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September 01, 2008

闇に隠れて70年 DCコミックス 『バットマン』あれこれ

080901_113323本国では『タイタニック』に迫る勢いながら、日本ではすでに沈静化し始めてる劇場版『バットマン』最新作『ダークナイト』。
完全に静まってしまう前に、今日は『バットマン』についてダラダラ語ってみたいと思います。

バットマンの誕生は1939年。戦前です。以後約70年、多少の浮き沈みはありましたが、現在にいたるまでほぼ第一線の人気を保っている、バケモンのようなシリーズです。
特に重要な転換点となったのは、1986年に鬼才フランク・ミラーの手によって発表された『ダークナイト・リターンズ』。老境を迎えたブルース・ウェインの「最後の戦い」を描いたこの作品は、コミック界に大きな衝撃を与え、いまなお多くの作家・作品に影響を及ぼしています。
またこの作品が人気再燃を呼び起こしたことにより、1989年にはティム・バートン監督の劇場版が公開。大ヒットとなりました。その後ちょっと間が空いたこともありましたが、ほぼコンスタントに映画も作られ続けています。

今回は映画ファンが「そいつらだけは続編に出してくれるな!」というキャラをからめて、語ってみましょう。まず一人はスーパーマン。
映画しか知らない人はご存じないでしょうが、原作コミック『バットマン』においてスーパーマンはけっこう重要人物だったりします。というのは、スーパーマンがバットマンの個性を浮き立たせるのに非常にもってこいの存在だからです。
二人を比較してみましょう。

バットマン:イメージカラー黒、陰気、日陰者、現実主義者、もっぱら夜活動する、遺伝子的にはホモ・サピエンス、普段の顔は大富豪、活動時はマスクをかぶる
スーパーマン:イメージカラー青&赤、陽気、人気者、理想主義者、もっぱら昼活動する、数々の超能力を有する宇宙人、普段の顔は勤め人、活動時は素顔丸出し

二人ともアメコミ黎明期から活躍している超メジャーなキャラでありながら、性質は何から何まで正反対。共通してるのはそれこそ正義を愛し、マントを羽織っている、ということくらいでしょうか。
最終目的は同じものの、方法論をめぐって対立することも多いこの二人。しかし手を組めばこれほど頼もしいコンビもまたなく、このコンビの活躍を描いた『ワールズ・ファイネスツ』なんていうシリーズまであります。
とりあえず付かず離れずという関係のバットマン&スーパーマン。果たして映画で共演することはあるでしょうか?
それにしても何の超能力も持たない身でありながら、スーパーマンをも恐れさせるバットマンとは一体何者なんでしょう。


もう一人?語っておきたいキャラはすでに劇場版にも登場しているロビン。もともと子供受けのために考え出されたキャラですが、こちらはこちらでいろいろ大変です。
実はロビンはレギュラーシリーズでは現時点で4名存在します。
初代はディック・グレイソン。サーカス出身で、現在ではナイトウィングという名で一人立ちしております。ブルースとは袂を分かたった時に多少のイザコザがあったようで、以後しばらく二人の関係は微妙なものになっておりました。
二代目はジェイソン・トッド。もともとは不良少年で度胸を見込まれてロビンとなりましたが、ほどなくしてジョーカーの手により爆殺。この事件はバットマンの心に深い傷を残すことになります。『HUSH』における「トッドが生き返るのなら何でもしようと思った」という言葉には胸をつかれるものがあります(最近悪役「レッドフード」として驚愕の復活を遂げたそうですが・・・)。
三代目はティム・ドレイク。平凡な家庭に育ちながら類まれなる推理能力を持ち、なかば押しかけでロビンの座にいすわります。父に正体がばれたことにより、一時引退。その後再びコスチュームを着ることになりますが、これまたバットマンと離れて単独行動を取っている模様(追記:現在ティムは「レッドロビン」というコードネームで活躍中。バットマンファミリーとも再合流したようです)
四代目はステファニー・ブラウンという少女でしたが、命令違反によってすぐ解雇(笑)。その後大事件を引き起こしたり、挙句に殺されちゃったり散々な有様・・・・ 
(追記:その後ステファニーは実は生きていたことが判明(^_^; 現在は三代目バットガールとして活躍中だそうです。そして現行のロビンは五代目のダミアン・ウェイン。ブルースと、ラース・アル・グールの娘との間に生まれた正真正銘の「バットマンの息子」。若年ながら暗殺者として鍛えられていたことにより類まれなる身体能力を有しています。性格はかなり生意気。ついこないだ死亡しましたが、これまたすぐ生き返りました(^_^;))

大半のアメコミは『サザエさん』『ドラえもん』のように永久ループしているわけではなく、ゆっくりと時間が流れております。その線でいくなら第二次大戦に参加しているバッツなどはとうの昔にジジイになっているわけですが、そういう事態を避けるため、DC世界では今まで二度大きなリセットが行われてきました。
そんで前回のリセットから約二十年。いつまでも若いスーパーマンと違って、バットマンもいずれは弟子に跡目をつがせなければなりません。本来ならいつもバットマンの傍らにいるロビンこそが、そのコスチュームを受け継ぐにふさわしい。ところが上に書いたように、どうもこの襲名、なかなかうまくいきません。
実は一度ベーンというヴィランに背骨を折られたとき、ブルースはアズラエルという青年に本当にバットマンの名を明け渡したことがあります。しかしこのアズラエル、いささか情緒不安定なところがあり、荷が重かったのか、結局人口脊柱でよみがえったブルースに「バットマン」を返上しました。
まあDCさんがどこまで代替わりを本気で考えていたのかはわかりませんが、誰もブルース・ウェイン以外のバットマンなど見たくもないわけで。オリジナルアニメシリーズ『バットマン・ザ・フューチャー(原題はBATMAN BEYOND)』では、老ウェインの指示のもと活躍する若き二代目が主人公でしたが、あれは「番外編」だから許されたのだと思います。

080901_113503今後深刻な人気の危機でも訪れれば、また代替わりが検討されることもあるかもしれません。とはいえ70年トップを走り続けてきた『バットマン』。そんな事態はまだまだ先のことだと思われます(笑)。
(追記:2011年、DCはまたしても大々的な世界観のリセット『NEW52』を行い、バットマン関連の設定もちょこちょこ変わった模様。ブルース・ウェインもそれに応じてまたまた少し若返った…のかな?(^_^; ブルースが不在になることが多いため、その間ディックがバットマンとなることもよくあります)
ついでに今まで書いたバットマン関連のリンクを貼っておきます。
気が向いた方はごらんください。
コミック:
『キリング・ジョーク』
『イヤーワン』
『『JLA リバティ&ジャスティス』
『アストロシティ:コンフェッション』
(追記) 『ロング・ハロウィーン』 

映画:
『バットマン・ビギンズ』
『ダークナイト』
(追記:『ダークナイト・ライジング』
「自分で買って読みたい」という方は、JIVE AMERICAN COMICSのHP(http://amecomi.jive-ltd.co.jp/)へどうぞー
(追記:現在はヴィレッジ・ブックス http://www.villagebooks.co.jp/ 小学館集英社プロダクション http://books.shopro.co.jp/ から多くの翻訳本が出ております)


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Comments

ためになりました。
私の「バットマン」との出会いは、90年代に放映していたアニメイテッドシリーズとティム・バートンの映画でした。
今見ると時代性の違いは感じますが、面白さは決して今のダークナイトや新アニメシリーズにも劣らないと思います。

そんな、一応「バットマン」ファンのつもりの私ですが、アメコミの類は一切持っていません。
アメコミと私の間に立ちはだかる、言語と値段の壁。
原書は英語がわからない。
それにシリーズが多すぎて、もはや何がなにやらで。手のつけ方がわかりません。
だったら、翻訳に手を出せば?
もっともな考えです。が、これが値段が高い。
一冊のマンガが四千円近いと、これでハマれなかったらどうしよう、と臆病になってしまいまして…。
もし、つまらないなら、映画のDVD買った方がまだ安いかな、て。

そんな、wikipedia程度の知識しかない私ですが、コミックを買って損はないでしょうか?
もし、買い損なんてことは無いのであれば、手を出してみようかな?

Posted by: | September 02, 2008 10:57 PM

はじめまして

わたしもバットマンを本格的に知ったのはティム・バートンからです。その後小学館プロダクションがアメコミの邦訳本がいろいろ出してくれまして、それでバットマン世界の奥深さを知りました

確かに高いですよね。邦訳本。わたしが手を出し始めた時はまだ千円くらいで買えたのですが・・・・

わたしがおすすめしたいのは上にあげてある『イヤーワン』です。これも厚さのわりにお値段が・・・・ですが、その辺のDVD以上の価値はあると思います。ほかにいままでの集大成的な『HUSH』もおすすめですが、これまた高い上に全二巻 

地道に古書店をのぞいてみることもおすすめします。特にブック○フ。あそこは邦訳本は二束三文の扱いなんで

Posted by: SGA屋伍一 | September 03, 2008 07:37 AM

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