20世紀の『X-MEN』をふりかえる① 60年代編
最近前ほど漫画読んでないな・・・・ いかんいかん。
そんなわけで蔵出し企画であります。もうじき本国で『ウルヴァリン』も始まることですし、アメリカン・コミックスの雄である『X-MEN』についてあらためて語ってみることにします。
アメコミにはゴールデン・エイジ、シルバー・エイジと呼ばれる時代があります。ゴールデン・エイジはDCコミックスが中心となって1930年代から巻き起こったブーム。スーパーマン、バットマンが誕生したのはこの時代です。
シルバー・エイジはマーヴル・コミックスが台頭してきた1960年代から始まる期間。スタン・リーが創造した『スパイダーマン』『ファンタスティック・フォー』『ハルク』といったキャラクターたちは、わりかし単純だったアメコミに「人間ドラマ」「社会性」といった要素を持ち込んだのでした。
そして『XーMEN』もこのシルバー・エイジに、スタン・リーの手によって生まれたヒーローたち。創刊号が出されたのは1963年9月。スタン・リーは最初『ザ・ミュータンツ』というタイトルを考えていたそうですが、上層部から「よくわからん」というダメだしがあり、「エクストラ(特別な)・メン」→『X-MEN』に変更したとのこと。
人類の中から、生まれながらにして特殊能力を持つ「ミュータント」が出現し始めた時代。人々は強大な力を持つ彼らを、恐れ、差別するようになる。自身強力なミュータントであるチャールズ・エグゼビアことプロフェッサーXは、従来の人類と新人類との架け橋となるべく、若きミュータントを集め特殊チーム「X-MEN」を結成する。
一方、かつてエグゼビアの同志であったエリック・マグナス・レーンシャーは、「人類はミュータントにより淘汰されるべき」という考えを抱き、その尖兵となる「ブラザーフッド・オブ・イビル・ミュータンツ」を結成。X-MENと激しい戦いを繰り広げる。しかしX-MENが人類のために戦っても、ミュータントであるがゆえに人々は彼らを讃えることはなく、それどころか非難の声をもって彼らを遇するのであった・・・・
初期のX-MENのメンバーは五人。サイクロップス(目からビーム)、マーヴルガール(超能力少女)、エンジェル(鳥人間)、ビースト(ゴリラ男)、アイスマン(人間雪だるま)。後にハボック(サイクの弟で衝撃波を放つ)、ポラリス(磁石女)などがメンバーに追加されることもありましたが、基本的にはこの五人を中心として話が進みます。
今でさえ押しも押されぬ人気タイトルであり、幾つものスピンオフ作品を有するX-MENですが、実は開始当初はそれほど人気があったわけではありませんでした。と言うか、はっきり言って「不人気」なコミックでありました。
憶測いたしますにおそろいのコスチュームを着たヒーロー・チームには先にファンタスティック・フォー(FF)があり、読者たちに「二番煎じ」という印象を持たれてしまったものと思われます。しかもメンバーがFFよりも地味で、話も辛気くさいときてます(笑)。スパイダーマンで掲げられた「人間の成長」というテーマはともかく、「人種差別」という論題はまだこの時代アメコミには早すぎたのかもしれません。
ところが不思議なのはこの不人気作をマーヴルがえんえんと発行しつづけたこと。余談ですが昨年映画化された『アイアンマン』も当初は相当売れなかったそうです。人気はなくとも、会社の勢いを保つためにはある程度のタイトルを出版し続けなければならなかったということだったんでしょうか? ともかく、そんな会社のお荷物が新世紀に入って映画化され、巨万の富を生み出すようになるのだから世の中わかりません。
もっとも制作側も人気を出すべくいろいろテコ入れはしていました。おそろいの地味なコスチュームを、バラバラでど派手なものに変更してみたり、いったん解散させてみたり(ただし効果がなく、すぐに再結成されました)。
さらに売り上げが危険なレベルにまで落ち込んだ60年代末、マーヴルはX-MENの作画担当に当代随一の書き手だったニール・アダムスを起用します。このニール・アダムスはコミック界のみならず美術界全般にも広く影響を与えた作家で、日本でも池上遼一や原哲夫などから深くリスペクトされています。
しかしそのニール・アダムスをもってしても(笑)、売り上げ向上には結びつかず、『X-MEN』はとうとう1970年の66号をもっていったん終了します。
それから5年の間、X-MENは再販や他タイトルへのゲスト出演などで細々と命脈を保ちます。
そして1975年、シリーズ再開とともに人気キャラ「ウルヴァリン」が登場したことにより、事態は大きく変化するのですが、それはまた別の機会に。
調子にのって①とタイトルにつけてしまったけれど、これ、ちゃんと続くのかな?
そういえば尻切れになってるコミックレビューが幾つかあったな・・・・
あまり深く考えないようにしよう(おーい)
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