありがとうございます~

そうですね、なんとも気の毒なギリアムさんですが、反面映画界でもっとも打たれ強い監督とも言えるかも(笑)
この『パルナサス博士』だって普通なら頓挫してるでしょうし、『ラマンチャの男』も失敗した経緯をまるまるドキュメンタリーにしちゃったり、さらにはまだ映画化をあきらめてなかったり・・・・
このあきらめの悪さ、ぜひ見習いたいものです

>博士が助けようと躍起になってた娘はさしずめ監督が意地でも完成させようとしてる作品そのものといった感じでしょうか?(汗

ああ、そう考えるとしっくり来ますね。自分は育てていた若手女優が好きになっちゃって・・・とか、そんな三流週刊誌的なことを考えていましたよ

わたしは最後までトニーさんが「いいひと」だと思ってたんですがね~ でもよく考えたら、あのパイプでちゃんと伏線張ってたんですよね・・・

TBの件すいません。ココログさんのセキュリティってどうもよくわかんなくて

Posted by: SGA屋伍一 | February 22, 2010 07:40 AM

ビッチって(笑)
確かにジョニデはギリアムというよりバートンさんちの人ですよねぇ。
本当ならヒース・レジャーがギリアムのビッチになってくれるはずだったんでしょうか。

ギリアムはもういい歳なのに、いつまでもこんなひっちゃかめっちゃかな世界を創造することができて素晴らしいですね。
あきらめの悪さも、自由な発想も、いろいろ見習いたいです。

ギリアムの映画は前作の「ローズ・イン・タイドランド」を観てなかったので
これからDVDで観ようと思います。
ほんとバートンの新作「アリス・イン・ワンダーランド」は
あてつけのよう(笑)楽しみだけど

Posted by: kenko | February 22, 2010 01:27 PM

>kenkoさん

お返しありがとうございます。交換するぜ!(笑)

口悪いですよね、ギリアム監督
彼がこんだけ打たれ強いのは、きっとお笑い出身(モンティ・パイソン)だからじゃないでしょうかね~ ユーモア精神というのは、逆境に面したときけっこう助けになりますからね

ヒースのことはお気の毒でしたが。彼にも早くまた新しい恋人が見つかるといいですね・・・(違)

しかし『アリス・イン・ワンダーランド』と『ローズ・イン・タイドランド』ってタイトルまでクリソツですね! 『アリス』の第二作は『鏡の国の~』だったし

『アリス』は普通に原作を映画化するのかと思ったら、どうも原作のその後の話みたいで。いろいろ楽しみです!

Posted by: SGA屋伍一 | February 22, 2010 08:57 PM

こんばんは!
たしかに、ギリアムさんはアクシデントが多いですよね〜。
なんとなく、彼自身が呼び込んでいるような気がしないでもないですけど・・・(笑)
今回の不思議世界は、私も結構楽しませてもらいました。
そうかぁ〜、ジョニーはティム・バートンのビッチなので
今回の出番が一番少なかったのかな〜
ギリアムさんの嫉妬のせい?・・・・まさかねぇ(笑)

『アリス・イン・ワンダーランド』は、私も楽しみです。

Posted by: ルナ | February 22, 2010 11:54 PM

>ルナさん

こんばんは。お返しありがとうございます

>彼自身が呼び込んでいるような気がしないでもないですけど・・・(笑)

・・・・す、するどい めっぽう反骨精神に溢れた方のようですからね・・・ それでいてメジャー系でコンスタントに映画を撮れているのが、ちょっと不思議であります

ジョニーさんは単に忙しかったんじゃないでしょうかね(笑) 暮れからこっち三本連続で出演作が上映されてますし・・・

バートン作品は必ずしも趣味にあうわけではないんですが、『アリス』は楽しみです。予告で見たおもちゃの兵隊のようなものが、ロボット好きの興味を刺激しますです

Posted by: SGA屋伍一 | February 23, 2010 07:16 AM

伍一さん

最後までヒースは悪人ていうのがわたしけっこう良かったの、
あれで実は良い人でした!なんて終わったら
ちょっとがっかりしちゃう
コリンの名演が水の泡(笑)

最後のギリアムの、ジョニーとバートンの関係羨む言葉、
はじめてきいたなぁ。面白い★
確かにそう思っても当然、ジョニーも昔からギリアム映画に出てたしね

Posted by: mig | February 23, 2010 12:05 PM

こんにちは~♪
少し落ち着いて参りました。今週末から劇場に行けそうかも・・・
でもね、ここのところ本を全然読んでないの~寂しいぃ・・・

で、、、この映画はなかなか面白かったです♪
観る前はダメだろうな、と予想していたのですが、ゴチャゴチャ感が結構ツボでしたし、博士と悪魔のお茶目ぶりが好きでした。

ヒースの役はね~悪い人でちょっとガッカリだったけど、コリンのパートだったからまぁ~いいかって感じです(笑)
とか言いながら、豹変するヒースの演技も観たかったなぁ~って思うわ。

Posted by: 由香 | February 23, 2010 04:13 PM

>migさん

こんばんは! おかえしありがとうございまする
ん~ なるほど。そういう見方もありますか~

言われてみるとコリン・ファレルは、かなり重要なポジションでしたね。彼をもってあのトニーというキャラクターは完結するわけだし
コリンがそこに選ばれたのは、一番悪者が似合いそうだからでしょうか?

ギリアムさんは口は悪いけど、若い役者さんから慕われているところを見ると、きっと面倒見のいいおっさんなんでしょうね~

Posted by: SGA屋伍一 | February 23, 2010 09:02 PM

>由香さん

こんばんは! お返しありがとうございます。忙しさのピークは過ぎたようで何よりです

本はわたしもそんなに読めてませんねー 電車に乗ってるとかなりガンガン読めるんですが

この映画もきっとゲーテの『ファウスト』が原案にあると思うんですよね。しかしギリアムさんの持ち味か、あの暗い話がかなり明るいというか、笑える話になってました

ヒース・レジャーはまだわたし見てない作品がいろいろありまして。これからおいおい見ていこうかと思ってます。とりあえず『ロック・ユー!』あたりからかな

Posted by: SGA屋伍一 | February 23, 2010 09:09 PM

ギリアム監督の妄想の世界に全くついていけない私ですが・・・・
ヒースの死は不運ではあったけれど
彼の仲間たちが仕上げてくれた,という点でも
ヒースの遺作になった,と言う点でも
この作品の知名度および集客度は格段にアップしたと思います。
従来のギリアムファンだけでなく
ヒースのファンやジョニデのファンも(コリンのファンはそんなにいないかも)
劇場鑑賞したと思われますから・・・・
私としては,ヒースの本当の遺作は「ダークナイト」だと思いたいところですが
思いがけずにまたヒースをスクリーンで観れて感動しました。

そうそう,トニー,悪役なんですよね。
ま,主役ではないし,なんとなく胡散臭げな雰囲気は
最初から漂っていましたよね。


Posted by: なな | February 23, 2010 09:42 PM

>ななさん

おはようございます お返しありがとうございます
ななさんとしては、苦手な作風だけど、いままたこうしてヒース・レジャーを見られるという嬉しさもあって、ちょっと複雑な心境というところでしょうか。でも感動の方が上ですよね?

わたしは実は『ダークナイト』以前はそれほどヒースという俳優に注目していなかったので、あらためて彼の普通の人間としての演技を楽しませてもらいました(ジョーカーはいろんな意味で「普通の人間」じゃないですからね)

『アバター』と公開時期が重なってしまったのが、やや不運だったというところでしょうか。でもまあ、こうやって無事公開できて本当によかったですね

トニーは胡散臭げではありましたけど、わたしは彼に完全にだまされてた口であります(笑) ペテンにひっかかりやすいタイプなんでしょうな~ きをつけよ・・・

Posted by: SGA屋伍一 | February 24, 2010 07:16 AM

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