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January 31, 2009

愛という字のもとに ~大河ドラマ『天地人』より① 「山の子供たち」の巻 

よろく 「よろくです~」
きへいじ 「・・・・きへいじじゃ」
よろく 「そういうわけではじまりましたね! 『てんちじん』! きょうはきへいじさまといっしょに、このどらまのみりょくをしょうかいいたします!」
きへいじ 「わしゃ、いやじゃ」
よろく 「へ?
きへいじ 「わしゃ、みんなのまえでなにかしゃべったりするのはにがてなんじゃ。おまえぜんぶやれ」
よろく 「きいてないよ~
きへいじ 「そのたいどはなんじゃ! おまえはわしのかしんじゃろうが!」
よろく 「・・・はいはい。やりゃあいいんでしょ。ええと、このどらまのみりょくはですね、まずせんごくじだいのゆうめいなひとがいっぱいでてきます。それからいけめんのおにいさんたちもたくさんでてきます! それから、ええとええと」
きへいじ 「・・・・・」
よろく 「え~~~と~~~
きへいじ 「なんじゃ、もうおわりか」
よろく 「・・・・ぐすぐす
きへいじ 「まったくやくにたたん。それでもおまえはわしのかしんか」
よろく 「・・・・いわせておけばこのがきゃあ。おまえなんかただむっつりしてるだけのむっつりすけべじゃないか!」
きへいじ 「よくもいってくれたな! なまいきだぞ! まだち○こにけもはえてないくせに!」
よろく 「だったらおまえはもうはえてるのかよ!」
おしょう 「やかましいぞ! このガキども!」
きへいじ 「やべえ。たこぼうずだ」
おしょう 「だれがタコ坊主だ! あとわしの前で生えるとか生えないとかそういう話をするんじゃない! お前らなんかに幾ら努力しても生えないわしの苦悩がわかるか!? わしの・・・ わしの苦悩が・・・
よろく 「どうせぼうさんなんだからいいじゃねえか」
おしょう 「そういう問題ではない! あとお前らのせいで格調高いこのブログがお下品になってしまったではないか!」
きへいじ 「もとからひんもにんきもないきがするけどな。でもとりあえずよろく、おまえいめーじあっぷのためになんかやれ」
よろく 「またかよー ・・・・それじゃおかあさまのことをおもってつくったうたをうたいます」
おしょう 「そうそう! そういう感じでいけば中高層のハートはゲットまちがいなしじゃ!」
よろく 「ではいきます!

ははうえさま おげんきですか
ゆうべ、すぎのこずえに あかるくひかるほしひとつみつけました
ほしはみつめます ははうえのようにとてもやさしく
わたしはほしにはなします
くじけませんよ おとこのこです
さみしくなったら はなしにきますね いつかたぶん
それではまた おたよりします
ははうえさま

よろく~♪

きへいじ 「・・・・よろく、ぱくりはよくないぞ」
おしょう 「お前、自分の言葉でしゃべっておらんな? 自分の言葉でしゃべってみい!」
よろく 「うるせえ!! わしだってほんとはこんなとこきたくなかったわい! これというのもうちがびんぼうなのがいけないんじゃ! こうなったらわしゃ、ひたすらぜにをもうけまくってやるずら! ぜにのためならなんでもするずら!」
おしょう 「だから自分の言葉でしゃべらんかい! それとヅラとか言うんじゃねえ!!
きへいじ 「なんでいま『ぜにげば』なんだろうなあ」
よろく 「ふきょうだからだろ。ま、こんなかんじでいちねんおつきあいください!」
おしょう 「バカめ! お前らの出番は今回限りじゃ!」
よろく 「ええ!?」
きへいじ 「じかいからはもうはえてるとしになってとうじょうします」
おしょう 「だからやめろと申すに!」

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January 28, 2009

かなり、ゲバラのせい スティーブン・ソダーバーグ 『チェ 28歳の革命』

090128_1740192009年は、デルトロとカストロで始まる。
精力的に作品を撮り続けるスティーブン・ソダーバーグが、「世紀のカリスマ」と呼ばれた革命家、チェ・ゲバラの生涯を映画化。その第一弾です。

1964年。キューバ革命の功労者チェ・ゲバラは国連の演壇に立っていた。アメリカの行いを猛然と批判するゲバラ。そのスピーチは彼の名を世界に鳴り轟かせた。
それと交差するように、織り込まれる革命への軌跡。ジャングルを転々とし、時に攻め、時に逃げまどい、時に交流を深め、時に訓練に励む日々。その年月の中で、彼はいったい何を思っていたのか?(ということは、直接的には語られないんですけど

チェ・ゲバラ。彼の名を最初に聞いたときわたしが思ったのは、「それは・・・ 人間の名前か?」というものでした(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい)
ご存知の方も多いでしょうが、「チェ」というのは愛称です。正式名称はエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。たぶん「お前、名前長すぎだよ! もうチェでいいよ、チェで!」ということで、こうなったんじゃないかと。気持ちは大変よくわかりますが、幾らなんでもたった一音というのは横着しすぎではないでしょうか。
その「チェ」というのは舌打ちしてるわけではなく、向こうの言葉で「やあ」とか「ねえ、君」という意味なんだそうで。ゲバラはいつもこういう風にみんなに話かけていたので、自然とそれが彼の呼び名になったというわけ。なんかやっぱり、日本とはセンスが違いますね。

ともかくそうしたエピソードから連想されるのは、「明るくほがらかで、フレンドリーな人物」というもの。そう思った理由はほかにもあるのですが、それは後編の時に書きます。

で、今回ソダーバーグ氏が描いたゲバラ氏はどうだったかというと、決して暗くはなかったですけど、とりわけ明るくもありませんでした(笑) この映画で特に多かったのは、ジャングルで座りながら何かしてるシーン。本を読んでたり、日記をつけてたり、背中をなでてもらったり、人々を教えたり診療したり。そうした姿は先のイメージとも、「伝説のゲリラ」とも違うものでした。「ひたすら生真面目で仕事熱心なおっさん」という感じです。
感情の起伏もそれほど激しくはありません。怒る時もありますが、ちゃんと正当な理由を述べてから、それから怒ります。

そんなおとなしめの人物がなぜ「世紀のカリスマ」と呼ばれるようになったのか? 少なくともキューバ革命が実現した時には「功労者の一人」であったはず。ですからその名が伝説となっていったのは、革命後・・・・国連での勇ましい演説や、その晩年の生き様が世間に知れ渡ってからのことなのでしょう。
ですからこの第一部は、「カリスマになる途上」を描いた作品と言うことができます。

自分が抱いていたイメージとは異なるゲバラに、少なからず意外な思いを抱きました。もちろんこの映画の「ゲバラ」もまた、本人ではなく、スタッフのフィルターを通して描かれたもの。真実とは異なるところもそれなりにあるでしょう。ただ主演・制作のベニチオ・デル・トロは七年の歳月をかけてゲバラを調べあげ、かのカストロからも話を聞いたということ。少なくともわたしなんかのイメージよりかははるかに実像に近いはずです。

ソダーバーグ監督は「ゲバラを神格化することは避けたかった」と語っておりました。それが全体的にドキュメンタリー調の、淡々とした作風となって表れています。戦闘場面もドラマチックに盛り上げるわけではなく、ロングにひいた絵の中に、比較的少人数でパンパンとやっています。
またゲバラたちはキューバ上陸の直後、バティスタ軍の急襲を受け82人の仲間のうち70人を失うのですが、普通ならはずさないであろうこのエピソードなどはナレーションのみで済まされています。ですから戦闘シーンの苦手な人も、落ち着いて見られるのではないでしょうか

そんな風に極めて客観的に描きながらも、作り手は「ゲバラのことが好きなんだな」というはよくわかりました。キューバ出発の直前に、静かに、しかし力強く夢を語るゲバラ。たぶんベニチオやソダーバーグがひかれたのは、武人や弁舌家としての彼ではなく、そんな混じりけのない少年のようなところだったんだと思います。

090128_174043 と、いうわけで今週末からは早くも完結編『39歳 別れの手紙』が公開。たぶん10年後の彼も外見変わってないと思うけど、この際それには目をつぶりましょう。ゲバゲバ


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January 27, 2009

仮面らいだーディケイド 衝撃の第1話プレビュー

そのいち

20080112175243200608011741522006110818154420070310134650
 
 
 

 

 


どこだ、ここは・・・・
このヘンテコな連中はなんだ・・・? どうしてどつきあってるんだ?
おーい、みんな! ケンカはよくない!
ご近所も迷惑してるぞ!
ライダー同士の戦いはやめるんだ!

090127_131943そのとき突然目が覚めた

「はっ!? なんだ、夢だったのか。よかったよかった」

仮面ライダーディケイド

     完


そのに

20080128210048「ちょっと待ってください! この夢は未来を暗示したものなんです。はやくなんとかしないと世界が大変なことに!」
「あなたは誰ですか?」
「ぼくはキバ。あなたの一個上の先輩です」
「ああ! 知ってますよ! たしか京本政樹さんでしたよね? GAROさんのケンカ友達の」
「それって去年おクラ入りにしたネタだよね・・・」


090127_131751「あなたはこれから九つの世界を旅しなければいけません」

「えーめんどくさいなあ。ギャラは幾らもらえるんですか?」

「ごちゃごちゃ抜かしてると血ィぶっこ抜くぞ、ワレ」

「・・・・すいません。行ってきます」


そのさん

090127_131832「そういうわけで『クウガの世界』へやって参りました! こちらクウガさんです」

「どうもクウガです! 九年前と名字は違うけど、一応クウガです。よろしく!」

「ああ、知ってますよ。結婚したんですよね?」

「いや、そういう事情とはまた違うんだけど・・・」


090127_131908「で、君はなにしにこちらに来たわけ?」

「・・・・あ。そういえば何しに来たんだっけ」

「おいおい、大丈夫か? キミ」

全てを墓石、全てをつなぐ。次回未定
 


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January 25, 2009

走れ不正直者 リドリー・スコット 『ワールド・オブ・ライズ』

090125_201521そろそろ公開最終週でしょうか。監督リドリー・スコット、主演レオナルド・ディカプリオの「手堅いコンビ」が贈る、中東を舞台にした諜報戦スリラーです。

今回のデカプリコはCIAきっての釣り名人。狙った獲物はだいたい逃がさない。今狙っているのは、中東のテロ組織の親玉アル・サリーム。情報を集め、策を巡らし、ターゲットに迫るカプリコ。だが獲物が近づいたその途端、育児の片手間に仕事している上司がやってきて、「いいからよこせよ」と釣竿をひったくってしまう。そして獲物を逃がす。
おまけにこの上司のマナーが最悪なため、カプリコまで漁場から入場禁止を食らってしまう。果たしてカプリコはお荷物な上司の妨害をくぐりぬけて、ターゲットを捕まえることができるのでしょうか?

・・・・・
えーとね。

『アメ・ギャン』の記事でも書きましたが、リドリー氏はわずかな例外を除けば、基本的には「男の戦い」そして「痛みの伝わる暴力」を描く方だと思います。が、共通点というと本当にそれくらいで、かなり作品によってばらつきのあるひと。燃えたぎるような感情が伝わってくる作品もあれば、徹底してクールな作品もある。ロマンスがかなり重要な作品もあれば、全く出てこない作品もある。
その辺、わたしには長年の疑問だったのですが、最近あるインタビューを読んで疑問が解けた気がしました。

「『エイリアン』『ブレードランナー』のころは全て自分でやろうとしてかなり消耗した。だからそれ以降はかなり人に任せるようにしている」

そうか・・・ ばらつきがあるのは「人任せ」のせいだったのか! たぶんストーリーはほとんど脚本家の書いた通りに作って、暴力描写だけ気合込めて撮ってるんじゃないかと。・・・ま、あくまで勝手な想像ですけど。

この作品はこれといって目新しいところが見つけられなくて、鑑賞を迷っておりました。カプリコが諜報活動って『ディパーテッド』みたいだし、中東との対テロ戦は『キングダム 見えざる敵』を思い出させるし。でっぷり太ってやさぐれたラッセル・クロウは、『アメリカン・ギャングスター』での役となんかかぶってるし。そういや最近リドリンとラッシーってやけに仲いいですよね。できてるのか?
でもまあ結局見ました さすがはベテランと芸達者。それなりにしっかりしていて、楽しめる作りになっておりました。単なる娯楽作品だけにとどまらず、社会に向けてちゃんとしたメッセージも発していますしね。

強いて目新しい点をひとつあげるとするなら、カプリコ演じる主人公がやけに親中東派である、ということ。向こうの人にも敬意を払い、親しく接し、「ここに住んでもいいかな」なんて言う。
彼みたいなアメリカ人というのはどっちかっていや少数派だと思うんですよね。実際ラッセル・クロウ演じる上司は向こうの人の命なんて屁とも思ってませんし、先に述べた『キングダム』の主人公も、ついノリで「ヤツラを皆殺しにしてやる」なんて言っちゃってましたし。

カプリコがそんな風に思うようになった理由は、はっきりと語られませんでした。恐らくそれは先の説と矛盾するようですが、リドリー監督の心情が反映されているような気がいたします。
リドリンは2001年に『ブラック・ホーク・ダウン』を中東で撮影した際、現地の人々と接していて、彼らに大いに親しみを感じたそうです。が、その公開の直前、9.11事件が勃発。アメリカと中東の関係は最悪なものとなります。
リドリー氏はそれを痛んで、2005年に『キングダム・オブ・ヘブン』を制作。アラブの人も欧米の人も同じ人間であることを訴えました。それと同じテーマが、今回でも語られていたと思います。
たぶんアカプルコ演じる主人公も、現地で生活し、共に接していくうちに中東の人々の素朴で純粋な気風に魅かれるようになったんじゃないでしょうか。なんにしても実際に接してみないとわからないものです。まあわたしも向こうの人の知り合いとかいるわけじゃないので、本当にそうなのかはわかりませんけどね

ジャイアントカプリコについても少し。最近神経をすり減らしたり、ウソばかりついてるような役が多い彼ですが、その演技には鬼気迫るものがあります。わたしにとってもてる男はすべて敵ですが、そうした頑張りぶりをみているとコイツは認めてやってもいいかな、という気がしました。
あと「認めてやる」(←偉そうだな)と思った理由はもう一つ。それは彼が筋金入りのオタクくんだからです。
「空港に降りた途端にライディーンとメカブトンを買っていった」とか、「コミコンにさっそうと現れてデビルマン限定フィギュアをゲットしていった」とかその手の話題には事欠かない彼。先日日本のコミック『AKIRA』と、アニメ『獣兵衛忍風帖』の制作を発表しました。『AKIRA』はともかく『獣兵衛忍風帖』って・・・ そんなマイナーな作品、オレでさえ見たことないぞ!?

090125_201545『AKIRA』に関しては「彼が主人公の金田を演じるのか?」という噂がありましたが、「自分は本当に納得のいくものが作りたいので、制作に徹して主演はしない」と明言しておりました。うん、なかなかわかってるじゃないか。

オタク同士がわかりあうように、人類すべてがわかりあえる時代が、早く来ればよいのですが。


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January 23, 2009

水島精二を語りたい 水島精二 『機動戦士ガンダム00』セカンドシーズンその1

090123_171708人知れぬソレスタルビーイングの犠牲により、世界統一を成し遂げた人類。だがそのあとに訪れたものは、急進派「アロウズ」による圧政であった。そしてなおも虐げられる弱者たち。そんな世界の歪みを正すため、4年の歳月を超えて再びガンダムが姿を現す・・・・

早くも折り返し地点を過ぎた『ガンダム00』セカンドシーズン。今回はちょっと趣向を変えて、監督水島精二氏の作品の特徴について考えてみます。

水島作品によく見られるのは「政府×組織ー個人」という図式。そして「テクノロジーがもたらすもの」であると考えます。代表作三作品から、それらの点がどのように用いられているか述べてみましょう。

最初は99年に制作された『地球防衛企業ダイ・ガード』(全26話)。三作品の中では最も健康的で、最も知名度の低い(笑)作品。
近未来、「ヘテロダイン」と呼ばれる巨大生物が頻繁に姿を現すようになった日本。巨大ロボット「ダイ・ガード」を駆使して、ヘテロダインを鎮圧する「21世紀警備保障」の活躍を描いた作品。
このアニメでは、「政府」はもっぱら「自衛隊」という形をとって現れます。彼らは民間の主人公たちに仕事を任せることを良しとせず、実にえげつないやり方で横槍を入れてきます。そして自分たちの力でヘテロダインを倒そうとするのですが、柔軟性にかけるためうまくいかず、結局主人公・赤木たちに頼らざるを得なくなります。ただ共に仕事をしている内に「政府」の中にも赤木らに共感を抱くものたちが増え始め、最後には手を取り合って危機に立ち向かいます。
主人公・赤木は最初こそ「ロボに乗りたい」というそれだけで21世紀警備保障に入社した軽いイメージの若者。しかし政府・会社とぶつかりあっていくうちに、やがて自分の真にすべき仕事を見出していきます。

この作品における「テクノロジー」は、巨大ロボット、ダイ・ガードに集約されています。様々な形状、性質で日本政府を翻弄するヘテロダイン。その度に赤木らはデータを集め、対処法を見つけ出し、新装備を開発してことにあたります。「ヘテロダインは自然を破壊する人類への警告」という見方もできるものの、ここでの科学技術は生き残るため、未来を切り開くために必要なものとして描かれていました。


二つ目の作品は水島氏の名前をメジャーにした『鋼の錬金術師』アニメ版(全51話)。この物語の大筋は原作者荒川弘氏が考えたものですが、便宜上(笑)ここでは水島精二作品として語ります。
こちらでは「政府」はアメストリス軍全体、「組織」は主人公の直接の上司であるロイ・マスタング大佐の一派として描かれます。両者は当初こそ限りなく一枚岩のように見えましたが、終盤に向かうにつれその対立は明らかなものとなっていきます。主人公エドはマスタングよりの立場ではありますが、彼には直接的には協力せず、自分の目的を果たすことを第一として行動します。
この作品におけるテクノロジーは、ちょっと魔法に近い気もする「錬金術」。「ダイ・ガード」に比べるとやや暗めの描かれ方です。人々の生活を潤すこともできるけれど、使い方を誤ったためにエドは体の一部を、弟のアルは肉体すべてを失います。また錬金術が軍事目的や人体実験に用いられたり・・・という描写もよく見られました。この「夢を果たすために開発された技術が軍事用に使われる」というテーマは、劇場版『シャンバラを征く者』において一層顕著なものとなっています。

このあと水島氏は『大江戸ロケット』という作品もてがけているのですが、自分はキー局の関係でほとんど見られませんでした。詳しい方、気が向いたら解説よろしくお願いします。
こちらは科学技術の研究が政府により禁じられた時代・・・天保年間を舞台に、花火の技術で月にロケットを飛ばそうとする若者の話です。


そしてこの度の『ガンダム00』。前二作とは違い、こちらでは「政府」と「組織」は最初からぶつかりあっております。ただ組織・・・・ソレスタル・ビーイング(以下CB)が目指すのはその打倒ではなく、「それらの本質を変えること」であるのが独特な点。主人公、刹那・F・セイエイは「戦争根絶」を掲げるCBの理念に賛同し、その一員として行動します。
『00』で扱われる技術は「太陽光発電」ならびに「太陽炉」。太陽光発電はエネルギー問題を解決するものの、それを保有する大国のエゴにより、国家間の格差は大きくなり、また利権をめぐる紛争をも拡大させることになってしまいます。
そこへさらに進んだ技術である「太陽炉」が開発されます。CBの面々はこのテクノロジーを、争いを激化させることなく、また公平な仕方で国々に分け与えるため、ガンダムを駆って「戦争根絶」を目指すわけです。

赤木、エド、刹那はそれぞれ組織に所属していますが、盲目的に従属しているわけではありません。彼らは自分の目的を果たすために組織の力を利用しているわけで、自分の理念が組織の方針が食い違ってしまったなら、きっぱりと組織から離れる道を選ぶでしょう。

刹那とエドは「罪びとである」という点でも共通しています。二人は少年特有の純粋さから取り返しのつかない過ちをおかしてしまいます。しかし決して自暴自棄にはならず、時に迷うこともあるものの、全身全霊をかけて贖罪の方法を探し続けます。普通の若者が持つ喜びも全て犠牲にして。「ほかに生きる道が見つからない」と語る刹那。
そのけなげな姿に、おぢさんは涙するわけです。

090123_171741半年間の休止を挟んで再開された『ダブルオー』も、いよいよ残りあとわずかとなってきました。人類は果たして科学をコントロールすることができるのか。そして主人公たちは人間らしい生き方を取り戻すことができるのか。水島監督の描く「未来」に期待したいです。

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January 21, 2009

フレンチ・コンコン リュック・ジャケ 『きつねと私の12か月』

090121_141314久々の三日連続更新。ムダにがんばってます! 本日は現在主要諸都市で細々と公開中の『きつねと私の12か月』を紹介します。

フランスの山地に住む少女リラ(お金の単位みたいな名だ)は、あるとき学校帰りの道の途中で、一匹のきつねに会う。それ以来、リラの頭に浮かぶのはきつねのことばかり。「なんとかして仲良くなりたい」その一心で、来る日も来る日も山に通いつめるリラ。やがてその苦労が実り、きつねは次第にリラの前に姿を現すようになる。果たして少女ときつねは友達になることができるのでしょうか。

これまでに一番繰り返し見てる映画は何か、と問われたら、自分は『スターウォーズ(新たなる希望)』と『皇帝ペンギン』と答えます。なんででしょうね~ 何度見ても飽きないんですよ、これが。
そのペンギンの方の監督、リュック・ジャケの新作ということで張り切って観て来ました。『皇帝ペンギン』は完全なるドキュメンタリーでしたが、こちらは一応物語であります。ただ野山を闊歩する生き物たちは当然演技をしているわけではなく、極めて「自然体」なので、自然を巧にフィクションに組み合わせた映画、ということができるでしょう。
中にはいったいどうやって撮ったのか、思わず首をひねってしまうようなシーンもあります。公式ブログを読めばその撮影方法がいくらかわかるかな、と思ったのですが、監督の言葉は「教えてあげないよ! じゃん!」でした。ケチ!
ただ主役のきつねは、多少は人間の言うことを聞いている模様。いま一人の主役を演じるベルティーユ・ノエル=ブリュノーちゃんは、きつねと親しくなるために、赤ちゃんのころから哺乳瓶で牛乳を与えていたとか。頭がさがります。

実は少女がなんでそこまできつねに魅かれるのか、ちょっと理解しがたいところもありました。きつねってそんなに子供が好きになるような動物かな、と。ずるい、こすからい、というイメージがあるし、何よりそんなに愛らしい形をしているとも思えないし。
でもこういう感情というのは、言葉では説明できないものなのかもしれません。「とにかくすっごくかわいいこでさ、オレもうぞっこん」というから「どれほどの・・・・」と思って見てみたら、「え?」ということも世の中ではままありますし。

野山の風景や珍妙な動物たちに心安らぐ反面、時折自然の怖さが垣間見えるシーンもあります。
特に印象深かったのは次の二つ

・山猫に追いかけられるきつね・テトゥ。てっきり山猫VSきつねではきつねの方が強いのかと思ってました。それとも体格次第では、きつねが山猫を追いかけることもあるのでしょうか。

・きつねの交尾の場面。「まるで戦い」と形容されていましたが、ええ、本当に野獣のようなセックスシーンでした。っていうか、野獣なんだけど。

090121_141216起伏に富んでない話は苦手、という方もおられましょうが、都会の生活に疲れた心を癒すにはもってこいの映画です。実は見終わった直後はそれほど深い感動はなかったのですが、その後ラストのモノローグを思い起こすほどに、胸にじんわり、じんわりと来ます。

またしても予告編が見せすぎなので、これからご覧になろうかという方は、再生して20秒辺りで止めておきましょう。

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January 20, 2009

帰ってきた地獄くん ギレルモ・デル・トロ 『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』

090120_124357まずはさらっと前作のあらすじから。
第二次大戦末期、ナチスは戦局打開のために、魔界から怪物の子供を呼び出した。「ヘルボーイ」と名づけられた彼は心優しき科学者に育てられたため、いい年こいて恋にモジモジしてしまうような恥ずかしいオッサンに成長してしまう。なんとか告白に成功し、ついでに魔界の王位継承問題にもひとまずケリをつけたへルボーイ。彼にさらなる冒険が待ち受けていた・・・

いやあ、ギレルモ・デル・トロはすごいですね。『ブレイド2』『ヘルボーイ』ときて『パンズ・ラビリンス』のような作品を撮れるところがすごい。そしてまた『ヘルボーイ』に戻ってきてしまうところがさらにすごい(笑)
今回はヘルボの出自とかはあんまり関係なく、公害問題に憤ったエルフの王子様が、かつて人間を滅ぼしかけた不滅のからくり軍団を復活させようとする、というストーリー。当然ヘルボはその野望を食い止めるべく奮闘するのですが、王子から「お前は我々の側の存在なんだから味方になれよ」と言われて、ちょっと悩んじゃったりするわけです。またそれとは別に恋人のリズが抱えているある秘密も、ヘルボにプレッシャーをかけます。

本当は原作のヘルボーイは色恋のことなんかに全然興味のない、実にストイックなキャラクターでありまして。そのヘルボさんが「彼女がなんか怒っててボクどうしたらいいんだろう」なんて言ってるのには、正直違和感をぬぐえなかったりします。でも「ごつい顔してるわりにそういうところがカワイイじゃない」という女性ファンもおられるようなので、まあよしとしましょう。

それにどっちにせよ、主人公の葛藤とかはあんまし印象に残りません。なぜかといえばそれはもう画面がにぎやかすぎて、お話にあまり注意が行かないからです。
とにかく背景、小道具、クリーチャーがいちいちよく作りこまれていて。ギレルモさんにせよ、ミニョーラさんにせよ、「なにもここまでやらくてもいいのに」と思ってしまうくらいです。でもやっちゃう(笑) そんな「絵描きバカ」のスピリットがビンビン感じられて、こちらもバカ面白かったです。

そしてヘルボーイの仲間たちがまた面白い。前作から引き続き登場のおっとり系半魚人エイブ。同じく前作にも出ていたヘルボの恋人リズ。ちょっと頭に来ると周囲のものを片っ端からパイロキネシスで燃やしてしまうという、危険極まりないヒロインです。
さらに本作から登場のオリジナルキャラ、ヨハン・クラウス。地球上なのにいつも宇宙服を着ているキャラクターなんですが、顔があるべき部分にはなんとただ蒸気がもわもわ漂っているだけ。本当にお前ら、どうしてこうそろいもそろってキャラ立ちまくりなんだと。
その上メイン・脇役に関係なく、誰かが画面の中でひっきりなしにネタをやっているので、まっこと油断なりません。

そんなわけで全体的にうっかりちゃっかした内容。作り手もそんなに深い意味は込めてないだろう・・・・と思いきや、監督のギレルモ氏は「『ヘルボーイ』には僕の自伝的側面がある」なんて語っていたりします。なんですとー!
あんた、やっぱり魔界の出身だったのか!
 ・・・いや、もちろんそういう意味ではなく。
一作目でのヘルボと育ての親との死別。そのシーンには97年、ギレルモ氏の父親が誘拐された時の心情が反映されているとのこと。まあ氏のお父さんは無事帰ってきたそうですけど。あれ?
そして今回のストーリーには、「自分が父になると知った際の戸惑い」をそのままヘルボに再現させているそうです。ほかにも知人が見ればすぐに「ああ、あの時のあれか」とわかるようなセリフが多くあるとか。ギレルモさん、あんたやっぱし、ちょっと変わってるよ。

えー、なんかうまく書けてないですけど、とにかくこの映画面白かったです! 少なくともこんなに絵作りの点で豪華な作品はそうないでしょう。

原作については前にちょこっと書いたことがありましたが、あれからまた新刊も幾つか出たので、新たにリスト書いておきます。

第一長編 『破滅の種子』
第二長編 『魔神覚醒』
(以上小学館プロダクションより)
第三長編 『妖祖召還』
第四長編 『人外魔境』
第五長編 『闇が来る』
(以上JIVEより)

第一短編集 『縛られた棺』
第二短編集 『滅びの右手』
(以上小学館プロダクションより)
第三短編集 『プラハの吸血鬼』
(JIVEより)

特別編 『バットマン/ヘルボーイ/スターマン』
(小学館プロダクションより)

第一、第二短編集、お呼び特別編以外は、現在すべてオンラインより入手できます。
090120_124418映画とはまた違ったシックな味わいな『ヘルボーイ』も、どうぞご覧になってみてください。
とりあえずは第一長編『破滅の種子』からどうぞ。

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January 19, 2009

適当掲示板76&ギャラリーSGA 三年目のムラっ気の巻

2009年最初の掲示板でございます。ご意見、ご感想そのほかありましたらこちらに書き込んでやってください。

今回はお見苦しいことは重々承知の上ですが、ネタもないので昨年書き溜めた落書きなぞを乱貼りしてみます。
それじゃさっさと参りましょうか。コメントは向かって左側の絵から書いてあります。

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「1998年の映画を振り返る」で描いたスポーン。彼今どうしてるんだろう。
『エリザベス・ゴールデン・エイジ』の関係で描いた初代「ジョジョ」ジョナサン・ジョースター
『あつ姫』のどっかの記事で描いた和田アキ子
『指輪物語 二つの塔上一編』で描いた森の妖精(笑)エント。そういやこの記事中断しっぱなし・・・

この中では和田がまあまあよく描けてるかと。ただどっかのHPのイラストをなぞり描きしたものなので、似ているのは当たり前なのです。


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映画『つぐない』より、ちょっとイメージの入ったブライオニー
『はじめの一歩』より鷹村さん。映画『ぜんぶ、フィデルのせい』の記事で描きました
『ハチミツとクローバー』より微妙に似てない竹本くん
『ナル二ア国物語第二章』よりかなり似てないカスピアン王子


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『コードギアス 反逆のルルーシュ』よりルルーシュ。彼は三回描いたけど、まあこれが一番まともじゃなかろうかと
みなもと太郎先生の『雲竜奔馬』もしくは『風雲児たち 幕末編』より千葉さな子お嬢。みなもとセンセのさな子さんは、本当は茶髪なんですが(笑)
『スピードレーサー』の記事で描いた『チキチキマシン猛レース』のケンケン。なぞり描きです
映画『インクレディブル・ハルク』より・・・というか自分のイメージのハルク。はるくおこった! はるくつよい!


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映画『ダークナイト』よりジョーカー。携帯変えて初めて撮ったイラスト。ヒース・レジャー哀悼の意を込めて
映画版『デトロイト・メタル・シティ』より松山ケンイチくん演じる根岸くん。ワリと気に入ってます
映画『白い馬』より白いハンサム馬。これもわりと気に入ってます
マンガ『舞姫テレプシコーラ』より六花ちゃん。六に花と書いて「ゆき」と読みます


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小説『アルスラーン戦記』より勇将ダリューン。一応天野嘉孝氏の絵を参考に描きました
漫画『海街diary』の記事で描いた『ラヴァーズ・キス』版藤井朋章。このころの吉田先生のキャラは、基本的に顔が縦長ですね
映画『D-WARS』の記事で描いた適当ヨン様。パン二ハム、ハサムニダ
そしてこないだの記事で描いたばっかりの篤姫さま。一応宮崎あおいに似せたつもりなんですが、どうでしょう


えー、とりあえず今年もこんな感じで描き散らしていこうかと思います。昨年も書きましたがピクチャーはフリーダムです。ヘタクソだっていいじゃない! 答えは聞いてない! ということで。


さて、記事とは関係ないのですが、二年の長きに渡ってお世話になっていた睦月様の映画ブログ『カリスマ映画論』が先ごろ長期休業に入られました。さびしいことこの上ありませんが、ここは静かにカリスマの復帰を待とうと思います。
そういうわけで睦月さん、どうもお疲れ様でした! お帰りを心よりお待ちしております!
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January 16, 2009

ピクサーの13年間を振り返る ピクサー作品総括

090116_183005CGアニメの先駆者にして第一人者でもあるピクサー・アニメーション・スタジオ。今日はそのこれまでの歩みを振り返ってみます。といっても、もっぱらウィキぺディアで得た情報をもとに憶測を巡らしたものなんで、その辺ご了承ください

まずはピクサーがこれまでに作り上げた長編アニメのリストを。

1995年 - トイ・ストーリー (ジョン・ラセター)
1998年 - バグズ・ライフ (ジョン・ラセター)
1999年 - トイ・ストーリー2 (ジョン・ラセター)
2001年 - モンスターズ・インク (ピート・ドクター)
2003年 - ファインディング・ニモ (アンドリュー・スタントン)
2004年 - Mr.インクレディブル (ブラッド・バード)
2006年 - カーズ Cars (ジョン・ラセター)
2007年 - レミーのおいしいレストラン(ブラッド・バード)
2008年 - WALL・E/ウォーリー (アンドリュー・スタントン)

こうして見ると、ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン、そしてブラッド・バードがどうやらピクサーの三本柱であることがうかがえます。ただバード氏の『レミー』への参加はイレギュラー的なものであり、次回作もワーナーと共同の実写ものであることを考えると、ピクサーの中ではサブ的な存在なのかな、という気がします。

それに対してスタントン氏は初期五作全てに脚本、もしくは監督でからんでいますし、新作『WALL・E』でも監督を務めていますから、ピクサーにおける中心人物とみて間違いないでしょう。
ですがこのスタントン氏、いくら検索してもなかなか人となりの見えない謎の人物でもあります(笑) なんせグーグル二ページ目でここの記事が出てくるほどに、情報が少ない。わかるのはせいぜい「SFオタクである」ということくらい。関連本や英語サイト見ればもっと色々わかるんでしょうか。何かご存知の方、情報お待ちしてます。

さてリストに戻りまして、最初の三本・・・・『トイ・ストーリー』『バグズ・ライフ』『トイ・ストーリー2』、この三本までがピクサーの「第一期」であると、わたしは考えております。
どれも監督ジョン・ラセター、脚本アンドリュー・スタントンで作られていますし、後の作品に続くおおまかな枠組みも、この三本で確立されております。またこれらの作品の成功により、「CGアニメは商売になる」ということが実証されました。

第4作『モンスターズ・インク』以降、ラセター氏は「製作総指揮」に回ることが多くなり、監督は複数の人物が入れ替わり立ち代り努めるようになります。これにより、ピクサーのラインナップはよりヴァラエティ豊かなものになっていきました。
このころから他社やディズニーご本家も積極的にCGアニメを作るようになり、ピクサーもあぐらをかいてはいられなくなるわけですが、現在までのところ、独創性、質の高さ、業績・・・・ どれをとってもやはりピクサーが一歩抜きん出ていることに異論はないでしょう。
さらに目に付く変化として、『モンスターズ・インク』までは脚本家が三人も四人もいたのですが、『Mr.インクレディブル』以降はほぼ監督が脚本を兼任するようになりました。より作家の個性が出しやすくなったのでは、と考えます。

さて、第一作からディズニー共同で作品を作り続けていたピクサーですが、2006年の『カーズ』を持っていったん契約が終了。ラセター氏は久々に自ら監督を努め、「ディズニー時代」の総決算とするつもりでいたのでしょう。
ところが両者はすっぱりお別れということにはなりませんでした。未だにどういう経緯かよくわからないのですが┐(´д`)┌ヤレヤレ ともかく2006年5月を持ってピクサーはディズニーの完全子会社となることが決定。ラセター氏がディズニー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したことを考えると、一方的に言いなりになったわけではないとは思うんですが。

第8作『レミーのおいしいレストラン』(原題は『ラタトゥイユ』)は、こうしたごたごたの直後に作られました。おまけにこの作品は「監督が途中で降板する」というアクシデントにも見舞われたのですが、そいつをいったん仕切りなおしてあれだけのものを作り上げ、アカデミー賞まで持ってってしまうブラッド・バードの力量には、ほとほと感服するほかありません。

そしてようやく落ち着いた環境のもとで作られた最新作『WALL・E』。わたしはこれをもってピクサーの「第三期」が始まったと考えています。実写ともみまがうほどの背景には、「これまでとは違うよ~ん」という再出発への意気込みが感じられました。


話は変わりまして。
わたしのピクサーBEST5は

①Mr.オクレ ②トイ・ストーリー2 ③ニモ&ウォーリー ⑤チュウ公の多い料理店

といったところなのですが、『WALL・E』の記事でコメントいただいた方々の「一番好きな作品」を勝手に集計いたしましたら、次のような結果となりました。

3票:モンスターズ・インク
   ファインディング・ニモ

1票:トイ・ストーリー
   トイ・ストーリー2
   カーズ
   WALL・E

映画ファンの皆さんの間では、『モン・イン』と『ニモ』の評価が高いと見ていいのでしょうか。そういや『モン・イン』は松本人志も絶賛していたそうで。
その『モン・イン』監督のピート・ドクター、これ一本撮ったきりどこへ消えたのかと思っていたら(実際は短編とか製作とかやってたらしいです)、次回作『カールじいさんの空飛ぶ家』(原題は『UP』)では久々に監督を務めるそうです。
その予告編↓
http://jp.youtube.com/watch?v=I789Pr5wLUc
うしゃー これまたすんごい面白そう。ああ! もうアタシ我慢できない!ヽ(;´Д`ヽ)(ノ;´Д`)ノ
でも全米では5月公開なのに、こちらでは年末公開・・・・ このタイムラグを何とかしてください。

090116_183023さらにそのあとには唯一のシリーズ作品である『トイ・ストーリー3』も控えております。暗い時代だからこそ、ピクサーにはこれからもすばらしい夢を描き続けていってほしいものですね!

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January 14, 2009

ブタは肥えているか? ジョン・ハラス&ジョイ・バチュラー 『動物農場』

090112_124956わたしも最近知ったんですが、ジブリさんは知られざる名作アニメの発掘・紹介にも力を入れておられるみたいですね。この『動物農場』もその一本。1954年にイギリスで制作されたカラーアニメです。

舞台はとある農場。主人ジョーンズに虐げられていた家畜たちは、長老ブタ(メジャー)の遺言に従い、反乱を企てる。リーダーのスノーボール(白ブタ)の指揮の下、家畜たちは革命に成功。ここに動物たちの動物たちによる動物たちのための動物王国・・・じゃなくて動物農場が誕生する。家畜たちの将来は明るいように思えた。だが欲深いナポレオン(半黒ブタ)が支配者になるべく陰謀を企んだことにより、農場には暗雲がしのびよっていく・・・

原作は『1984年』が名高いジョージ・オーウェル。見かけこそそれなりに可愛らしい動物アニメですが、内容はかなりシビアです。具体的に言うと、内ゲバとか血の粛清とか、酷使されたあげくに処理工場行きとか
劇場にはジブリ関連ということでか、お子さんたちの姿もありましたが、きっとドンびきしてたと思います。

オーウェルの原作は、理想からだいぶかけ離れて、一部の者のみに富と権力が集中していたソビエト共産党への批判をこめて書かれたとのこと。
その線でいきますと
メジャー・・・・レーニン
スノーボール・・・・トロツキー
ナポレオン・・・・スターリン
ということになるんでしょうか。
ただ「ナポレオン」という名からもわかるように、このお話、フランス革命にもあてはめられるんですね。ですからソ連だけに限らず、歴史にありがちな光景を巧みに戯画化した作品ということができるでしょう。

あとアニメ版はコミュニズムを嫌っているのではなく、むしろその理想が達成されることを願っているように感じられました。 そしてそれを妨げている者たちの姿は、これ以上ないほどに醜悪に描かれております。
やっぱしいつの世もいるんですねえ。「基本的には子供向け」ということを承知の上で、自分の情念を叩きつけちゃう人が。アニメに(笑)

この作品に満ちている社会の不公正に対する怒りは、若き日の宮崎駿の心を強くとらえたようです。『未来少年コナン』などを見ていただけたらおわかりかと思いますが、この方は一時期やや左よりの思想に傾倒しておられたようです。ディズニー・手塚ではなく、東欧のアニメを主にリスペクトしていることもその表れなのかもしれません。
最近はその辺に関しては丸くなったんじゃないかな、と思っていたのですが、フライヤーを見るとなかなか過激なことをおっしゃってます。

「セレブって豚のことでしょ? 今、豚は太っていないんだよね、ジムなんかにせっせと通ってスマートだったりするから」
うっひょ~ きっつ~
でも確か宮崎さんも自画像ではご自分をブタに描いてはおられなかったか?
・・・・・・
天才ならではのニヒリズムってヤツなんでしょうか。よくわかりません。

まあ思想臭くてもいいんです。面白ければ。実際世の中には思想臭が濃くても、十分に面白い作品がたくさんあります。代表的な例で言うと・・・・ 『男組』とか?

090114_183017『動物農場』もそんな作品のひとつです。ちょいとストーリーにとストレスがたまる方もおられるでしょうけど、このアニメは実にエキサイティングでスリリングです。また映像的にもアニメならではの面白い表現がいろいろ使われておりました。かといってひろく一般にすすめられるかというと・・・ やや微妙なところなんですが。

とはいえ映像表現や古典アニメに興味のある方は、見ておいてまず損はないでしょう。『動物農場』は現在ひっそりとリヴァイバル公開中です。


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January 13, 2009

あつ姫じゃ~っ!! ~大河ドラマ『篤姫』より⑰(完) 女の道はレヴォリューショナリー・ロードの巻

あつ姫 「あつ姫じゃ~ッッ
小松 「小松帯刀で~す
西郷 「西郷隆盛にごわはんど~ッッ
あつ姫 「おう、みんな最後だけあって気合入ってんじゃねえか!」
西郷 「もちろんでごわす! これでようやく誰かから離れられ(グサッ) アウチ!」
あつ姫 「(ずぶずぶ突き刺しながら)んっとーにテメエは最後まで変わらんなー」
小松 「て、天璋院さま。実はお話が・・・・
あつ姫 「なんだ、言ってみろ。言っておくがこれ以上不愉快にさせんじゃねーぞ」
小松 「・・・・ じ、実はバッキンガム宮殿もしくはベルサイユ宮殿移住の件、なかなかに難しく、未だにメドがたっていないのです・・・」
あつ姫 「ああ、あの話ならもういいよ」
小松・西郷 「ええ!! なんでまた。助かったけど
あつ姫 「だって今の大河の面子見てみなさいよ! 妻夫木に小栗くんに城田優よ!? もうアタシ我慢できない。NHKにかけあって、是が非でもあっちに出してもらわなきゃ」
西郷 「おそれーながらー、天璋院さま。あちらは今から2百ウン十年前のお話でごわすよ。幕末のキャラが出るにはどうにも無理があるのでは・・・」
あつ姫 「『あずみ』だってまた幕末で仕切りなおしてるんだから、アタシが戦国に行ったっていいじゃない! 適当にご先祖様とかいうことにしてさー」
小松 「あと天璋院さまの正式な転生先はすでに決まっているのです。時は平成の『少年メリケンザック』という題目です」
あつ姫 「・・・・・納得いかねえな。タイトルからするといま流行のレトロヤンキー映画か? まあ最近はイケメンが主役やってることが多いから、出てやったっていいけどな。共演者はだれだ?」
小松 「・・・・・・佐藤浩市, 木村祐一, 田口トモロヲ, ユースケ・サンタマリア。こんなところですかね」
あつ姫 「 ありえない  何、そのクドすぎる面子 アタシの・・・・アタシのイケメンはどこに行ったの? ああ・・・もうダメ・・・ あたし耐えられない・・・・」
小松 「もしもし? 天璋院さま?」
あつ姫 「(虚脱)」
西郷 「どうやら灰になってしまわれたようでごわす」
小松 「仕方ありませんね・・・・ 二人で一年を振りかえってみるとしますか。西郷さんにとっての一番の思い出は?」
西郷 「そうでごわすな・・・・ 奄美大島の台風はハンパじゃなかったでごわす」
小松 「 ・・・・でしょうね」
西郷 「あと何が悲しくて坊さんと心中せねばならないかと。どうしておいどんのそばにはオナゴがよってこないのかと
小松 「それはお父さん譲りのそのお顔のせいではないでしょうか」
西郷 「ひどいでごわす! えなりかずゆきに言われる筋合いはないでごわす!」
小松 「ふふん。こう見えてもわたし一般ドラマでは人気ありますもんね~ ・・・・ただ『ラストフレンズ』とかぶってたときは、本当死ぬかと思いました」
西郷 「っていうかおいんどんたちもう死んでるでごわすし・・・・」
小松 「またそうやって話をややこしくする まあ最終回まで生きながらえられたことを感謝しましょう。そういや第一回から本当にたくさんの方を見送りびとしてきましたよね。調所亭笑左衛門さんに、バカ殿さまに、E大老に、千秋先輩に・・・・」
西郷 「どなたもこなたもイロモノばかりでごわすな。島津のナリアキさまに、水戸のナリアキラさまに・・・・」
小松 「? 島津がナリアキラさまで水戸がナリアキさまでは?」
西郷 「そうでごわしたか? まぎらわしいでごわすなあ。もうこの際両方成田アキラでよかでごわす」
小松 「やめましょうよ、そういう話は。なんかあちら・・・というかこちらか。ああややこし。悪口はよく聞こえるようにできてるみたいですから」
西郷 「・・・・・地獄耳、ちゅうことでごわすか。(トゥルルルルル) ひいい! 待ち受けに骸骨が!」
小松 「いわんこっちゃない。ま、ほっときましょう。まあ結局一番最後に残るのは、一番しぶとい人、したたかな人ってことですよね」
西郷 「それに関しては全く同感でごわす」
あつ姫 「なんか言ったかお前らあ
小松 「ひいいい!!」
西郷 「ご、ご無事でごわしたか
あつ姫 「当たり前田のクラッカーよ!!(古すぎ・・・) わかったぜ! 女の道は一本道! やっぱりこれからもイケメンゲットに向けて励めばいいのよ! 待ってろよ~ 水○ヒロに亀梨和○!」
090113_174314小松 「あ、あの、影ながら応援します。それではこれでおいとまを・・・」
あつ姫 「寝ぼけたこと言ってんじゃねえ! お前らは未来永劫アタシの奴隷として働く運命なんだから!」
西郷 「げえ これでよか・・・ よか・・・・ よかねえええええ
小松 「ずっと思ってたんですけど、この構成ってまんまドロンボー一味ですよね」
あつ姫 「それではみなさん! 一年のご愛顧ありがとうございました! 次は『少年イケメンゲッツ』でぜひお会いしましょう!」
クドカン 「タイトル変えないでー
 

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January 10, 2009

大人になんかならないよ J・A・バヨナ 『永遠のこどもたち』

090110_181721『パンズ・ラビリンス』で一躍脚光を浴びたギレルモ・デル・トロが制作に回った作品。「異形を描く」デル・トロの作風とはまた違った趣がありますが、根底を流れているものは彼の過去の作品にも通じるものがありますた。『永遠のこどもたち』です。

養護施設を営むために、幼いころすごした孤児院に家族と共にやってきたラウラ。その場所で、息子のシモンは次第に奇異な振る舞いを始めるようになる。彼は「見えない友達」と遊んでいるのだと言う。子供の空想だとばかり思って取り合わなかったラウラだったが、シモンはやがて母親の前から姿を消してしまう・・・・

このお話、出だしはテンポがとてもゆった~~~りしていて、ごく普通の家族ドラマのように見えなくもありません。車のスピードでいうと時速5キロくらい。たまにはそんなドライブも悪くないかもしれませんが、「デル・トロ制作のファンタジー」を目当てにしていた者としては、「オラオラ道がつかえとるんじゃ! トロトロ走ってるんじゃねえ!」という気もちょっとしました
しかしシモンが姿を消したあたりから、お話は突然法定速度30キロオーバーくらいでぶっ飛ばし始めます。
シモンは生きているのか? 彼女の周囲に漂う、目に見えないものの気配。てがかりをつかもうと懸命に奔走するラウラ。答えを見つけたと思ったら、その先にはさらなる謎が・・・・・

こうした謎解きミステリーの面白さと、「見えないもの」の演出が二重のスリルを生み出しています。ちびるというほどでもありませんでしたが、思わず飛び上がってしまった場面が何度もありました。真相が知りたい反面、それを知るのがとてつもなく恐ろしかったり。

しかし作品を彩る最も濃い色は、こうした物語的な面白さよりも、息子をなんとか見つけ出そうする母親の愛情であります。
母子の愛情ものというとそれこそもうたーくさんのお話がありましたが、わたしが「おや?」と思ったのはラウラとシモンの間に血縁がないということ。それを知ってしまったために、シモンはラウラから距離を取るようになってしまいます。自分がどれほど母親から愛されてるのかも知らずに。
自分のおなかを痛めたわけでもないのに、どうしてあそこまで必死になるのだろう・・・ という疑問が頭をかすめないでもありませんでした。が、主演女優のべレン・ルエダさんの鬼気迫る演技は、そうした疑問をねじ伏せるだけの力がこもっていました。
それに、やはり親子の絆を決めるものは、血ではなく、共にすごした時間、そして何よりも愛情なのでしょう。昨今実の子ですら殺めてしまう親がいることを考えると、そんな風に思えてなりません。

・・・・重い話になってしまいました。話題を変えて。

ここにひとつの命題があります。すなわち「ホラーと『癒し』は両立できるか?」というもの。
「できるわきゃねーだろ」というのが大半の意見だと思います。それはまるで医者と殺し屋、消防士と放火魔、男と女を両立させるようなもの。到底不可の・・・・ あれ? それなりにできそうな気も・・・ ごほんごほん ま、かなり難しいものと思われます。

わたしが知る限り、この命題にこたえた唯一の作品があります。それは皆さんもご存知の『シックス・センス』
あれこそはまさしくホラーとヒーリングを並び立たせ、なおかつビックリこかせるという奇跡の作品でありました。しかし(シャマランにとっても・笑)奇跡の作品であったゆえに、なかなかその系譜を継ぐタイトルが現れず、半ば孤高の作品と化してしまったきらいがありました。
で、今回のこの『永遠のこどもたち』は、まさに『シックス・センス』以来の「癒し系ホラー」の登場といえます。
(ここからややバレ)








飽くなきクエストの果てにラウラがたどり着いた場所・・・・ それはあまりにも哀しく、だけどどこか心安らぐ。この不思議な感覚は・・・・ そう、ちょうど『パンズラ』のそれとよく似ていました。

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この映画は、あるオフ会で数名の方と一緒に鑑賞いたしました。女性陣が感動で涙ぐんでいたのに対し、男性陣は「(ポスター・タイトルに)騙された! 怖かった!!」とそっちの方で涙目になっていたのが印象的でした。
そう、男というヤツは存外臆病な生き物なのです。あまりいじめないでやってください。


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January 07, 2009

パン太とニャン太と日本の夜明け 

そのいち 2009's animal

20070115194538090107_17025320070115194612 だ
 ま
 さ
 れ
 る
 な
 !!!!


そのに 真・2009's animal

090107_170323090107_170343090107_170356090107_170411 ま
 た
 忘
 れ
 た
 の
 か


そのさん 今年の目標:ナスカくん(本体)

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そのよん 今年の目標:ブラックパン太くん

090107_170457090107_170512 清

 廉

 潔

 黒


そのご 今年の目標:ペン太くん

090107_170531090107_170547 て
 ゆ
 う
 か
 だ
 れ
 ?


そのろく 今年の目標:ニャア少佐

090107_170601090107_170614090107_170629 失
 礼
 致
 し
 ま
 し
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そのなな 今年の目標:?

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本年もよろしくお願いいたします(実は年男・・・・)


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January 05, 2009

20世紀怪人 北村想 『怪人二十面相・伝 青銅の魔人』

090105_190656しつこく続く『二十面相・伝』関連記事。本日は原作小説の続編となる『青銅の魔人』(文庫版では『Ⅱ』)を紹介します。正編の記事はコチラ。その劇場版となる『K-20』の記事はコチラ
正編のネタを完全に割ってしまっているので、できれば以下はそちらを読んでからご覧ください。

敗戦の爪あとがいまだ生々しく残る東京。平吉は姿を消した師匠・丈吉のあとを次いで新たなる「二十面相」となることを決意する。
単に財宝を盗むだけではなく、世間をアッといわせること。それが二十面相としての使命である。そのアイデアに四苦八苦していた平吉は、ある日太宰治という文士と出会う。彼と出会ったことで、平吉は「時計を食べ物のように食う」青銅の怪人のアイデアを思いつく・・・・


オリジナルの怪人二十面相には数年間活動を休止していた時期があります。それはすなわち太平洋戦争の時代。そして戦前と戦後の二十面相には、微妙な性質の違いが見られます。戦前の二十面相は、少なくとも表向きは高価な財宝を盗み出すことが目的の、ルパンのような怪盗でありました。が、戦後の二十面相は奇天烈な気ぐるみ・・・・虎、宇宙人、ロボット、巨大昆虫etc・・・・をかぶって、世間を騒がせることが主な目的のようになってしまっています。
真相は乱歩先生のキャラ設定が適当だった、ということなんでしょうが、この微妙な違いに目をつけたのが北村氏。氏は戦前と戦後の二十面相は別人だったのではないか、と思いつきます。
正編はそのバトンタッチの瞬間で幕を閉じましたが、この続編において、本格的な二代目の活躍が語られるわけです。
泥棒においては素人だった平吉が、いかにしてその道の達人となっていくか。その過程は先代丈吉のものとはまた違った痛快さがあります。さらに特別出演の太宰治はどうからんでくるのか。同じく二代目明智を襲名した小林芳男との対決の行方は。そして平吉は師である丈吉と母・サヨに再会することができるのか・・・

ぶっちゃけこの続編は正編に比べるといささかパンチが弱い気もしますが、それでもこれだけの面白さを備えております。

オリジナルの二十面相はは、ナリこそ大きいものの、本質は子供です。子供のいたずらのようなことをやって喜んでますし、彼の主な敵もまた子供(少年探偵団)です。そして大人である明智には基本的には勝つことができません。
平吉もまた子供のまま大人になってしまいました。幼いころ母と急に別れることとなった平吉の時間は、その時から止まったままになってしまったからです。
だから彼は仲間である子供たちを喜ばせようと、あれこれ思案を巡らします。困窮している子供をみかけたなら、助けずにはいられません。
そしてこの物語はとりあえず平吉の時間がまた進み出したところで幕となります。お話としてはそこで終った方が美しいのでしょうけど、正直さらなる二代目二十面相の冒険が読みたい気もします。
ただ一度だけあったという恋の話、平吉が二十面相を引退するに至った経緯、あるいは平成の現代に再び蘇った二十面相・・・・とか。ああ! 読みたい! 北村先生なんとかなりませんか!

090105_190638ついでに乱歩先生について少々。
編集者から子供向けの小説を依頼されたとき、乱歩先生はさも意外な顔をされたそうです。もっともです。「エログロ猟奇の代表作家たる自分に、なんでまたそんなもの・・・・」と思われたのでしょう。
しかしこの子供向けの作品が、多くの少年たちにとって乱歩ワールドへの入り口となりました。「明朗快活な少年探偵団」の乱歩先生が、大人向けの作品でどんなものを書いていたのか。それを知った時の衝撃は今でも忘れられません(笑)

で、健全な方の乱歩作品、初期数点がポプラ社から文庫サイズで復刊されました。少年時代の興奮を呼び起こしたいという方は、ぜひ。


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January 03, 2009

雑技団ひとり 佐藤嗣麻子  『K-20 怪人二十面相・伝』

090103_162357新年明けましての第1弾は、現在公開中の『K-20 怪人二十面相・伝』。江戸川乱歩の『怪人二十面相』を大胆に再構築した『怪人二十面相・伝』(北村想)を、さらに独自にアレンジした作品です。

そのころ帝都では、だれもが挨拶をかわすように、「怪人二十面相」という奇妙な泥棒の話をしておりました。その泥棒は変装の達人で、誰一人として素顔を見たことがありません。ある者はゴリラーマンに似てると言い、ある者は「料理の鉄人」のようだったと言います。
サーカスの曲芸師、遠藤平吉は身代わりを探すこの怪人の罠にかかり、官憲から二十面相として追われるはめになります。果たして平吉は自分の無実を晴らすことができるでしょうか・・・・・

わたしが「原作付き」の作品に望むことはただひとつ。「こだわるなら徹底的にこだわる! 壊すなら徹底的にぶっ壊す! 中途半端が一番よろしくない!」ということです。その線でいきますと北村氏の『怪人二十面相・伝』は、原作に徹底的にこだわり、なおかつ徹底的にぶっこわした奇跡の作品でありました。

で、今回の『K-20』はかなりよくぶっ壊しておりました(笑)。予想していた通り、原作とはかなりかけ離れたストーリーとなっております。オリジナルから生かされたのはサーカスとの関わりと、「二十面相は二人いた?」というアイデア。あとはそれはもう見事な『カリオストロの城』でございました。それにスパイダーマンのテイストを混ぜた感じ。
さらに途中『ALWAYS』に寄り道したりもします。この辺はアジア諸国の貧富の差に見て見ぬふりをする、日本への批判をこめたのかな・・・とも思いましたが、単に気のせいのような気もします。
そんなわけでいろんな作品からネタをひっぱってきた分、少し収まりの悪いところがありました。途中テンポがもたつくところもあるし、会話の流れもやや気になる箇所があったり。

しかしこの映画にはそうした欠点を補うだけの魅力があったと思います。まず二十面相の仮面のデザイン。既存のイメージを踏襲しつつ、それでいてはっきりと異なる新しい「二十面相」になっていました。
塀や塔の上で繰り広げられるアクロバット&ワイヤーアクションも見ていて惚れ惚れします。なんとかとネコは高いところが好き、と申しますが、やっぱわし、高いところ好きやねん!みたいな。
終盤における伏線の張り方もまずまず見事でございました。
あとぶっ壊してはありましたが、佐藤女史、正編だけでなく、続編も含めて原作を丁寧に読んでるんだな、というのがよくわかりました。原作の脇キャラや細かいエピソードが意外な形で流用されていて、原作ファンにはうれしかったです。

わたしが『K-20』 で特に魅かれたのは、平吉と二十面相の奇妙な関係。。ここから中バレします。避難はいいですか?






はい。本来平吉にとって二十面相は、いくら憎んでも飽き足りない相手のはず。ところが色々あって二人の間には奇妙なシンパシーが流れてしまいます。
終盤二十面相は平吉に「お前ならオレの片腕になれる。一緒に来い!」ともち掛けます。わたしだったらちょい迷いつつも、「ああ、わかった!」と手を握っちゃうところなんだけどな~~~

こういう激しくぶつかりあう間隙に、ちょろっと流れる連帯感、みたいなのに弱いんですわ

090103_162426そういえば東宝さんって昔『電送人間』とか『虹男』といったヘンテコ怪人シリーズも作ってたんですよね。今回の『K-20』はそういった一連の作品へのオマージュだったのかもしれません。二コラ・テスラの電送装置も出てきたし。
ここんとこコミックやテレビドラマの映画化にばかり力を入れている東宝さんですが、怪人や怪獣のこともどうか忘れないでほしい!と、強く願います。


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