南の虹のドロシー バズ・ラーマン 『オーストラリア』
これはまだ、『X-MEN』が結成されるはるか以前の物語である・・・・
ヒロインは後に「ミセス・ブス」と呼ばれることになるイギリスの伯爵夫人サラ。彼女は夫がいつまで経っても出張先のオーストラリアから戻ってこないことに豪を、もとい業を煮やし、自ら彼の地に赴いて連れ戻そうとする。
豪州に着いた彼女を出迎えたのは、夫がつかわした荒くれの牛追い男「ドロンボー」だった。
ブスとドロボーが運命の出会いを果たしたとき、オーストラリアを舞台に雄大で激しい恋と冒険の物語が幕を開ける・・・・
オーストラリアといえば観光地として日本でもすっかりおなじみのところですが、考えてみたらかの地を舞台にしたお話ってほとんどなかったような。ぱっと思い出せるところでは、忘れられがちな世界名作劇場の名作『南の虹のルーシー』、アボリジニの子供たちの隔離政策を描いた『裸足の1500マイル』(未見)・・・・ あとは『ファインディング・ニモ』のクライマックスとか。田中邦衛主演の『タスマニア物語』というのもあったか。とにかく圧倒的に少ないですね。
「ならワシが作っちゃるわい、おんどれりゃー!!」とオーストラリア出身のバズ・ライトイヤー(違)監督が言ったかどうかは知りませんが、この映画は珍しく彼の地を舞台にした波乱万丈の娯楽大作となっております。知られざるオーストラリアの近代史を知る上でも、貴重な作品と言えるでしょう。
なんでもラーマン監督は最初この映画に、恋愛映画の定番的な二つのエンディングを用意していたそうです。で、結局どちらも採用せず、「これまでにない」三つ目のエンディングを新たに作ったとか。そのエンドがどれほど意外なものなのかは、皆さんの目で確かめてみてください。
ただ確かに恋愛映画でもあるんですが、わたしが良かったのはこの映画の真の主人公がサラでもドローヴァーでもなく、白人とアボリジニに生まれた少年・ナラだったということ。とりあえずわたしはそう解釈しました![]()
最近トシのせいか、子供ががんばってる姿に弱いのです。
以下から徐々にネタバレしていきますので、未見の方はご注意ください。
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そんなわけで特に気に入ったのは、中盤で黒人の子供になりすましたナラが、たどり着いた街で映画『オズの魔法使い』に見入るところ。「映画が観たい」という前からの願いがかない、しかもその題目がサラから聞いた『オズ』だったとわかった時、彼の胸はどれほど高鳴っただろう・・・と思うと、ついついにやけてしまいます。
そしてクライマックス。太っちょの会計士の残したハーモニカ、共に働いた仲間の犠牲、おじいちゃんの神通力、サラが教えた『OVER THE RAINBOW』、子供たちと共に生きていくことを決意したウルヴァリン・・・・
彼ら一人一人の願いと決意が一つになって、どん詰まりだったナラの前に虹の道を開いていきます。こういうの、スバラシイですよね。
それでは今回は『南の虹のルーシー』主題歌「虹になりたい」と共にお別れします。
忘れないわ 星降る夜に 誓った言葉 このともし火を 消しはしないと
忘れないわ 茜の朝に 誓った言葉 若葉に染まる春を 呼ぼうと
斧撃つ響き 道開く歌声
こだまが胸に 弾んでくるの
この大空の 虹になりたい
希望に届く 虹になりたい
・・・エエ歌や・・・・ 富士山には月見草が似合うと申しますが、豪州には虹がよく似合うようです。


Comments
伍一さんー
こんばんは★
純粋にロマンティックな伍一さん、この映画気に入ったのねー★
南の島のルーシー、懐かしい♪
主題歌オープニングの方ならうたえます(笑)
わたしはどうもナラが余計に思えちゃってー、
どうせだったらもろ風と共に去りぬ並みの大河ドラマ、オーストラリア舞台バージョンやってくれたら良かったのに、なんて思っちゃいました
今回のレビューでの再発見、

伍一さん、本読んでますね!
>富士山には月見草がよく似あう。
この太宰の フレーズ わたしの名前付ける時に父がヒントを得た文なの〜
そのハナシはいつかお会いした時に
あ、そうそうウィルスミス一家が
ロビンソン一家だったか漂流する一家の話の映画化を家族で出演考えてるらしく、ひんしゅく買ってるみたいですぅ(笑)
Posted by: mig | March 15, 2009 10:28 PM
>migさま
速攻でコメントどうもありがとう~!
migさんは『サリーちゃん』も『ドラゴンボール』も見てなかったと言ってたけど、『ルーシー』は見てたんですね~ 『名作劇場』が好きだったのかな?
ちなみにOPはここで見られるっす
http://www.youtube.com/watch?v=gNk97nh315o&feature=related
>わたしはどうもナラが余計に思えちゃってー、
ははは。migさんは大人の女性の目線で見てるからねー
そこ行くと自分はいつまで経ってもガキンチョ目線だから(成長しろよ・・・)
>この太宰の フレーズ わたしの名前付ける時に父がヒントを得た文なの〜
そうだったんですか。お父さんもかなりの文学青年だったのでしょうか。わたしは太宰さんは『人間失格』と『走れメロス』くらいしか読んでないっす

もしかして本名は「ツキミさん」とおっしゃるのかな・・・? いつか正解を聞ける時を楽しみにしています
>ロビンソン一家だったか漂流する一家の話の映画化を家族で出演考えてるらしく
『ルーシー』の前にやっていた『ふしぎな島のフローネ』というアニメが、そんな話でしたっけ
ウィルも忙しそうだから、子供が小さいうちに思い出作りがしたいんでしょうね~ それに映画会社を付き合わせちゃうのが、ウィルのすごいところですね・・・
Posted by: SGA屋伍一 | March 16, 2009 08:21 AM
こんにちは~♪

相当のストレスになったわ~
くそ~~~Kめ!!(笑)
SGA屋伍一さんって、、、ロマンチックだわ~
で、、、そんなSGA屋伍一さんは映画を好意的に鑑賞されたようですね~
私もこういう映画は嫌いじゃないです♪(あれ?言い方が微妙かしから?・笑)
大味ながら、結構雰囲気に酔えました。ヒューと二コールは美しいし
問題だったのは、音が小さかったことで
鑑賞中にスタッフに言いに行くと、映画を見逃すじゃないですか~
行く・行かないで悩んじゃった~
Posted by: 由香 | March 17, 2009 10:38 AM
>由香さま
こんばんは! お返しありがとうございます!
そして由香さんが下さったTBが、当ブログの公認TB1000件目です!
おめでとうございます! かえって凶兆なような気もしますが、とりあえずおめでとうございます!
由香さんは少し物足りなさも感じられたんでしたっけ。ヒュー&ニコの注目してる人はそうかもしれませんね。わたしは割りとそれ以外のところに注目がいってたので(笑) 子供とか動物とか脇のオヤジたちとか
で、そちらのレスも読みましたが、ミスをやらかしたのは健○美炉のあそこでしたか! まったくしょうがないなー、コ○ナッチョは!
でもわたしもモーニングショー&メンズデーでいつもお世話になってるので、その点に関しては本当にお世話になってます・・・
人手が足りないのかなあ。あそこって、TOHOさんと比べて明らかに受付の人が少ないですよねー
Posted by: SGA屋伍一 | March 17, 2009 08:41 PM
こんにちは。
TB&コメントありがとうございました。
>なんでもラーマン監督は最初この映画に、恋愛映画の定番的な二つのエンディングを用意していたそうです。
あああ、そうなんですかぁ。






描きたいことがあり過ぎちゃったんでしょうね。
何だカンだで、まとまっていないような印象に終わってしまったんですよね。
多くの人がいらないと言う後半よりも、やっぱり前半の方が好きです。
この映画の良かったところは、動物たちと美しい風景の映像でした。
オーストラリアは、世界で2番目に好きな国。(ベストはニュージーランドっす)
だもんで、思い入れも強かったのですが。
想像通り、1週間後には余り心に残っていませんでしたわ。
Posted by: となひょう | March 18, 2009 07:09 PM
>となひょうさま
おはようございます。お返しサンクスです
ここだけの話ですけど、ボツになったエンドは普通に結ばれてハッピーエンドのものと、片方が死んでデッドエンドなものだったそうです
三兎を追うもの一兎も得ずってことですかねー
ただ実際のエンド、ボツエンドの片方と大差ない気がするのですが
きっとラーマン監督は「祖国についてもっと皆さんに知ってもらおう!」と熱気ムンムンでこの映画を作ったんだと思います。その熱気がお客さんに伝わらないあたりが現実の厳しいところであります
まあでも上に書いたように、わたしはけっこう楽しみました。肉牛の大暴走なんて、そうそう見られるもんじゃないしね♪
>オーストラリアは、世界で2番目に好きな国。(ベストはニュージーランドっす)
つまり・・・ ひつじがたくさんいるところが好きってことですか?




Posted by: SGA屋伍一 | March 19, 2009 07:22 AM
ユーカリの木に赤ちゃんコアラ
母さん探して枝から枝へ
葉っぱのごちそうたっぷりもらい、風の揺りかごお昼寝よ♪
ってのもルーシーの歌ですっけ?
潮風を頬に受け、裸足で駆けてく♪
はフローネですよね。
ナラくんがヘリに腰掛けて映画を観るシーンは素晴らしく感動的でしたよね~。
黒人ってゆわんといてー。
あぼちゃん。
Posted by: かえる | March 19, 2009 09:12 AM
>かえるさま
こんばんは。お返しコメントありがとうございます
かえるさんもよく覚えてらっしゃいますなー
確かその後はワライカワセミがあはははのは、見せたいなー見せたいなー森の動物ー ってな流れだったかと
この映画ではあんまし森系は出てこなかったっすね
>潮風を頬に受け、裸足で駆けてく♪
はフローネですよね。
そうですそうです。♪振り向けば白い砂 わたしの足跡
ナラくんは黒人じゃなくてアボちゃんに変装してたんですね。ごめん、ナラっち
Posted by: SGA屋伍一 | March 20, 2009 10:33 PM
こんにちは!
ルーシーとは懐かしいですねー。
んでもって、歌えますよー、この歌(^^)♪
そういえばオーストラリアでしたね、すっかり忘れていました。私はその前のフローネが大好きだったものですから。
水戸黄門を見ているような感覚で、生きるも死ぬもお見通し?(笑)波乱万丈だけど見ていて楽な映画でした。
どーだ、オーストラリアだぞ!って監督の意気込みが好きです(^^)
Posted by: たいむ | March 26, 2009 06:54 PM
>たいむさま
おはようございます! お返しコメントありがとうございます!
「フローネ」も南洋ものだったし、家族構成も似てたんじゃなかったかな
たいむさまなら「ルーシー」わかってくれると思いましたよ
わたしも永らく忘れてましたが、この映画のおかげで主題歌ともども久しぶりに思い出しました
始まったときには「また似たようなのやるんだな」とおもいました
>生きるも死ぬもお見通し?
すごいなあ。わたしは「今までにないエンド」と聞いていたのでけっこうハラハラしましたよ~ もしかして「金返せ!」といいたくなるくらいひどいオチじゃないかと(笑) そうでなくてよかったっす
Posted by: SGA屋伍一 | March 27, 2009 07:44 AM
SGAさん、こんばんは
(さっき「こんにちは」を言ったけれど、もう夜になっちゃった。)
おお、キングジョージが、王貞治現役時代なのですね!(ですよね?)
さすがSGAさん、目のつけどころが変わってるぅ~。
私もナラがすごくすごく好きでした!彼がいたからこそ、この映画がもっと好きになっちゃった感じ。
>どん詰まりだったナラの前に虹の道を開いていきます。こういうの、スバラシイですよね。
そうなんですよね!私もここ、とっても好きでした。泣いちゃったな。
戦争中のアボリジニの少年に、違う世界が開けるのだけれど、単なる文化礼賛ではなくて、想像の世界の素晴らしさ、っていうところが良くて。
私も、やたらと力の入ったオーストラリアっぷりがすごく気に入りました。
話は変わるのですが、SGAさんは『ラフ』は読みました?
須藤真利亜っていうキャラが出てくるんですが、オーストラリアのポスターを見ていて、「おー・・スドマリア。」って言って、偽名を思いつくんです。
Posted by: とらねこ | March 28, 2009 06:09 PM
>とらねこさま
おかえしありがとうございますagainです
イラストに目をとめてくださってありがとうございます
いやー、あのじいちゃんがヤリをもって片足曲げてるポーズが、なんか王さんの「一本足打法」を彷彿とさせたんですよね(笑)
ただじいちゃんが得意なのは打つほうではなく、投げる方だったようで
今回メインのキャラクターにアボリジニの少年を起用するのって、かなり冒険だったと思うんですよね。オーストラリアの人々にしてみれば、彼らにしたことは言ってみれば「暗黒面」ですから
しかしそういった負の部分にも真正面から向き合い、なおかつちゃんとした娯楽大作にしているところは大したものだと思います。ナラ役の男の子の魅力に負うところも大きかったかな
>ラフ
あだち充の漫画でしたよね? 残念ながら読んでないっす・・・ 『タッチ』までは読んだのだが・・・
スドマリアって、なんか「素泊まり」みたいですねえ。素泊まりでいいから豪州行きて~
Posted by: SGA屋伍一 | March 28, 2009 09:21 PM