11人の平成ライダー 『仮面ライダーディケイド』を語る③
先日壮絶な最終回を迎えた『仮面ライダーディケイド』。その後半の展開と結末について語ります。
一回目の記事はコチラ。二回目の記事はコチラ。劇場版の記事はコチラ。
九つの世界を巡り終えたディケイドたち。だが、彼らはさらに別の世界へと導かれる。世界は九つだけではなかったのだ。
さらに旅を続けていく中で、絆を深めていく士、ユウスケ、夏海、海東。ニヒルだった士も、いつしか仲間たちとのふれあいに安らぎを感じるようになっていく。だが各世界の崩壊はすぐそこにまで迫っていた・・・
後半の流れをざっと振り返ると、まず「ネガの世界」で夏海を、「ディエンドの世界」で海東をクローズアップし、続く「シンケンジャーの世界」「RXの世界」で士に「居場所」「仲間」の大切さを認識させる。「アマゾンの世界」・・・はどういう意味があったのかよくわかりません。「RXの世界」と共に劇場版への期待をあおるためでしょうか。
『ディケイド』というのは士が自分の世界を求めて旅するお話でもありました。しかしストーリーが進むにつれ、その人の居場所というのは文字通りの空間ではなく、誰かの心の中にある・・・人と人の絆にあるのではないか・・・ということが示唆されていきます。
う~ん、ええ話やな~と感じ入っていたところに、あの最終回ですよ!
見終わったあとには思わず呆然となってしまいましたが、冷静になってみると、あんなシーンどこかで見たような気がしました。そう、それは原作版『仮面ライダー』の第4話「13人の仮面ライダー」。
ショッカーが作り出した12人の仮面ライダーに取り囲まれ、窮地に陥る一号、本郷猛。なんとか脱出を試みるも、奮闘もむなしく、ついに彼の体を銃火が貫く・・・ テレビの延長で手を出したお子様たちに、深いトラウマを与えた衝撃のエピソードでした。
考えてみれば、石ノ森章太郎のヒーロー漫画で「ニコニコ笑ってハッピーエンド」というものがどれほどあったでしょう。
兄弟たちを瞬殺し、以後罪の意識に苛まれていくであろうキカイダー。
いままで戦ってきた相手がみな親兄弟であることを知り、愕然とする嵐。
愛していた母に裏切られ、その倒壊を目にし絶叫するロボット刑事。
一緒に住んでいた一家の家を粉々にぶちこわし、いずこかへと去っていくロボコン(アレ?)。
自分がやがて新世界の魔王となるのでは、という恐怖に怯え、「オレは誰なんだ!?」と絶叫する仮面ライダーBlack・・・
本当に石ノ森先生という方は・・・ なんつーかこー・・・
というわけで、平成ライダーもシリーズ10作目にして、とうとう石ノ森漫画においついた、ということができるのでは。でもそれじゃみんな納得しないだろうから(笑)、劇場版で続きをやるようですけど、もしかしたらスタッフは本当にあそこで終わりにしたいのかもしれません。
あと平成ライダーとして特に強調されてる要素が、「ディケイドが世界の破壊者である」という点。
普通ヒーローというのは「救世主」であるはずです。まわりも彼らにそれを期待し、口々にほめそやします。
ところが、平成ライダーの連中というのは逆に世界を滅ぼしかねないようなヤツが多い。クウガ、ブレイド、キバ・・・ そこまでいかずとも、アギトやファイズとて本来は世界に仇なすはずの存在です。また龍騎は同じライダー12人を殺さねば生き残れない、という宿命を帯びています。
そんな正義の味方からはほど遠いやつらが、さまざまな経験を積んで、自分の宿命を打ち破っていく。
ひねくれ者のわたしが平成ライダーにひかれるのは、その辺にあるような気がします。
にしても、ディケイドほど最初から最後まで悪者よばわりされたヒーローも、また珍しい。
果たして彼は「破壊者」から「救世主」になることができるのか?
その答えは、冬の劇場版にて(明かされるといいなあ)
Comments
いっぺんに書けばいいのに一日に何度もコメントすみません
なるほど〜石ノ森リスペクトというのはそういうことですか。
さすがSGAさん、鋭い洞察力。
12月の劇場版に持ち越しってどんだけ先やねん!!って思ったけど
あとたった3か月だからすぐですよね。
ダブルもなかなか面白いですね!けっこう気に入ってます
第2話の恐竜にはビビったけど(笑)
それから『悪童日記』のレビュー、いつになるか分からないけど
頑張ってみまーす♪
Posted by: kenko | September 17, 2009 09:42 PM
>kenkoさま
だから謝らないで! 悪いのは・・・きっとわたし・・・ そうよそなのよ!。゜゜(´□`。)°゜。
お褒め頂いて恐縮ですが・・・・・ 実は単なる思い付きです・・・
ただ白倉Pは石ノ森漫画をけっこう読み込んでるみたいだし、『龍騎』TVSPでも似たようなことやってたので、たぶんオマージュだと思うんですよねー
三ヶ月はきっとあっとゆうまですよ・・・ こないだ正月の準備したばっかしのような気が・・・
ダブルもいいですよね! T-REXはまさに「肉食系女子」だと思いましたw
『悪童日記』レビュー、期待してまってます。これもネタバレにならんように紹介するの、むずかしそうだけどね・・・
Posted by: SGA屋伍一 | September 18, 2009 07:21 AM
ディケイドは最終回間近でも『アマゾンの世界』とか出て来るもんですから、結局多くの謎をはらんだまま煮え切らない終わり方をしちゃいましたよね・・。こんなことなら無理に劇場版にするよりは普通に1年間放送した方が良かったんじゃないかな~?とも思っちゃう今日この頃ですw
でもブレイドの最終回が平成ライダーの中で個人的に一番好きな自分なんですが、ひょっとしたら自分も心のどこかでは仮面ライダーの終わり方はハッピーじゃない方がいいと思ってる部分があるのかも・・?ディケイド劇場版はハッピーでしたけど、12月はもしかして・・・。
Posted by: メビウス | September 19, 2009 11:54 PM
>メビウスさま
こちらにもあえいがとうございます
まあディケイドが約半年だったのは、制作側の「今度からは秋から始めたい」という意向のためだったようですが・・・
やっぱり見たかったですねー 一年ヴァージョン。平成の各世界ももっとていねいにやってほしかったし、1号の世界やZXの世界、真の世界なんかもぜひ見たかった・・・ それとは別に「THE FIRSTの世界」なんかもいかにもありそうだし
わたしも龍騎、ファイズ、ブレイドと物悲しい終わり方をした作品の方が強く心に残ってますね。『電王』なんかはああいう終わり方じゃないといやですけど
Posted by: SGA屋伍一 | September 20, 2009 09:59 PM