セルビアの少年ツァーネ エミール・クストリッツァ 『ウェディング・ベルを鳴らせ!』
今年の上半期は『マンマ・ミーア』『シリアの花嫁』『レイチェルの結婚』と、ひねくった結婚映画が目立ちましたね(『マンマ』しか見てませんが)。で、これもその内の一本・・・となるのかな? セルビア出身の鬼才エミール・クストリッツァの『ウェディング・ベルを鳴らせ!』を紹介いたします。
緑豊かなセルビアの山岳地帯で、祖父と仲良く暮らす純真な少年ツァーネ。この設定、まるで「世界名作劇場」みたいです。ただ村の先生がボインボインのセクシー熟女だったり、ツァーネの家の周囲に、なぜだかじいちゃんの仕掛けたブービートラップがうじゃうじゃあるところが名作劇場とは違うところです。
年をとったせいか、急に気弱になったじいちゃんは、ツァーネにこう命じます。
「町へ行ってわたしの望むものを三つ持って帰ってくるように。ひとつ、聖ニコラスのイコン、ひとつ、お土産、ひとつ、お前の花嫁・・・」
まだ早いっつーに、という少年のツッコミは、ボケ老人には通用しませんでした。かくして少年は三つの約束を果たすため、ギャングと美女が集う都会へと向かったのでした。
原題は「わたしの約束」・・・くらいの意味でしょうか(Promets Moi)。この映画は春に渋谷で『REPO!』を観ていなければ、観なかったと思います。その際流れていた予告編がとってもにぎやかでアホらしそうだったので、強く魅かれるものを感じたのでした。が、地元で公開されたのはそれから七ヵ月後・・・ 地域格差ってヤツですね。
一言でいうと、それこそまあ、ヘンテコづくしの映画です。
例をあげましょう。上のボケかかったイラストをご覧ください。これは何かと言いますと、盛りのついたウシを眠らせるための装置なんですね。こいつをクルクル回転させてるところを見させることによって、ウシを眠らせてしまうわけです。そしてその間にその、ウシの大事なところを巨大なペンチでムギュッと・・・・・
モオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
ええ、思い出すだけでも震えがとまりません・・・
こんな風に、出て来る人も、モノも、お話もすべてがへんてこ。去勢装置のほかにも、豪快でけったいな仕掛けというかワイヤーアクションがやまほど出てきます。ピタゴラスイッチのOP映像とか大好きなわたしにとっては、その辺かなりツボでした。
そんな中比較的まともなのはツァーネが一目ぼれする年上美人のヤスナくらいのもんでしょうか。そのヤスナさんでさえ、どことなく浮世離れしたところがあります。
セルビアというと第一次大戦開戦に関わりがあったり、近年の悲惨な内戦のことが思い浮かびますが、そういう国の人がこんなアホテイスト満載の映画を作れるというのは、なんだか嬉しいですね。あるいはこういうすぐにぶっ放したがる気質が、そうした歴史を作ってきたのか(_ _;
しかし年端もいかぬ少年に、映画とはいえこんなことやあんなことまでさせちゃって、これ、社会問題にならなかったんでしょうか。その辺が「スキャンダルがスキャンダルにならない国」フランス(共同制作)のおおらかさなんですかね。そういや今年はハリウッドでも『愛を読む人』ってのがあったなあ。
未成年のうちからうっとりするような美女とチューしたりくっついたりできるなんて・・・・ つくづく羨ましい。
そんな『ウェディング・ベルを鳴らせ!』(恥ずかしい邦題だ・・・)、一番遅くに回ってきた静岡東部でも、今日で終了です(笑)
ただ来年一月にはもうDVDが出ますので、へんてこ好きのみなさんはぜひご覧ください。
Comments
SGA屋伍一さん、こんばんは。
確かに、ヘンテコづくしな映画だったけど、
それを思いっきりドタバタやっているところが面白かったですよね☆
それにしても、この邦題はネタバレですよね~。^^
Posted by: BC | December 07, 2009 12:28 AM
>BCさま
こんばんは
『地下鉄のザジ』でも感じたのですけど、この元気なドタバタさは、ドリフのコントにも似たものを感じました(笑) 本作はシモネタも多めでしたし・・・
このタイトルを見た時点で、ハッピーエンドというのはあらかた予想がつきますよね。どういう邦題だったらよかったのかなあ
『ツァーネの嫁探し』・・・ ダメだな、こりゃ
Posted by: SGA屋伍一 | December 07, 2009 06:45 PM