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May 20, 2009

20世紀の『X-MEN』をふりかえる② おおむね70年代編

090520_175100最近あんましマンガ読んでないので(『アオイホノオ』や『ハガレン』の続きは読んでますが・・・)、仕方なくはじめた『X-MEN』紹介コーナー。今回は第二期メンバーが登場し始めた70年代のあたりを解説いたします。一回目の60年代編はコチラ

1970年にいったんピリオドが打たれた後、以後細々と再販やゲスト出演を続けていたX-MEN。その不遇の時代は1975年に発行された『ジャイアント・サイズ X-MEN』にてようやく終わりを迎えます。

島ほどもある巨大なミュータント・クラコアと相対し、とらわれの身となってしまったX-MEN。プロフェッサーXは彼らの危機を救うべく、世界中から知り合いのミュータントを呼び寄せます。
天候を操るアフリカ出身のストーム
鉄の爪を持つカナダの戦士ウルヴァリン
生態金属で身をよろうロシア出身のコロッサス
音波を自在に操るアイルランド出身のバンシー
テレポート能力を持つ、悪魔のような外見のナイトクローラー(ドイツ出身)
高熱と火炎を操る日本出身のサンファイアー
超人的な腕力と耐久力を備えた、ネイティブ・アメリカンのサンダーバード
世界各国から来た様々な人種で構成されたこのチームは、なんだか『サイボーグ009』を彷彿とさせます。

彼らの活躍によりX-MENは無事救出されます。そしてこの事件を機にサイクロップスを除くオリジナルメンバーはX-MENを引退。あらたに集められたメンバーに、その役割を託します。・・・といっても何かの事件に巻き込まれたりして、ほとんどはまたすぐ復帰することになるわけですが。
不人気だったとはいえ、やはり創設時からいたということで、オリジナルのメンバーはその後も長く活躍しつづけますが、対照的に格差や変転が激しいのが第二期メンバー。
まず日本出身のサンファイアーは、チームの方針が肌に合わなかったらしく、正式に加入する前にX-MENを離脱。ライターの方には「日本人はプライドが高くて短気」というイメージでもあったのでしょうか。あんたらにそんな風に思われたくはないな。

ついでコロッサスとポジションがかぶっていたからかしりませんが、サンダーバードが最初のミッションで戦死(・・・・)。このハードな展開に、当時の読者は度肝を抜かれたことと思います。
そして恋人をめっけたバンシーが早々と引退。せっかく集められた第二期メンバーは、あっという間に半分近くにまで減ってしまいます。
そんな中にあって、ファンの注目を徐々に集めていたのがウルヴァリン。映画では割と男気のある彼ですが、登場してまもないころは、それこそ極めつけの「問題児」でありました。
ジーンと出会うなりいきなりナンパはする。教授やリーダーにはしょっちゅう言い逆らう。性格は粗野。言葉づかいは乱暴。ささいなことですぐ腹を立てる。エロ本は読む。etc・・・・・

本当に「なんでこんなヤツが」と思わずにはいられないキャラクターです。が、そんなところが当時は斬新で、型破りなヒーローとして読者の目には映ったのでした。

休む間もない強敵たちの来襲に、世界各地で、果ては宇宙へと転戦を続けるX-MEN。そのサバイバルな有様は、どこかのんきなムードが残っていた60年代とは明らかに違うものでした。
そしてそれを最も象徴付け、『X-MEN』の人気を不動のものとしたのが、80年に展開されたエピソード「ダーク・フェニックス・サーガ」です。
シリーズ初期からヒロインを務めていたジーン・グレイは、宇宙空間での戦いを経てパワーが増大し、新たに「フェニックス」を名乗るようになります。ところがあまりにも大きすぎるパワーを扱いきれなくなったジーンは、暴走してダークサイドに転落。なんとか一時の間正気を取り戻した彼女は、自分の存在が暗黒面に食い尽くされる前に、自ら命を絶ったのでした。

この十年、二十年親しまれている「カツオ級」のキャラでさえ、書き手の思いつきでさくっと死んでしまうのがアメコミの恐ろしいところです。もっとも無茶苦茶強引な理由であっさり生き返ってしまったりすることも、また珍しくないことなんですが・・・・ ジーンもまた「そんなアホな」と言いたくなるような理由で後年復活しました。が、今はまた死んでるんだったかな?
もちろん死にっぱなしで忘れ去られてしまうキャラもいます。各キャラがまた生き返れるかどうかは、ぶっちゃけそのキャラの人気次第、といったところでしょうか。

090520_175038この悲劇的なエピソードが与えた衝撃により、『X-MEN』は一躍トップセールスに踊り出ることになりました。そしてそこから際限ないスピンオフの増殖が始まることになるわけですが、その話はまたいずれ。

イラストは一応初期のころのウルヴァリンということで。

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Comments

ブログ読んでくださってどうもありがとうございます♪
家庭的・・・というよりたぶん食い意地がはってるんです・・・。
わざわざ銀座の母にみてもらいにいって「あんた食い意地がはってるよ」って3回くらい言われましたもん・・・ナハハ。
キムチチャーハン、私も作りたくなってきましたよー。

趣旨と違うコメントになっちゃって申し訳ないです。
映画のコメントかけないもので・・。
スガさん、絵上手ですね!
横山光輝風のレッドクリフが特に・・・。

Posted by: さえ | May 21, 2009 12:10 AM

なんだサエさんいるじゃん。ポストマンで来たのに。。。

スガッち画材はなにつかってるの? スクリーントーンはんないとダメだよ。オレ、漫研だったから。

あと尾玉なみえの『少年エスパーねじめ』読んだ? 熱海インパクトで壊滅した世界が舞台なんだ。マジンゴーにも通じる世界観でしょ!!

Posted by: み~ん(←セミ) | May 21, 2009 12:43 AM

>さえさま

おはようございます!
いやいや、わざわざ足を運んでくださり大変うれしいですゥ。くねくね(セミの人と芸風が似てきたな・・・)

ざーっと見させてもらいましたが、さえさんの紹介されてたお料理はどれもなかなかヘルシーじゃないですか!
食い意地の張った人ならば、もっと
肉!肉!肉! アブラ!アブラ!アブラ! 糖分!糖分!糖分!
なラインナップになると思います

チャーハンにはね、ベビースターラーメンを入れてもおいしいんですよ。これはね、以前あたしと一緒に住んでた人が教えてくれたの・・・・ 男だけどな

イラストもほめてくださりありがとうございます
マンガはあまり読まないさえさんも、横山光輝はご存知でしたか。さすが横山!


Posted by: SGA屋伍一 | May 21, 2009 07:23 AM

>セミのひとさま

♪プリーズ ミスター・ポストマン ヘイエイエイエイ ミスター・ポストマン

「カーペンターズ・ベスト」って買ったほうがいいですかね? これもともとビートルズの曲だけど

つか毎日暑いですよね・・・ 昨日なんてマジでセミが鳴いてましたから・・・ はっ もしかしてあなただったの!?

>オレ、漫研だったから。

知られざる過去が、またひとつ明らかに!
画材といえるようなもんは使ってないっすー(笑) もっぱら鉛筆とサインペンっす
既成概念にとらわれてはいけないんです! 『ナニワ金融道』の人をごらんなさい!

>少年エスパーねじめ

聞いたことなかったんで検索してみました(笑)
天下のジャンプ連載!? メジャーじゃん!

とりあえず熱海の平和はオレが守る! ということで!

Posted by: SGA屋伍一 | May 21, 2009 07:31 AM

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