知ってたつもり!? アレックス・プロヤス 『ノウィング』
時は現代まっただ中。50年前のタイムカプセルの中から出てきた、数字がびっしりと書かれた奇妙な一枚の紙。それをたまたま手にすることになった天文学者のジョンは、数字にある規則性があることに気づく。それはこれまでに起きた大惨事を予告するものだった。そしてその表には、まだ起きていない惨事が三つ予告されていた・・・・・
毎年毎年本当によく作られるディザスター・ムービー。地球が破滅の危機に直面するのも、なんだか夏冬の恒例行事となってきた感があります。この映画も予告を見たときは新味が感じられず、スルーしよっかなーなんて考えていたのですが、ネットでの評判を見ると見事に賛否両論まっぷたつで、なんかこう・・・香ばしいじゃないですか!
そんなわけで張り切って見に行くことにしました 節操? ありませんよ! そんなものは!
で、実際に鑑賞してみたところ、人によって意見が分かれるのが大変よくわかりました(笑) いいところと悪いところが均等に混ざり合っているような、そんな感じ。
いいところからあげていきましょうか。まず全体からみればわずかでありますが、非常に気合の入った映像が幾つかあります。またストーリー運びがうまい。次にはなにが起きるんだ?と観客をハラハラさせてくれます。
そしていわゆる衝撃の結末。
こっから先はラストまでばらしちゃうので、未見の方は避難されてください。
ディザスター・ムービーって危機感をあおるだけあおって、「結局大丈夫でした」というものがほとんどじゃないですか。プロ安監督はそういうパターンを裏切りたかったのではないでしょうか。ただ、反対派が怒ってるのはこのラストにあるのかも。みんなディザスター・ムービーに期待してるのは意外性よりも、予定調和ですからね。
あと日本人って「宇○人」に拒否反応を示す人も多い気がします。
いつの間にか「悪いところ」へ話がシフトしてしまいました。このまま行っちゃいましょう。わたしがこの映画で一番ぽか~んとしてしまったのは、「あの数字表、結局何の意味があったんだ!?」ということでした。
できるだけ好意的に解釈しましょう。あの予言は宇○人がわざわざ子供たちに知らせたものではなく、敏感な子供たちがたまたま宇○人の思念をラジオの電波の如くキャッチしてしまったものではないかと。んで、そういう子供たちってのは人類の中でも宇○人たちに比較的近しい存在であるゆえ、必然的に再スタートのための要員として選ばれることになったんではないかと。
じゃあ宇○人たちはなぜ次から次へと惨事を引き起こし続けてきたのか? ああいう災害を起こすことで、人類が「我々は間違っていた」と反省するのを待っていたのでしょうか? しかし地球滅亡の前に列車事故を起こしたところで、全人類が反省するわきゃないですよね。メッセージってのはもっとわかりやすくなきゃダメです。
あるいは、あれらの惨事は宇○人が起こしたものではなく、単にこれから起きることを超能力で予知していただけなのか。しかしなんのためにそんなことを? ・・・・振り出しに戻りました。結局「宇○人の考えることはよくわからん」ということで逃げるしかないようです。
そんな苦しいところもありますが、それでもこの映画はわたしたちにしばし思索にふける材料を与えてくれます。
それはわたしたちが今いるこの環境が、非常に緻密なバランスの上に成り立っている、ということです。太陽が軽くくしゃみをしただけで、人類ウン千年の歴史が「あっ」という間に消滅してしまうほどに。
例えば映画でも言及されていた太陽と地球の距離。わずか半径一個分ずれただけで、地球全体が赤道直下になってしまったり、北極南極になってしまったりするわけです。
さらには太陽に面しての地軸の傾き。この傾きなくして四季は訪れません。そのほかにも地球の大きさや水の特異性や空気の中の気体の混合率とか・・・・etcetc。それらのどれか一つが欠けただけでも、この多様性に富んだ環境はうまれなかったことでしょう。それらのことを考えると、「誰かがもともとそのように調節したのだ」と結論する人が多いのもうなずけます。実際日本人以外の多くの民族はそんな風に考えています。
一方で「宇宙にはこんだけ多くの星があるんだから、そういう星がたまたまあってもおかしくない」と考える人もいます。要は星の数と確率の小数点の桁数とどちらが多いか、という問題ですね。
ともあれ、わたしたちが今いるところが、全宇宙の中でも極めて特殊な位地である、ということは確かです。
難点も幾つかあるものの、監督の「これまでと違うものが作りたい」という姿勢は評価したい映画でした。
思いっきり焼け焦げてた人類&地球ですが、年末にはまた新しい危機に直面するみたいです。ローランド・エメリッヒ監督の『2012』がそれ。こんなあらすじのようです。「古代マヤ人は2012年に人類が滅亡すると予言していた・・・・」
あれ? なんかどっかで聞いたような・・・・
Comments
み~ん。。。おひさしぶりでございます。セミです。いつぞや命を助けていただいた。。。み~ん。。。
ぜんぜん観てない映画のはなしがつづくから、入っていけなくて、、、
もちろんこの映画も観てませんから、なにも書くことがないのですが。。。かわりといってはなんですが、すがっちのブログの、フォントの色を大絶賛しようと思います。 いや~、目に優しいなぁ!! すっごい読みやすいよ!! すがっちのブログのフォントの色、サイコー!!
ところで、きのう、熱海、花火だった? 聴こえた? (いつもの幻聴)。。。
Posted by: ウラヤマアンド24時 | July 27, 2009 11:42 PM
>ウラヤマアンド24時さんさま
おはようごぜえます。コメントありがとうごぜえます
律儀にこちらにコメント返しされなくてもよいのですよ。絡みたいときだけ絡んでくれれば
・・・でもこういう本記事と全然関係ないコメントも大歓迎です。いったいどっちなのよ!? 自分で自分がわからない!!
恥を承知で申し上げますと、自分、フォントってなんなのかふぉんとうに知らなくって・・・ 検索すればわかるんだろうけどそれすらめんどくさくって・・・
ご指摘の通り日曜は花火でしたよ。わたしは『天地人』見ながらパソコンに書き込みしてたけど
実は隅田川の花火も見に行ったんだけど、花火見ないで飲んでばかりいました・・・・
Posted by: SGA屋伍一 | July 28, 2009 07:27 AM
SGAさんこんばんわ♪TB&コメント有難うございました♪
こういうディザスター系のお決まりはメジャーモノや未公開モノほぼ共通して『迫力の映像』と『最終的に人類は救われた』みたいなオチで固まっていると思いますし、自分もやはりオチは『救い』を想像してただけに変な肩透かしをくらった気分でしたw
数字の羅列表にしても映画として面白く見せるためには必要な要素だったんでしょうけど、クイズやってんじゃないんですからもうちょっと分かり易い電波を送っても良かったのに・・・。宇宙人も景勝みたいに超無口だから、意味も分からずストーキングされてブチキれるジョンの気持ちも分かりますw
>2012
3年後に控えてるためか、テレビ番組でも予言スペシャルとか世界の終末スペシャルとか謳って放映するのが増えてきた気がします。
でも個人的には平成仮面ライダーを20年記まで見たいので、ノストラダムスと同じく空振ってほしいものです。
Posted by: メビウス | July 28, 2009 10:46 PM
伍一さん、こんばんは☆
>難点も幾つかあるものの、監督の「これまでと違うものが作りたい」という姿勢は評価したい映画
同感です、まあいろいろいいたいことはあれど
いいんです、ニコちゃんだから
もっとヘンなウィッカーマン(昔のカルト映画のリメイク)とか最近の「レイン」のリメイクとかニコ作品もっとダメなのあるし(笑)
この映画、後半失速しちゃったけど。
それにしても地球絶滅のテーマの映画は尽きませんねー。
Posted by: mig | July 28, 2009 11:38 PM
>メビウスさま
おはよっす。お返しありがとうございます
まー、なかなか難しいもんですよね。意外性を持たせつつ観客を満足させるというのは
ヒーローもので最後に敵側が勝って高笑い、なんてオチにしたら、映画館で暴動が起きると思いますし(笑)
みんな定番の展開、定番の結末を望んでいるという点では、ディザスター・ムービーって『寅さん』に近いところがあるかもしれません
数字の羅列表は手に渡ったのがたまたまジョンさんだったからわかったようなもんですよね。宇宙人が無口なのは・・・連中がすんごい恥ずかしがり屋さんだからですよ、きっと
で、今度の終末期は2012年なんですか・・・ 1999に比べると数字的にインパクトが弱いですね
自分は現段階で愛読してるマンガで、三年くらいじゃまだまだ終りそうにないのがいっぱいあるので、それらが終ってから終末が来
て欲しいですね
『ベルセ○ク』とか『風○児たち』とか『ファイ○スター物語』とか・・・
Posted by: SGA屋伍一 | July 29, 2009 07:22 AM
>migさん
おはよっす。お返しありがとうございます
このプロヤスさんという方、おさまりの悪いところはあるんだけど、語り口のうまさとかヴィジュアルセンスとか、なかなかいいものもってると思うんですよね。評判になった『ダークシティ』はまだ見てないんですけど
ニコちゃん映画見るのも久しぶりでした。『ゴーストライダー』以来かな? 去年は『NEXT』とか見てみようかな、とちらっと思ったのですが、みなさんあまりに怒っているのでやめました
>それにしても地球絶滅のテーマの映画は尽きませんねー。
実際いま地球大変ですからね・・・・ こういうの見てみんなエコに気をつけてくれればいいんだけど、あんまし効果ないような。自分も含めて(爆)
Posted by: SGA屋伍一 | July 29, 2009 07:28 AM
こんにちは~♪
もっと言っちゃうと、、、今年観た映画の中でかなり上位かも・・・
ホント賛否両論真っ二つですよね、この映画。
ブロガーさんの評判は否の方が多いかな?
私は賛でした
>気合の入った映像が幾つかあります。またストーリー運びがうまい。次にはなにが起きるんだ?と観客をハラハラさせてくれます。
そしていわゆる衝撃の結末。
この流れが好きだったんです~~~
でね、衝撃のラストも、一瞬引いたんだけど、、、宇○人を神と考えたら、、、スンナリ受け入れられちゃった
いつもなら、声を大にして「何なんだ~この結末!」って叫びそうですが(笑)、どうして気に入ったのか・・・自分でもよく分かりませ~ん。
『2012』も面白そう・・・予言には惹かれるのよね~
Posted by: 由香 | July 29, 2009 11:34 AM
>由香さま
こんばんは。お返しありがとうございます

いやー、わたしの見た限りではどちらかと言えば「賛」の方が多いと思いますよ。ただキライな人は本当にキライみたいで、勢いで拮抗してるような感じでしょうか
わたしは肯定派ですが、かばってやりたい、というほどではないかなー
プロ安監督は『アイ・ロボット』でもストーリーテーリングのうまさを発揮してましたよね。細かいところ、よう覚えとらんのだけど(おーい)
神をテーマにした宇宙ものといえば、『コンタクト』というのもありましたっけ。あとSFの古典『地球幼年期の終わり』も意識してるのでは・・・と思いました
>『2012』も面白そう・・・
監督は「あの」エメリッヒですけど・・・ わたしももちろん見ますけど・・・
Posted by: SGA屋伍一 | July 29, 2009 09:19 PM
こんばんは
私は「賛」と言いたいところだけど
宗教映画なのか宇宙人モノなのか曖昧にして逃げたような感じがあまり好きではありません・・・・
でもクリスチャンとしては内輪ウケする要素がいっぱいあって
それはそれで楽しめました。
純粋な宗教啓発映画でないので
あくまでも「内輪ウケ」というところがツボでした。
わかるひとはわかってニンマリするというか・・・・。
そうそう,地球にしても自然にしても
この世の中に「偶然」というものは一つもないのだ,ということも
この作品は言いたかったのでしょうかね。
必然とか避けられない運命とか・・・・そういうものはあまり映画としてはウケにくいので
賛否両論も仕方ないのかも知れません。
Posted by: なな | July 30, 2009 10:09 PM
>ななさま
こんばんは。お返しコメントありがとうございます
あれ? ななさんは肯定派かと思ってたのですが、微妙~にひっかかってたところもあったんですね
まあ熱心なクリスチャンの中には「神とETを一緒にするんじゃなーい!!」という方もきっとおられるでしょうね・・・・
「宇宙人と信仰」というテーマでは、シャマランの『サイン』という作品もありましたね。あちらの宇宙人は神とは完全に別物でしたが
今の世の中、いろいろ悲惨な出来事が多いので、監督としては「どうしてこういうことが起きるのか」 そこに理由を見出したかったのだと思います。ただ、観客側にはイマイチその「理由」が伝わってこなかったような(^^; 監督が満足してればそれでいい・・・かな?
そうそう、二周年おめでとうございます。あとでお邪魔します
Posted by: SGA屋伍一 | July 31, 2009 09:19 PM
SGA屋さんへ
こんばんは。
お言葉に甘えまして、早速お邪魔させて頂きました
『できるだけ好意的に解釈しましょう』とは、とても素敵な考え方だと思います。
私も、見習わないとって思いました
確かに、最後はちょっと予想外な終わり方ではあったと思います。
話が変わってしまいますが・・・

『サマーウォーズ』は、絶対見たいと思ってます
『時をかける少女』も好きだなって思う作品だったので、
今回の作品も期待してるんです
では、失礼致します。 綺音
Posted by: ayane | August 11, 2009 12:53 AM
>ayaneさま
おお・・・ ayaneさんからコメントいただけるとは・・・・
まことに光栄の限りです。豪雨の中仕事してきた疲れも吹っ飛ぶというもの
さきほどそちらにも書きましたが、静岡で震度6くらいの地震がありまして。ご家族に何事もないとよいのですが
>『できるだけ好意的に解釈しましょう』とは、とても素敵な考え方だと思います。
ありがとうございます。照れます

「謙虚になまぬるく」がこのブログのモットーなもので(笑)
ayaneさんのブログからも優しさとか大切な人への思いとか、よく伝わってきますよ
『時かけ』はわたしも好きな作品ですが、見終わったあとすんご~~~く切ない気持ちになってしまい(30男が・笑)、あまりもう一度見たいとは思わないのですが、『サマーウォーズ』はぜひまた見てみたいな、と思えた作品でした。やはり家族の大切さが身にしみてわかるお話です。ayaneさんの感想、楽しみにしてますね。わたしも今週中くらいには書きたいもの
もう少し下の方には『エヴァ』の感想も書いてありますので、よかったらそちらの方も見ていただけると大変嬉しいです
あのっ でもっ 本当に「よかったら」でかまいませんのでっ
Posted by: SGA屋伍一 | August 11, 2009 08:26 AM