パラダイム銀河 J・J・エイブラムズ 『スタートレック』
久々の三日連続更新。無駄にがんばってます!
本日は伝説的SFドラマを『クローバーフィールド』『LOST』のJ・J・エイブラムズが新生させた『スタートレック』をお送りいたします。
時は何世紀か未来。無鉄砲で女好きのカー君と、堅物でムッツリスケベのスコップ君は、銀河連邦艦隊の仕官候補生。当然ウマが合うわけもなく、仲はすごく悪い。
ある日スコップ君の母星から銀河連邦に災害救助の報が届く。ただちに現場へ向かう二人。だがそれは銀河連邦を逆恨みするターミネーターの罠だった。自分たちよりもはるかにすぐれたテクノロジーを持つ敵を、若者たちは退けることができるのか。そしてカー君とスコップ君は仲良しこよしになれるのか。
原作は1966年から制作されているテレビドラマ。アメリカ産の宇宙叙事詩というと、『スターウォーズ』がまっさきに思い浮かびますが、SWが我々の世界とはかけ離れた「伝説」であるのに対し、STはこちらと地続きの世界を舞台とした軍事ドラマであり、政治劇といえます。
最初のシリーズが終了した後は劇場版がポツポツと作られていき、1987年からは次世代の物語である「ザ・ネクスト・ジェネレーション」が開始。その後もド田舎の駅を舞台にしたり、異次元の話になったり、はたまた前日談が作られたりしてシリーズは続いてきました。しかし最新シリーズ『エンタープライズ』は視聴率が落ちるところまで落ち、『スタートレック』はここに深刻な危機を迎えることになります。そうした経緯から、ヒットメーカーJ・J・エイブラムズに「ここらでいったん仕切りなおしてくれ」という依頼がいった模様。
ですから主人公は当然最初のシリーズの主人公であるカーク船長。しかしこのカー君、いささか一隻の船を任せてもいいものか、というところがありまして。
まずあんまり後先のことを考えてない。考えるより先に体が動いてしまうタイプ。そんでやたらとケンカっぱやい。その上弱い(笑) 劇中で何度か格闘シーンがありますが、大抵の場合のされてるか、助けてもらってるかでした。まるきりいいとこなし・・・のように見えます。
しかしこのカー君、伊達に主人公を務めているわけではありません。彼には知力も腕力もなくても「男気」があります。仲間を空中をダイブしてまで助けにいったり、なにより自分をあんなひどい目に合わせたスコップ君を、嫌味一つ言わず受け入れたりします。わたしだったら仕返しに灼熱の惑星にでも置き去りにしてやるところだがなー
ま、英雄に最も必要なものはこの「懐の広さ」つーもんだということですね。
そういえばオリジナルのカー君についてはこんな風聞を聞いたことがあります。
「(艦長はキチ○イが多いという話から)『スタートレック』の艦長も相当いかれてるよな」
「『他の星の内政には干渉してはいかん!』と言いながら、結局バンバン干渉するしな」
「出会った女に端から手を出してるしな」
(吉岡平著 『宇宙一の無責任男』あとがきより)
・・・・なんか、初代も二代目とあんまし変わんない気がするなあ(笑)。
その他にも「仲の悪い二人がぶつかりあううちに、やがてお互いを認めるようになる」ところや、「頼りない新米たちがここぞという時に特技を発揮して、難局をのりきっていく」ところなどは、なかなかにわたしの好みでありました。
ちょびっと不満に思った点。あのJ・Jの作った作品にしては、やや行儀よくまとまりすぎていたような。もっと突き抜けたものが見たかった・・・というのは酷な要求でしょうか。
あとカー君が宇宙へ旅立つくだりを、もう少していねいに描いてほしかったです。興味ないフリしていて、本当は宇宙へ行きたくてたまんなかったりとか、出発の前に母と涙の別れがあったりとか。そういうエピソードを増やしてほしかったですね。
いいですか? 少年にとって宇宙はロマンなんです。そうさっくり簡単に行かれてしまってはいかんのです!
最後に一つマメ知識です。スペースシャトルに「エンタープライズ号」というのがありますが、あれはマジで『スタートレック』から名前を取ったんだそうです。
覚えて友達に自慢しましょう!
Comments
こんばんは
これはガンダムで言うとこの「ジ・オリジン」みたいなものですか?
>落ちるところまで
そりゃ知らなかった。
だが、我が国の機動戦士も油断なりません。ゼロシステムやGNドライブを持っても長く続くシリーズで駄目な時はあるかも。ところでいつものエンタープライズ号は今回で何代目?
>『宇宙一の無責任男』
そういえば我らが「そよかぜ」艦長は今頃どうしてるんだろ?
では。
Posted by: まさとし3055 | June 10, 2009 09:12 PM
シャトルの名前は、取ったというよりトレッキーたちが必死に運動してつけさせた、というのが実際の所のようです。
しかしあいにくそうまでして誉れ高い名をつけられたそれは、747の背中に載せられて自身のエンジンも持たずに滑空試験だけに使われたんですよね。宇宙には出てないのが残念。
でも歴代エンタープライズの中にちゃんと数えられてるのは救いです。
ところでこのフルタのフィギュアもなかなか良かったんですが、一番最後に出た別メーカーのちっこいヤツ(NX-01と透明デファイアントがラインナップにある)のエンタープライズが最も出来が良いんですよ。
Posted by: よろづ屋TOM | June 11, 2009 03:44 AM
>まさとし3055さま
おはよっす。毎度どうもっす
>これはガンダムで言うとこの「ジ・オリジン」みたいなものですか?
似てるようで微妙に違うような
ちょいネタバレしちゃいますと、いきなりカーク船長の生まれる前に敵がタイムスリップしてきまして、改変されてしまった世界が舞台なんですね
下手するとこれまでの話は全部なかったことにされてしまったかも・・・
単にパラレルワールドの話と考えることもできますが
機動戦士も確かに油断なりませんね(笑) 長寿の秘訣はいまみたく適当にインターバルを置いてこさえることではなかろうかと思います。もちろん、作るからにはそれなりの新機軸を用意しておくことも大切ですが
>我らが「そよかぜ」艦長は今頃どうしてるんだろ?
どうしてるんでしょう(笑) 作者の名前も最近あんまし見なくなっちゃったしなー
Posted by: SGA屋伍一 | June 11, 2009 07:38 AM
>よろづ屋TOMさま
おはようございます
エンタープライズについての説明補足ありがとうございます。その辺からもわかるように、偉そうに語ってますけど、実は自分そんなにスタトレを見てるわけではなくて(^^:
劇場版の『ファーストコンタクト』と『ネメシス』を見たくらいです。記事は全部断片的な情報を寄せ集めて書きました。どうぞご勘弁のほど
食玩は「なんとなくかっこいいーなー」というそれだけの動機で集めてました。TOMさんならおわかりかと思いますが、上の画像はぜんぶエンタープライズで、下はその他の艦に混じって一隻だけエンプラが混じってます
しかしNASAを動かすとはトレッキーの力も大したもんですね。それだけにハンパな作品を作ると抗議もものすごいようで・・・
架空のマシンから名前を取った例としては、ノーチラス号もそうですよね
Posted by: SGA屋伍一 | June 11, 2009 07:47 AM
伍一さん、観ましたネ〜!
伍一さん的にもやっぱりOK?
わたしは何にも期待してなかったし思い入れもないからフツウだったんだけど、かなり皆さまの評判高くてちょっとビックリ☆
>少年にとって宇宙はロマンなんです。そうさっくり簡単に行かれてしまってはいかんのです!
なるほど〜!
少年の魂の叫び、聞いちゃった
それにしても「光GENJI」でくるとは、、、
毎回タイトル面白いなぁ^^
Posted by: mig | June 11, 2009 01:37 PM
こんにちは!
暴力男のカーくんより、ムッツリスケベのスコップ君が好きだな。笑
再構築した映画版、思った以上におもしろかったです。
スペースシャトルで「エンタープライズ号」ってあったんですね。
ラストのところはジーンときてしまったなあ。
本国で大ヒットしたのもわかりますね。
Posted by: アイマック | June 11, 2009 03:21 PM
こんにちは~♪
私、昔のスタートレックを全く観たことがないんです。
昔っからイケメンが出ていない映画に振り向きもしなかったようで(笑)
でも、新シリーズのコチラはまずまず楽しめました~♪
ただねぇ~あまり気分は盛り上がらなかったわん。
>やや行儀よくまとまりすぎていたような。
あとカー君が宇宙へ旅立つくだりを、もう少していねいに描いてほしかったです。
そうそう!それに同感です。
随分そつなく纏まっていましたよね~
あとアッサリ宇宙に行って簡単に艦長になったな、、、って思いました(笑)
Posted by: 由香 | June 11, 2009 03:22 PM
おお!あっさりトレッキーでしたか。
J・J・エイブラムス監督、マニア系じゃないけどカンペキなトレッキーですよ。でなければああは作れませんから。
ワタシ的には劇場版で最高のスタートレック映画でした。
もひとつ補足説明を。写真のフィギュア、ほかはともかくもエンタープライズEは今もヤフオクでだいたい¥2000以上、日本橋なんかだと以前¥5000の値がついててぶっ飛んだ事があります。
大事にしてくださいね〜〜。
Posted by: よろづ屋TOM | June 11, 2009 04:11 PM
>migさま
おはようございます。見ましたよ~♪
わたしもさして思いいれないほうなので(爆)普通に楽しめました
宇宙船も怪獣も出てきますし。あとはロボットが出てくればなおよかった(痛)
そろそろ36ですけど心はいつまでも少年隊ということで(痛×2)
光GENJIに気づいてくれてありがとう。やっぱりカー君ときたらこれかと
そういえば『スターライト』なんて曲もありましたね
♪夢はフリーダムフリーダム シャボンのように
フリーダムフリーダム風の色
はっ
なぜ歌えるのだ?
Posted by: SGA屋伍一 | June 12, 2009 07:18 AM
>アイマックさま
おはようございます。お越しいただきまことにありがとうございます
確かにキャンキャンうるさい男よりも、ムッツリでも寡黙で物静かな男の方がもてるようですね。でも関西では話の上手な面白い男がもてるというし・・・ よくわかりません
カー君は女性の趣味もどうかと思いました。ていうか、手当たり次第?
シャトルのエンタープライズは現在スミソニアン博物館群にいくと見られるようです。上でTOMさんもおっしゃってますが、宇宙までは行ってないので正確には「スペース」ではないんですが
>本国で大ヒットしたのもわかりますね
ヒットしすぎて『ターミネーター4』が割りを食ってるそうです
やばいぞジョン・コナー!
Posted by: SGA屋伍一 | June 12, 2009 07:26 AM
>由香さま
おはようございます
>昔っからイケメンが出ていない映画に振り向きもしなかったようで(笑)
たしかに以前の作品ならまだしも、最近の劇場版はメインが「つるぴか」「ひげもじゃ」「やけに顔色が悪いアンドロイド」でしたから・・・
そういや女優陣も微妙な顔が多いな・・・ トレックだけじゃなくウォーズも・・・
宇宙叙事詩の伝統なのかもしれません
>あとカー君が宇宙へ旅立つくだりを、もう少していねいに描いてほしかったです
小生、『銀河鉄道999』で育ったクチなので(笑) どうぞお察しください
>アッサリ宇宙に行って簡単に艦長になったな、、、って思いました(笑)
世の中こういう風にノリとツキだけでうまく渡り歩いてる人が、実際にいたりするのでイヤになります
Posted by: SGA屋伍一 | June 12, 2009 07:33 AM
>よろづ屋TOMさま
またまたお越しいただきありがとうございます
あっさりというかさっぱりというか、なんちゃってトレッキーです。すいません
でもろくな知識も持たず鑑賞した『ファーストコンタクト』は、かなり面白かった記憶があります
>エンタープライズEは今もヤフオクでだいたい¥2000以上、日本橋なんかだと以前¥5000の値がついててぶっ飛んだ事があります。
なんですとー! ホコリがつもったんでまとめてビニール袋にぶっこんでた(笑)
貴重な情報とご忠告に心より感謝いたします
あとスピーシーズなんたらかんたらのバイオシップなんかも持ってます。これなんか形状が独特でけっこう気に入ってます
Posted by: SGA屋伍一 | June 12, 2009 07:36 AM
まぁあ、面白かった。
トレッキーではありませんが、面白かった。
ワープシーンだけでも、1800円の価値はありますね。
でも、点数は80点ぐらい。
『彼』が出てきた辺りは、生粋のトレッキーでないと満足できないんじゃないでしょうか?(自分勝手な考えですいません…)
『彼』が出てきた瞬間、血が熱くなるものを感じたトレッキーがうらやましい…
そうやって、以前のシリーズもあながち切り離して作ったわけではないようですね。
でも、私は一生熱いものは感じないだろうな…
だって、「バビロン5」との違いが分からないんだもの…
Posted by: 大吉 | June 14, 2009 02:05 AM
>大吉さま
おはようございます。以前にも来てくださった方ですよね?
彼の登場は旧ファンへのサービスというかフォローでしょうね。上にも書きましたが、下手するとこれまでのエピソードが全部「なかったこと」になってしまうわけですから。でも「彼」が登場してることで旧ファンもだいぶ納得しているようです
全体的に地味~なところがスタトレの持ち味であり、辛いところでもありますね。先達ゆえに多くのものに真似されて、今の目で見るとかえって新鮮味が薄いように感じられてしまうというか
『バビロン5』はよく知りません。これ地上波放送してましたっけ? 宇宙SFドラマではちょっと前にやっていた『ギャラクティカ』がたいそう面白かったです
Posted by: SGA屋伍一 | June 14, 2009 07:26 AM
こんばんは♪
つるぴか、ひげもじゃ、顔面蒼白アンドロイドの『ネクストジェネレーション』は大っ好きなんだけど(笑)、
『宇宙大作戦』に関しては、そこまで好きという自覚はありませんでした。
でもこのJJ監督の『スタートレック』にはむちゃくちゃ感激してしまった!
特にレナード・ニモイのスポック登場シーン(出てるって知らなかったの!)には感極まりました〜
見た目は新しいのに、ポイントポイントでちゃんとスタトレファンのツボを押してくる感じ。
だからカー君が宇宙へあっさり旅立っちゃうこととか、言われてみればほんとそうだったなーと思いましたが
観てる間は全く気にならなかったです。
私これたぶん、ベストに入れちゃいます(笑)
Posted by: kenko | June 15, 2009 07:14 PM
>kenkoさま
こんばんは! kenkoさんはTNG大好きだったんですね! つるぴかとか青白とかいってすいません
でもついでに言っちゃうとヒロインがオバハンだったような・・・
それにしてもこの映画、評判いいですなー レビュー見るとほとんどの人が絶賛してるし、そうでない人もそこそこ誉めてるし
今年に入ってから公開されたハリウッドのエンタメ作品では、一番支持が高いんじゃないかな?
J・J氏は「それほどトレッキーじゃない」と言ってるそうですが、トレッキーの皆さんのツボをこころえてますよね。上の記事で「もっとはじけてほしかった」と書いちゃいましたが、これでやっぱり正解だったのかもしれません
Posted by: SGA屋伍一 | June 15, 2009 08:46 PM