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November 23, 2008

馬鹿は死んだら治るのか ウェンディー・ノースカット 『ダーウィン賞!』

20060425172949一応このブログ、十回に一回はご本を紹介しようと思ってるんですが、最近あまり本を読んでないので蔵出し企画です。今から7年前にアマゾンで売り上げナンバー1を獲得した『ダーウィン賞!』という本、いってみましょう。その前にわたしのパパンの話から。

わたしの父はしがない水道屋のくせに、なかなかの読書家であります。わたしがそれなりに本を読むようになったのも、父の影響があったればこそでしょう。ただ父が読みたがる本というのは、あんまし趣味がよろしくないものが多かったりして。
食事中に「こないだ『死体は語る』って本を読んでな・・・」と腐乱死体の話を始めたり、「『完全自殺マニュアル』って本買ってきてくれ」と頼んできたりして、周囲を困らせることもしばしば。飲み屋のママに『自殺のすすめ』(渡辺淳一)という本をすすめてドン引きされたこともあったとか。
そんな父がある時この『ダーウィン賞!』を熱心に読んでおりました。(お、たまにはサイエンスな本も読んでるじゃん)と感心したのですが、とんでもねー勘違いでした(笑)
ではまず「ダーウィン賞」とはいかなる賞なのか、そこから説明いたしましょう。

ダーウィンの進化論の根幹をなす考えに、「適者生存」というものがあります。生物が進化するのは、優れた遺伝子が生き残っていくがゆえ
→だから馬鹿が生き残るのは種のためにならない。
→馬鹿は死んだ方がいい。
→しかし馬鹿とはいえ、命を奪う権利は誰にもない。

そこで自分から勝手にバカな仕方で死んでくれたおバカさんを、「種の進化に貢献した」ということでたたえるのがこの「ダーウィン賞」。くれぐれも言っておきますけど、これわたしが言ってるんじゃなくて、本の著者が言ってることですから! この本には世界中から集められたそんなおバカな事例が、これでもかこれでもかってくらいたくさん収められています。
どんな例があるかというと

「ある弁護士が窓ガラスの強度を証明しようと体当たりしたら、窓ガラスが割れて24階から落ちて死んでしまった」
とか
「自動販売機からジュースをくすねようとして無理矢理販売機をひっぱったら、販売機に押し倒されて死んでしまった。ちなみにポケットにはジュースを買えるだけの小銭が入っていた」
とか
「酸素ボンベのそばで絶対にやってはいけないことを生徒たちにわかりやすく教えるため、酸素ボンベのバルブを開け、ライターをカチッとつけてみせた」
とか
「工場で電線を盗もうとしたら感電して死んでしまった」
とか
「夫婦喧嘩で女房をバルコニーから放り投げたら、女房は電線にひっかかって一命をとりとめた。それを見た旦那は女房のところへ行こうと飛び降りたが、彼は電線にかすりもせず地面に激突した」
とか


・・・・・・・

うーん、人生っていったいナンなんでしょうね。急に周りの全てのことがどうでもよくなってきちゃいました。
前書きには「この本を最高に楽しみたければ、一日一章程度にとどめておいたほうがいい」とありますが、同感です。
こんな本一気に読んでしまったら、きっと命の重みとかさっぱりわからなくなっちゃうと思います。
わたしが親父の書棚からがめてきたのは講談社版。たぶん今は絶版だと思いますが、アスペクトさんから昨年『ダーウィン・アワード』というほぼ同じ内容の書籍がでました。こちらは大書店かオンラインでなら、まだ普通に入手できると思います。
あと飛鳥新社からかなり前に同趣向の本として『あっ 死んじゃった』というのがありましたが、こちらもやはり絶版です。こちらはどちらかといえば不条理な死をネタにした本。
「飛び降り自殺を見物しようと橋に人々が殺到したため、橋が崩れてたくさんの溺死者が出た」とか。
昨年暮れにはこの賞をモチーフにした映画も公開されていました。いったいどうやって・・・ いずれ鑑賞したいものです。

081123_184450「人の生き死にを笑っちゃいけないよなー」と思いつつも、ついつい爆笑してしまいました。
できることならわたしも葬式でどっかんどっかん笑いを取れるような、そんな死に様をさらしたいものです。どうせ死ぬんだったらね。


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Comments

こんばんわ。本日はよろしくお願いします(笑)

>葬式でどっかんどっかん笑いを取れるような、
それはもう、十辺舎一九にならって入念な仕込みをしておかないと(笑)
でもあれ本当にやったらかなり迷惑かもしれませんね。

少しだけ似た内容の、もうちょっとマジメ系の本を最近読みました。


『自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝』

動物実験ではわからない、でも危険すぎて他人を被験者にもできない。
そんな実験を、自分を材料に決行した「モルモット科学者」の伝記集。
こっちは「馬鹿」どころか科学の進歩に貢献した立派なひとたちだけど、みんな無茶しすぎ。
成功した実験、失敗した実験、成功したけど本人は悲惨なことになった実験、いろいろ紹介されています。

消化の仕組みを調べるため、パン切れを入れたカプセルを飲み、肛門から回収し、その味を確かめた研究者とか、
病原菌を自分に注射して、記録をとりながら死亡した研究者とか、
周囲の制止をふりきって、自分の血管から心臓に世界初の心臓カテーテルを挿入した研究者とか。

この人たちに比べりゃお遊戯同然ですが、蚊の野外調査で「誘引剤=自分」てのは経験しました。

Posted by: 秦太 | November 24, 2008 12:14 AM

>秦太さま

今日は大変お世話になりました。おかげさまでとっても勉強になりました! またよかったら遊んでやってください

>十辺舎一九

「煙とともに、はいさようなら」でしたっけ
「きっとみんなびっくりするぞう」とワクワクしながら亡くなったんでしょうねー
ある意味理想像です(笑)

>こっちは「馬鹿」どころか科学の進歩に貢献した立派なひとたち

まさしくそのの通りです。なんでそこまでできるんでしょー
自己犠牲の精神や人類への貢献ということももちろんあるんでしょうけど、やっぱり「知りたくて知りたくてたまらない」という衝動に突き動かされるんでしょうな
その求道精神にはほとほと感心するものの、「もっと自分を大事にしろよ」と言いたくもなりますね
秦太さんも仕方ない場合もあるやもしれませんが、どうぞわが身を顧みながらお仕事に励んでください・・・・

Posted by: SGA屋伍一 | November 24, 2008 09:41 PM

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