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November 14, 2009

15分くらい六本勝負 チェコアニメ傑作選② シュヴァンクマイエル・その他編 

091114_180543続けていっちまうか! というわけでチェコアニメ特集上映レビュー、後編でございます。

わたしはチェコというと、つい「スロバキア」と続けたくなってしまう世代です。正直に言うと、いつごろ分割したのかもちゃんと把握してなかったりしてcoldsweats01
そこでウィキペディアでざーっと見てみたのですが、近代は特に歴史的にいろいろ苦労しているようです。前の記事を読んでくださればわかると思うのですが、チェコアニメってけっこう皮肉めいていたり、暗い内容のものも多いです。複雑な歴史的背景が、チェコアニメにそういうシニカルな空気をもたらしているのかな・・・ と考えるのはやや安直でしょうか。

さて、今回の上映、どのプログラムにもシュヴァンクマイエル、トルンカ、ポヤル氏の作品と、ベネシュという方の『パットとマット』というシリーズが入っております。とりあえず先のお三方が、チェコアニメの「巨匠」と考えてよいのでしょうか。ほかにも『屋根裏のポムネンカ』のイジー・バルタもおりますが、先に単独で傑作選が公開されたためか、今回はハブられている模様。
あと前の記事で書き忘れたのですが、『人形劇三国志』などで知られている川本喜八郎氏は、一時トルンカに師事していたことがあったそうです。いわれてみれば、なるほど、氏の手がけた『みんなのうた』「メトロポリタンミュージアム」などは、確かにチェコアニメの影響が見て取れるような。

わたしが今回なぜこの特集上映を観にいったかというと、『ポムネンカ』が良かったから、ということもありますが、もうひとつにはここ数ヶ月の間に、複数の方から「シュヴァンクマイエルはすごい」という噂を聞いたからでした。わたしが彼について知ってることといえば、「変な『人間椅子』の本をこしらえた人」というイメージしかなかったのですが、そうした噂を聞いて「いったいどんな世界を見せてくれるのだろう?」と俄然興味が湧いたのでした。

が、これがなかなか一筋縄では行かなくてcoldsweats01

まず『棺の家』。ひたすらエサを食んでいるかわいらしいモルモット(本物)。それをとりあって、二人の道化師がひたすらハンマーでどつきあいを繰り広げます。このドつきあいがけっこうえぐかったりして。
異様な空気に惹かれる反面、シュールな作風にいささか当惑いたしました。
もう一本は『レオナルドの日記』。めずらしく絵と実写を組み合わせた作品です。こちらにいたってはストーリーらしいものすらなく。ダ・ヴィンチの描いたデッサンと、昔の人々の映像(本物)が頻繁に繰り返されていく・・・という内容。
基本的に子供でもわかる作品が多かったこの上映において、極めて異質な二作品でありました。そのふっきれたセンスには、「孤高の人」という称号がしっくり来ます。

続けてわたしが見た残る三作品について、簡単にご紹介します。


ベネシュ 『パットとマット/運動』

テレビで競技大会を見ていたパットとマット。ところが突然テレビが故障。そこで二人は自分たちで競技大会を演じることにする。
このパットとマット、いらんアイデアを思いついてはとにかく物をよく壊します。しまいに部屋は大惨事になるのですが、それでも二人は一向に気にしません。
先にチェコアニメについて「暗い」「皮肉めいた」と書きましたが、珍しくそうしたテイストの薄い、単純バカで楽しい作品。


イヴァン・レンチ 『灯台守』

船の舳先に付いていた人魚の像は、船乗りのちょっかいに腹を立て、灯台にイタズラをして船を沈めてしまおうと考えます。
この人魚の像というのが、アンデルセンのようなメルヘンチックなものではなく、ギョロ目でキバをむいた奇怪なデザイン。考えようによってはかなりおっかない話なのですが、明るい背景に軽快な音楽のせいか、笑いながら見ることができました。


ポスピーシロヴァー 『樫の葉が落ちるまで』

酒好きが祟って畑をダメにしてしまった偏屈男。そこへ悪魔がやってきて、豊作とひきかえに「あなたが知らないあなたのもの」を要求します。その雰囲気は、まるで「笑ウせぇるすまん」。
男は「この家にオレの知らぬものなどない!」と契約にサインしますが、ちょうどそのころ彼に息子が生まれて・・・という話。ストーリーはさらにこれから二転・三転します。
今回の上映の中では、もっともカタルシスを感じた作品。
また、男が地獄で禁酒療法を受けるくだりがあるのですが、その辺がハチャメチャでしつこくて最高でした。

091114_180602見られなかったB・Cプログラムにも、いろいろ面白そうな作品がありまして。
『探偵シュペイブル』『善良な兵士シュヴェイク2』『ジャバウオッキー』『飲みすぎた一杯』etc・・・・

いつかこれらの作品も、鑑賞できたらいいなあ。配給会社の皆様、どうぞよろしく。

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Comments

そういえばSGAさんオススメだった『屋根裏のポムネンカ』
こちらに来る気配がないです。
観たいのに〜。うっかりスルーしちゃったかな?

シュバンクマイエルさんの作品は
『オテサーネク 妄想の子供』という長編なら今年観ました。
不妊の夫婦が切り株の子供を育てる話。
グロテスクなんだけど独特のおかしみがあって不思議な映画でした。

Posted by: kenko | November 15, 2009 at 08:15 PM

>kenkoさま

どもどもhappy01
いま調べてみたんですが、広島付近でやってたとこは、一番近くて福岡か佐賀でした。そして両方ともすでに終了しておりますcoldsweats01

あと上映が残ってるのは川崎と高田馬場くらいですね・・・ こちらまで来ますか?(笑) DVDもそのうち出ると思いますが、いまのとこまだ発売日は決まってないみたいです

>オテサーネク

これ、映画館のところにスチルが飾ってありました! 「これまたヘンテコリンな・・・」と思っていたらシュヴァさんの作品だったんですね
リスト見ると、彼の作品には面白そうなのがいっぱいあるんですよね。ポー原作のものなんか特に興味があります

Posted by: SGA屋伍一 | November 16, 2009 at 07:38 AM

SGAさん、わざわざ調べてくれてどうもありがとうshine
やっぱり広島には来なかったんだなー
「ウォレスとグルミット」はけっこう前にかかってたんだけど
都合が合わず観に行けなかったです。

シュバさんの映画、オテサーネクを観たあとに
とあるお店で短編ばかりを収録したDVDを見つけて、
手に取ってしばらく眺めたんですが、なんとなく棚に戻してしまいましたcoldsweats01
かなりあやしい雰囲気ありますよね〜
初期の作品は特に。できればスクリーンで観てみたいです。

Posted by: kenko | November 18, 2009 at 11:36 PM

>kenkoさま

どもども
広島はアニメの大きなイベントやってたから、そういうのに力入れてるのかな・・・と思ったんですけどねー
でもやっぱり、静岡東部に比べればいろいろ来てますよ。こっちには『ウォレス』すら来なかったし(笑)
イスラエルの方が作ったアートアニメ『戦場でワルツを』・・・もたぶん来ないだろうな~ これけっこう楽しみにしてるんですけど

kenkoさんが見つけたDVDってセル版ですよね? こういうマニアックな(笑)DVDって高いんですよね~ かといってレンタルにはまずおいてないし・・・
特集上映に期待しましょう。ここんとこチェコアニメのその手の企画続いてるので、人気ナンバー1のシュバさんなら単独で成り立つ気もします
その場合、わたしはまた遠出せにゃならんだろうけど(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | November 19, 2009 at 07:25 AM

伍一さん、こんばんは!
いまさらながらココにコメいれさせてもらいまーす。

シュヴァンクマイエル、観ましたのね★

わたしは「オテサーネク」と「アリス」が好き。
ジャバウッキーも観たんだけどどんなのか忘れちゃって。
あとはお人形が出てくる短編で面白いのもあったなぁ、、、。
人間椅子というと
竹久夢二の映画でも観ました、
なかなか変わってて面白かったですよー。

しつこいけど伍一さん、タラちゃんの映画観てね!

Posted by: mig | November 20, 2009 at 11:57 PM

>migさま

こんばんは
想像つくと思うけど、文中に出て来る「複数の方」のうちの一名はmigさんですcoldsweats01
お父上とコラボされたことがあったんですよね

『オテサーネク』はkenkoさんも推してますね。『アリス』はなんかよう○べで観られるみたいですcoldsweats01
『ジャヴァウォッキー』も『不思議の国のアリス』関連のお話のようですね

エドガー・アラン・ポーと江戸川乱歩の両方の作品いじってる人ってこの方くらいですかねえ。探せばそれなりにいるかな? 

『イングロリアス~』は観ますよ。『スペル』も本格的に観たくなってきました・・・ どうしよう・・・

Posted by: SGA屋伍一 | November 21, 2009 at 09:41 PM

SGAさん、おはようございます☆
おー、SGAさんもポスピーシロヴァーが一番カタルシスを感じましたか!私もこれが好きでしたし、一番驚きました。
シュヴァンクマイエルの『棺の家』は、自分的にはクエイ兄弟のアニメを思い出しちゃったんですよ。これまた、恐ろしげな人形アニメだったもんで。。
それにしても、モルモットがコマ撮りの実写ってのがまたなんだかシュールで。彼らは別の世界の存在みたいにも思えました。かわいい分だけ、ちょっと可哀想なような、でもあれはあれでいいような。

それにしてもこのシリーズ、いやあ、面白かったですね!正直、下手な実写映画を見るより、ずーーっと面白かったです、チェコアニメ。
また行きたいですね!また次回も特集組んだら行きましょう〜♪

Posted by: とらねこ | November 28, 2009 at 04:25 AM

>とらねこさま

おばんです! その切はお世話になりました!
ええ、このポポピピ・・・ムニャムニャさんcoldsweats01、突き抜けてましたよね・・・
てっきり『笑ウせえるすまん』のような残酷なオチが待ってるのかと思いきや、こちらの裏をかくような大逆転が待っていたので、本当に痛快でした

クエイ兄弟の人形アニメは未見なんですよね。以前とらねこさんとこの記事で読んで、見てみたいなーとは思ってるんですけど
自分は両脇であんなにギッタンバッコンやってるのに、ずーっとひたすらエサを食い続けているモルモットの落ち着きっぷりに感心しました(笑) よくしつけられているのか、それとも食い意地が張ってるのか。でもなんか可愛かったですね

>また次回も特集組んだら行きましょう〜♪

よろこんで~♪ 今日から一週間限定で早稲田松竹でもやってるみたいですね
これには行けないんですが、また年末もフラフラ都に上ると思いますので、予定が会ったら一杯付き合っていただけると嬉しいです

Posted by: SGA屋伍一 | November 28, 2009 at 07:38 PM

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