愛という字のもとに ~大河ドラマ『天地人』より⑫ 「太宰を断罪」の巻
景勝 「上杉景勝じゃ!」
兼続 「直江兼続です・・・」
景勝 「(ぐきゅるるる)うおおおおお!! はらへったぞーっ!!」
兼続 「殿、耐えなされ・・・ 武士は食わねど高楊枝」
景勝 「てんめ~(首をしめながら)誰のせいでこんな赤貧生活を強いられてると思ってんだ~」
兼続 「げげぼ。し、しどいわとの。せんかいはあんなにおほめくださったではないですか」
景勝 「うるせえ! てめえの酒の不始末で、家臣一同飢え死にするところじゃねえか!」
兼続 「との、怒ってばかりいると、よけいに腹が減りますよ・・・ ここはひとつ上品な話題でもいかがでしょう。今回のテーマは『太宰治』ということで」
景勝 「へ? なんで?」
兼続 「なんか最近生誕百年ということで盛り上がってるんですよ。それにこういう寒いところと太宰ってよく似合うと思いませんか?」
景勝 「まあそれですきっ腹が紛れんだったらな・・・ お前は太宰ってなんか読んだことあんのか?」
兼続 「はあ一応。『走れメロン』と『人間失格』。あと『桜桃』ですね」
景勝 「メロンとかサクランボとか、果物が好きな人だったのか?」
兼続 「月見そばも好きだったみたいですよ」
(ぐきゅるきゅるきゅる~)
景勝 「く、くいものの話はよさねーか・・・」
兼続 「うかつでした・・・ そう、『桜桃』は読みやすかったですね。十ページかそこらでしたから。たしか『子供より、親が大事と思いたい』とかいう書き出しじゃなかったかな」
景勝 「とんでもねーオヤジだな」
兼続 「友人を借金の方においてきて忘れたあげく、責められたら逆ギレするような人ですから。まあそれはともかく『走れメロン』の方はよかったですよ。こちらの書き出しは確か・・・ そう、『メロンは激怒した』」
景勝 「メロンって怒ったり走ったりすんのか?」
兼続 「ファンタジーなんでしょ。わたしにはメロンの気持ちがよくわかるんです。メロンの親友を思う気持ちが。親友のえーとえーと」
景勝 「セロハンテープ?」
兼続 「そうそう。そんな名前。ああ、ミッチー・・・ わたしもあなたを助けに京都まで走っていきたかった・・・」
景勝 「じゃあ行けばよかったじゃねーか」
兼続 「こっちはこっちでいろいろ忙しかったんですよ! 育児とか根回しとか引越しの準備とか」
景勝 「・・・・親友へのフォローは一番後回しかよ」
兼続 「ごほんごほん。そういや今回はアレやりましたっけ? 柿のエピソード」
景勝 「柿・・・ そういやそんな話もあったような・・・ どんな話だったっけ」
兼続 「えーと、確かミッチーが刑場にひかれていく途中で、一人の女性が気の毒だからって柿をあげるんですね。そしたらミッチーは『今ゲリピーだからいい』とか言ったとか」
景勝 「柿とゲリピー。足して柿ピーだな」
兼続 「うう・・・ かっこつけ野郎のお前が最後の言葉が『ゲリピー』だなんて、さぞや無念であったろう、ミッチー!
ううう」
景勝 「てゆうか柿の話してたら、また腹が減ってきたんだが・・・ いかんいかん! 考えちゃいかん! そうだ、お前どうだったんだ、あれは。『ヴィヨンの妻』は。今回太宰に強引に話をふってるのも宣伝のためなんだろ」
兼続 「あはは。さすがとの・・・ お見通しでしたか。なんか書きたいところなんですけど、これ書いてるヤツが見てないもんでなんともいえないんですよ」
景勝 「そっか。タイトルからしてビヨヨ~ンと何かが伸びる話なのかな」
兼続 「何かが伸びる・・・ やっぱ月見そば?」
景勝 「だから食い物の話はやめんか!」
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