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August 29, 2009

毎日が誕生日 イジー・バルタ 『屋根裏のポムネンカ』

090829_133722♪ぽーむぽむぽむポムネンカ まん丸目玉のお人形

本日はチェコアニメ最後の巨匠(なぜ?)イジー・バルタの24年ぶりの新作、『屋根裏のポムネンカ』をご紹介いたします。
いつのどことも知れぬ一軒の家。その屋根裏では、人から忘れ去られたオモチャたちが、独自の世界を作り上げて毎日を面白おかしく暮らしておりました。
ヒロインは気立ての良い人形のポムネンカ。彼女には仲の良い三人のナイトがおりました。スキあらば寝ようとするクマのムハ。うっかりミスが満載のマリオネット・クラソン。そしてMr.ポテトヘッドとちょっとかぶってる粘土細工のシュブルト。
ある日別の一室にある「悪の銅像」がポムネンカにいけない欲望を抱き、彼女を自分の帝国に拉致ります。三勇士たちはそれぞれ彼女を助けようと奮闘しますが、歯車がかみ合わない上に銅像の妨害もあり、救出は困難を極めます。

オモチャが主人公のお話といえば、思い出すのはピクサーの『トイ・ストーリー』。ただこちらが違うのは、オモチャたちがすでにもう捨てられた身である、ということ。だから主人のご機嫌取りに精を出さなくてもいいし、「いつか捨てられるかも・・・」という不安に怯えることもない。いたってお気楽極楽な社会でございます。
キャラたちがちょこっといびつだったり、薄汚れていたりするのも独自のテイスト。なかでも悪の銅像(時々ドーランを塗った伊武雅刀にしか見えないのがご愛嬌)などはロリコン魂全開で、この無邪気な物語に一片の毒を添えています。

わたしが予告編でまずココロ魅かれたのは、どこかレトロ感の漂うメカ描写。この屋根裏では古ぼけた小さな列車が走り、ボトルでできた飛行機が飛び、鉄でできた虫たちがヒコヒコ蠢いています。
特にボトル飛行機は状況に応じて様々な形態に姿を変え、大きな少年のメカ魂をくすぐってくれます。
そういやわたしも昔空き缶とか使って不恰好な乗り物をこしらえたことがありました。石川球太さんが書かれた「アイデア工作」みたいな本に書かれていたのかな? ウチは別にそれほど貧乏ではありませんでしたが、あまりオモチャは買ってもらえなかったので、自分でガラクタから作るしかなかったのですcrying
でもまあそれはそれでなかなか楽しく。だから大人にとってはゴミでしかないガラクタも、子供にとっては宝物だったんですよね。この映画を見ていたら、そんな昔のヘンテコな宝物のことを思い出しました。

さらに感心したのは次から次へと出てくる奔放なアイデアの数々。まず冒頭でムハたちがサイコロで誕生日を決めていたりします。誕生日というのは・・・・サイコロで決まるものなのか?
この映画にはそんな既成概念を打ち破るアイデアが数多く出てきます。普通のネコがオモチャの世界に来ると怪しげなおじさんに姿を変え、タンスからこぼれ落ちたシーツは瞬時にして濁流となり、破れたゴミ袋は怪鳥となって空を舞います。一見荒唐無稽のようでありながら、どこか懐かしいのは、やはり子供のころに夢想したことと似通っているからかもしれません。

わたしが何気に一番気に入ってしまったのは、この映画のテーマ曲。穏やかで弾むようなその調べを聞いていると、本当にこの世界のどこかにオモチャたちが永遠に楽しく暮らす屋根裏部屋があるのでは・・・ わたしをそんな空想に浸らせてくれます。そしてその家のどこかでは、今もなお魔法で作られたブラックホールが渦を巻いているに違いありません。

090731_192145ありとあらゆる廃品たちが織り成す究極のリサイクルアニメ『屋根裏のポムネンカ』は、現在ユーロスペースほかで上映中。スクリーン数は非常に微々たるものですが、お近くの町でかかったら来るべきエコ時代のために、ぜひごらんになってみてください。

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Comments

ポムネンカのイラストは似てるかもー。
バルタはガラクタ&廃墟好きなところがいいですなー。
私は虫系の動きが好きでしたー。
伍一さんは手作りおもちゃ派だったんですね。素晴らしー。

Posted by: かえる | September 01, 2009 at 01:42 AM

>かえるさま

律儀にこちらにもおかえしありがとうございまするhappy01
ポムネンカ似てますか。最近こういう目玉焼きみたいな目ん玉のキャラに弱いです

ムシといえば銅像の腰ぎんちゃくみたいなムシさんはなかなかキモくて良かったですね。彼が銅像の耳に入っていくシーンでは、こちらの耳までなんだかこそばゆくなってしまいましたよshock

一応手作り派だったのですが、不器用かついい加減だっため、わたしが作ったおもちゃは大抵長持ちしませんでした(笑)
それに比べてこの作品に出てくるおもちゃは、捨てられているのにみなしっかり原型を保っていてすばらしいですね。きっと作った人がしっかりした人だったんだと思います

Posted by: SGA屋伍一 | September 01, 2009 at 12:54 PM

SGAさん、こんばんは~!

>オモチャたちがすでにもう捨てられた身である、ということ。だから主人のご機嫌取りに精を出さなくてもいいし、「いつか捨てられるかも・・・」という不安に怯えることもない

うん、なるほど!
この一言、すごく的を得た一言だと思います。
確かにその通りですね。『トイ・ストーリー』との違い、・・おもちゃとしてのアイデンティティなんて言ったら可笑しいですが、位置づけがそんな風に“最初から捨てられたおもちゃ”。
そう考えると、何故私たちがこれを見てどこか懐かしく、そして胸が痛むような思いがするのか、少し分かった気がします。

>そんな既成概念を打ち破るアイデア
うん、そうですね。私が一番見たいのはこれかもしれない、と良く思っていたりします。
そう言えばSGAさんは『ウォレスとグルミット』がずいぶんお好きのようですが、この映画なんてまさにそういったものの塊。私もいっぺんで好きになってしまいました。
実は最近まで見てなかったのですが、全部見ようと思ってます。

Posted by: とらねこ | September 01, 2009 at 08:21 PM

>とらねこさま

おはようございまする。とらねこさんにほめていただき恐縮だますcoldsweats01
脳天気に暮らしている彼らですけど、もしかしたら過去に辛い経験もあったんでしょうかね~ ムハ君の絆創膏の由来とか、ちょっと知ってみたい。単に「どこかにひっかけた」くらいの理由かもしれませんがcoldsweats01
こういう「オモチャが本当は生きていて・・・」という発想、わりと昔からありますよね。『くるみ割り人形』とか。P.K.ディックの短編でも読んだことあります

>既成概念を打ち破るアイデア

こういうのを思いつくのって、なかなか簡単なことではないと思うんですよね。でも子供のころふと考えていたことって、これにあてはまるものが多いような。『モンスターズ・インク』なんかまさにそうだと思います。ピクサーの他の作品もね。『ウォレスとグルミット』第一作の『チーズ・ホリデー』もすごいですよ。とらねこさんが観てくれるとは嬉しいなあhappy01
とらねこさんには特に前述の『チーズ・ホリデー』と『ペンギンにきをつけろ!』をおすすめいたします

Posted by: SGA屋伍一 | September 02, 2009 at 08:00 AM

伍一さん☆
ポムネンカ、DVD出たら観てみるね〜★

だからまだ読んでないけど、、、、
同じチェコアニメーション、シュヴァンクマイエル、観てみて!

そうそう、次渋谷に来たら伍一さん観るべきものが!
「マーターズ」
レイトショーだけど(笑)
伍一さんこういうのダメだったかな。

Posted by: mig | September 03, 2009 at 11:18 PM

>migさま

おはよっすー
DVDでもいいので、ぜひ見てください。あのギャラリーに置いてありそうなキャラがたくさん出てましたよ(笑)

こないだチラシ見せたかもしれないけど、今度やるチェコアニメの特集上映で、シュバンクマイエルの「ジャバウォッキー」というのがラインナップにあがってました。これ、なんだかそそられるものがあるので、ぜひ見てみたいですね

>伍一さんこういうのダメだったかな。

完全にダメです(笑) あらすじ読んだだけでサブイボが立ちまくりましたshock 結末だけこっそり教えてくださいcoldsweats01

『XYZマーダーズ』だったら興味あるんですけどね(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | September 04, 2009 at 07:34 AM

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