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February 10, 2009

バットメン・フォーエヴァー 『仮面ライダーキバ』を語る⑤

090210_125244すでに終了して三週間が経ってしまいましたが、平成ライダー第九作『キバ』を振りかえってみます。

脚本家井上敏樹氏の傾向については第三回でいろいろ書きましたが、特に『仮面ライダー』においてあった重要な特色をひとつ忘れていました。それは最初と最後で、明らかに主人公が変化しているということ。
特に『キバ』の紅渡は「ひきこもりで人嫌いでこの世アレルギー」として登場した分、終盤において立派になった姿には目を見張るものがありました。
もっともその成長とて階段をかけのぼるようにスタスタ行ったわけではなく、「三歩歩いて二歩下がる」状態を何度も何度も繰り返した後に到達できたもの。視聴者たちの中にはこのスロースピードにイライラした人もいるようですが、人間というのはそうそうグイーン!と急変化できるわけではありません。一年かけてゆっくりとその成長を描くスタイルは、そういう点では大変リアルでした。


ではぼやけた記憶を奮い起こして名場面を幾つか

・第4話 ガルルフォーム初登場。剣を口に加えて斬る、という極めて斬新なアクション。元ネタは『銀牙』だろうか
とてもかっこいいのにその後一・二度しか使われなかったのが残念
・第6話 スパイダーファンガイア糸矢大活躍の巻。過去と現在のザッピングが一番うまくいった回だったかも
ガルルさんの初変身もインパクト大でした
・第10話 音楽を愛するフロッグファンガイアの哀しき末路。これまでただのアホかと思ってた音也の地位がアップした
・第16話 チェックメイト・フォーのルーク登場のエピソード。記憶を取り戻した途端、よくしてくれた人々を瞬殺してしまうルーク。この辺の情け容赦無さが井上カラー
・第17・18話 この部分だけ脚本を米村正二が担当してるのですが、なかなかギャグが走っていてよかったです
「なぐごはいねがあ!」とか「バガニー二って本当に修行でトイレ掃除やったの?」「んなわけねーだろ」というやり取りとか
・第24話 もう一人の可哀想ファンガイアのエピソード。人間の女を愛してしまったあるファンガイア。だが彼女は不治の病にかかっており・・・ ベタだが彼女の墓の前で砕け散る怪人の姿に泣いた。
ファンガイアが恋や音楽に目覚めて「人間らしくなる」あたりはなんだか『寄生獣』っぽい
・第36話あたりから 最初はクールだった名護さんが、イクサの資格を失ったことでただの面白い人になってしまう
 「この753Tシャツを着るんだ!」とかイクサナックルに画鋲を貼り付けたり・・・・ その様は哀れでもあり、おかしくもあり
・第40話 音也暗殺をキングから命じられた次狼。しかし彼はすでに音也を殺せなくなってしまっていた。お風呂場で涙ぐむガルルさんに大爆笑。
・第41話 ずーっとひっぱってきたケンゴと渡の友情エピソードが、この回でようやく決着を見る。井上氏のことだから悲劇的な方向へ持って行くのではなかろうかと気が気じゃなかったが、もとのケンゴくんに戻ってよかったよかった
・第42話 嶋の身元を引き受けた後、嬉しそうに花を買う太牙。「ようやく嶋と本当に家族になれた」という彼の気持ちが伝わってきて、ホロリときてしまいました
・第43話 死の覚悟を決めて、カフェ・マル・タムールを訪れる嶋。嶋ちゃんとマスターのベストシーン
 この回は刺されながらも深央をかばう太牙のシーンも痛々しかった。その思いがようやく伝わったかと思いきや・・・
・第45話 キングの支配に苦しむキャッスルドランを、飛翔体に変身して解放するキバ。全編でもっともよくできたアクションシーンのひとつ
・第46話 音也臨終の場面。個人的にはここが『キバ』の中でもっとも印象深いくだり
「(息子を頼むとの言葉に)おれたちゃバケモノだぜ? お前の息子を食っちまうかもしれねえぞ?」
「・・・・頼んだぞ、次狼」
(少しの間)
「・・・・行っちまったか・・・・」

これまでの積み重ねがあるからこそ、このシンプルなやりとりにも深みがあります

・最終話 兄・太牙との激闘の果てに、渡は自分の真意を明かす。普通なら死なせるであろう太牙というキャラをあえて救ったところを評価したいです
そして最終決戦において渡に語りかける音也。やはりこの場面こそが『キバ』一年の総決算だと思います。

090210_125525商業的には決して大成功、とは言えなかった『キバ』。しかしわたしは「二つの時系列を同時進行で」という構成を、見事一年やりきっただけでも評価に値すると思っています。恐らくこの作品が正当な評価を受けるのは、今から3,4年後ではないでしょうか。
『ディケイド』ではどんな風に活躍するのかも、引き続き楽しみにしております。

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Comments

キバが商業的に成功していなかったとしたら、それは多分劇場版電王の影響が少なからずあったのではないかと思っちゃいますね~。キバ放映時に2本も作っちゃうもんだから、2008年は完全にキバに衣替えできなかった人も多かったのかもしれませんね。

それと個人的にはルークが好きなもんですから、彼が絡む所はみんな面白かったですね~。イクサやキバと戦う度に使ってた膝地獄も印象的なら、記憶が戻った途端イイ感じに見えたソバ屋のお姉ちゃんのライフエナジーをあっさり頂いちゃう大ちゃんも印象的ww
次週のディケイドはそのキバの世界なので、また大ちゃんが出てくれれば嬉しいところです。

※でも今度のパラレルキバは、ガキンチョが変身するんでしょうかね~?(^^;)

Posted by: メビウス | February 11, 2009 10:54 PM

>メビウスさま

おはよーさんです。朝はまだまだ寒いっすね・・・

>それは多分劇場版電王の影響が少なからずあったのではないかと思っちゃいますね~

次の映画も『超電王&ディケイド』ですからね・・・ 不憫です
あとよく言われてることですが、玩具販促のための演出が明らかに少なかった(笑) ブロンやシュードランやパワードイクサーなんて、せいぜい二回程度しか出てきてませんでしたからね。飛翔体ももっとみたかった・・・

>大ちゃん

といわれると『いなかっぺ大将』が思い浮かぶ世代(笑)。中の人は『グランセイザー』で格闘家のキャラを演じていたけれど、このネーミングはそういう流れから来てるんでしょうか?
退場の仕方もインパクトがありすぎでした
「おれはいいことをして天国へ行く!」って・・・・

>でも今度のパラレルキバは、ガキンチョが変身するんでしょうかね~?(^^;)

らしいですね。それはそれで面白い! あと「糸矢」なんてキャラをひっぱってくるあたり、さすがは會川昇氏であります

Posted by: SGA屋伍一 | February 12, 2009 07:22 AM

こんにちは♪

キバ登場キャラクターの中ではやっぱりガルルさんが好きでした。
あと面白い人になってからの名護さんも(笑)

女性陣ではゆりさんがお気に入り。
終盤の音也に対するけなげさにはジンとしました

ディケイドはまだどんな感じなのかつかめてないんですけど・・・
バーコードをモチーフにしているそうですね。なんで?

あと先々週くらいにテレ朝でやってた50周年記念番組の中の「仮面ライダーG」ってご覧になりました?
スマップ吾郎ちゃんが主演で、「俺のヴィンテージが芳醇のときを迎える・・・」って言って変身するの(笑)
めちゃ面白かったです!
劇場版のときにまた出てこないかなぁー

Posted by: kenko | February 12, 2009 04:11 PM

>kenkoさま

こんばんは
kenkoさんはガルルさんがお気に入りでしたよね。ワイルド系がお好きでしたもんね。そうそう、あと最初のころ「名護さん嫌い」と言ってたのを覚えてます(笑)

わたしはやっぱし音やんが面白かったかなー 二股は許せんが(笑)
あと同情したのは太牙・・・

女性陣では真夜さまの美しさにやられました

ディケイドは自分的にすんげー盛り上がってます! 9年間ずーっと見てきたものが一番楽しめる作品ですね、あれは
でもkenkoさんも見てやってください!

>「仮面ライダーG」ってご覧になりました?

みたみた(笑) ゴローちゃんはワインにではなく自分に酔ってましたねー 
平成ライダーの先輩方には「声かけるだけかよ!」とつっこんだりして。あと特別出演の次狼さんのあまりのあっけなさに笑いました

Posted by: SGA屋伍一 | February 13, 2009 05:50 PM

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Tracked on February 10, 2009 08:52 PM

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