ドラッグ・クエスト ターセム 『落下の王国』
警告! この映画は、試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性があります! 受験生の皆さんは、くれぐれも鑑賞をお控えください。
『ザ・セル』が話題を呼んだターセム監督の久方ぶりの新作。『落下の王国』です。
まだ映画がサイレントだった時代。橋から落ちて両足を怪我した俳優ロイは、入院先で同じように腕を骨折した少女、アレクサンドラと出会う。波乱万丈のホラ話を聞かせて、アレクサンドラを魅了するロイ。しかし彼がそうしたのには、ある秘密の理由があったのでした・・・
で、この「ホラ話」パートの映像がまことに圧巻。世界24ヶ国の知られざる絶景をバックに、ゴレンジャーがごときカラフルな衣装を身にまとった勇者たちが、シュールかつダイナミックな冒険を繰り広げます。
で、この映像&ホラ話、わたしが抱いた印象は「テレビゲームみたいだなあ」というものでした。作中では幾何学的で非実用的な建築物がたくさん映し出されるんですが、これがファミコンやプレステでやったことのあるゲームの背景を彷彿とさせるんですね。CGを一切用いていないのにも関わらず。恐らくゲームのデザイナーたちも自分で一からグラフィックを想像したわけではなく、著名な世界の風景を参考にしたであろうことは想像に難くなく。そう考えますとテレビゲーム世代のわたしたちがこれらの美術を懐かしく感じるのは、当然のことといえるかもしれません。
テレビゲームを連想させたのはもう一点、お話に出てくる勇者たちの衣装がやけに派手だったり、固有名ではなく肩書きで呼ばれてるところが、なんだかRPGのキャラクターみたいだったから。ただし、ダーウィンのみダーウィンと呼ばれています(なぜそこでダーウィンなんだ?という気はしますが
)。RPGをおとぎ話の現在形と考えるならば、これまた納得のいくところであります。
こっから先はちょいとネタバレしてます。ご注意ください。
この映画には繰り返し誰かが落下したり、墜落したり、転落したりする映像が出てきます。タイトルにあるこの「fall」に監督がどんな意味を込めているのか、正直なかなかよくわかりませんでした。
なんとなくヒントになったのは、ラスト近くに出てくるスラップスティックの映像の数々。「落ちる」ということは大体においていいことではありません。ことに受験生たちにとっては禁句です。テレビゲームのキャラにとっても現実の人間にとっても、イコール死を意味するときもあります。
しかし用いられていたサイレント映画のカットを見ていて、暗い気分になる人はまずいないでしょう。かえってなんだか愉快な気分になってくるはず。
たとえド派手に落っこちたとしても、それで人生が確実に終るわけではない。むしろ生きるということは「落下」の連続かもしれない。だから落ちても世をはかなんだりせず、その度に笑い飛ばしてやればいいじゃない?
監督はそういうことが言いたかったんでしょうか。そういうことにいたします。
あとその一連のカットの最初に、わたしが敬愛しているバスター・キートンの作品が使われていて「もしやロイ=キートンなのか!?」とドッキリしましたが、続けてハロルド・ロイドその他の出演作も出てきたので、そういうことではなかったようです。その辺の真意については公式サイトのプロダクション・ノートに書かれてましたので、ご興味おありの方はのぞいてみてください。
話が横道にそれますが、わたしは本当にキートンが大好きでして。この人はハードなアクションをやりすぎて首その他をいろいろ骨折したにも関わらず、命がけでお笑いをやり続けたすごい人なんです。これを機会にできれば多くの人にその作品をみてほしいところ。
とりあえず初心者の方には『セブン・チャンス』『海底王キートン』あたりがおすすめです。
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Comments
伍一さん★おはよ〜
ゴメンナサイ、わたしのとこに頂いたコメに
TBきてないかもって書いたけどちゃんと届いてました★
テレビゲームかぁ、なるほど。
色彩感覚も豊かで、今回はCG使ってないのに
映像がまた素晴らしかったですね☆
といいつつ劇中劇にはハマれなかったわたしだけど

キートンの映画わたしも昔みましたよ。
伍一さんキートン好きなんて渋いですね〜
Posted by: mig | October 02, 2008 at 10:29 AM
こんばんや。

TB&コメントありがとうございます。
確かに、「fall」の映像が多かったですよね。
勇者たちはもちろん、お猿さんも。
伍一さんのように明るく考えれば、劇中劇に余りハマレなかったわという思いも薄まります。
>バスター・キートン
じっ、実はちゃんと見たことがないのでした・・・

バスター・キートンと聞くと、私は「妹の恋人」のデップさんを思い出します。イメージして演じた場面があったんですよね、確か。
チャップリンは、たくさん見てるんですけどねっ
映像は文句ナシに素晴らしかったです。

挙げていたらキリがないくらいに、お気に入りの映像があります。
お猿さんも愛らしかったですよね。
それだけに悲しかったけど。
Posted by: となひょう | October 02, 2008 at 10:39 PM
>migさま
おかえしありがとうございます!
migさん、まちがってませんよ~ コメ送った時は不調で届かなかったんで、あとで送りなおしたんです。こちらこそすいません
>TVゲーム
ははは。毎度連想するものが幼稚でお恥ずかしい
今年もいろいろヴィジュアル的に目を見張るような映画がいろいろありましたけど、こちらはとりわけ上品で豪華でしたね~ 原色こんだけバリバリ使ってると、あまり品良くはならないものですけど
>伍一さんキートン好きなんて渋いですね〜
ダンディ伍一とお呼びください(笑)
)
migさんもキートンご覧になられてたとは嬉しいなあ
いつか「このオヤジに注目!」のコーナーで語ってほしいなあ(古すぎるか
Posted by: SGA屋伍一 | October 03, 2008 at 08:15 AM
>となひょうさま
おかえしありがとうございます
>確かに、「fall」の映像が多かったですよね。
いろいろ印象的でした。冒頭に限ってはすでに落っこちたあとでしたけど。お馬さんカワイソ
>伍一さんのように明るく考えれば
明るくというか脳天気というか・・・(笑) 毎度持ち上げてくださってありがとうございます(^^;)
>バスター・キートン
チャップリンと比べると、テレビではほとんど放映されませんからね~
ビデオソフトもろくに出回ってないころ、アテネフランセの特集上映に通ったりしたものです・・・
DVDではどれくらいソフト化されてるのか・・・ 気が向いたら是非ごらんください
『妹の恋人』については睦月さんとこで読んだ記憶があるなあ
ターセムさんの映像センスはすごいですね。でも実は『ザ・セル』は未見
こちらもいつか見てみたいものです
あとわたし猿にはあんまし愛情を感じないんですけど、今回は素直に心打たれました。この映画でまさか猿に泣かされようとは・・・
Posted by: SGA屋伍一 | October 03, 2008 at 08:31 AM
こんばんは。
おお、伍一さんは、キートンがお好きなんですかー。
私はジャック・タチ派ですー。
落馬は4,5回したことがありますー。
子どもの頃はよく階段から落ちてました。
これは、創作の物語であって、ホラ話というのは人聞きが悪いです。w
ホラ話といえるのは、『ビッグ・フィッシュ』、『ウォルター少年と、夏の休日』みたいなやつかなぁ。
リアル風景を見て、ゲームを思い出すとは、ううむ、現代人とはそういうものなのかぁと、考えさせられるものもありました。ww
といいつつ、確かに、そのまんまゲームになりそうですなぁ。
あるあるあるー。
階段のやつはブレードランナー風。
Posted by: かえる | October 04, 2008 at 01:28 AM
>かえるさま
おかえしありがとうございます
キートンは・・・愛してます
(きんもー)
ジャック・タチは『ぼくの伯父さん』でしたっけ。実はこちらは未見
>落馬は4,5回したことがありますー
それ何気にすごいですよ・・・ アンソニーなんか一回落馬しただけで死んじゃったのに(あいつはメットかぶってなかったのがいけなかったのか?)
そういやわたしもよくいろんなところから落っこちて、頭切ったり骨折ったりしてました。活動的だったからというわけではなく、単にとろかったんです
>これは、創作の物語であって、ホラ話というのは人聞きが悪いです。w
すいません。言い方に品がなくてw
ホラー話映画というと、わたしが思い出すのはギリアムの『バロン』かなあ
あと『アマデウス』も実は壮大なホラ話なんじゃないかと考えてます。「だからそうじゃねえだろ」とかえるさんにつっこまれそうw
映し出されてるのは確かにリアル風景なんですが、ああいう風景ってそんじょそこらにあるものじゃないし、キャラもヘンテコな人たちばかりだったので、かえって非現実感を感じたのでした
>階段のやつはブレードランナー風。
それはもしかして『ロードランナー』と言いたいのかな?
わたしもあの映像観て「ロードランナーみてー」と思ったのですよ
ファミコン草創期のヒット作でしたね。穴掘って敵キャラ埋めたり・・・ いま思うと残酷なゲームだ・・・
あと爆弾使いのおっさんがスーパーマリオに見えて仕方ありませんでしたw
Posted by: SGA屋伍一 | October 04, 2008 at 07:43 AM
そう、ロードランナーでした。
ファミコンで好きだったのは忍者じゃじゃ丸くん。
マリオもね。
昭和の頃は私もゲームやってましたなぁ。
炎のコマ。
Posted by: かえる | October 04, 2008 at 11:34 AM
こんばんは。
ごレンジャーは思い出したけど、、、
私、TVゲームには本当に縁がなくて;
もちろん家にはありましたけど、全く興味無く。
人生ゲームならやりましたけど。・・・ダメ?w
野球盤では遊びましたけど。・・・だめ?ww
いやー、いつも文明にはついていけない、あなろぐーで置いてきぼり;
なのでテレビゲームを思い出すなんて、さすがだなーと感心しましたですー。秋葉でコスプレロイ君なんているかもですねぇ・・・いないって。w
Posted by: シャーロット | October 04, 2008 at 05:55 PM
>かえるさん
正直に言うとウチは貧乏&親が嫌いだったため、ファミコンというものがありませんでした
。それだけに強く印象に残ってるのかもしれません
だからたまに友達の家で『マリオ』や『ロードランナー』をやらせてもらうと、それこそ夢のようだったんですわ
ほかに覚えてるのは『レッキングクルー』とか『エレベーターアクション』とか。やっぱ階段系(笑)
巨大な出っ歯がキラッと光りゃあ~
Posted by: SGA屋伍一 | October 04, 2008 at 09:30 PM
>シャーロットさま
お返しありがとうございます
うーん。あの時代「テレビゲームに興味がなかった」という方には初めてお会いしました(たぶん) さすが真の芸術家にしていつもわが道を行かれているシャーロットさま、であります
野球盤は消える魔球に、人生ゲームは約束手形に苦しめられた記憶が・・・
ロイくんについてはマジレスすると、どう考えても怪傑ゾロ(リはつかない)がモデルだと思います。本場のハロウィンでは割とみかけるかも?
Posted by: SGA屋伍一 | October 04, 2008 at 09:35 PM
SGA屋伍一さん、はじめまして。
トラックバック&コメントありがとうございます。(*^-^*
>しかし用いられていたサイレント映画のカットを見ていて、暗い気分になる人はまずいないでしょう。かえってなんだか愉快な気分になってくるはず。
体を張って演じているので決して滑稽とは言いきれないんだけど、
ペーソスの効いたユーモア感はありますね。
私はバスター・キートンの作品は観たことないので
SGA屋伍一さんオススメのバスター・キートン作品機会があれば観ようかな♪
Posted by: BC | October 06, 2008 at 03:07 AM
こんにちわ。
ジョニー・デップ氏が、バスター・キートンに憧れる青年役を演じた映画
があるのです。それをきっかけに私もキートン映画、ちょろっとカジった
ことがありました。
あくまでも、ちょろっとです(苦笑)
ゲームの世界・・・なるほど。
それぞれが個性的な出で立ちをして、それぞれが何か得意分野を
持っていて、同じ目的を胸に旅をする・・・あ、たしかにこれドラクエですね(笑)。
Posted by: 睦月 | October 06, 2008 at 04:43 PM
>BCさま
こんばんは
さっそくおかえしありがとうございます
あの時代は保険とか安全と今に比べればかなり適当だったでしょうから、ああいうので命落としてるひともきっといるでしょうね・・・
でもキートン作品を見てると、やっぱり爆笑してしまいます
>SGA屋伍一さんオススメのバスター・キートン作品機会があれば観ようかな♪
ぜひぜひ!
他にも『荒武者キートン』とか『探偵学入門』とか『キートンのカメラマン』とか『キートン船長』とか(以下えんえんと続く)
Posted by: SGA屋伍一 | October 06, 2008 at 09:22 PM
>睦月さま
こんばんは。おかえしありがとうございます
『妹の恋人』についてはとなひょうさんも上の方でチロッと触れられてますね。キートン作品は百発百中というわけではなく、たまーにハズレもあるので、睦月さんが観られたのがそのハズレでなければよかったのですが・・・
もしあんまし魅かれなかったのであれば、上に挙げたニ作品等もぜひ観てみてください
>たしかにこれドラクエですね(笑)。
そうですよね! と言いつつ、実はドラクエは一つもやったことがなかったりして
『ファイナルファンタジー』だったら4~9をやったことがあります。あの哀愁を帯びた味わいは、むしろFFに近いかもしれませんね~
Posted by: SGA屋伍一 | October 06, 2008 at 09:27 PM
こんにちは!
コメントありがとうございました!
確かにコチラの作品、映像的にFFっぽい感じとかありましたよね!
落ちるというと、マイナスイメージが多いですが
恋に落ちる 憑きものが落ちるとか、いい意味でも使われますよね!
要は落ちる先が、どこかが問題なのでしょうね~!
Posted by: コブタです! | October 09, 2008 at 08:45 PM
>コブタさま
お返しありがとうございます!
FFっつぽい感じ、コブタさんも感じられたでしょうか?
♪タリラリラーラーラ タンタカタンタンターラララー
あとはチョコボさえ出てくればなあ・・・
>恋に落ちる 憑きものが落ちるとか、いい意味でも使われますよね!
なるほど、発想の転換ですね! 先入感に囚われてはいけませんね!
落ちる先が問題か・・・
「ジョー、どこに落ちたい?」(『サイボーグ009』より)
あと柔道のしめ技で気絶することを「落ちる」というそうですが、あの瞬間ってけっこう気持ちいいものらしいです
Posted by: SGA屋伍一 | October 10, 2008 at 08:16 AM
こんばんは、SGA屋さん、お久しぶりです。
そうですね、その時その時に応じて、青年がどういう行動を取り、物語がどういう風に進むか、選んでいく、
その辺りがきっとRPG風に思えたのかもしれませんね。
与えられた物語のように、ただ進み続ける物語を享受するのではなく、
物語の語り手である青年の気持ちが、変化していく様子など、
つぶさに見てとれるところがすごく心に残った作品になりました。
正直、SGAさんのご感想って、自分が楽しかったのか、それがよく分からないのですが。今回はいかがでしたでしょうか。
Posted by: とらねこ | October 24, 2008 at 11:51 PM
>とらねこさま
おはようございます。お返しありがとうございます
>その時その時に応じて、青年がどういう行動を取り、物語がどういう風に進むか、選んでいく、
>その辺りがきっとRPG風に思えたのかもしれませんね
それもありますね。お話というのは基本的に一人で作るものだと思いますが、こういう風に二人、もしくはそれ以上で協力しあって作るのも楽しそうです。時には意見のぶつかり合いでおおゲンカにもなるようですが。そういえばこの映画でも「どうしてこんな風にするの?」と女の子が泣いていたっけなー
>物語の語り手である青年の気持ちが、変化していく様子
考えてみればロイくんにとってはこのお話は、最初は「死ぬための手段」、あるいは「その場しのぎの道具」にすぎなかったわけですもんね
それが退屈していた少女の心を動かし、ひいては自分を再起させるきっかけにもなるとは・・・・ なんとも皮肉かつ心にくいストーリーです
で、この映画はもちろん楽しかったですよ。ただ「興奮した!」「感動した!」というよりは、「しみじみ面白れ~」という感じでした
鑑賞時あまりコンディションがよくなく、時々意識が遠くなってしまったのが悔やまれます。一番ボーっとしてたのは行者さんたちが変な踊りを舞ってたあたり
Posted by: SGA屋伍一 | October 25, 2008 at 09:15 AM
SGAさん、ご挨拶が遅れましたが
あけましておめでとうございます
そっかぁこの映画、SGAさんのお好きなキートンが使われていたんですね。
そして言われてみれば確かにRPGゲームみたいだった!
私めちゃめちゃRPGっ子だったのに、気付かなかったなぁー
映像はもうドキドキするくらい素晴らしかったんですが
どうもロイ&アレクサンドリアに感情移入することができず、
最後の方で二人が泣きじゃくりながらお話してるところとか
けっこう冷めた目で見てしまってました
SGAさん、今年もどうぞよろしくです!
Posted by: kenko | January 04, 2009 at 05:36 PM
>kenkoさま
おはようございます! 今年もよろしくお願いします!
キートン登場はサプライズなおまけという感じで、嬉しかったですね~
ほんとにちょっとでしたが(笑)
kenkoさんはRPG大好きっ子だったんですか。どちらかといえば『バイオハザード』のようなおっかないゲームが好きなのでは、と勝手に思っておりました
わたしはアレクサンドラは非常に可愛く思えたんですが、ロイくんがねえ。
「だってお話がどうしてもこうなっちゃうんだもん。仕方ないんだもん」って、お前作者なんだからどうにでもできるだろ、と。「融通の利かないやつだな」と思いました(笑)
もっとお涙ちょうだい風にしようと思えばできたと思いますが、ターセム監督もそういうのが嫌いなのかもしれませんね~
Posted by: SGA屋伍一 | January 05, 2009 at 09:36 AM