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August 31, 2009

愛という字のもとに ~大河ドラマ『天地人』より⑩ 「雪国を出たら、また雪国だった」の巻 

兼続 「らんらんらんらんらんらん引越しくん♪ はい!」
景勝 「・・・・・・・」
兼続 「らんらんらんらんらんらん引越しくん♪ はい!」
景勝 「・・・・・・・」
兼続 「ひっこしく~~~ん!!」
景勝 「やかましいわ!! 黙ってやらんかい!!(#`Д´)
兼続 「いやー、どうせ引っ越しやるなら楽しくやりたいじゃないですか! ていうか殿、寝っころがってないで手伝ってくださいよ! 明日中にはここ引き払わなきゃいけないんですから!」
景勝 「うるせえ! オレはまだ納得したわけじゃないからな!」
兼続 「なにをごねてるんですかーdespair そりゃまあ住み慣れたところから移るのはおいイヤかもしれませんが、領地は増加で収益もアップで、こいつは言ってみれば栄転ですよ。栄転」
景勝 「収入の問題じゃない・・・ あのサルの命令で動かなきゃならんというのが腹立つんだよ!」
兼続 「仕方ないじゃないですか、わしら豊臣グループの一員なんですし。会社があそこに行けと言うなら行くしかありません。サラリーマンの辛いところですよ」
景勝 「あーあー フリーできままにやれてたころはよかったよなー」
兼続 「身内で壮絶な殺しあいやったり、信長にあと一歩で滅ぼされそうになったりね」
景勝 「どうしてそんなに暗いことばっかし思い出すんだよ! ネガティブなヤツだな!」
兼続 「あんたの下で30年も働いてりゃネガティブにもなりますよ! それより引越し引越し! 早くすませないと!」
景勝 「しかし名残惜しいの~ 兼続、お主は新潟といえばどんなイメージがある?」
兼続 「・・・・殿・・・・ 本当のところは引越しをさぼりたいだけなのでは?」
景勝 「そんなことは(ちょっとしか)ないぞ! 『会津編』に移る前にいまいちど新潟県について振り返っておいたほうがいいだろ?」
兼続 「はあまあ。新潟県のイメージといえば・・・ 米と山と・・・・ 米と山と・・・・ 豪雪地帯?」
景勝 「それっぽっちしか思いつかんのか!」
兼続 「まだ他になにかありましたっけ?」
景勝 「そうだな・・・ やはり越後といえば悪商人の出身地。そしてエッチのアフター・・・・」
兼続 「その辺でやめておいてください」
景勝 「まあその線でいくと一番やばいのは越中だがな。なんせフンドシの名産地でもあるし」
兼続 「だからやめてくださいって言ってるでしょうが!! 向こうの人たちから怒られますよ! 」
景勝 「唐突ですが日本文理ナインの諸君、おつかれさまでした」

兼続 「さいわい会津は気風がガチガチにお堅いところらしいです。そこでじっくり修行してエロ気を抜いてもらうといいです」
景勝 「いやー、これは自然の本能だからな。ド○ッグを抜くようなわけにはいかんよ。というか欲求不満で暴れ出すかもしれん」
兼続 「んッとに骨の髄までムッツリスケベなんだから・・・・」
景勝 「んでこれから行く福島県にはなにがあるのさ」
兼続 「ええと・・・ 米と山と・・・ 猪苗代湖?」
景勝 「ぜんぜん変わり映えせんのう」
兼続 「そうそう、雪もけっこう降りますよ」
景勝 「降らんでええわい! ようするに俺らサルのいいように振り回されてるだけじゃねえか!」
兼続 「ま、そういわずに殿。これもあと少しの辛抱です」
景勝 「というと?」
兼続 「もうじき政権交代するらしいです
景勝 「ではもうサルの顔色をうかがわなくてもすむようになるのだな? ばんざい民○党!」
兼続 「はあ。でも状況はむしろ悪化します
景勝 「なんじゃあ! そりゃあ!」

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August 29, 2009

毎日が誕生日 イジー・バルタ 『屋根裏のポムネンカ』

090829_133722♪ぽーむぽむぽむポムネンカ まん丸目玉のお人形

本日はチェコアニメ最後の巨匠(なぜ?)イジー・バルタの24年ぶりの新作、『屋根裏のポムネンカ』をご紹介いたします。
いつのどことも知れぬ一軒の家。その屋根裏では、人から忘れ去られたオモチャたちが、独自の世界を作り上げて毎日を面白おかしく暮らしておりました。
ヒロインは気立ての良い人形のポムネンカ。彼女には仲の良い三人のナイトがおりました。スキあらば寝ようとするクマのムハ。うっかりミスが満載のマリオネット・クラソン。そしてMr.ポテトヘッドとちょっとかぶってる粘土細工のシュブルト。
ある日別の一室にある「悪の銅像」がポムネンカにいけない欲望を抱き、彼女を自分の帝国に拉致ります。三勇士たちはそれぞれ彼女を助けようと奮闘しますが、歯車がかみ合わない上に銅像の妨害もあり、救出は困難を極めます。

オモチャが主人公のお話といえば、思い出すのはピクサーの『トイ・ストーリー』。ただこちらが違うのは、オモチャたちがすでにもう捨てられた身である、ということ。だから主人のご機嫌取りに精を出さなくてもいいし、「いつか捨てられるかも・・・」という不安に怯えることもない。いたってお気楽極楽な社会でございます。
キャラたちがちょこっといびつだったり、薄汚れていたりするのも独自のテイスト。なかでも悪の銅像(時々ドーランを塗った伊武雅刀にしか見えないのがご愛嬌)などはロリコン魂全開で、この無邪気な物語に一片の毒を添えています。

わたしが予告編でまずココロ魅かれたのは、どこかレトロ感の漂うメカ描写。この屋根裏では古ぼけた小さな列車が走り、ボトルでできた飛行機が飛び、鉄でできた虫たちがヒコヒコ蠢いています。
特にボトル飛行機は状況に応じて様々な形態に姿を変え、大きな少年のメカ魂をくすぐってくれます。
そういやわたしも昔空き缶とか使って不恰好な乗り物をこしらえたことがありました。石川球太さんが書かれた「アイデア工作」みたいな本に書かれていたのかな? ウチは別にそれほど貧乏ではありませんでしたが、あまりオモチャは買ってもらえなかったので、自分でガラクタから作るしかなかったのですcrying
でもまあそれはそれでなかなか楽しく。だから大人にとってはゴミでしかないガラクタも、子供にとっては宝物だったんですよね。この映画を見ていたら、そんな昔のヘンテコな宝物のことを思い出しました。

さらに感心したのは次から次へと出てくる奔放なアイデアの数々。まず冒頭でムハたちがサイコロで誕生日を決めていたりします。誕生日というのは・・・・サイコロで決まるものなのか?
この映画にはそんな既成概念を打ち破るアイデアが数多く出てきます。普通のネコがオモチャの世界に来ると怪しげなおじさんに姿を変え、タンスからこぼれ落ちたシーツは瞬時にして濁流となり、破れたゴミ袋は怪鳥となって空を舞います。一見荒唐無稽のようでありながら、どこか懐かしいのは、やはり子供のころに夢想したことと似通っているからかもしれません。

わたしが何気に一番気に入ってしまったのは、この映画のテーマ曲。穏やかで弾むようなその調べを聞いていると、本当にこの世界のどこかにオモチャたちが永遠に楽しく暮らす屋根裏部屋があるのでは・・・ わたしをそんな空想に浸らせてくれます。そしてその家のどこかでは、今もなお魔法で作られたブラックホールが渦を巻いているに違いありません。

090731_192145ありとあらゆる廃品たちが織り成す究極のリサイクルアニメ『屋根裏のポムネンカ』は、現在ユーロスペースほかで上映中。スクリーン数は非常に微々たるものですが、お近くの町でかかったら来るべきエコ時代のために、ぜひごらんになってみてください。

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August 26, 2009

適当掲示板86&SGA屋文庫の100作

090824_102852こんばんは。SGA屋伍一でございます。当ブログに関するご意見・ご感想ございましたらこちらの方に書き込んでやってください。
今回なぜ珍しく素顔であいさつしているかとゆうと、愛用のグラサンをまた失くしてしまったからです。整理整頓はきちんとしておきましょう。

さて、毎年この時期になると各大手出版社で「○○文庫の100冊」みたいな企画をやるじゃないですか(ってもう遅いよ)。そこでわたしもやってみたくなりました。題して「SGA屋文庫の100作」。
わたしが読んで面白かった作品で、現在オンラインで比較的容易に入手できるものを基準に選びました。順番は適当(笑)
(追記:特におすすめのものは、太字にしておきました)

bookミステリー
綾辻行人 『十角館の殺人』『迷路館の殺人』『緋色の囁き』(講談社文庫)
島田荘司 『占星術殺人事件』『異邦の騎士』(講談社文庫) 『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』(光文社文庫)
歌野晶午 『死体を買う男』『ROMMY 越境者の夢』(講談社文庫) 『ブードゥー・チャイルド』(角川文庫)
法月綸太郎 『密閉教室』『頼子のために』(講談社文庫) 『一の悲劇』(祥伝社文庫)
我孫子武丸 『殺戮に至る病』(講談社文庫)
麻耶雄嵩 『翼ある闇』『夏と冬の奏鳴曲』(講談社文庫) 
京極夏彦 『姑獲鳥の夏 』(上下)『魍魎の匣』(上中下)(講談社文庫)
舞城王太郎 『煙か土か食い物』(講談社文庫)
泡坂妻夫 『乱れからくり』(創元推理文庫) 『しあわせの書〜迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術』(新潮文庫)
宮部みゆき 『魔術はささやく』(新潮文庫) 『蒲生邸事件』(文春文庫)
東野圭吾 『魔球』『変身』(講談社文庫) 
首藤瓜於 『脳男』(講談社文庫)
北村想 『怪人二十面相・伝』(全二冊)(小学館文庫)
江戸川乱歩 『孤島の鬼』(角川ホラー文庫)

コナン・ドイル 『シャーロック・ホームズの冒険』(新潮文庫)
アガサ・クリスティー 『そして誰もいなくなった』(早川文庫)
ロアルド・ダール 『あなたに似た人』(早川文庫)
アゴタ・クリストフ 『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』(早川文庫)
ロバート・ゴダード 『千尋の闇』(創元推理文庫)


book冒険・ハードボイルド・青春小説
船戸与一 『山猫の夏』(講談社文庫) 『猛き箱舟』(上下)(集英社文庫)
大沢在昌 『新宿鮫』『毒猿 新宿鮫Ⅱ』(光文社文庫)
馳星周 『不夜城』(角川文庫)
真保裕一 『ホワイトアウト』『奇跡の人』(新潮文庫)
福井晴敏 『亡国のイージス』(上下)(講談社文庫)
伊坂幸太郎 『オーデュボンの祈り』『重力ピエロ』(新潮文庫) 『アヒルと鴨のコインロッカー』(創元推理文庫) 『死神の精度』(文春文庫)
金城一紀 『GO』『レボリューションNo.3』(講談社文庫)
山田詠美 『ぼくは勉強ができない』(新潮文庫)
あさのあつこ 『バッテリー』(全6冊)(角川文庫)
芦原すなお 『青春デンデケデケデケ』(河出文庫)

ジャック・ロンドン 『白い牙』(光文社古典新訳文庫) 『荒野の呼び声』(岩波文庫)
モーリス・ルブラン 『怪盗紳士リュパン』『水晶の栓』(創元推理文庫)
ブライアン・フリーマントル 『消されかけた男』(新潮文庫)
ジェイムズ・エルロイ 『ブラック・ダリア』(文春文庫)
スティーヴン・ハンター 『極大射程』(上下)(新潮文庫) 『ダーティ・ホワイト・ボーイズ』『ブラック・ライト』(上下)(扶桑社文庫)
ドン・ウィンズロゥ 『ストリート・キッズ』(創元推理文庫) 『ボビーZの気怠く優雅な人生』(角川文庫) 


book時代・歴史小説
吉川英治 『宮本武蔵』(全八冊)『三国志』(全八冊)(講談社吉川英治歴史文庫)
司馬遼太郎 『燃えよ剣』(上下)『花神』(上中下)『項羽と劉邦』(上中下)(新潮文庫)
池波正太郎 『鬼平犯科帖(1)』(文春文庫) 『殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安』(講談社文庫)
山田風太郎 『甲賀忍法帖』『柳生忍法帖』(上下)『風来忍法帖』(講談社文庫) 『警視庁草紙』(上下)(ちくま文庫) 『魔群の通過』(広済堂文庫)
隆慶一郎 『死ぬことと見つけたり』(上下)(新潮文庫) 『花と火の帝』(上下)(講談社文庫)
浅田次郎 『蒼穹の昴』(全四冊)(講談社文庫) 『壬生義士伝』(上下)(文春文庫)
京極夏彦 『嗤う伊右衛門』(角川文庫)
畠中恵 『しゃばけ』(新潮文庫) 


book幻想・SF・ホラー
夢野久作 『ドグラ・マグラ』(上下)(角川文庫)
星新一 『ボッコちゃん』『ブランコのむこうで』(新潮文庫)
田中芳樹 『銀河英雄伝説』(全十冊)(創元推理文庫) 『夏の魔術』(講談社文庫) 『アップフェルラント物語』(光文社文庫)
中島らも 『ガダラの豚』(全三冊)(集英社文庫)
水野良 『ロードス島戦記』(全七冊)(角川スニーカー文庫)
鈴木光司 『リング』(角川ホラー文庫)
貴志祐介 『黒い家』『天使の囀り』(角川ホラー文庫)
高見広春 『バトル・ロワイアル』(上下)(幻冬社文庫)
斎藤惇夫 『冒険者たち ガンバと十五匹の仲間』(岩波少年文庫)
佐藤さとる 『誰も知らない小さな国』(講談社青い鳥文庫)

ロバート・A・ハインライン 『夏への扉』(早川文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン 『星を継ぐもの』(創元推理文庫)
スティーヴン・キング 『バトルランナー』(扶桑社文庫)
ロバート・R・マキャモン 『少年時代』(上下)(文春文庫)
ケン・グリムウッド 『リプレイ』(新潮文庫)


bookエッセイ
北杜夫 『どくとるマンボウ昆虫記』(新潮文庫)
中島らも 『こらっ』(集英社文庫)
東野圭吾 『あの頃ぼくらはアホでした』(集英社文庫) 

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ああ、くたびれた・・・・

二度とやりません

あと最近「○○感想文」で飛んでくる人がおおいけど、読書感想文は自分で書こうな!

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August 24, 2009

新たなる破滅 庵野秀明 『新劇場版ヱヴァンゲリヲン:破』 0パート

090824_110050先日二回目を見てきました『新劇場版ヱヴァンゲリヲン:破』。本日はそのベースとなっているTV版7~19話の思い出などを少々。
ついでながらAパートの記事はコチラ。Bパートの記事はコチラ。1~6話の思い出はコチラ

この『破』ですが、6話分しか扱わなかった『序』に比べると、明らかにカバーする量が増えてますよね・・・ 実に約二倍。しかしまあこの辺はトウジ関連の17~19話をのぞけば基本的に一話完結ペースなので、切りやすいところもいろいろあるというか。

まず間奏的というか番外編的な第七話。これはまあミサトさんのキャラを掘り下げるためのエピソードですね。もちろん新劇場版からはカットされましたcoldsweats01

そして冒頭部分のベースとなった8~10話。いわば「アスカ登場編」とでもいいましょうか。実はこの辺がわたしが『エヴァ』で一番盛り下がってたあたりです(笑)
やっぱり~ 自分は~ 硬派な人間(笑)なので~ あんましラブコメとか好きじゃないんですよ!(あっ でも『めぞん一刻』とかは好きです)。せっかくハードな作風に「認めてやってもいいかな」と思ってたのに、「『面白いロボットアニメを見せてやる』とか言いながら、しょせんお前らのやりたいことはキャピキャピ美少女アニメか!」とむなしい怒りを燃やしたものでした。

ただ11話はコミカルなムードは依然として残っていたものの、エヴァ三機の揃い踏みや「限られた条件の中での戦闘」という要素がなかなかに心地よく、多少は機嫌が治りました。ちなみにここも新劇場版ではカット。

そして12話。これまた絶体絶命の危機をどうやって乗り切るか、というドキドキ感。そして「初めてほめてもらったんだ・・・」というシンジ君の笑顔。「をを、序盤のムードが帰ってきた」とひとまず胸をなでおろしたのでした。あとから振り返ってみると、『エヴァ』という物語が明るかったのは本当にこの7~12話くらいで、今にしてみれば「それなりに貴重な部分だったかなあ」と思わないでもないです。

続く13話はリツコさんのキャラを掘り下げるエピソード。14話は今までの流れを振り返り、謎を再確認する総集編的な位置づけ。んで、15話はシンジと父、ミサトと加治の不器用なコミュニケーションを描いたお話。
14話の斬新な演出には関心したものの、三回続けて戦闘シーンがほとんどないのはどういうことかと。別な意味で『エヴァ』が心配になってきたりして。ただほとんど人間関係だけを描いた15話は、部分的に新劇場版でもコミック版でも使われているので、意外と重要なエピソードだったようです。

さらに16話。巨大なスーパーボールに取り込まれてしまったシンジと初号機のお話。電車の中で向かい合う幼いシンジと今のシンジ。こういった心理描写にようやく「『エヴァ』ってとんでもなくすごい作品のかも・・・」と思ったりしてcoldsweats01。というわけでわたしのベストエピソードの一つなんですが、これまた劇場版からもコミック版からもカット。ああ・・・ 不憫・・・crying
せめて桜・稲垣早季さんの迫真の演技をご覧ください。1分25秒あたりから
http://www.youtube.com/watch?v=VYUHg1BSudc&feature=related

そんで『エヴァ』のひとつのクライマックスとも言える17~19話。18話などは「嫌な話」といってしまえばそれまでですが、このインパクトというか緊迫感は、アニメ史上有数のものと言えるんではないでしょうか。わたしも「なんとか助かってほしい・・・!」と思いながら、口をあんぐりあけてブラウン管を見守っておりましたよ。大量の血で真っ赤に染まる信号機が、また衝撃的でありました。
ただ、すぐ次の回で十分にカタルシスを与えてくれているのは救いでした。ここまで展開が急だと普通はついていけなかったりするものですが、すっかりシンジ君にシンクロしていたせいか、まったく気になりませんでした。
ほとんどアニメなど見ない友人が『エヴァ』を見ていて、一番印象に残ったのがこのあたりだったそうです。そのせいか、そのあとはほとんど覚えていませんでした(笑)

090824_105823と、いうわけで順当にいくなら残りはあと七話分ですが、もう完全にテレビシリーズとは違う方向に行っちゃう気がするなあ。わたしはそれでも全然かまいませんけど。制作スタッフに言いたいことはただ一つ

「真のサービスとはお客さんをあまり待たせないことです!

以上。

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August 21, 2009

スピード1番、ガードは2番 スティーブン・ソマーズ 『G.I.ジョー』

090821_133041・・・・惨事のやぐらはエッフェル塔、ってか。
本日はちょい後発のサマームービー『G.I.ジョー』をご紹介いたします。
ストーリーはいたって簡単。ナノマシンによりあらゆるものを食い尽くす新兵器「ナノタイド」(これ、けっこうクリーンな兵器でない?)。それを利用して世界征服を企む悪の組織と、世界各国のエキスパートにより構成された秘密部隊「G.I.ジョー」の戦いを描いた作品。
対立する組織に元恋人や兄弟弟子がいたりするのが、すごい偶然であります。

「G.I.ジョー」とはもともとアメリカで作られた兵隊さんのフィギュア・シリーズ。長年に渡って人気を博し、80年代にはそれをもとにしたアニメも作られました。このアニメ、日本でも『トランスフォーマー』に続けとばかりに放映されましたが、巨大ロボの集団戦に比べると、ガキンチョの目にはイマイチ地味に映ったものでした。
そしてまた今回もTFのあとを追うように公開・・・ 配給さん! ジョーの立場のことも少しは考えてやってください!

さて、監督は5年ぶりにメガホンを取ったスティーブン・ソマーズ。この人は善玉と悪玉のチーム戦を描くのが好きですね。ほんで明らかに悪玉・悪女の方に力が入ってる(笑)
悪の組織コブラのメンバーをざっと見てみますと、白装束のイケメン忍者にメガネボインのお姉さん、肉体を変形できる変装の名人に、ガスマスクを着けたマッドサイエンティスト・・・・ どいつもこいつもインパクトありすぎです。
んで、この悪いヤツラ、ジョーたちに比べると人数的には劣勢ながら、十分互角にわたりあい、それぞれ納得のいく結末まで用意されています。だいたいこの映画、悪者に始まって悪者で終ってるし。ソマっちの悪者への偏愛ぶりがよくわかりました。わたしもクライマックスで大軍勢に攻め込まれている彼らを見ていたら、なんだか応援してあげたい気分になっちゃったしcoldsweats01

かといって善玉にまったく魅力がないかというと、そんなことはありません。わたしがなによりも魅かれたのは主役二人が装着する「加速スーツ」。正直に言うと、このスーツが目当てでこの映画を見に行ったようなものです。やはり小学校時代いつも徒競走でビリ近くだったものとしては、「人より早く動ける」というところに病的な憧れがあるのです。
その加速スーツ、期待に違わずシャカシャカピョコピョコよく動いてました。かっこいいというより、そこだけ早回しされてるようなユーモラスな動きでしたが、それはそれで面白かったです。
おしむらくはこのスーツ、中盤くらいしか出番がないということ。最初から最後までずーっと着ててくれればよかったのになあ。

また、割と個性に乏しいジョーズの中で、一人強烈にキャラ立ちしているのがレイ・パーク演じる「スネーク・アイズ」。全身黒装束に身を包んだ現代のニンジャ。顔はバイザーで隠され、いかなる時も一言も言葉を発しない(任務に支障はないのか?)。浮浪児だったところを相撲部屋のようなお寺に拾われ、そこで拳法を拾得。さらに子供時代は白人だったはずなのに、大きくなってからは黒人になってる? 謎・謎・謎の男でございます。
このスネークアイズの回想シーン、「どこだここは」と言いたくなるような日本が出てきて笑えます。最近ハリウッドの日本描写もわりかししっかりしてきたので、こういうの見るとむしろほっとするような(笑)

あと激しい追跡劇や争奪戦を繰り広げたあと、最後は敵の本拠地になぐりこみ・・・ というこの構成、007によく似ています。ちょうど007がたくさんいてチームを組んでいるような、そんな映画と言えるかもしれません。あのシリーズをほうふつとさせるような珍兵器も、次から次へと出てきますし。「最近の007はリアルになっちゃってさびしいよなー」という方にはぜひおすすめです。

090821_133128というわけでこの劇場版『G.I.ジョー』、個人的にはなかなか気に入りました。やっぱり夏にはこんなスカッとのどごしさわやかな、見終わったあと何も残らない映画がよく似合います。
ちなみに隣のイラストはアニメ版コブラコマンダーさん。動いているところは下記URLから見られます。

http://www.youtube.com/watch?v=lmrT0bCFEIY&feature=related

♪G.I.ジョー いま翼ひろげ G.I.ジョー 時を越えて飛べ

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August 17, 2009

林芙美子とは関係ありません(森光子とも) ジャック・ロンドン 『ジャック・ロンドン放浪記』

090817_121235最近なんだか伊坂幸太郎とジャック・ロンドンばかり読んでます・・・・ ひとつはまると当分の間そればっかり。わかりやすい性格ですね。
本日ご紹介するのはジャック・ロンドンが若き日に大陸をさすらった日々をつづった、『ジャック・ロンドン放浪記』。
当ブログは「物語紹介所」と一応看板を掲げてますが、この本はノンフィクション。ま、細かいことは気にしナーィ(_´Д`)ノ

まずオビに書かれた紹介文を丸々転載します。

「自分は本当は何をしたいのか、どんな男として生きるべきか? 18歳の胸には涙も絶望もない。列車の屋根の上で、刑務所のなかで、彼はただ新しい明日を信じる。でたらめを吹きまくって食い物を確保し、小遣いを稼ぐ -その時にも、誇りを失わないその姿が、いまも若者の共感を呼ぶ。」

渋いぜ・・・・ ただこの紹介文、微妙にずれてるところもあるようなcoldsweats01
まずはジャックさんという方がどんな方かを、さくっと説明いたします。
ジャック・ロンドン氏は1876年に生を受けたアメリカの作家。波乱と放浪に満ちた人生を送り、そのドライで細やかな自然描写は、いまなお多くの人々をひきつけています。代表作は『白い牙』『荒野の呼び声』『海の狼』『鉄の踵』など。
作家の中には書斎の中に座っているだけを良しとせず、自分からガンガン外に出て行って、いろんなことを経験して、そいつを小説のネタにする方々がおられます。ジャックさんはまさにそのバリバリの行動派。

ジャックさんが放浪を始めたきっかけは16歳の時、友達から数マイル離れた場所にある船を、故郷のオークランドまで運んできてほしいと頼まれたことから。その船は見つかったものの、ジャックさんは事情でなかなかオークランドに戻れなくなり、「このままぶらり旅もいいなあ」と、そのまま大陸を回ることになったのでした。
やむにやまれぬ事情があってとか、青雲の志に燃えて、というわけではなかったんですね。言ってみれば、ほんとうにただなんとなく
自分は『鉄の踵』の記事で、「作者が若いころ、世界恐慌のあおりを食って、食うや食わずの暮らしをしていた」と書きましたが、これ違いました。すいませんcoldsweats01
あとがきで訳者さんも書いておられますが、わたしたちにとって生活とは、住居を持ち、基本的にそこを拠点として日々を送るものです。しかし世の中には一箇所にとどまることを良しとせず、ひたすら旅から旅の生活を送り続ける人種もいるということです。この時代には「ホーボー」と呼ばれるそんな人々が、アメリカ各地にうじゃうじゃいたのでした。

ではホーボーの生活とは。それは主にタカリとただ乗りです
定職をもたぬ彼らにとって、衣食を得る手段といったら、それは家々を訪ねて恵んでもらうしかありません。そのコツはできるだけ家の人の同情を買うこと。ここで後に作家として名を馳せるジャックさんの才能が発揮されます。ありもしない可哀想な身の上話をこしらえて、純真で親切なおかみさんをだまくらかし、まんまとマンマをせしめるわけです。
ある程度それに成功すると、列車にただ乗りして、別の街でまたそれを繰り返します。
ただ、当時だって列車はタダではありません。走リ出す前にキップも持たずに乗ると、当然車掌からたたき出されます。そこでホーボーたちは列車が走り出すと同時に物陰から飛び乗り、車掌たちの目の届かぬところに隠れ、目的地までその場所でじっと身をちぢこめます。
ある時などは二十人ものホーボーが、同じ列車に乗り込もうと待ち構え、熾烈なサバイバル・バトルが繰り広げられたそうです。ひとり、またひとりと外へ放り出されるホーボーたち。その中にあってジャックさんは必死で知恵を巡らし、車掌たちの裏をかきつづけます。ただ乗りのためにここまで情熱を燃やし、あれこれと考え続けるジャックさんには脱帽するしかありません。実際車掌たちも最後は根負けしたそうです。

このくだりもさることながら、なんとなく警察に捕まって刑務所生活を送るはめになったり、かっぱらいを生業とする不良少年たちと行動を共にしたり、警察の手から必死で逃げ回ったり、どの章もべらぼうな面白さの輝きに満ちています。そこには青春の悩みなどほとんどなく、ただあっけらかんとした空気が漂うばかりでございます。飢えの苦しみや身も凍る寒さ、刑事や車掌たちからの攻撃に日々さらされながら、彼がここまで明るく青春を送れたのは、いったいなんでなんでしょうね~

実際この本が発表された当時、あまりの面白さに実際にホーボーになってしまう少年が数多くいたとか。時代は違えど『イントゥ・ザ・ワイルド』のクリス君もそんな少年の一人だったんではないかと。

090817_121358そんな『ジャック・ロンドン放浪記』。日本では小学館より「地球人ライブラリー」というシリーズで、1995年に発表されました。で、現在アマゾンやセブン・アンド・ワイなどのオンライン書店にて、まだ普通に流通しているようです。
この夏(といってももう半月・・・)、かつて広大なアメリカ大陸を走っていた蒸気機関車と、それに乗って旅を続けていた若者たちに思いを馳せてみるのはいかがでしょう。

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August 14, 2009

ド田舎 夏の陣 細田守 『サマーウォーズ』

090814_175301『式をとける少年』というのも考えました・・・・

都内の高校に通う平凡な草食系男子・碇ケンジは、長い間音信不通だった父から、長野県の山奥に呼び出される。そこで彼は世界が謎の存在による攻撃を受け、破滅の危機に瀕していることを知らされる。
「アバ(ター)を操って敵と戦え。それがお前の使命だ」
あまりにも突然の命令に、動揺するケンジ。だが他のアバの操縦者たちと心を通わせていくうちに、ケンジの中で次第に前向きな気持ちが生まれていく・・・

はい、すいません。ほぼ全部ウソです。
本当のあらすじはこちら
http://s-wars.jp/movie/movie03.html

長野県のど田舎で世界の破滅を阻止しようとする・・・というとこだけ本当でした。

アニメ版『時をかける少女』で一躍脚光を浴びた細田守氏の最新作。前作で「いやー、細田さんって純愛ものとか、お好きだったんですねheart04」と言われまくった氏は、「わしゃそんなんとちゃうわー!! 今度は男汁たぎる熱血バトルもんをつくっちゃるわー!!」と燃えまくったそうですが、今回も純情丸出しだったじゃないですか!! このピュアピュアボーイが!!

・・・ま、それはともかく細田さんってやっぱりうまいですね。
物語に溢れんばかりの躍動感があり、それでいてきちんと整合性がとれていて。深いテーマもあるけれど、決して押し付けがましくはなく。そして十分に観客を喜ばせ、感動させ、なにより自分も楽しんで作っている・・・というのが手に取るようにわかります。
こうした「うまさ」や、日本の懐かしい風景を素材に用いている点では、やはり東映動画の雄である原恵一氏にも通ずるものがあります。
他の作家がやったら否定的、あるいは病的になりそうなテーマを、細田氏は実にのびのびと語ります。事件の原因となるネットワークシステムの危険性について触れながら、それらを糾弾したりはしません。なぜならネットワークというものは、「だれかとつながっていたい」という人の自然な欲求により生み出されたものなのだから。
すでにできてしまったものは仕方がない。でもそれに溺れてしまって、忘れちゃいけないのはどんなことなのか・・・・ この映画では、その問いに幾つかの答えを与えています。
わたしはガイナ系の八方破れの作品も、○野・宮○ら御大の説教くさい作品も好きですけど、細田・原氏の作品はそれらに比べると明らかに大人だなあ、という気がします。
その資質は恐らく両氏がアニメファンの注目を浴びない、いわゆる「児童向け」の作品を長い間手がけてきたことにより培われたものと思われます。

その「うまさ」はもちろんキャラクター造形の面にも現れています。特にこのアニメで印象的なのが、大家族を取りまとめる約90歳の陣内栄さん。日本アニメ史上、これほどまでに魅力あるばあさんがほかにいたでしょうか?
その暖かく力強い人柄は、正直メインのヒロインを食ってしまうほどした。ああ・・・ 栄さん・・・・ あと70年早く出会うことができたならば・・・・ ってそのころまだ、わたし生まれてないですけどねcoldsweats01

ココから先、ネタバレ領域に突入します。未見の方はご避難されてください

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考えようによっては問題が起きた原因のひとつは、栄さんの養子へのフォロー不足にあったと言うこともできるわけです。でもひねた子をきちんと改心させたのも、主人公にやる気を起こさせたのも、家族をまとめて事件を収束にむかわせたのも、みんな栄ばあさんの人柄と力ゆえ。すべてが栄さんの手のひらで回っているような、そんな印象さえ受けます。
恥ずかしながらわたくしこの映画で二度ほど号泣してしまったのですがcoldsweats01、その一つは家族の前で栄さんの○○が読み上げられるところでした。
涙をボロボロこぼしながら、「こんなエッセイみたいなこと、普通○○に書くかなあ」とも思いました。でもよくよく考えてみると、あれも「こう書いとけばみんな侘助をかわいそうがって、許してあげるだろう」というばあさんの計算なのかもしれません。まったく恐ろしいばあさまでございます。

どこにでもいそうな陣内家の人々の書き分けも、大変おみごと。普通ならみんなそれぞれにいい見せ場がありそうなもんですが、本当にただケンジの足をひっぱるだけの人もいます。そんなところがまことにリアル(笑)
ちなみにわたしも父が4人兄弟、母が5人兄弟だったため、この時期はよく家に人が集まったり、母方の実家へ行ったりしたものでした。当然のようにたくさんの人がいて、その道で成功した人もいれば、ちょっと危なっかしい人もいて。一族といえど立場も性格もてんでバラバラです。
そんな大勢の中で夏の日をすごすのは大変楽しく。いま思えばあれは一つの財産だったのだなあ・・・と思います。

090814_175321おそらく今シネコンでかかっている中では、一番意欲的で一番個性的で、一番よくまとまっている映画。劇場のカウンターまで行って何を見ようか迷った時には、ぜひこちらをごらんください。

そうそう、『時かけ』でヒロインを演じられた仲里衣沙さん。こちらでは実に意外な役を演じておられます。そういうところもうまいよな~(笑)

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August 12, 2009

パンタスティック・サマー

すいませんが、この辺先に読んどいていただけると助かります・・・・


そのいち バンドじゃあるまいし

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 し
 な
 き
 ゃ
 困
 る


そのに 突然ですが問題です。次の三つのうち、スイカ割りに使う道具を選んでください

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 sun
 
 wave

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そのさん 続・衝撃の告白

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 secret

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そのよん 日本の夏、金鳥の夏

090812_183149090812_183206090812_183223090812_183243 む
 し
 ろ
 物
 体
 X
 か


そのご ペンギンの問題:遥かなる南極

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 penguin

 penguin

 penguin

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そのろく シカン展開催中

090812_183448090812_183516 次
 
 回
 
 未
 
 定
 


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August 10, 2009

長いお祭り ジェフ・ローブ ティム・セール 『バットマン:ロング・ハロウィーン』

090810_122854そういえば昨年のいまごろは、映画ファンの間では『ダークナイト』祭り状態でありましたねえ。
それなのに出版の方は相変わらず何の反応もなく、「こんなもんさ」と諦めておりましたが、今年の春になって突然(なぜ!?)ヴィレッジ・ブックスさんがやってくれました!
バットマン90年代最大の名作と言われる『ロング・ハロウィーン』、堂々の日本登場です。

バットマンが活動を始めて二年目。ゴッサム・シティを牛耳る暗黒街の帝王カーマイン“ローマン”ファルコーネは、甥のために盛大な結婚パーティーを開いていた。少し前、バットマンに煮え湯を飲まされた憂さを晴らすかのように。
だがそれから二ヵ月後、ローマンの甥のジョニーが、何者かにより殺害される事件が起きる。現場にはハロウィンを祝うかのように、カボチャのランタンが置かれていた。
以後、それを皮切りに祝祭日ごとに一人、また一人と消されていくファルコーネの一族。人々は謎の暗殺者を「ホリデイ」と名づける。ローマンは怒り狂うが、ホリデイの正体は杳としてつかめない。
法を重んじるバットマンとゴードン警部補もまた、ホリデイ逮捕に全力を傾けていた。だがマフィアを憎む新進の検事ハービー・デントは、いつしか自分が胸の内で、ホリデイの犯行にエールを送っていることに気づき始める・・・・


いやあ、これ、子供が読んでも全然面白くないよ(笑)。たぶん。
それなりにバットマンの格闘シーンもあるものの、この作品の主眼は「ホリデイは誰か」という謎解きと、ファルコーネ一族の黄昏、そして善と狂気の境界を描くところにあります。

まずホリデイ。アメコミの悪者といえば、大抵は奇妙奇天烈な格好をして、堂々と見栄を切るものですが、このホリデイ、なんと手しか出てこない。バットマンのみならず、アメコミ全てにおいて極めて特異なヴィランであります。
どうやら作中の誰かがホリデイに化けているようなのですが、ローブ&セールのつつみくらますような語り口のため、どいつもこいつも怪しく見えてなりません。その候補者はざっと十名というところでしょうか。
しかし作者は一応フェアを意識して、読者が犯人を見抜くためのヒントをあちこちに残しているようです。日本語版の解説書にはコマごとにそのヒントを指摘してあったりして、訳者の方の苦労がしのばれました。

また、このコミックは紙の上に描かれた上質のフィルム・ノワールでもあります。ホリデイのターゲットとなるファルコーネ家。この一族は実はフランク・ミラーの手がけた『イヤーワン』にて登場しているのですが、その後約十年、存在を忘れられていました(笑)
そこへDCコミックスの編集者アーチー・グッドウィンが「そういえばあの連中はその後どうなったんだろう?」と気づいたことから、この作品の骨子が決まったようです。
冒頭で盛大な結婚パーティーを開いていることからわかるように、ファルコーネ家のモデルが『ゴッド・ファーザー』のコルレオーネ・ファミリーであることは一目瞭然。ほかにも『ゴッド・ファーザー』に捧げたオマージュらしき描写が随所にあります。
己の権威を守るためなら、どんな相手だろうと情け容赦なく血祭りにあげていくローマン。そんな彼でさえかけがえのない家族を失った時には、どこにでもいる平凡な父親のように墓の前で泣き崩れます。時には悪魔のようであり、しかし我々と同じ感情も持っている。そんな「悪党」の描き方には、池波正太郎の小説に出てくる凶状持ちたちが思い出されます。

そしてアメコミにおいて何度となく問われてきた「正義とは何か」というテーマ。ファルコーネ一族は世間的にいえばまぎれもない「悪」であります。何度官憲の手に引き渡されても、その都度法の網をくぐりぬけて白日の下を歩いている。では法を超えた手段でもって葬るしかないのか?
それに異をとなえるのが我らがバットマン。その考えに魅入られていくのがハービー・デント。
まるでどこかの映画みたいじゃないですか(笑)。
実際序盤、バットシグナルを囲んでバッツ・ゴードン・デントが語りあうシーンなどは、まんま同じシーンが『ダーク○イト』にもありました。『ダ○クナイト』原案を担当したデビッド・S・ゴイヤーなどは「この映画が公開されたら、僕が一番『ロング・ハロウィーン』の影響を受けているってバレちゃうだろうな」とまで言っています。この正直者!
というわけで、『ダークナ○ト』の源流に何があったのか知りたい方には、ぜひともおすすめいたします。何度も同じことを書いていて恐縮ですが、あの作品は決して突然変異の鬼っ子のようにして出来たものではないのです。戦前から続くアメコミ60年の歴史の積み重ねがあって、当然のようにして生まれたものなのであります。

090810_123010ただこの『ロング・ハロウィーン』、先も述べたように『イヤーワン』の後日談という体裁を取っているため、できたら先にそちらを読んでおいたほうが良いでしょう。『ロング~』は二分冊なので、三冊合わせると福沢諭吉さんが一名ほぼ消滅してしまうという恐ろしい額になります。
しかし作品の質のことを考えれば、決して高くはない! むしろ安い!

絶版になる前に! そしてヤフオクでべらぼうな値段が付く前に! ぜひご購入を!

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August 06, 2009

発明と転職の20年 ニック・パーク 『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』

20060424162837♪パンパカパンパカパパ~ン パカパカ~パカパカ~!!

すいません! 今日はいつもよりはしゃいでます! クレイアニメの最高峰『ウォレスとグルミット』最新作、『ベーカリー街の悪夢』、紹介しちゃうぜウヒョ~!!ヽ(´▽`)/

ロンドンでも指折りのパン屋さんたちが集まるベーカリー街。そこに我らが発明王ウォレスと、忠犬グルミットの姿もあった。たしか前作ではウサギ駆除、前々作では窓拭き業をやっていたはずだが・・・ どうも一つの仕事が長く続かない性分のようです。
街には恐ろしいニュースがありました。なんと次々と何者かの手によってパン屋たちが殺害されているという。恐怖に怯えながらも「考えてみりゃ商売敵が減ってラッキーだ」と、 ウォレスさんいきなり問題発言。
ま、そんな感じで商売を続けるW&G。ある日ウォレスはパンのCMで有名な松たか子・・・ではなく、パイエラという女優と知り合います。いつものように速攻で恋に落ちるウォレス。前にいい感じだった資産家のマダムはどうしたんだ!? どうやら飽きが早いのは仕事だけではないよう。
二人の仲は急速に深まり、ついには婚約を取り交わすまでに。ウォレスもいよいよ寅さん卒業か!? しかしグルミットは気づいてしまったのでした。その幸せの背後に、例の殺人鬼の影がしのびよっていることに・・・・
ひいいいいいいいい!!shockshockshock

えー、今回のウォ・グル、前作までとは少々毛色が違ってまして。なんと作中で殺人が起きてしまうという。これまで一滴の血も流れなかったウォ・グルがいったいなぜ? アードマン・アニメーションにいったい何が起きているのか!? 
恐怖はそれだけにとどまらず、なんと○○が○○に○○られてしまうシーンさえあります。親御さんのみなさんは、よく考えられてからお子さんと一緒にご覧になってください!
ま、わたしゃ別に全然かまいませんけど。

ほかの特色といえば、今回はヒッチコック風味のサスペンス仕立てになっているということ。一時の油断も死につながりかねない緊張感が、絶えずスクリーンにみなぎっています(本当か?)
あと表題ともなってるパンbread。いやー、パンを使ってあんなことやこんなことまで出来てしまうんですね。伊東家の食卓も真っ青の裏ワザが連発されます。そんなんありえねーだろというツッコミはそっと胸にしまってください。
いつものオートメーション・メカ描写も、パンをからめたものとなっております。クライマックスにはなんと○○○○○○のあのメカも登場! 乞うご期待!

さて、今年は『ウォレスとグルミット』のシリーズ20周年を記念して、第一作から第三作までが特別同時上映となっております。その辺についてもさらっと書いてみましょう。

☆『チーズ・ホリデー』
好物のチーズが切れたことに気づいたウォレス氏は、チーズで出来ていると言われる月へ行くことにします。ロケットを飛ばしたその先には、コインで動く奇妙なロボットがいて・・・・
ひたすら脈絡のない、シュールなストーリーが展開されます。それがまた独特な味わいになっていたりして。十年以上前に見たときは「なんか地味だな」と思ったものでしたが、今回スクリーンで見たらなかなか面白かった。特に広大なチーズの平野のヴィジュアルは印象深いです。

☆『ペンギンに気をつけろ!』
家計が逼迫し始めたウォレス家は、間借り人を募集することにします。やってきたのは一羽のペンギン。一応礼儀正しいものの、このペンギン、なにか怪しい・・・
シリーズ中一番好きなのはこの作品かも。ペンギン・自動ズボン・汽車のオモチャ・巻尺のエレベーター・手袋の変装・グルミットの黄色いレインコート・クライマックスの一大アクション・そして「きゅぽっ」
すべてがいとおしい。レンタルでシリーズのどれを借りようか迷ったら、まずこちらをご覧ください。

☆『危機一髪!』
窓拭き業を始めたウォレスとグルミット。そのころ街では羊が大量に誘拐されるという事件が起きていた。そんな折、ウォレス家に一匹の迷子の羊がやってくる・・・
この作品は目玉は羊です。ドサドサ転がりまわったかと思えば、華麗なチームワークを見せてくれたり。羊好きにはたまりません。この羊のキャラが人気が出て『ひつじのショーン』というスピンオフまで制作されました。メカ描写では窓拭き用のサイドカーが、びっくり仰天のギミック&アクションで楽しませてくれます。

二十年の流れをざざーっと見てみると、一人と一匹の造形に微妙な違いがあることがわかって感慨深いですね。六年かかったという『チーズホリデー』なんか一作品の中だけでもちょこちょこ変わってるし(笑)

20071117174255シリーズにはこのほかに長編『野菜畑で大ピンチ!』と1,2分程度の作品が十本収められた『おすすめ生活』があります。それらも大変おすすめ。
なんつーか、わたしにとっては「あるだけでありがたい」、そんなシリーズであります。

♪パンパカパンパカパパーン

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August 04, 2009

愛という字のもとに ~大河ドラマ『天地人』より⑨ 「サルでもできる天下統一」の巻 

景勝 「上杉景勝じゃ!」
兼続 「直江兼続です」
景勝 「突然だが兼続! わしゃ納得がいかーん!!」
兼続 「はあ・・・ なにが?」
景勝 「わしらのトップにいるのが"猿”だということがじゃ! 考えてもみよ! なぜ万物の霊長たる我々が、進化の点ではるかに遅れを取るサルに従わねばならないのか!」
兼続 「いやー、こういうことって、そう珍しくもないかもですよ。吉田茂氏なんか『猿のコレクションなら国会に行けばいくらでも見られる』っておっしゃってたそうですし。いまのフランスの大統領だって、ねえ。だいたい人と猿は9割以上の遺伝子が共通してるらしいですよ。そう目くじら立てることもないんじゃないですか?」
景勝 「お主・・・ やけにあのモンキーの方をもつではないか!」
兼続 「実はわたし『IWGP』でのあだ名が『サル』だったもんですから。あの方にはなんだかシンパシー感じるのでございますよ。モキモキ♪」
景勝 「なんだ、その最後のサルっぽいしゃべりかたは・・・・ お前もしやすでに!」
兼続 「お察しの通りです、殿・・・ それがし既に猿インフルエンザに犯されているのです。やがて完全なサルになるのも時間の問題なのです。モキ!」
景勝 「猿インフルって・・・ そんなんいつ出てきたんだ!」
兼続 「ふふふ・・・殿。『桃太郎』を思い出してください。鳥、ブタと来たら次は猿にきまってるじゃないですか」
景勝 「ああ、なるほど。っていっこ違うだろが!
兼続 「ウキャキャ。ひっかかりませんでしたか。しょせんサルの浅知恵でございました♪モッキー」
景勝 「・・・・・・」
兼続 「まあそれはともかく、確かにいまの日本は猿に支配されてる猿の惑星・・・ いや、猿の王国と言っても過言ではありません。しかもあの方はなおも領土を広げるつもりのようです」
景勝 「例の朝鮮出兵のことか?」
兼続 「そうです。やがては世界全土を手中に収め、全人類を総サル化してしまうのが目標のようです。サルの性欲には限りがありませんからな」
景勝 「性欲じゃなくて征服欲な。しかしそうすると・・・ もしかしてあやつの正体は、宇宙猿人ゴリ?
兼続 「♪うちゅーうえんじん ごーりなーのーだー♪」
景勝 「大変だ! スペクトルマンを呼ばなければ!」
兼続 「いやー あの方ももう相当なお年かと。そういえば徳川殿は独自の対策を取っておられるようですよ」
景勝 「タヌキの仲間にでも応援を頼んでいるのか?」
兼続 「いえ。目には目を、サルにはサルを、ということで、全国より腕利きのサルたちを、栃木のある村に集めて訓練しているそうです。その名も『日光猿軍団』
景勝 「gawk・・・・それ、なんかすごく弱そうだな」
兼続 「リーダーは噂に聞こえた武人だそうですよ。たしかチンパンジーだったか千葉○一だったか」
景勝 「お前それ、ファンに聞かれたらブッ殺されるぞ」
兼続 「・・・ま、確かにどこまで期待できるかはわかりませんね。子供やお年寄りには大人気のようですが」
景勝 「そうか・・・・ 大体事情はわかった。では兼続、われら上杉はどう動いたらよいのじゃ!」
兼続 「決まっておりまする、殿。これからも『愛shine』の力をもって戦い続けるのみでございます!」
景勝 「それはつまり・・・ 人間と動物の分け隔てなく、ということだな?」
兼続 「その通りですけど・・・ 殿が言うとなんか卑猥に聞こえるのはなぜ?」
景勝 「なにを言う! そりゃ確かに少々興味がないでもないが!」
兼続 「あの、そういうの、ホントにシャレにならないのでやめてくれませんか!? もっとこう、マジメに愛について考えてくださいよ! ウキー!!」
景勝 「愛か・・・・」
兼続 「愛です!」
景勝 「♪あーいあい」
兼続 「♪あーいあい」
景勝 「♪おさーるさーんだよーん
兼続 「上杉家の未来も、そう長くはないな・・・・」
景勝 「お前だってノッてたじゃねえか!」
20060425172949

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August 02, 2009

怪物総進撃 ロブ・レターマン 『モンスターVSエイリアン』

090802_185318日の下で語られることの、すべてが真実とは限らないー

アメリカの歴史にあって、あまりにおぞましすぎるゆえに、その存在をひたかくしにされてきた異形の者たち。彼らの名は「モンスター」。突如として飛来した謎の隕石の力により、15メートルにも巨大化してしまったスーザンも、望まずしてその一員となった。本来なら政府の庇護のもと、一生を飼い殺しで終えるはずだった彼らだったが、隕石を追ってやってきた宇宙よりの侵略者が、怪物たちの運命を大きく変えることに。
核兵器を使うことをためらうアメリカ政府は、モンスターらに命を賭してエイリアンを撃退することを命じる。スーザンたちは、その過酷なミッションを見事果たすことができるだろうか?


・・・・・。おっと。うっかりかっこよく紹介してしまったな。これまでにも『シュレック』や『カンフーパンダ』などでヒットを飛ばしてきた、ドリームワークスのCGアニメ最新作。
実はわたし、ドリワーさんのCGアニメにはそれほど心魅かれたことはなくて。なんかピクサーに比べると、「とりあえず動物に変わったことでもさせときゃいいだろ」みたいな発想が多いんですよね。
でもしかし、今回そのタイトルを聞いたときにはさすがにあっけに取られましたよ・・・・

モンスターVSエイリアン・・・・

モンスターVSエイリアンですよ!!

もー、このタイトルだけで及第点あげるよ、って感じですね。バカ映画好きとしては。ゴジラとエイリアンって果たしてどっちが強いんだろう・・・ しょうねんじだいのときめきがふたたびむねによみがえりますよね(棒読みで)

ではそんな華麗な面々を紹介いたしましょう。まずヒロインのスーザン。そこそこ可愛く、まあまあがんばってました。おしまい。そうそう、ベッキーは吹替え上手でしたよ。
次いで怪物たちの頭脳とも言えるコックローチ博士。禁断の実験の結果ゴキブリと融合してしまったという喜劇の科学者。そのあまりにも『ザ・フライ』な出自には大爆笑ですが、デザイン的にもちっとなんとかならなかったのかな・・・・ 思ったんですけど、怪物に表情はいりませんね。アクションだけで勝負してほしいものです。

さらに加えて半魚人がモデルらしきミッシング・リンク。アマゾンではなくビーチでギャルたちを追っかけてたところなどは、キャメロン幻の名作『殺人魚フライング・キラー』を思い出させます。
そしてモンスターチームの目玉ともいえる不定形生物ボブ。変幻自在に形を変えて器用なところを見せてくれます。誕生の経緯などは、なんとなく『妖怪人間べム』みたい。
この二匹はミッションでほとんど役に立ってません。ただお笑いを取ることだけに専念しています。マジメな映画だったら予算の無駄でしかありませんが、コメディでは極めて重要な存在です。

んで、わたしがもっとも萌えたのが体長100メートルにも及ぶ大怪獣ムシザウルス。目の焦点があっていないところがたまらなく可愛いですspa
また、ヱイリアンが繰り出すどでかいポットみたいなロボットも、とてもキュートです。なんか言いたげなんだけど、しゃべる機能がついていないため何も言えないところが大変おくゆかしい。
この二体は楕円を基調としてデザインされているせいか、なんだか見ていてほのぼのとした安心感を抱かせます。人を怖がらせなきゃいけないモンスターが、安心感を与えてどーすんだ、という気はしますが。

この二体が橋を挟んで相対するところが個人的に一番興奮したあたり。なぜ!? どうしてこんなにもかわいいあなたたちが戦い合わねばならないの!? 
わりかしどうでもいい(あっ)スーザンも建物の上から上を飛び歩いて、縦横無尽の活躍を見せてくれます。

以下、ぼちぼち本バレ。未見の方は避難してください。

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そんな風に中盤はすごく盛り上がった気がしたんですが、親玉のエイリアンが登場して以降は、あまりにも定番というか、よくある展開になってしまったような。ついこないだ、『スタートレック』を見たばっかしだったせいもあるかもしれません。このしっちゃかめっちゃかな連中なら、もっともっと話を面白くできたような気もするんだけどなー

これは推測ですけど、ドリームワークスの制作スケジュールというのは、わりかしタイトなものなんじゃないかな、と。お話をさらに練り上げたくても、いいアイデアが浮かぶ前にタイムアップとなってしまうのでは。
その点ピクサーなどはアイデアを考えていて、行き詰ってしまうと、いい案が出るまでそれこそ何年も何年も寝かしておくそうです。あの百発百中の実績には、そういう制作スタイルが大きく寄与しているのですね。もっとも、そんなのんびりした作り方が許されるのは、ピクサーくらいのものなのかもしれませんが・・・・

あとこんな風に思うのはわたしが映画オタクであるからであって、本来の観客層である子供たちが喜べばそれでいいのです。実際後半だって飛びぬけてはいないけど、普通に面白いし。正直に言うと、モンスターたちが死を覚悟した際、「お前たちとここまで来れて誇りに思うよ」「オレもだ」「じゃあまた明日ね!」と語るシーンには不覚にも目頭が熱くなりました。

最初に出てくるロゴマークをいじったギャグも、ドリームワークスならでは。ディズニー系ではちょっとできないと思います。

090802_185441『グレンラガン』『エウレカセブン』『ターミネーター4』『トランスフォーマー』『エヴァンゲリオン』そして本作と続いて来た今年のロボット祭りも、これにていよいよ終了ですかね・・・・ ちょっとさびしい。

でも忘れないで! あなたの心の中に、いつもロボはいるのです!


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