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August 05, 2008

世界のミヤザキをおおざっぱに語ってみる 宮崎駿いろいろ

20060729070328現在ジブリの最新作『崖の上のポニョ』が絶賛公開中・・・ですが、まだ観てません(笑)
その代わりってわけではないですけど、今日は「世界の宮崎駿」監督についての私論などかましてみたいと思います。

映画監督としての宮崎さんの転機は、三作ごと、十年周期くらいで訪れていると考えます。すなわち
①オタク(赤字かトントン)時代:『カリオストロの城』『ナウシカ』『ラピュタ』
②作家(なんとか黒字になってきた)時代:『トトロ』『魔女の宅急便』『紅の豚』
③巨匠(もうかりすぎて笑いが止まりまへんなあ)時代:『もののけ姫』『千と千尋』『ハウル』
こんな感じかと。順を追って説明しましょう

①オタク時代
このころの宮崎さんは、アニメファンにとって、とても身近な存在でありました。「メカ・冒険・お姫様」という彼らが好きそうなものをよく題材にされていたからです。時々インタビューなどで見ても、今のようにいかにも「巨匠」といった感じではなく、その辺の職人のオッサンといった風で「またこんなダメなもの作っちゃって・・・・」とボソボソと答える。そんなところにとても親近感を覚えました(笑)
とりあえずこの時期宮崎さんの名を知るのは、まだ熱心なアニメファンくらいしかいませんでした。
この時期の作品を語る上ではずせないのが、テレビシリーズ『未来少年コナン』。このアニメには『カリオストロ』『ナウシカ』『ラピュタ』の元となるアイデアが、たくさん詰まっています。
わたしが好きな作品も大体このあたりに集中してます。TVアニメ『名探偵ホームズ』も忘れがたい作品のひとつ。宮崎さんがてがけたのは全部で6話だけですが、そのどれもが痛快極まりない冒険活劇となっております。

②作家時代
それまではオタクのカリスマであった宮崎さんですが、『となりのトトロ』が数々の映画賞を受賞したことにより、社会的な知名度がぐっと上がってきたのがこのころ。実力のある「映画作家」として広く認知されるようになります。
この時期の作品では先の「メカ・冒険・お姫様」はなりを潜め、代わりに「自然・日常・等身大の女の子」がよく扱われています。「娯楽アニメ」というよりも、行儀よく情緒豊かな「映画作品」といったほうがふさわしいような。
シュールで不条理な設定が目だってきたのもそう思わせる理由のひとつ。魔女が空を飛んでいても、男がブタに変わっても、周りの人はそれほど不思議がらずに接していたりします。「猫バス」というのもすごいアイデアです。あれは一体なんなんでしょう。妖怪にしてはモチーフがやけに近代的だし・・・ ま、考えても始まんないんでしょうけどね
世間での評価が高まっていくのと裏腹に、わたしが一番興味をなくしていたのもこのころ(笑) 「俺たちオタクを切り捨てるのかよ!?」 そんな自分勝手な思いにとらわれてましてcoldsweats01 『紅の豚』にはわりと期待してたんですけど、かつての破天荒な作風に親しんだ身としては、いまひとつ物足りないというか、やはり「行儀のいい」ものに感じられました。

③巨匠時代
なにを思ったか突然弾けまくった作風の『もののけ姫』が日本の興行収入を塗り替えたことにより、宮崎さんは国内で随一の映画監督として知られるようになります。続いて『千と千尋』はさらにその記録を塗り替えた上、ベルリン映画祭で金熊賞を受賞。また『ハウルの動く城』もベネチア国際映画祭・栄誉金獅子賞を受賞し、ここにいたりオタクのカリスマはとうとう「世界でも有数の実力を持つ映画監督」へと出世してしまいます。
この時期の特徴は、それまでに培った芸術センスも保ちつつ、かなり自分の趣味・欲望に忠実に映画を作ってることでしょうか。一応建前ではご立派なことをおっしゃってますが、粘液や血液がビュービュー飛び出たり、いたいけな女の子をしつようにいたぶったりする趣味の悪さは、「作家時代」にはほとんど見受けられなかったものです。
まあ個人的には行儀のよい作品よりも、こういう自分に正直な映画の方が見ていて楽しかったりするわけですが。興味深いのは『もののけ姫』のラストでかつての『未来少年コナン』とは正反対の行動主人公にとらせていること。どう違うのかはくどいようですがこの記事をご覧になってください。

で、この度の『ポニョ』。わたしの説が正しいとすれば、宮崎さんはまた新たなるステージに立ったことになるわけですが、その辺は実際に見てみないとなんとも言えません。

彼を創作に駆り立てるエネルギーのひとつは「対抗意識」のようです。「わたしはいつだって一番だったことはないんだ」・・・・というのは、確か『もののけ姫』のころの発言。
作家時代彼が対抗していたのは、恐らく長年コンビを組んでいた高畑勲氏であると思うのですが、『もののけ姫』の時意識していたのはかつての弟子が作った『エヴァ』だったのでは、と推測します。ご本人は「まったく見てない」とおっしゃってるそうですが(笑)、色んなところから「『エヴァ』はすごいよ~」という噂を聞いて、「じゃあオレはもっとすごいものにしてやる!」と燃えまくったんではないでしょうか(笑)。

20080322091824『ポニョ』をやる気になったのも、ジブリで『ゲド戦記』を作ってる時、社内でどなたかが「いや~、これで巨匠が引退してもなんとかなるわ」と言ったのを耳にしたからだとか。これまた私見ですが、ピクサーに対するライバル意識なども見受けられるような。

最近では一作ごとに「もうこれでおしまい」といい続けている宮さん。彼にずっと映画(アニメ)を作ってほしいのであれば「宮崎なんて大したことないね。××の方が断然いいよ」と言い続けましょう(笑)
さすれば巨匠は幾つになっても創作への情熱を失わないと思います。

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Comments

まいどです。
とうとう新撰組屯所行ってきたのでブログ
見てください(いきなりこれか)な
んで宮崎さんですか・・・・あくまで個人的に
①とか②までは「をを!」とか
結構わけ隔てなく楽しめた感満載でした。
悪役もどこか憎めない連中(それがムスカでも)だし。
んで、③からですが・・・・・・・・・
すごいけどなんか「?」な気分になるし、つまり
映画見てももう一度見たくなる作品一つも無いんだわ。
ちなみに『豚』とか『カリ城』なんて
コレだけでご飯何杯でもいけるぜの定番でした。
『私はとんでもないものを見てしまった(笑)』とか
『はいよ~ じるばぁ~!(んでまたこれか:笑)』とか
『ポニョ』ですが、FMでの洗脳攻撃(違)で主題歌は
早々の人気ですがこれは原点に立ち返ろうと言う
意図なのかあるいは新たな境地を切り開きたいと言う
野心なのか正直判りません。ただ、今言えるのは
今どきの娯楽作品はあまりに雑音が多すぎるので
幅広い世代にもっとシンプルに楽しめる・・・そう、
料理で言えば勝負で勝つ料理より、みんなが
笑顔になる料理を作って欲しい・・・そんな感じです。
クワガタ飼っていて、シンプルだけど面白いと感じてる
まさとしでした。

Posted by: まさとし3055 | August 05, 2008 at 11:41 PM

>まさとしさま

コメントありがとうございます。のちほどうかがいます~

まあわたしの各時代の宮崎作品に対する印象は上に書いたのが全てなんで、あんまり付け加えることがないんですけど(笑)
そうですね。①②の時代はいい意味でシンプルだったかな。「何がやりたいのかはっきりしていた」という点では
『もののけ』以降は少し難解な部分が増えましたかね。でも自分は『もののけ』と『千と千尋』は好きですよ。『ハウル』はまあ、そんなに嫌いじゃない程度

シンプルさがよい、という点では『ケータイ捜査官7』がいいです。気が向いたら見たってくださいgood

Posted by: SGA屋伍一 | August 06, 2008 at 07:44 PM

ほんとだ!
宮崎さんの転機は、見事なまでに3年ごと十年周期なんですね〜
やっぱり子どものころ夢中になって何度も観た
①オタク時代の3作品は別格。
②の中では「トトロ」、③の中ではちょっと意外かもですが「ハウル」がお気に入りです。
「名探偵ホームズ」も大好きheart
テーマソングがまた名曲なんですよね〜
先日「仕事の流儀」の宮崎さんを見て、やっぱ宮崎映画のDVDはコンプリートしとかなきゃ!と決心しました。

Posted by: kenko | August 10, 2008 at 12:57 AM

>kenkoさま

こちらにもコメントありがとうございます
宮崎さんに関しては一家言持つ方が多いので、異論も色々あると思うんですけどね

>①オタク時代の3作品は別格。

シンパシー♪
特に『カリオストロ』は心の底から楽しんで作ってるなあ、というのがひしひしと伝わってきます。以後はなにかしらメッセージがこめられてますからね。他にエンタメに徹したものというと、それこそ『ホームズ』くらいでしょうか。「青い紅玉」と「ソベリン金貨の謎(だったかな?)」が好きです

>テーマソングがまた名曲なんですよね〜

それはわたしに歌えということですね?(違)

♪町に流れてる~ 時計台の鐘の音~
霧が晴れたなら~(カーン)

Posted by: SGA屋伍一 | August 11, 2008 at 02:16 AM

伍一くん、こんばんわ☆
今日はロンドンから電車で1時間のところにある、ちと言い間違えたらヤバイ「ソープパーク」に行ってきました。
場所はサセックス州にあります。
そこで「ソウ」をテーマにしたお化け屋敷に入って、絶叫していたら喉が枯れてしまいましたよ。

さて、さすが洞察力するどい伍一くんですね。
宮崎アニメの進化は、確かに伍一くんの言うとおりのような気がします。

ポニョはいまひとつ感があったけど、今年の『借りくらし~」はよさそうだったよね。

Posted by: ノルウェーまだ~む | August 25, 2010 at 05:58 AM

>ノルウェーまだ~むさん

あう。強引なTBから飛んできてくださってありがとうございますcoldsweats01
ソープラ・・・パークですか。それはまずいですね。所在地が「サセックス」というとこがまた(爆)
ソウはいきなり6から見ました(笑) そういえばあれにはなんか遊園地にありがちなアトラクションがいろいろでてきましたっけ

で、お褒めのお言葉恐縮ですcoldsweats01 毎度適当に書いてます・・・ この記事、熱心なミヤザキファンに見つかったら「全然わかっとらーん!」と怒られるやも

『借りぐらし~』は確かにあまり悪い評価を聞きませんね。実はわたし『ゲド戦記』がけっこう好きだったりするのですが、これを言うとだいたいドンびきされます

Posted by: SGA屋伍一 | August 25, 2010 at 09:18 PM

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