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July 07, 2009

新たなる破裂 庵野秀明 『新劇場版ヱヴァンゲリヲン:破』Aパート

090707_172309本当ならもうとっくに終ってるはずなのに、いまごろ第二弾が公開の『新劇場版ヱヴァンゲリヲン』シリーズ。第一弾『序』の記事はこの辺とかこの辺とかこの辺に書いてありますんで、気の向いた方はごらんください。

1~6話をまとめて少しアレンジを加えた・・・という感じの『序』でしたが、今回は重要なイベントこそ消化しているものの、ほとんど新規作り起こしの内容でした。その分それこそ「新作」を見る興奮が味わえた気がします。

今回はメンドくさいのでもうしょっぱなからネタバレ全開で、思ったことをダラダラと書かせていただきます。これから見ようかという方は今の内に避難されてください。


☆「シンジとゲンドウ」

当初はこの『エヴァ』という物語は父と子の葛藤を描いた話だと思ってましたが、関連本をいろいろ読んだ今はちょっと違うように感じています。シンジが少年のままの庵野監督だとすると、碇司令は大人・公人としての庵野監督なのでは。
つまり『エヴァ』とは二人の自分がえんえんと言い争ってるような、そんなアニメだったんではないでしょうか(笑)
テレビシリーズのころの庵野さんってたぶん自分のことが嫌いだったんだと思います。だから二人はあんなにも仲が悪い。もしかしたら好きになれるかも・・・・と思いながら、結局やっぱむずかしいなあ~ みたいな、そんなオチだったと考えています。

今回も目は合わせないは電話には出ないわあんまし変わってないようにも思えましたが、後半「おや」と思わせるセリフがありました。エヴァで本部をぶっ壊そうとしたシンジに、テレビ版では「お前には失望した」と語っていたゲンさんですが、今回は「シンジ、大人になれ」とそれこそ大人の発言をしています。この歩み寄りに、なんだか庵
野監督の変化を感じたのでした。何がその変化を生じさせたのか。そのヒントは


☆ごはん

にあるような気がします。この『破』ですが、尺に余裕がないにも関わらずやたらと食事・料理にまつわるシーンが多いように感じられました。綾波もアスカもシンジに一層心を開いたきっかけは彼の手弁当でしたし、二人がシンジに対し接近を試みようとするツールもまた料理だったりする。
平成ライダーからの影響か(監督が平成ライダーのファンというのは有名な話です)とも思ったのですが、まあやはり本当のところは、監督がこの十年で「誰かにご飯を作ってもらう・誰かと一緒にご飯を食べる」その喜びに目覚めたからからではないでしょうか。
同じ釜の飯を食うことにより、人はコミュニケーションをはかり、共同体として成長していくわけです。
ただ理解しがたいのは、この映画にはエヴァ・使徒のお食事シーンもあるのですが、そいつが上記のシーンとはうってかわってえらい凄惨であること。食事というより「食い殺す」といったほうが正しい。
人のお食事シーンとエヴァのお食事シーンに何らかの関わりがあるのかどうかは、まだよくわかりません。


☆アスカ

テレビ版では三話でほぼ綾波と同じ地位を得たアスカですが、今回はサブ的な位置のままで終りそうな感じです。テレビ版後半から旧劇場版にいたるあたりでは、アスカはその勝気な性格とは裏腹に絶えず「死の匂い」を漂わせているキャラでした。旧劇場版のラストシーンなんか思いっきり彼女が殺されかけてるところでしたし。この辺なんだか庵野監督の執着というか「憎悪」が感じられるような・・・
今回も登場してまもないのにいきなり死亡か!?と思われましたが、幸い一命はとりとめた様子。テレビ版でのあのシーン(第18話)に関して監督は「本当はやっちまいたかった」と語っております。それができなかったのは某ブレーンとの間に「子供は殺さない」という約束があったからだそうです。コミック版でああいいう結末になったのは監督の本来の意を汲んでのことなのか・・・・
しかし今回も監督は子供を殺せませんでした。生ぬるいという意見もあるでしょうが、わたしはこれでよかったと思ってます。


☆ダミープラグ

これはどっちかっつーと新劇場版というよりテレビ版での話なんですが、今回新たに気づいたということでcoldsweats01
シンジが入ってない偽のプラグを拒絶するエヴァ。この辺から当時の制作の状況が伝わってくるような。
このころになるともういい加減スケジュールが破綻してきて、このままではラストがまともにできそうにない・・・ということがわかっていたようです。ちゃんと終わりまでもっていくには、非常な手段=局の言うことを聞いて、ほどほどに手を抜いて乗り切るしかない。これが碇司令=大人としての庵野監督としての心情。
しかし手を抜くくらいならぶっこわれても構わない。むしろ自分でぶっ壊す。これがシンジ君=子供のままの監督の心情。結局子供の部分が勝った・・・のかな?coldsweats01
当時の監督は「思い通りにいかないとごねる」ということでは定評のあった方のようです。まあまがりなりにも劇場版でちゃんと完結できたのだから、『エヴァ』は幸運な作品でした。


☆翼をください

一度はエヴァを降りることを決意したシンジですが、綾波が食われたのを見てもう一度戦う決意をします。テレビ版では加治に促されて、「自分にしかできない仕事だから」という感じでありましたが、今回はあくまで綾波個人を助けたいという思いで戦場に戻ります。
誰かを助けるためにこんなにも熱くなるシンジ君・・・・ 旧バージョンとは明らかに違います。ここは『翼をください』よりもユーミンの『守ってあげたい』の方がマッチしているような気もしますが。


090707_184636せいぜい19話あたりまでかな~と思いきや、最後の数分で一気に「まごころを、君に」まで行ってしまった感のある『破』。恐らく完結編となる『Q』ではまた新たなる物語が見られることでしょう。

参考文献は『スキゾ・エヴァンゲリオン』『パラノ・エヴァンゲリオン』(太田出版)、『監督不行届』(安野モヨコ著)でした。
調子にのってまたAパートとつけてしまったから、Bパートも・・・やるの?

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Comments

SGAさんの感想、待ってましたよん。

実は先日、3回目をつい観に行ってしまったんですが
何度観ても初号機が活動限界を超えて暴走するところで
ぶわっと涙が出ますweep
てゆーか同じ映画を映画館で観るのって、2回まではよくあるけど
3回って初めてかも。
今回のは私みたいなリピーターがすごく多そうだなーと思いました。

ごはんのシーン多かったですね。
みんなでシンジの手作り弁当を食べるシーンで、
お肉が食べられないレイにアスカが
「生き物はみんな他の生き物を食べて生きてるんだから
残さず食べなさいよ!!」って怒鳴るセリフ。
あれがその後のエヴァ・使徒のお食事にもつながってる気がしてます。
レイが作ろうとしてた料理って何だったのかなぁ。
やっぱみそ汁?みそ汁パーティーでしょうか・・・
想像するとちょっと面白いcoldsweats01

序を観たときは、早く次が観たくてしょうがなかったけど
今回は満足度がとても高いせいか、待たされることに単に慣れただけか(笑)
いくらでも待てそうな感じです。

Bパートも楽しみにしてますね♪

Posted by: kenko | July 08, 2009 at 01:07 PM

>kenkoさま

さっそくおいでくださりありがとうございます!

三回目ですか・・・ のめりこんでますね(笑) わたしも二回目まではちょくちょくあるけど、同じ映画を劇場で三回というのはさすがにないなあ。あの『CASSHERN』や『グレンラガン』でさえ・・・

今回これ、家から一時間半かけて見に行ったんですよね。もうちょっと近くまで来てくれれば、二回目も見やすいんだけどなー

>「生き物はみんな他の生き物を食べて生きてるんだから
残さず食べなさいよ!!」って怒鳴るセリフ。
あれがその後のエヴァ・使徒のお食事にもつながってる気がしてます。

なるほど。「食べる」ということはある意味罪な行いとも言えるわけですね・・・・

>やっぱみそ汁?みそ汁パーティーでしょうか・・・
想像するとちょっと面白い

まずそうなミソ汁を無理して「おいしいよ!」というシンジ。何も言わず黙々と食すパパン・・・・
とっても楽しそうですねcoldsweats01
しかしどんなに「まずー」な料理でも、レイたんが作ったのであれば「死んでも食いてえ!」と思う野郎どもは全国に腐るほどいるでせう

前回の時はパンフに「『破』を作るスタッフを募集してます」とか書いてあったそうですが、『Q』は人足りてるんでしょーかねー

Posted by: SGA屋伍一 | July 08, 2009 at 07:25 PM

SGAさんこんばんわ♪

エヴァと使徒の戦闘も多かったですが、それと同じくらいシンジたちの食事のシーンも何かと多かったですよね。あれ観て自分も555辺りを思い出しちゃったんですけど、庵野監督も平成ライダー好きだったのは初耳でした。もしかしてインスパイアされたとか?(笑

でも今回のアスカは旧劇場版で量産機にムシャムシャされちゃう以上に凄惨でもありましたが、その反面サービスサービスゥ♪な要素も多々あって個人的には良かったかな~と♪3号機に乗る際のテスト用のプラグスーツ観たさにリピートしたいくらいですw

Posted by: メビウス | July 08, 2009 at 11:55 PM

>メビウスさま

おばんです。ようこそいらっしゃいまし

庵野監督がライダー好きというのは奥様の漫画『監督不行届』に特に詳しいです
555のベルトが負けなくて嘆いている監督に、バンダイが大人用のをこしらえた際わざわざプレゼントしてくれたとか
あと『カブト』放映当初『特撮エース』という今はない(泣)雑誌で白倉Pと熱い対談を交わしていたので、少なくともその辺りまでは見てたはずです

>3号機に乗る際のテスト用のプラグスーツ観たさにリピートしたいくらいです

見えすぎちゃって、困るの~ってヤツですね。もう! メビウスさんのエッチ!
『アップルシード』原作に似たようなシーンがあったなー

Posted by: SGA屋伍一 | July 09, 2009 at 10:10 PM

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