少女とフレンド ヴァディム・パールマン 『ダイアナの選択』
首都圏より三ヶ月ばかり遅れて上映。まだやってるけど、今週までです。
最近体当たり的な役ばかりやっているユマ・サーマン最新作『ダイアナの選択』。まずはまじめにあらすじから。
信心深い人が多く住むアメリカの片田舎。多感で反抗心の強い女子高生ダイアナは、おとなしめの少女モーリーンと親友になる。しかし卒業も迫ったあるころ、二人はある事件に巻き込まれる・・・
時は経って、いまや家庭を得たダイアナ。優しい夫と愛らしい娘に囲まれ、何不自由ない暮らしを送っていた彼女だったが、時折言いようのない不安に襲われる。果たして「あの時」彼女に何があったのか。
物語は二つの時を行きつ戻りつし、やがて事件の真相が明らかになる。
わたしは「驚愕の結末!」という言葉に弱くて。経験から言いますと、「あなたは必ずだまされる!」とか「こんな結末がいまだかつてあっただろうか!?」と大仰にそのことをうたった作品よりも、全体的に地味そうで、ポツリと「驚きますよ」と書いてある作品の方がビックリするものです。
この『ダイアナの選択』はまさにそういう「ひかえめな」(笑)宣伝の仕方だったので、かえってかなり期待しておりました。
で、結果から申しますと
驚きはするんですが、「え? なにそれ? どゆこと?」とちょっとあっけに取られた感がありました。
ただこの映画、なかなか面白い試みをしていまして。スタッフロールの最後まで見ると、あるキーワードが出てくるんですね。これはたぶんDVDにも収録されると思うのですが。そいつを公式サイトのあるページに打ち込むと、監督の答えが聞けるという(!)。
いよいよこっから深刻にネタバレしていきます。未見の方は用心されてください・・・・
順当に考えるなら、この作品の現代パートは、恐らく少女ダイアナが今わの際に見た幻想というか、「逆走馬灯」のようなものなのでしょう。しかし死の直前の短時間に見た幻にしては、長すぎるしやけにディテールが細かい。
そんなわけでわたしは、ふんだんに出てくる「花」と「水」のイメージ、そして何度か語られた「心臓の筋肉は強い」という言葉から、「彼女は辛うじて命はとりとめたが、水を与えられている植物のような状態で、ずっと同じような夢を繰り返し見ているのではないか・・・・」
帰り道車を走らせながらそう推理してみました。これなら後半出てきた彼女の「今度こそうまくいくと思ったのに!」というセリフも、納得がいきます。まあ某スペイン映画や、噂で流れた『ドラえもん』最終回のようなオチではありますが。
で、帰宅するや否や、それであってるか公式サイトを開いて例のキーワードを打ち込んでみたわけですが
・・・・・・・・
どうやら今回も考えすぎだったようです。あははのは
ただ監督は「わたしの答えが唯一の正解ではない。あなたが別の答えを見つけたならそれでもいい」なんてことも言っておりまして。無責任なおっさんだよなあ。
さて、ここまで読んでくると、わたしがいかにも「肩透かしだった」という印象を与えるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ非常に見ごたえのある映画でした。そう、これは「驚愕の結末」を抜きにしても十分一本の作品として成り立つ映画です。
まず先にも述べた花や水のヴィジュアルが大変みずみずしい(水だけに)。また恐ろしい事件の場面が、何の脈絡もなく何度も思い起こされるので、穏やかなエピソードが流れていても緊迫感が途絶えることがありません。
そしてアメリカの地方都市に住む少女たちの心情が、とても細やかに描かれています。コミック『BANANA FISH』の中に、「アメリカはでっかい田舎なんだ。一生その町から出ずに生涯を終る人もいる」というようなセリフがありましたが、そんな環境にあってもどかしさを感じる若者の気持ちが強く伝わって来ました。
そして主人公とモーリーンの幼いけど、微笑ましい友情のアルバム。
この辺は男である自分にはよくわかってないところもあるかもな・・・・ まあ監督も男ですけど。
聖書の一節に「友のために自分の命をなげうつこと。これより大きな愛はない」という言葉があります。
それほどの友情を得られるということは、ある意味至上の幸福なのかもしれません。そしてダイアナの罪もその行為によって贖われた・・・ そう信じたいところです。
さて、話はぐっとくだらなくなりますが。
今回のイラスト、いつものように微妙に似てない上にやや、マイナーなキャラクターなんで、さぞわかりづらいかと思います。
何が描いてあるかわかった方は、コメント欄にて書いていただけたら大変嬉しく思います。
正解しても、何も出ませんが。
Comments
み~ん。。。ダイアナンAだと思います。。。微妙に似てませんが。。。そしてクイズの答えだけで恐縮ですが。。。給付金くれ~。。。
Posted by: 芦屋ガム之介さん | June 16, 2009 09:50 PM
こんばんわ。
>何が描いてあるかわかった方は、
前者は名作劇場「赤毛のアン」の親友ダイアナ
後者はマジンガーZに出てくる弓さやかの愛機
アフロダイAの後継機「ダイアナンA」です。
肝心の作品いついて書けないのは毎度申し訳ない。
申し訳ないついでに・・・・・・・・・・・・・・・愚痴です。
「大河」最新回の酷さと次回の真田某の変節振りに
パン太のトンカチかニャン太のノコギリかましてやりたいわ。
では。
Posted by: まさとし3055 | June 16, 2009 11:00 PM
>芦屋ガム之介さんさま
コメント、ユー・アー・ウェルガムです
この微妙に似てないイラストで、よくわかりましたね・・・
つか、わたしこんなロボ、超合金魂で出るまで忘れてましたよ・・・ アフロ台の方は覚えてましたが
給付金・・・・ あ、まだ申請してないや。思い出させてくれてありガムとうございます。あげないけど
Posted by: SGA屋伍一 | June 17, 2009 07:28 AM
>まさとし3055さま
おはようございます。あなたもよくわかりましたね・・・上の方のイラストまで
ダイアナンA、意外とメジャーなキャラクターだったんだなあ(笑)
本当に何も出せず申し訳ありませんが、せめて伊豆の地からエールを送らせていただきます
フレー! フレー! け・い・は・ん!!
失礼しましたm(_ _)m
大河最新回・・・ 実はまだ見てないのです。カネやんが舞妓はんと浮気でもしたんでしょうか。これまた最近ありがちな展開だなあ
気力が持てば今夜あたり例のコーナー書きます。よろしくメカドッグ
Posted by: SGA屋伍一 | June 17, 2009 07:36 AM
こんばんは♪
結局まだ感想書いてないや・・・
結末ですが、ビックリ通りこしてポカーンでした。
でもけして、映画がつまんなかったとかではなく。
どんでん返しよりも、映像の美しさや
何度も出てくる女子トイレの緊迫感の方が印象的で・・・
エヴァン・レイチェル・ウッドがすごく良かった♪
私は監督の答えと同じだったんだけど、
SGAさんの答えもアリですね!
Posted by: kenko | June 18, 2009 07:17 PM
伍一さんこんばんは★
先日はお祝いコメをありがとうでした
今後も宜しくです!
ところでー
アンのダイアナでくるとはさすが伍一さん!
意表つかれました!
いろんな考え方にとれるラスト。それもありですよね。
ほんとこれ、いったいどういうこと?って最初思います。
わたしは最初字幕なしで観たのでよけいそうだったけど二度、三度みるとまた変わるかもです☆
(そんなに観たくない?!)
で、最後のイラストはもしかしてウルトラの母?!
あ、でも顔が違うかぁ?
誰だろう??
Posted by: mig | June 18, 2009 11:40 PM
>kenkoさま
おはよっす。ひとまずkenkoさんの感想が聞けて嬉しいっす
>何度も出てくる女子トイレ
ごめん。このフレーズにちょっと吹いてしまった(笑)
映画見てる時は緊迫感でそこがどこかなんて、全然忘れてましたけど
最近女優さんにときめくこともあんましないんだけど、エヴァン・レイチェル・ウッドは本当に輝いてるよね・・・
マリリン・マンソンと別れたらしいので何とかしてアプローチできないものか一生懸命画策してるとこです
しかしこの娘は映画でも実生活でも、ろくでもない男とばっかりつきあってるな・・・
>SGAさんの答えもアリですね!
サンクス! もう自分の中ではそういうことにしちゃいます
Posted by: SGA屋伍一 | June 19, 2009 07:17 AM
>migさま
おはよっすー &どういたしまして
こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いします!
『アン』のダイアナはわかっていただけたようで。やっぱり「親友」で「ダイアナ」と来たらこのコかなーと
ちなみに今CSで前日譚をやってるそうです
公式サイト見ると、いろんな人がいろんな考え方しててほんと興味深いですね。こういう映画もいいよね
わたしがこれを字幕無しで見たら、「ユマとエヴァンは別人だったのか?」という結論に落ち着きそうです
最後のイラストは『マジンガーZ』に出てくる「ダイアナンA」というロボットです・・・
異名を「世紀の恋人」というのですが、こんな恋人はいらない(ぜいたくだなあ)
Posted by: SGA屋伍一 | June 19, 2009 07:23 AM
み~ん。。。あれから2ヶ月ずーっと考えていたのですが、やっぱりダイアナンAだと思います。。。
それはさておき、昨日DVDで見たんだけど、まじかよ、最後にキーワードでんのかよ、なんだよこのクソ映画って、ムカついて最後まで見なかったよ。。。
キーワード、なにかな? もしかして『ダイアナンA』とか???
Posted by: 芦屋ガム之介さん | August 26, 2009 10:28 PM
>芦屋ガム之介さん様
おや、この名義は久しぶり・・・
『真マジンガー 衝撃!Z編』もいよいよ大詰めですよ。何度もDr.ヘルが攻めてくるので、わが熱海市は壊滅状態です・・・
ガム之介さんは「キーワード」に何かいやな思い出があるのかな?
正しいキーワードを書いて何度も葉書送ってるのに懸賞品が当たらなかったとか、鉄板で当たってると思ってたキーワードが実は間違ってたとか・・・
それではキーワードのキーワードをお教えしましょう
「こんな天気のいい日は、お○○でもしなくちゃね! 気持ちいい白さ~」
はい! わかりましたね!
Posted by: SGA屋伍一 | August 27, 2009 06:59 AM
おお、あんがと。つーかまさかキーワードが漢字だとは。。。
なるほど、そういうことならちょっといい映画だった気がするけど、映画はクイズじゃないんだよ!! と、いう気も猛烈にするなぁぁぁ
Posted by: み~んちゃん。 | August 27, 2009 10:40 PM
>み~んちゃん。さま
もしかして・・・ あなたとガム之介さんと裏山&さんは、同一人物!?(一応言ってみた)
てゆうか英字だとだめで漢字ならいいんですか(笑) 確かに表意文字には表音文字にない個性や知性がみなぎっておりますよね
そう、映画はクイズではありません。しかし人生とは答えの無いクイズのようなものではありますまいか
・・・自分でも何を書いてるのかわからなくなってきましたよ♪
らりほーらりほ-らりるれろん
Posted by: SGA屋伍一 | August 28, 2009 07:24 AM
こんにちは!
公開時はひかえめな宣伝だったのですね。
DVDでみたんですが、サスペンスホラーコーナーにあったんで
ジャンル違ってましたよ。笑
キーワード、DVDにも収録されてなかったので、検索でみつけました^^;
自分は監督の答えと違ってましたが、いろんな解釈があってもいいよね。
花や水のヴィジュアルは美しかった。映画館でみたかったです!
Posted by: アイマック | September 10, 2009 03:14 PM
>アイマックさま
おひさしぶり! その後お元気だったでしょうか? って、わたしちょくちょくのぞかせてもらってますけどね
そうですねー 都市部ではともかく、この地方ではほとんど噂をきかなかったかなー
>サスペンスホラーコーナーにあった
それは違いますよね(笑) 強いていうなら「ヒューマンドラマ」の棚に置くべきでは。まあ下手なサスペンスよりはよほどドキドキする作品でしたが
きつい場面も多くありましたが、なんでかそっちよりも、美しいビジュアルの方が印象に残った作品でした
Posted by: SGA屋伍一 | September 11, 2009 07:59 AM
こんにちは~♪
今年に入ってまだ劇場に行かず、DVDをボチボチ観ています~♪
で、、、この映画、なかなか繊細で美しい作品でしたね。
映画への印象はだいたいSGA屋伍一さんと同じで、ラストで「へっ?」と思い、後からじわじわきたクチですが、こういう映画は嫌いじゃないです。
>彼女は辛うじて命はとりとめたが、水を与えられている植物のような状態で、ずっと同じような夢を繰り返し見ているのではないか・・・・
ふふふ・・・そういう風に推理されるとは、、、流石推理小説好き(笑)
その解釈は非常に美しいと思います!!私もそんな風に受け止めようかな♪
Posted by: 由香 | January 15, 2010 10:42 AM
>由香さま
こんばんは
わたしは今週の月曜にようやく『アバター』見てきました。TOHOさんで。いまTOHOさんでは下一桁が1か4の年賀状をもっていくと千円で見られますよ!
そうですね。なかなかに歯切れの悪いエンドではありましたが、単なる思いつきでなく、監督の深い意図が感じられたので好感がもてました
またまたお褒めにあずかって恐縮であります。でもどうもわたしはつい考えすぎてしまうことが多いみたいで。『スラムドッグ』の時もそれで失敗したし(笑)
今年の目標は「頭でっかちにならないこと」で行きたいと思います
Posted by: SGA屋伍一 | January 15, 2010 05:54 PM