« 20世紀の『X-MEN』をふりかえる① 60年代編 | Main | 世界地図はタマゴ男の夢を見ない 平山夢明 『独白するユニバーサル横メルカトル』 »

April 15, 2009

人間、中身で勝負 ダーレン・リン・バウズマン 『REPO!』

090415_141007時は近未来。奇病が流行したため、臓器移植も大流行している世界。なかでも大企業ジーンCO.は、「あなたのお好みに内臓をコーディネイト」することで飛躍的発展を遂げる。だが医療費の返済が滞ると、彼らの派遣したスゴ腕取立て屋「レポマン」が、強引に臓器を回収していってしまう。
17歳の少女シャイロは、先天的な病気のため生まれてからろくろく家の外に出た事がなかった。だがなぜかジーンCO.の社長ロッティから、自分のもとに来るようにという招待状が送られてくる・・・・・


のっけからなんですが、自分、ミュージカルってむいてないような気がします(笑) 実は『マンマ・ミーア!』の時も少し思ったんですが、わたしがミュージカルを嫌いなんじゃないです。ミュージカルがわたしを嫌いなんです。きっと。
ではなぜむいてないと知りつつこの映画を観にいったのか? だって、オレ、男だから・・・・いや、そういうことではないな。
この映画の存在を知ったのはmigさんとこの映画ブログ我想一個人映画美的女人blog で。そちらで「一般評論家たちはD+。でも観客たちの評価はなんとA」と紹介されていて、「なんか面白そうだ!!」と猛烈に思ったのでした。そんで公式予告編を見てみたらヴィジュアルがなかなかいかしているわ、おまけにアンチヒーロー「レポマン」は出るわとういうことで、鑑賞決定。
が、劇場情報ではそのとき上映館がたった二つしか上がっておらず、「これは・・・地元にはこないな」ということで東京まで出張して見てきたのでした。

うーん。すごかったっす。すごすぎて時々おいていかれたっす(笑) どうすごいのかというと、もう全編に渡って血液と内臓と人間の生け作りみたいなものがドバドバ出てきます。当分レバ刺しとモツ鍋はいいやって感じです。
しかしまあ決して怖くはなく。むしろ笑える(わらい)。たまに言われるけれど、お笑いと恐怖って実はけっこう近いものだと思うんですよね。普通ならおっかないはずのことでも、やりすぎるとなぜかお笑いになってしまう。チラシを見ますと「シャイロ、眩い世界はこんなにも残酷で哀しい。」 とロマンチックな文章がつづられていますが、だまされてはいけません。

で、タイトルにある『REPO』。劇中では「内臓回収」みたいな意味で使われていたのですが、本来はどういう意味なのか高校のころ使っていた「プロシード英和辞典(1988版)」で調べてみました。が、出ていない(笑)
おそらく制作側が勝手に作った造語なのだろうと思い、色々考えてみました。もしかしたらOPERATION(手術)の最初の4文字を逆さにしてみたのかなーとか。うん。きっとそうだ! 間違いない! さすがオレ!
でもね・・・・ さっき念のためgoo辞書で調べてみたらちゃんとでてましたよ。「他動:〔支払い滞納{しはらい たいのう}が生じた商品{しょうひん}・資産{しさん}などを〕回収{かいしゅう}する」って。あはははは・・・・

ただひっくりかえしてみて思ったンデスが、これ「OPER(A)」の逆さでもあるのかな、と。なんせ副題にも「The Genetic Opera」とありますし。
たぶん作り手はスプラッタ+スラップスティックで『オペラ座の怪人』がやりたかったんじゃないでしょうかね。『オペラ座の怪人』、見たことないねんけど(おーい)。あ、でもそれを元ネタにしたカルト名作『ファントム・オブ・パラダイス』だったら見ました。仮面をかぶった怪人、悪魔のような男との契約、汚れを知らない美少女、血塗られていく劇場・・・・ そういった要素は『ファントム』とよく似てます。

そんなわけで、時々置いていかれながらも、少女に対する怪人の愛情にはホロリとさせられました。純情のようでいて、ちょっと歪んでいたりもするんだけど(笑)
あとまるでお人形さんのようなアレクサ・ヴェガの美しさや、異様に太ももにこだわったファッションスタイルも特筆に価します。

090415_141032さて、先ほどもう一度公開劇場一覧をみてみましたら、上映館が6つに増えてました。ただ、ふしぎなのはなぜかその半分が大阪にあるということ。
・・・なぜこの映画、大阪でばかりこんなに厚遇されているんだ? まあ確かに、このベタベタ・コテコテなお笑いセンスは吉本新喜劇にも通ずるところがあるかもしれません。
難波の皆さん、思う存分この映画を楽しまれてください。もうかりまっかー! ぼちぼちでんなー! 

|

« 20世紀の『X-MEN』をふりかえる① 60年代編 | Main | 世界地図はタマゴ男の夢を見ない 平山夢明 『独白するユニバーサル横メルカトル』 »

Comments

伍一さん!
こんばんは〜♪
遅れて参上です
あらら、、、名前までリンクして下さってありがとー

批評家たちには評判悪くても日本でも観た人には評判いいようです(mig調べ 笑)

伍一さんもこの世界好きかと思ったんだケドナ〜、
残念。。。

>ミュージカルってむいてないような気がします

そうなんだ〜、、、、、
素質ありそうなのに、、、、(笑)

わたしはミュ−ジカル大好きな上にこの曲もハマっちゃったのでCDリリースされたらきっと買いますよ!

週末は何を観るのかな?
やっぱりミリオネア、ですよね?!
(ゴリ押し

Posted by: mig | April 17, 2009 12:42 AM

PS

ゴス伍一殿
今回の画もかわいいです★

Posted by: mig | April 17, 2009 12:43 AM

>migさま

おはよ-さんです。お返しありがとうございます!

お名前、考えてみたら無断リンクだったな。ごめんなさい

まるでダメだったわけではないんですよ。ただノリに少々ついていけなかっただけで。少なくとも見て損はしませんでした
東京まで観にいって、心の底からガッカリしたのは『リボルバー』(笑)
ま、それも今ではいい思い出です

これXのYOSHIKIが音楽担当してたんですよね。そういえばXの歌詞にもよく「流血の~」とか入ってたっけ

『ミリオネア』はもちろん見ますよ! みのもんたじゃないやつね! 例によって出遅れレビューになると思いますけど
毎度お褒めの言葉もありがとうございますm(_ _)m

Posted by: SGA屋伍一 | April 17, 2009 07:59 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 人間、中身で勝負 ダーレン・リン・バウズマン 『REPO!』:

» REPO! レポ / Repo! The Genetic Opera [我想一個人映画美的女人blog]
『ソウ』の2〜4の監督、ダーレン・リン・バウズマンが生み出した 最高にダークでゴスな幻想世界{/m_0150/} なんだかよくわからんけどこういう感じ好みっぽいので楽しみにしてました{/ee_3/} やっと日本でも今月公開。(順次、全国へ)ちょっとだけ早くシネマライズでの試写で観てきたよ〜{/m_0155/} 画像たっぷりだけど、肝心なストーリーのネタバレはなしで。 遊び心たっぷりなアメコミ風なオープニングから最後まで、確立した世界観がスゴい{/m_0158/} まさに生の舞台(オペラ)を... [Read More]

Tracked on April 17, 2009 12:44 AM

« 20世紀の『X-MEN』をふりかえる① 60年代編 | Main | 世界地図はタマゴ男の夢を見ない 平山夢明 『独白するユニバーサル横メルカトル』 »