地底より永遠に 今石洋之 『劇場版天元突破グレンラガン 紅蓮編』
かつて、銀河を揺るがした戦いがあった
男は荒ぶる魂の赴くまま、天をかけ、星を砕いた
だがおびただしい時間と犠牲を費やしたのち、男は敗れる
そして悠久の時が流れた
とある星の地の底で
少年シモンは来る日来る日も穴を掘り続けていた
アリの巣のような自分の村だけが、世界の全てと信じて
そんなシモンに兄貴分の青年・カミナは言う
あの分厚い天井の向こうには、光さす広大な世界「地上」があるのだと・・・
ある日シモンは地中から、大きな顔の形をした鉄の塊を見つける
それと呼応するかのように、村の天井を突き破って現れる怪物
「無理を通して道理を蹴っ飛ばすんだよ!」
「顔」を駆って怪物に立ち向かうカミナとシモン
それはやがて大宇宙の果てまで続く事になる、長い戦いの始まりであった
昨年好評のうちに放送を終えたテレビアニメ『天元突破グレンラガン』。その前半部分をまとめた劇場版が、このほど公開されました。実はこの映画、観ようかどうか迷ってたんです。完全新規作成ならともかく、以前一度観て知っている話だったし。でもあのエネルギッシュな物語を、スクリーンで観たならばさらに大きな感動が得られるのでは・・・ そんな期待を抱いて、結局劇場に足を運びました。
で、観て驚きました。すごい。すごすぎる。このテンションとパワーは並じゃない。ここまで来ると、もう総集編とか一度観た話とか思い切り「つづく」で終ってるとか、そういうことは関係ありません。アートとして、エンターテイメントとして、「映画」として、この上を行く作品はそうありません。『グレンラガン』は大スクリーンに映して、初めて真価を発揮する作品だったのだなあ・・・と思い知りました。
わたしはカップルと親子連れに挟まれての鑑賞となりました。上映終了後、カップルのあんちゃんが号泣しておりました。うしろを振り返ると、客の大半がむせび泣いている。もちろんわたしの鼻水も大爆出です。そして隣の女の子が一言「あー面白かった」
・・・・そんな映画です。
今回はもうあんまり小理屈とかこねたくないのです。極上の料理を食べた時、胸がいっぱいになって何も言えなくなる・・・・ ちょうどそんな感覚と似ています。
好きな場面を上げるとするとキリがありませんが、とりあえず一つだけ。
序盤で村の天井を怪物ごと押し上げて突破するところで。それまで恐怖に歪んでいたシモンの口元が、やがて「へやっ」と不敵に微笑む。ここだけでわたしにとっては普通の映画三本分くらいの価値がありました。
あと自分は「やせがまん」とか「魂の継承」というものに、本当に弱いんだな・・・ということをつくづく思い知りました。
またテレビ版を観ている時には気がつきませんでしたが、半裸の男たちが無謀ともいえる勇気を武器に、圧倒的に巨大な存在に戦いを挑んでいく・・・ このテイストは黒澤明を意識しているのかもしれません。というのは、脚本の中島かずき氏がこないだリメイク版『隠し砦の三悪人』も書いてたからなんですが。
完結編となる?螺旋編は来年GW公開予定。『エ○ァ』の続報が一向に入ってこないことを考えると、この「螺旋編」も予定通りできるのか一抹の不安が感じられます。
でも・・・わたしは信じます! ガイナを信じる自分を信じます!!
Comments
そんなにスゴイんですか。
以前からおすすめされていたのでずっと観たいとは思っていたものの、
いてもたってもいられなくなってきました
10月にあるBSアニメ夜話でも、涼宮ハルヒがボツった代わりに
こちらが取り上げられるみたいです。
観たい!!!
Posted by: kenko | September 25, 2008 04:51 PM
>kenkoさま
「こんなにほめちぎりまくって、大丈夫なんか!? 責任もてんのか!?」という思いもちろっとないでもないですが、「ここは! ここだけは! ひいちゃダメだ!!」とそんな気にさせるアニメです
kenkoさんの好きそうな例でいうと、『バイオメガ』で造一くんが地上から手持ちガンで核ミサイルを打ち落とすような、あんな感覚とよく似ています
いきなり映画でもそれほど問題ないとは思いますが、「十二分に味わいたい」というのであれば、DVDで11話くらいまで見てからトライしてみてください!
Posted by: SGA屋伍一 | September 26, 2008 08:09 AM
騒がれていますが見た事がある人はどれだけいるのでしょうかね?
見る見る、と言いながら結局見ない人とかいそうです。
SGA様はお気に入りのようですが「エセ熱血」
「これスゴイだろ!なスタッフの雰囲気がハナについた」
等の批判的な意見もありますね。
思ったよりもグレンの記事へのコメント数がない、のも意外でした。
個人的にはシモンとカミナ、の2人が良かった、です。
シモンがカミナを一方的に崇拝しているのではなく、
カミナ自身もシモンに兄貴、と呼ばれるふさわしい人間になる、ように
頑張っていた、と後でわかるのが非常に良かったです。
カミナ、は空気よめない男みたいに思えますが、
父親が亡くなっていたのを知ったり、と自分を幾分奮い立たせて
いるように思えました。
本当に空気読んでいない時もありましたがw
三部のロシウ、も個人的には気に入っています。
それは螺旋編で。
Posted by: 犬塚志乃 | November 03, 2008 08:35 PM
>犬塚志乃さま
まあどんな名作にも批判やアンチや「性に合わない」という人は付き物です
わたしも最初は一生懸命プッシュしてましたけど、結局「自分が好きならそれでいいいや」というところに落ち着きました
ただ、確かにそんなに話題になってない気はしますが、上映スクリーンもあとで追加されましたし、池袋でも公開延長されたのでそれなりにヒットはしてるんじゃないでしょうか
>カミナ自身もシモンに兄貴、と呼ばれるふさわしい人間になる、ように
頑張っていた、と後でわかるのが非常に良かったです。
そこはわたしも大変好きなあたりです
骸骨が実は父親だった・・・とわかるあたりはオミットされてしまいましたが、ここ、入れておいてほしかった・・・
Posted by: SGA屋伍一 | November 04, 2008 07:48 AM
SGA屋伍一様
こんにちは♪
グレンラガンUPしました~
年末に観に行ったんですが、いつもそんなに混むことのない地元の映画館がすごく混んでてビックリでした。
広島の人も、グレンラガンが上映されるのを待ってたみたい。
映画の中で、テンションがガーっと上がって解放される大きな山場が3つあると思うんですが、その中でも
>序盤で村の天井を怪物ごと押し上げて突破するところ
ここが一番好きです
火山ドカーン!も捨てがたいですが(笑)
カミナはものすごく魅力的なキャラクターだけど
やっぱりシモンが好き
ちょっと我が子を想うお母さん的な気持ちではありますが、
後半のやけにイケメンなシモンよりも、この頃のシモンがいいなぁって思います。
それから、骸骨が父親だったシーンは入れておいてほしかったですね。
あのシーン観たとき、他のアニメにはない何かを感じた気がしたから。。。
いまキッズステーションでやってるから、また観てます♪
おもしろいアニメあったらまた教えてくださいね
Posted by: kenko | January 07, 2009 03:53 PM
>kenkoさま
こんばんは! 見てくださったんですね!
>いつもそんなに混むことのない地元の映画館がすごく混んでてビックリでした。
熱いぜ・・・ 広島・・・
自分は広島のひとって「『熱血好き』じゃないかなー」と思ってたんですが、正しかったと思っていいんでしょうか
ネタバレ編でも書きましたが、シモンがニアを助けるためにロボの表面をよじよじ昇っていくところが一番乱れました
村の天井をぶちやぶるところも燃えましたけどねー
実はシリーズ通じて一番燃えたシーンは「螺巖編」にあります
>後半のやけにイケメンなシモンよりも、この頃のシモンがいいなぁって思います。
これってドラゴンボールの悟空が大きくなっちゃった時のさびしさにちょっと似てますよね(笑)
>骸骨が父親だったシーンは入れておいてほしかったですね。
同意です。あまりにも無常なシーンでしたが、カミナを地上に出し、その志がシモンに受け継がれたことで彼の存在もまた意義があったと思いたいところ・・・
今一番面白いアニメは『ガンダム00』でしょうか。少し前だと『ゼーガペイン』。ただ『00』は7話くらいまで、『ゼーガ』は5話くらいまで行かないと本格的に面白くならないんですよね・・・
Posted by: SGA屋伍一 | January 07, 2009 07:46 PM