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February 04, 2009

答えは風に吹かれているカモ 伊坂幸太郎 『アヒルと鴨のコインロッカー』

090204_180127伊坂幸太郎三冊目で、初の長編に挑戦。作者の代表作の一つと言われている『アヒルと鴨のコインロッカー』を紹介いたします。

大学進学のため仙台に越してきた青年、椎名。彼は同じ下宿の河崎と名乗る男から、奇妙な誘いをもちかけられる。友達の外国人に広辞苑をプレゼントしたいから、一緒に本屋を襲おうというのだ。
それと交差しながら、語られる二年前のエピソード。河崎と、元彼女の琴美、またその恋人のブータン人ドルジ。彼ら三人は平凡ながらも楽しい毎日を過ごしていた。しかし琴美とドルジが動物を虐待して楽しむ若者たちのグループと遭遇したことから、彼らの周りに危険な気配が漂い始める。

読み始めてまずひきつけられるのは、河崎の強烈な個性。初対面の青年をつかまえて、「広辞苑を盗みに本屋を襲おう」なんていう。なんという奇天烈さ。そして強引さ。
なぜ襲う必要があるのかと。普通に金出して買えばいいじゃねえかと。椎名くんはそのようにツッコミますが、河崎は「金で買った広辞苑はいらない」とわけのわからん答えを返します。そんな風な、まともな日本語が通じない男(笑)

この本屋を襲うというシュールな発想、村上春樹の『パン屋再襲撃』を思い出させます。ただ伊坂作品はあくまでエンターテイメントなので、一見みょうちきりんなこの行為にも、実はそれなりの理由があったりします。
ちなみにこの作品、2008年の本屋大賞を受賞しております。自分らが襲われる話を大賞に選ぶなんて、本屋さんというのはずいぶん懐のひろい方たちなんですね(笑)
過去と現在が同時進行で語られていき、やがて過去の謎が明らかになる・・・ この構成はちょうどさきごろ終了した『仮面ライダーキバ』と同じです。というか、もしかしたら『キバ』はこちらを意識してたのかもしれません。
過去編の登場人物である琴美とドルジは、現在編において名前を見せません。彼らは「現在」いったいどうしているのか? そんな疑問に突き動かされて、中盤以降はページを繰る手が止まらなくなってしまいました。

この感覚をどういったらいいのか・・・・ 決して冷たくはなく、むしろ暖かくさえあるのだけれど、その暖かさは非常に慎ましやかで・・・・ そう、「乾いている」という感じが一番近い。ちょうどこの物語のテーマ曲のように、春の乾いた風が吹き続けている、そんな感覚。
人によってはややそっけない、と感じるかもしれませんが、わたしにはこの温度がなかなか心地よかったです。
またいかにも頼りなさげな椎名くんが、見ず知らずだった河崎たちの物語を知ることで、ほんの少しだけ成長する・・・・ そんなところもとてもよかったです。

さて、この作品、少し前に映画化もされております。で、皆さん口をそろえて「映画の方がよかった」と言うんですね。友人のZくんはその理由を「自分は『風に吹かれて』を知らなかったので、小説を読んだ時ピンとこなかった」と述べていました。なるほど。あと映画の方が全体的にユーモラスな作りになっているそうです。
わたしとしては原作の方もとても面白かったんですけど。ただ、このネタを映像でどうやるんだろう・・・・ ????
とても気になります。

20061031144847次の伊坂作品はそろそろデビュー作『オーデュボンの祈り』に挑戦しようかと思っています。たしかZくんが持っていたような。
そういうわけでZくんシクヨロ~paper

 

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Comments

>Zくんシクヨロ~
 はいはい、でもまだ読めてないんですよね『オーディポン~』。どうも非日常的な世界観というものが、私は苦手なようで…。時々思い出して続きを読もうとするンだけど、どんな話だったっけ? って思って最初からやり直し、で途中でつまずくの繰り返しです。伊坂さんでつまずくことはあんまりないのですが(『死神の精度』も非日常なのにね)、なぜかこの本だけは……私にとっては鬼門ですね。
 
>ちなみにこの作品、2008年の本屋大賞を受賞しております
 あの~、すみません、これは、つっこんでくれということでしょうか?
 本屋大賞は、同作者の別の作品ですよ。
  
 
 
 

Posted by: Z | February 05, 2009 at 09:28 AM

>Zくん

おはよっす。今日もお仕事ご苦労さんです

>オーデュポン

そういえばこれのあらすじを聞いてわたしは「伊坂はいいや」と思ったんだっけなあ(笑) 自分は非現実的な話は嫌いじゃないけど、「案山子がイミなくしゃべる」というのにはさすがにひいてしまいました
にも関わらず他の作品にも手を伸ばしたZくんはえらいなあ。でなければわたしもたぶん伊坂作品を読むこともなかったろうし

>本屋大賞は、同作者の別の作品ですよ。

調べたら確かにソウでした(爆)
でもね! 文庫版の帯には「祝・本屋大賞受賞!」としか書いてないんだよ! これじゃ誰だって間違えるよ! 
・・・・というわけで出版社が悪いと思います。あとこの作品自体も過去に第何位かで受賞したみたいっす

Posted by: SGA屋伍一 | February 06, 2009 at 07:50 AM

 度々どうも。
 あんまりせがまれるもんだから、週末読みましたよ『オーデュポン~』。
 読み終わってみると、なかなかです。伊坂さんをだいぶ読んだ後に読むと、デビュー作だけに、いろんなルーツが感じられますね(世界観だとか、登場人物だとか)。
 伊坂さん自身はデビュー前&ミステリー賞応募作だったので、「案山子がしゃべるくらいインパクトがないと!」って考えて書いた節もあるようですが。

>にも関わらず他の作品にも手を伸ばしたZくんはえらいなあ。
 そういやそうだね。私の方があわない(笑) でも一番最初に読んだのが、他作品に比べてはミステリっぽい『ラッシュライフ』だったのが良かったかも。君には短編集から貸したけど、世界観が独特なので、合う人合わない人はいるだろうね。
 
 てな訳で、お約束通り本は貸しましょう。レビューよろ。

Posted by: Z | February 09, 2009 at 09:17 AM

>Zくん

毎度どうも。今日はあとでよろしこ

>あんまりせがまれるもんだから、週末読みましたよ『オーデュポン~』。

そうか・・・ わたしのおかげでようやく読み終えたわけだな! 意外と悪くありませんでしたか。そいつはますます興味津々
伊坂さんの代表作のあらすじは一通り読んだけど、やっぱりこの作品だけ群を抜いてぶっとんでるね(笑) 

>「案山子がしゃべるくらいインパクトがないと!」って考えて書いた節もあるようですが。

なるほど。世の多くの作品のように、インパクト倒れにならなくて良かった良かったcoldsweats01

Z先生は『ラッシュライフ』から読んだんだ。なんでか『オーデュポン』から読んだのかと思ってた
実はいま映画化の決まった『重力ピエロ』にも非常に惹かれております

Posted by: SGA屋伍一 | February 09, 2009 at 11:56 AM

こちらにもお邪魔しま~す♪
映画は未見ですか?
スゴク良かったですよ~原作の雰囲気を壊すことなく素晴らしい作品に仕上がっていたと思います。
私は映画も原作もどちらも良かったなぁ~

とか言いながら、私、この作品で異次元な空気は感じたんですよね~年のせいかしら?(号泣)

『中盤以降はページを繰る手が止まらなくなってしまいました』
ふふふ・・・SGA屋伍一さんはハマって読んだようですね~
私は中盤から“嫌な予感”がして、何度も読むのを止めようかと思っていました。「絶対可哀想な展開だぁ~sad」って思って。
今から考えると、他にはない良さを持った作品だったなぁ~と思います。
『オーデュポン』も伊坂ワールド炸裂ですよ~♪
楽しんで読んで下さいね!

Posted by: 由香 | February 12, 2009 at 09:04 AM

>由香さま

こちらにもありがとうございます♪
大抵「原作には遠く及ばない」と言われる映画が多いなか、こんだけ「映画のほうがいい」と言われる作品も珍しいですね・・・ というか、記憶にないです。
あ、でも由香さんは原作もよかったですか

わたしも嫌な予感はしたんですけどね~ 「そういう風に匂わせておいて、実は大丈夫だった」という展開じゃないかと、勝手に予測してました(笑) ま、誰かさんの予測はあてにならないということで

>『オーデュポン』も伊坂ワールド炸裂ですよ~♪

それではさっそく『オーデュポン』に取り掛かりたいところですが、例の平山夢明がまだ途中だった・・・・


Posted by: SGA屋伍一 | February 13, 2009 at 05:42 PM

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Tracked on February 12, 2009 at 08:55 AM

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