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February 23, 2009

日落ちる処の剣士 アグスティン・ディアス・ヤネス 『アラトリステ』

090223_120741その男は誰よりも勇敢だった。
時に神の手を操り、時にマスコミに噛み付き、今またアルゼンチンを率いて世界に挑もうとするその男。
彼の名はディエゴ・マラドーナ・・・って、あれ?

スペインの著名な冒険小説を、ヴィゴ・モーテンセン主演で映画化した作品。
エリザベス・ゴールデンエイジにボロ負けして、斜陽の一途をたどるスペイン。その中にあって、己の誇りを胸に戦場を駆け続けた剣士、アラトリステの半生が語られます。

大概スペクタクルものというのは、主人公が国を動かすくらいの英雄で、わかりやすい起承転結があったりするもの。しかしこちらの主人公アラトリステは架空の人物の上、晩年にいたるまで一兵卒に毛が生えた程度の地位でしかありません。ですから当然歴史を左右したりもしません。お話も彼の関わった事件・戦いを順々に追っていくような構成。なんだか連続ドラマの総集編のような趣であります。
しかしそんなペーペーな貧乏侍の、日常をも混ぜた話だからこそ、アラトリステという人物がとても親しみやすく感じられます。山田洋二監督の「がんす三部作」にも通ずるテイストですね。
剣さばきに関しては無類の器用さを見せながら、処世術や金儲けにはてんで疎く、好きな女をいつまでも諦めきれないアラトリステ。そのスタイルとあいまって、エドモン・ロスタンの「シラノ・ド・ベルジュラック」なども思い出しました。あるいは「不器用ですから・・・」とつぶやく高倉健か。
そんなアラちゃんの人生を、成り行きで預かることになった戦友の遺児や、彼を慕うマドリードの女優、一癖ありそうな謎の剣客などが彩ります。

ストーリーよりも、雰囲気を味わうような映画。幼少のみぎり『三銃士』に親しんだ身としては、つば広の帽子に細身の剣で、マントを翻しつつチャンチャンバラバラをやられるとそれだけで燃え上がってしまうものがあります。
ただ剣豪ものというよりかは、「ハードボイルド」という言葉の方がしっくりくる作品。
「後ろ盾など何一つ無い身でありながら、権力者には決して屈しない」「信念のためには友とも戦うことも辞さない」「薄暗い夜の街での死闘」「勝利を得ても栄光には程遠い」「共に命をかけた仲間との友情」
そんなハードボイルドの醍醐味がパンパンにつまっておりました。
そしてアラトリステの哀愁を帯びた背中に、スペインの歴史ある町並みや、雄大な自然の風景がとてもよく似合います。

当時の戦争の非常にリアルな描写もありますので、史劇ファンはそういったところも楽しめるかと思います。大砲が絶えず鳴り響き、時には真冬の川や、毒ガスの漂う坑道にまで入っていかなければならない
わたしは屋外の肉体労働なんで、雨の日なんかは「かったりーなー」と思ったりするのですが、アラちゃんの職場に比べれば、まだ全然マシでした(笑)

090223_120807アラゴルンに続いて、アラフォーくらいの剣豪を演じたヴィゴ・モーテンセン。この調子で行くならば、次は三銃士のアラミスか、三十六人斬りの荒木又衛門あたりだと思うのですが、いかがでしょう。
個人的には荒木さんの方を希望。
もう大体上映終っちゃったみたいなんで、興味を持たれた方はDVDが出るまでお待ちください・・・

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Comments

こんにちは!
イラストさえてますねー。
気になってた映画ではありますが、なかなか劇場へいけなくて・・
ベンジャミン、早く観たいよー。

>ただ剣豪ものというよりかは、「ハードボイルド」という言葉の方がしっくりくる作品。

なるほどヴィゴに似合いそう。
こちらでは終わってしまってるので、DVDでみますね。

Posted by: アイマック | February 25, 2009 12:58 PM

>アイマックさま

こんばんは! さえないイラスト持ち上げてくださってありがとうございます!

アラゴルンの時はあまりそうは思わなかったけど、『イースタン・プロミス』や本作を見ると「ヴィゴって哀愁の似合う男だなー」と強く思いました

自分ももう少し背中にハードボイルドを漂わせたいものです(笑)

『ベンジャミン』はやく見られるとよいですね。『チェンジリング』は昨日見てきたので、記事書きましたらまたお邪魔します!

Posted by: SGA屋伍一 | February 25, 2009 09:23 PM

トップのイラストのアラちゃん,超クール!ですね。

そっか,ヴィゴはいつの時代もやっぱりハードボイルドが似合うのね。
50になってもいつまでもカッコいいです。
ところで三銃士お好きですか~
私もあのシリーズは小学生のころにハマりましたよ~
3人の中ではアラミスが一番好きでした。
映画化された三銃士ってレオくんの「仮面の男」くらいしか観てないですが
あの映画もガブリエル・バーンやマルコヴィッチ,アイアンズなど素敵なおじさまが三銃士を演じてました。

・・・・ヴィゴといい,オジサンのマント+鍔広帽のコスチュームって萌えますねぇ~

>わたしは屋外の肉体労働なんで、雨の日なんかは「かったりーなー」と思ったりするのですが、
>アラちゃんの職場に比べれば、まだ全然マシでした(笑)
わたしも時には肉体を酷使する職業で,若くない身体にはたいそうこたえるのですが
たしかにアラちゃんに比べればマシですわ。給料も滞らないし・・・。

Posted by: なな | July 23, 2009 12:55 AM

>ななさま

こんばんは こちらにもおいでくださりありがとうございます
LTOR,『イースタン・プロミス』、本作とどれも異なるタイプでありながら、本当に魅力的ですね。ヴィゴ。あんなオヤジになりたいものです(無理だろ)
あとななさんに怒られるかもしれないけど、彼の魅力は「微妙なくたびれ具合」にもあるような気がします(^^;

ななさんも『三銃士』お好きだったんですね。これ、意外と愛読者多いようで
マジメな話、モーテンセンはアラミスよりアトスタイプですよね。『仮面の男』も見ましたが、その昔チャーリー・シーンがアラミスを演じていた『三銃士』も見たことあります。『仮面』と違って明るいんだ、これが(笑)

夏に向けてますます労働が辛くなる時期ですが、アラちゃんのことを思い出して、お互い乗り切りましょう!

Posted by: SGA屋伍一 | July 23, 2009 10:19 PM

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