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January 03, 2009

雑技団ひとり 佐藤嗣麻子  『K-20 怪人二十面相・伝』

090103_162357新年明けましての第1弾は、現在公開中の『K-20 怪人二十面相・伝』。江戸川乱歩の『怪人二十面相』を大胆に再構築した『怪人二十面相・伝』(北村想)を、さらに独自にアレンジした作品です。

そのころ帝都では、だれもが挨拶をかわすように、「怪人二十面相」という奇妙な泥棒の話をしておりました。その泥棒は変装の達人で、誰一人として素顔を見たことがありません。ある者はゴリラーマンに似てると言い、ある者は「料理の鉄人」のようだったと言います。
サーカスの曲芸師、遠藤平吉は身代わりを探すこの怪人の罠にかかり、官憲から二十面相として追われるはめになります。果たして平吉は自分の無実を晴らすことができるでしょうか・・・・・

わたしが「原作付き」の作品に望むことはただひとつ。「こだわるなら徹底的にこだわる! 壊すなら徹底的にぶっ壊す! 中途半端が一番よろしくない!」ということです。その線でいきますと北村氏の『怪人二十面相・伝』は、原作に徹底的にこだわり、なおかつ徹底的にぶっこわした奇跡の作品でありました。

で、今回の『K-20』はかなりよくぶっ壊しておりました(笑)。予想していた通り、原作とはかなりかけ離れたストーリーとなっております。オリジナルから生かされたのはサーカスとの関わりと、「二十面相は二人いた?」というアイデア。あとはそれはもう見事な『カリオストロの城』でございました。それにスパイダーマンのテイストを混ぜた感じ。
さらに途中『ALWAYS』に寄り道したりもします。この辺はアジア諸国の貧富の差に見て見ぬふりをする、日本への批判をこめたのかな・・・とも思いましたが、単に気のせいのような気もします。
そんなわけでいろんな作品からネタをひっぱってきた分、少し収まりの悪いところがありました。途中テンポがもたつくところもあるし、会話の流れもやや気になる箇所があったり。

しかしこの映画にはそうした欠点を補うだけの魅力があったと思います。まず二十面相の仮面のデザイン。既存のイメージを踏襲しつつ、それでいてはっきりと異なる新しい「二十面相」になっていました。
塀や塔の上で繰り広げられるアクロバット&ワイヤーアクションも見ていて惚れ惚れします。なんとかとネコは高いところが好き、と申しますが、やっぱわし、高いところ好きやねん!みたいな。
終盤における伏線の張り方もまずまず見事でございました。
あとぶっ壊してはありましたが、佐藤女史、正編だけでなく、続編も含めて原作を丁寧に読んでるんだな、というのがよくわかりました。原作の脇キャラや細かいエピソードが意外な形で流用されていて、原作ファンにはうれしかったです。

わたしが『K-20』 で特に魅かれたのは、平吉と二十面相の奇妙な関係。。ここから中バレします。避難はいいですか?






はい。本来平吉にとって二十面相は、いくら憎んでも飽き足りない相手のはず。ところが色々あって二人の間には奇妙なシンパシーが流れてしまいます。
終盤二十面相は平吉に「お前ならオレの片腕になれる。一緒に来い!」ともち掛けます。わたしだったらちょい迷いつつも、「ああ、わかった!」と手を握っちゃうところなんだけどな~~~

こういう激しくぶつかりあう間隙に、ちょろっと流れる連帯感、みたいなのに弱いんですわ

090103_162426そういえば東宝さんって昔『電送人間』とか『虹男』といったヘンテコ怪人シリーズも作ってたんですよね。今回の『K-20』はそういった一連の作品へのオマージュだったのかもしれません。二コラ・テスラの電送装置も出てきたし。
ここんとこコミックやテレビドラマの映画化にばかり力を入れている東宝さんですが、怪人や怪獣のこともどうか忘れないでほしい!と、強く願います。


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Comments

明けましておめでとうございます~♪
何度も言った気がしますが(汗)、、、今年もヨロシクお願いします

で、、、原作の感想も読ませて頂きました。
映画は全然内容が違うようですね~
だから全然関係ない話をしますが(笑)、私は以前『オペラ座の怪人』にハマり、『ファントム』って本を読んだんです。
それが泣けてねぇ~まさに美しき悲劇!!SGA屋伍一さんの本の紹介を読んでいたら、それを思い出しました。
物語のキャラクターが愛されて、新しい物語として生まれ変わるって素敵なことですよね~
私も原作を読みたくなりました。

映画は面白かったです。
まさにカリオストロ+スパイダーマン+バットマンって感じで(笑)
金城君が良かったなぁ~(えっ?どうでもいい?・笑)
こういう楽しい物語なら、続編は大歓迎したいです♪

Posted by: 由香 | January 04, 2009 03:01 PM

あけましておめでとうございます!
今年も昨年同様,よろしくお付き合いのほどお願いいたします。
で,なんという奇遇でしょう!
私も新春第一弾は,この作品の予定です。(明日鑑賞予定)
なので記事は読まずに帰りますが
また感想をおしゃべりしたいです~
本来ならこれは嫌いなジャンルの作品なのですが
なんか世間でやたらと評判がいいのと
ティンカーベルやウォーリーよりは
実写でイケメンが拝めるこの作品がまだ好みなので・・・。
ではでは。

Posted by: なな | January 04, 2009 03:10 PM

こちらにもお邪魔します。
そうか、決して原作に忠実な訳でもないのですね。
壊している部分もあるのですね。
この作品、日テレでガンガンガンガン宣伝していて。
鑑賞前から、既に見た気になっちゃって。
正直なところ、私のテンションは下がりっっ放しでございました。
でも、逆にそれが功を奏したのか。
かなり楽しめた1本となりました。
ラストのどんでん返しは、何となく予想はつくけど、やっぱりインパクトがあって面白いと思いました。
これって、映画オリジナルなのですかね。
大胆不敵。( ̄ー+ ̄)

Posted by: となひょう | January 04, 2009 06:37 PM

>由香さま

おはようございます! 今年もよろしくお願いします!
原作記事、『オペラ座の怪人』を思い出されましたか。あれは良いですよね。日陰者の抱いた一途で報われぬ思い・・・ って見たことも読んだこともないんだけど(コラ~ッ!!)
それを翻案にした『ファントム・オブ・パラダイス』なら見ました。吹っ切れたお話でした・・・・

どれだけファントムと重なるところがあるかはわかりませんが、ぜひ原作読まれてみてください!

>金城くん

彼の名を知ってだいぶ経ちますが、未だに「かねしろ」と読むのか「きんじょう」と読むのか混乱する時があります。この際覚えやすいように「ガムシロくん」と覚えてもいいでしょうか?
続編は内定したらしい、と先日のスポーツ紙に書かれてましたー


Posted by: SGA屋伍一 | January 05, 2009 08:51 AM

>ななさん

おはようございます! 例によって偏差値の超低い当ブログではありますが、本年度もどうぞ仲良くしてやってください

いまごろはいそいそとお出かけの準備をされてるころでしょうか
見る動機がいかにも「消去法」って感じですが(笑)、あまり期待しなければそこそこ楽しめると思います。日本でもハリウッドと比べてそれほど遜色ない(いい意味での)ハッタリ映画ができるようになったんだなーと

ではななさんの感想をおっかなびっくり楽しみにしております

ちなみにわたしの次の鑑賞予定は、同じく消去法で『ワールド・オブ・ライズ』です

Posted by: SGA屋伍一 | January 05, 2009 09:10 AM

>となひょうさま

こちらにもありがとうございます!

プロデューサーはこれの原作にかなり入れ込んでいたそうで、10年以上前に映画化の許可を取り付けたそうです。その情熱のワリには「?」な作り方でしたが、わたしもけっこう楽しめました

ラストについては皆さん「予想ついた」とおっしゃいますが、わたしには全然読めませんでした
原作ファンというか乱歩のファンが「そんなんありかーっ!!」と激怒しそうです。ま、そこはパラレルワールドということで

Posted by: SGA屋伍一 | January 05, 2009 09:26 PM

こんにちは
記事アップしましたよ~,ご心配なく,褒めてます~
いや,お世辞でなく楽しめました,ホント。
やっぱり新春はこんなハチャメチャの楽しい作品がいいです!
ただ,この作品の随所にオマージュとして登場するらしい
「カリオストロの城」とか「ALWAYS」とかはすべて未見なので
そこらへん知ってればもっと楽しめたのでしょうね。
雰囲気はバットマン,動きはスパイダーマン,ルックスはゾロをも
思い出しました。
江戸川乱歩が見たら怒りそうなオチではありましたね。
あいつが二十面相とは,・・・「もしや」と思わないでもなかったですが
やはりあまりそうなってはほしくなかったですね~,個人的意見ですが。
私は一応,乱歩氏の「明智小五郎シリーズ」のファンだったものですから。…小学生時代。
しかし,北村氏の原作も興味が湧いてきました。


Posted by: なな | January 06, 2009 11:31 AM

>ななさま

こんばんは
楽しめたようでよかったよかった

>「カリオストロの城」とか「ALWAYS」とかはすべて未見なので
そこらへん知ってればもっと楽しめたのでしょうね

うーん。もしかしたら元ネタを知らなかったのがプラスに働いたのかも。
「あー、これはあれを真似してるなー」というのがわかると、けっこう冷めちゃったりしませんか? 自分は許容範囲でしたけど

いろんなヒーローからおいしいところ頂いてきた感じでしたが、こういう「泥棒ヒーロー」って今まで実写ではほとんどなかったので、その点を評価しております

オチはかなりやらかしてくれちゃいましたね~

>私は一応,乱歩氏の「明智小五郎シリーズ」のファンだったものですから

同志! わたしもポプラ社の「ホームズ」「ルパン」と来て少年探偵団にのめりこんだのでした。ただあのシリーズ、後半は大人向けのものを無理矢理子供向けにリライトしたものが多くて、かなり怖かったです

原作もぜひ読んでみてください! 映画よりもしみじみしたお話です

Posted by: SGA屋伍一 | January 06, 2009 11:25 PM

SGAさんこんばんわ♪TB&コメント有難うございました。

去年こういったジャンルの娯楽作で洋画の『インディ・ジョーンズ』がありましたけど、怪人二十面相・伝はそのインディの純日本風verみたいな痛快爽快浪漫活劇作品だと思いましたねw
ダークヒーロー・怪人二十面相も特撮好きにはたまらない出で立ちでカッコ良かったですし、あの仮面も漫画家の田島昭宇がデザインしたとか聞いたので、尚更ツボにはまっちゃいました♪

でも別記事にあります『青銅の魔人』というのが次の続編になるんでしょうかね~?世代交代を果たした新・怪人二十面相の更なる活躍を待ち望んでる自分としては、次回作も佐藤監督と金城武のコンビであっと驚く大サーカスを見せて欲しいものです♪

※脱線しますけど、佐藤監督の写真を見たら結構美人でびっくりしちゃいましたw

Posted by: メビウス | January 11, 2009 12:34 AM

>メビウスさま

こんばんは! お返しありがとうございます!

インディの日本風ver.か、なるほど。そういえばインディが狙うお宝も、結局やばすぎて人間の手には負えない、みたいなパターンが多かったですよね

田島昭宇氏のデザインも良かったですよね。それだけに平吉がかぶるアイマスクがどうもチャチく見えてしまって仕方ありませんでした。続編があるなら次回はもっとマシなマスクを用意してほしいものです

で、続編ですが、今回も原作をかなーり改変してしまっているので、出来るとしたらやはり『青銅の魔人』からはかなりかけ離れたものになるのでは。幾つかアイデアを流用することはあっても。実は今回の映画でも、『青銅の魔人』のエピソードが幾つか使われたりしてるんですよ

>佐藤監督の写真を見たら結構美人でびっくりしちゃいましたw

それは気になる!(笑) 検索検索!

Posted by: SGA屋伍一 | January 11, 2009 07:44 PM

コメントありがとうございました!

コチラ、壊し方が私も意外ではあったものの不快ではありませんでした!

コチラの原作は読んでいなかったのですが、ハッキリ最初に違う世界だよ!というのをハッキリ表にだしていたので、素直に楽しめましたし、キャラをいい感じに使っているというのがいいのでしょうね~

でも、、二十面相 私は素直に國村のおっさんだと、、おもいましたよ~(><)
普通に考えたら、そうなるんですよね~

Posted by: コブタです | January 16, 2009 07:25 PM

>コブタさま

お返しありがとうございます
わたしは予告編二十秒見た時点で、「これはもう別物だわ」と割り切りました(笑) でもまあ、それで正解だったかな。興収トップこそ取っていないものの、なかなか健闘してるみたいですし

>二十面相 私は素直に國村のおっさんだと、、おもいましたよ~

わたしも予告の時点ではそう思ってました(笑) んで、始まって少しして、「ああ、鹿賀丈史だったのか」と(←アホ)

二十面相はたぶんまだ生きてると思います。だって國村のおっさんだって、倒壊したタワーから何事もなく生還していたし(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | January 16, 2009 09:18 PM

こんばんは♪
深夜にお邪魔します。

わたし原作は知らなくて、予告を見た時点で
「金城武が二十面相でタイトル「K-20」ってなにそれ〜
と思いっきり萎え萎えだったのですが。
ぜーんぜん楽しめました♪平吉くんカッコイイし♪

カリオストロとかスパイダーマンとか、その他さまざまなハリウッド映画を連想させはするけれど、
それらの要素をこれだけ上手に取り込んだ監督さんは立派。
実は今日、「007」を観てきたんですけど・・・
おんなじようにパルクールで頑張っててても
ぶっちゃけ「K-20」の方が面白かったです。。。
(007、期待していただけにちょっと残念。。。)

Posted by: kenko | January 18, 2009 02:18 AM

>kenkoさま

こんばんは! お返しありがとうございます

わたしは原作にはかなり思い入れがあったほうなんですが、前から「日本でも大人向けのヒーローものを作ってほしいなあ」と思っていたので、許すことにしました
田島昭宇がデザインしてるだけあって、二十面相のマスクがかっこいいんですよね~ だから鹿賀丈史や○○×××には「マスクを外すんじゃねえ!」と思いました(笑) 外すと途端にかっこわるくなるんだもん

>(007、期待していただけにちょっと残念。。。)

・・・・・そいつは聞かなかったことにしよう(笑)
とりあえず来週あたりにでも見てくる予定

『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』はすでに見ましたので、記事書いたらまたそちらにお邪魔しますね!

Posted by: SGA屋伍一 | January 18, 2009 06:05 PM

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