愛という字のもとに ~大河ドラマ『天地人』より⑬ 「だが、そこがよくない」の巻
景勝 「上杉景勝じゃ!」
兼続 「直江兼続です」
景勝 「『天地人』も残すところあと二回・・・ あっというまの一年じゃったのう・・・」
兼続 「まったくだ・・・ ってもうなに回想モードに入ってるんですか! まだビッグイベントが一個残ってるじゃありませんか!」
景勝 「え~? まだなんかあったっけ~?」
兼続 「大阪夏の陣が残ってるじゃありませんか!」
景勝 「そんなこと言ったってなあ、天下の趨勢はもう決まってるんだよ。ド田舎に押し込められた俺たちに、いったい何ができるってん、でエーィ!!」
兼続 「それではそれがしめが秘策をお授けいたします・・・」
景勝 「なにか良い手があると申すか!」
兼続 「はい。資料によりますと家康どのはテンプラを食べておなくなりになったそうです。宴会でだまくらかして大量に食わせればあるいは・・・・」
景勝 「イマイチ確実性にかける策だなあ。・・・っていうか食い物の話はやめろよ! ああ・・・ テンプラ・・・ サシミ・・・ ショウユ・・・ うう・・・ みんなビンボが悪いんだ・・・」
兼続 「との、悲しい時はがまんせず、思い切り泣くといいです」
景勝 「だいたいよう、ここで仮に家康を倒せたとしても、そのあとさらに面倒なことになりそうで正直気が進まねえんだよなあ」
兼続 「との・・・ いまさら何を申すのですか!」
景勝 「だって家康を倒したらそのあと天下を治めるのはドロンジョさまとその部下たちだろ? 無政府状態になるのは誰の目にも明らかだろうが!」
兼続 「シッ (小声で)それはみんなとっくにわかってんですよ! でもね、ここまで愛だの義だの言ってきたわたしたちが鞍替えしちゃったら、お茶の間のみなさんはドンびきするじゃありませんか! 大丈夫、勝敗はもうわかってんだからうわべだけ悲しそうなフリだけしてればいいんですよ!」
ガラッ(ふすまの開く音)
? 「悲しい・・・ 悲しいぞ直江山城・・・ それがわが生涯莫逆の友の言う言葉とは!」
兼続 「その奇異極まりないいでたち・・・ お主はもしや!」
? 「おうよ!」
兼続 「チンドン屋さん?」
? 「チンチンドンドンチンドンドン~ 違うわ! 我こそは天下に名高きカブキ者!」
兼続 「思い出した! 前田・・・ 前田・・・ 前田太尊!」
前田 「千秋ちゃ~ん! ってなにゆってんだおまえわ! そうぢゃねえよ!」
景勝 「確か花のなんとか・・・ 花の・・・ 花の・・・ 嗚呼! 花の応援団!」
前田 「ちょんわちょんわ~ ・・・あのいい加減名乗ってもいいかな?」
兼続 「はいはい」
前田 「前田慶次郎利益とはオレのことだ! 直江! お前はいつからそのような変節漢となったのだ! そしてなぜ無二の親友であるこのオレを忘れてしまったのだ!」
兼続 「ん~ 忘れたってゆうか、最初から覚えがない?みたいな? だいたい君このドラマに出てこないし」
前田 「納得いかーん!! この題材をやると決まった時から、全国の戦国ファンがオレの登場を期待していたはずなのに!」
兼続 「なんでだろうね~」
景勝 「小松江○子にでも聞いてみれば?」
前田 「そうか・・・ 真の敵は小松! そしてN○Kか!」
兼続 「ななななんてこと言い出すんだ そんなことがあの方々の耳に入ったらどうなることか・・・ BPOに怒られるくらいではすみませんよ!」
前田 「構わぬ! 退かぬ! 背かぬ! 顧みぬ! 真の傾き者の生き様、しかと見ておけい!」
景勝 「兼続、この物騒なやつ、とりあえずどっかに押し込めとけ」
兼続 「がってん承知のスケ」
前田 「おい! なにをする! やめんかコラ!」
(バタバタどすどす)
景勝 「やれやれ、片付いたか」
兼続 「以後、戦国の世を駆け抜けた希代の快男児前田慶次は、上杉家二千石の捨扶持を与えられて、嘯月吟歌(しょうげつぎんか)愛する利沙と共に悠々の歳月を送り、米沢に移ってからは二度とかぶくことはなかったという」
景勝 「自分の言葉でしゃべらんかい!」
兼続 「ははは、久しぶりに出ましたね、それ」
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