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March 03, 2009

野生の狼の牙 ジャック・ロンドンあれこれ

20060411170702趣味の読書コーナー。本日は20世紀初頭に英国で活躍した作家(とずっと思ってましたが、最近になってようやっとアメリカの作家であることを知りました。あーハズカシ)、ジャック・ロンドンについて語るであります。ジャックでロンドンというと「切り裂き」の方を思い浮かべる方もおられるかもしれませんが、たぶん関係ありません。
昨年は色々とロンドンの名前を聞くことが多い年でした。映画『イントゥ・ザ・ワイルド』で主人公が愛読していたり、短編集『火を熾す』が翻訳されて話題を呼んだり・・・ あ、そんだけか。

まあそんなわけで、わたしも学生時代に読んだ三つの作品を思い起こしたりしておりました。
その作風はワイルドでシンプルで骨太。雄大な自然を舞台に、迫り来る脅威に対し、いかにして生き残るか・・・
そんなストーリーを好んでいたようです。

まず最初に紹介しますのは日本で最もよく知られている彼の作品『白い牙』。アメリカの極北の地を舞台に、狼と犬の合いの子「白い牙」の放浪の旅が描かれます。が、この話で一番すごいのは本筋とあんまし関係ない第一章。雪原を行くキャラバンが、狼の群れに付けねらわれ、夜毎に一人、また一人と消えていく描写はホラー以外の何物でもありません。谷口ジロー氏もこのエピソードに感銘を受けたお一人のようで、ある雑誌でこの部分だけ漫画化されておられました。
現在は新潮文庫版がもっとも入手しやすいようです。

次にとりあげるのは『白い牙』と並んで代表作とされている『野性の呼び声』・・・・と言いたいところですが、さきほど調べていて、わたしがずっとそのタイトルだと思っていたものは『太古の呼び声』だったことが判明いたしました・・・・ ああ紛らわしい。ちなみに『野性』の方はアラスカで酷使されていた犬ぞり犬が、己の野性に目覚めていく・・・という話のようです。翻訳によって『荒野の呼び声』だったり『野生の呼び声』だったりして、本当に紛らわしい。ちなみに原題は『The Call of the Wild』。現在では光文社古典新訳文庫のものと、『荒野』のタイトルで出ている岩波文庫版が手に入りやすい模様。今度買ってこよう・・・

で、わたしが読んだ『太古の呼び声』の方。原題は『Before Adam』。全然違うじゃねえか!
原始人が太古の環境の中でいかに生き抜いていったかを、淡々とつづったストーリー。序章で作者は「夢の中でよみがえった祖先の記憶をもとにして書いた」と述べていますが、たぶんウソです。『はじめ人間ギャートルズ』か『紀元前一万年』のようなお話かと思われる方もおられるかもしれませんが、登場人物は素っ裸な上、言葉もろくにしゃべれないので、それらよりももっと「猿」なお話。たぶん『イントゥ』のクリス君が理想とした暮らしは、彼らのようなものだったのでは・・・ と思われます。
現在は新品は手に入りにくいようです。古本屋かオンラインで探してみてください。

最後に紹介するのは『海の狼』。霧の都ロンドンでうっかり海に落ちてしまった青年ワイデンは、幸い通りがかった船に救助されます。ところがその船の船長が「海の狼」と恐れられる荒くれ男で、ワイデンは乗組員の一人としてこき使われることに・・・・
品のない言い方をしますと、文学オタクのなよなよした青年が、ワイルドな海の男たちに無理矢理包茎をむかされてしまうような、そんなお話。
人間が主人公で、しかも自分に近いタイプだったため、一番感情移入できた作品でした。ワイデンが船の下っ端と険悪になり、お互い威嚇のために包丁をガリガリ研ぎあっている場面などは、今でも強烈に覚えております。これまでに数回映画化もされているようです。わたくしちっとも見かけたことありませんが・・・・
かれこれ10年以上前にトパーズプレスで出版されたものが、オンラインでなら入手できるようです。

20060427154444
先日上京した折、某大書店をブラブラと歩いていたら、つい図書館で借りそびれていた『鉄の踵』というロンドンの著書を見つけました。自然をテーマとした上記の作品群とは違い、「ヒトラーの出現を予見した社会派小説」であるとのこと。奥付を見たら「1987年4月20日初版第二刷」とありました。すごいよ紀○国屋。これからのんびり読んでみようと思います。
『ジャック・ロンドン放浪記』や短編集も、機会があったらチャレンジしてみたいっすね。

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Comments

『白い牙』は
安彦良和キャラクターデザインで
アニメになりましたな。
内容はぜんぜん覚えてないけど。

Posted by: かに | March 03, 2009 at 11:20 PM

>かにさま

情報ありがとうございます!
知りませんでした。シリーズではなく、単発で作られたアニメでしょうかね
たしかに安彦デザインがよく似合いそうな作品です。杉野昭夫なんかもマッチしそうだなあ

Posted by: SGA屋伍一 | March 04, 2009 at 07:21 AM

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