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July 02, 2008

ナナちゃん 長江の怪物 周星馳 『ミラクル7号』

20080702124827セブン セブン セブン(じゃららー)
セヴン セブン セブン(じゃららー)
はるかなほしが(うおんうおーん) ふるさとだ(うおんうおーん)


近代化の波が押し寄せる中国。これはその地を舞台にしたもうひとつの『ドラえもん』の物語。
その世界では、のび太の家は恐ろしいほどにド貧乏で、母はすでに亡く、父はのび太をいい学校に通わせるために24時間働き続けていた(この辺は『巨人の星』か)。
学校ではスネ夫がジャイアンよりも強く、ジャイ子はさらに肥大化していた(でもおとなしい)。
のび太は信じていた。いつか救世主「ドラえもん」が別の世界からやってきて、自分たちをこの貧乏地獄から解放してくれるであろうことを。だがやってきたのはネコ型ロボットではなく、イヌ型ロボットであった・・・・・

『キャプテン翼』や『ドラゴンボール』など、日本のマンガからよくインスピレーションを受けているチャウ・シンチー。今回は『ドラえもん』からネタをパク・・・拝借したようです。これは言いがかりでもなんでもなく、周さん自身がはっきりと「『ドラえもん』からパクりました」と言っているので。周さんは正直でえらいな! 先生嬉しいぞ! 『ライオン・キング』の原作者もぜひ見習ってほしいな!
とはいえ『ドラえもん』はあくまでトッピング。ベースとなっているのは『E.T』と親子愛ですね。それにさらにシンチーさんお得意ベタベタネタを加えた内容となっています。

実は~ですね。中ほどまではそんなにストーリーに乗り切れなくて まず主人公のディッキー少年。根は悪い子じゃないんですけど、どうにもイライラさせられる場面が多かったです。あと香港コメディ独特のセリフ回しに「?」と感じたり、ギャグが暴走しておいていかれたり。そして「比べちゃいけない」と思いつつも、あの大傑作『少林サッカー』を思い出して物足りなく感じてしまったり。

でもね。でもですね。

自分、クライマックスのところで泣いてしまいました
そんで、ラストカットでもういっぺん泣いてしまいました

今年に入ってもう30本くらい映画を観ていますけど、泣かされたのは『テラビシアにかける橋』とこれだけ。『テラビシア』はともかくとして、アカデミー関連の秀作でも泣けなかったのに、これで泣いてしまうというのはなんだか人間としてまちがってるような・・・・ だってヘンテコなぬいぐるみがゼンマイみたいなアンテナから「ういーん」と電波を出してるような絵なんですよ。冷静に考えりゃどうしたって涙がひっこんでしまうと思うんですけど。・・・・まあ泣けてしまったものは仕方ないですね。そういや去年も一番ボロ泣きしたのは映画じゃなくて、テレビ番組の『仮面ライダー電王』だったしなあ(書けば書くほどドツボにはまっていくなあ)。

というわけで終わったあとは「ありがとうシンチー! 大好きだシンチー!」と心の中で絶叫しておりました

この映画から特に強く感じたものは「貧乏へのこだわり」でしょうか。これまでもシンチー作品において「貧乏」は重要な要素でしたが、今回はさらにそれが際立っていました。
たぶん実際はもっといい暮らししてんじゃないかな~と思いますが、作品の中ではいつも貧乏なシンチーさん。そのきめ細かい描写は、まるで画面からすえたにおいが「ぷ~ん」と漂ってくるかのようです。
そんなビンボイズムを観ていて思い出すのは、偉大なる喜劇王チャップリン。あの山高帽をかぶったチョビヒゲの紳士も、映画の中ではいつも空っけつで腹ペコでした。
チャウとチャップ。二人の喜劇王はなぜこれほどまでにビンボイズムを大切にしているのか。それはたぶん真に生きる楽しさ・喜びを知っているのは、富める人々ではなく、貧乏な人たちだからでは、と考えます。
以前けっこうな高給取りの職人さんが、こんな言葉をもらしているのを聞いたことがあります。「おれアもううまいもの食いすぎちまって、何を食っても『うまい』って感じられねえんだよ」
それに比べると、100円のハンバーガーでも10円の「うまい棒」でも「うまい」と感じられる自分は、確かに幸せ者かもな、と思いました。そりゃあ、うな重やステーキが食いたくて夢でうなされることもないではないですが。

これから物価もますます値上がりし、貧富の差もますます広がっていくのでしょうけど、「貧乏=幸せ」と考えるなら、なんだか乗り切っていけるような気がします。大丈夫! 本当に困ったときはナナちゃんが助けてくれるから!
20080702124846つーわけで、自分、マジでナナちゃんが欲しいんですけど。
あれ、日本ではどの辺に行けば見つかるんでしょう? 夢の島あたり?
ヘンテコな円盤を見かけた方、ぜひこちらにご一報を。

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Comments

こんばんは!
私も真剣にナナちゃんが欲しいです!
もし家にナナちゃんが来たら、毎日毎日お散歩して可愛がることを誓います!!
で、、、見つからない場合は、とりあえずヌイグルミを買おうではないか・・・と考えています♪

でね、、、私って物分かりが悪いので、イマイチよくラストの意味が分からなかったのよ~
というか、一緒に見た息子が、鼻水をたらしながら、「ナナちゃんが~ナナちゃんが~」と言って泣くんです。

SGA屋伍一さんは、『クライマックスのところで泣いてしまいました。そんで、ラストカットでもういっぺん泣いてしまいました』そうですが、ラストでもういっぺん泣いたのは、、、嬉し泣きですか?
息子が、「お目目バッテンのナナちゃんが本当のナナちゃんだぁ~元に戻せ~~~」と脅迫するんです。困ったもんだ(汗)

Posted by: 由香 | July 02, 2008 11:58 PM

伍一さん☆
良かった〜最後には満足で
やっぱりこれまでのシンチー映画のような笑いを求められると思うからちょっとキビシいかなって思ったけど、
これは全く新境地として、成功だったと思います!

シンチー正直で偉いな にウケました(笑)
そうそう、徹底してるのは"貧乏"へのこだわりですよね。
自身が貧乏だったから、っていうのもあって
毎度、貧乏なシーン出て来ますよね。(少林サッカーも。)
死んじゃうだけじゃなく、ぬいぐるみになっちゃうというのがとくにヤラレました〜。。。

ななちゃんがめちゃ可愛くて、、、
また観たい、、、、、(笑)

Posted by: mig | July 03, 2008 12:54 AM

>由香さま

お忙しいところご来訪ありがとうございます!
ヌイグルミあるんでしょうかね? とりあえず劇場では売ってなかったですねえ。販売してないなら自作するしかないか?

ラストカットはもちろんうれし泣きなんですが、そうか~ 考えてみたらナナちゃんが○○○○ところまでははっきりやらなかったですもんね
由香さんは『ウルトラマン』の最終回をご存知でしょうか? ゾフィーが「命を二つもってきた」というアレです。アレと同じで、たぶん円盤か仲間たちがあのあと電池を補充してくれるんでは、と勝手に想像してました

>息子が、「お目目バッテンのナナちゃんが本当のナナちゃんだぁ~元に戻せ~~~」と脅迫するんです

優しい息子さんですね・・・・
でもあんまり駄々をこねるのであれば、シンチーパパのようにお尻をビシビシ叩いてあげましょう!

Posted by: SGA屋伍一 | July 03, 2008 08:17 AM

>migさま

お返しありがとうございます。ちょっと文句たれちゃってすいません
それにしてもmigさんのシンチー愛は相当なものですね
なぜあんなくたびれた40オヤジに・・・ メラメラ(嫉妬)

シンチーさんもやっぱり少年時代は貧乏だったんですか。でなければあそこまでリアルには再現できないですよね~
サクセスしてもそのころの学んだ大事なことを忘れないで、作品の中で訴え続けているシンチーさんは、やっぱり偉大な人ですね

>ぬいぐるみになっちゃうというのがとくにヤラレました〜。。。

わたしもやられました・・・・
ちょっと笑ってるように見えたのがなんともまた・・・・
本当にあのまま終わったらどうしてくれようかと思いましたよ(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | July 03, 2008 08:24 AM

こんにちは!
某所のメンズデーで鑑賞されましたか~
その日にTOHOで観ました♪
ウッカリ会ってしまうところでしたね~(笑)

ラストについて、皆さんがハッピーな風に考えているんですね~
今のところ、2つくらい意見があって、
*ナナちゃんが復活してやってきた。(ディッキーのところに走ってきたのがナナちゃんだ)
*仲間が電池を持ってきた
と、お考えの方が多いようです。
私も電池派ですが、子どもはなかなか納得しませんでした~
で・・・「そもそもディッキーがナナちゃんに酷いことをしたのが許せない!トイレに突っ込むなんて言語道断!ボクが主役だったらナナちゃんをずっと可愛がったのに・・・映画のタイトルは、ナナちゃんラブだ!」と息巻いています。誰に似たんだろう?(汗)

PS.若いのでウルトラマンの最後は知りませ~ん(大嘘)
でも、日本アニメに影響を受けている監督なので、その考えが当たりかもですね♪

Posted by: 由香 | July 03, 2008 09:14 AM

またお邪魔します、

ちょっとー伍一さん!
くたびれた 40オヤジって!(笑)

いつもあそびにきてくれるので表側にリンク移動しましたのでお知らせしますね〜☆

わたしのblogもリンクしてくれてありがとう

Posted by: mig | July 03, 2008 10:33 AM

>由香さま

またまたありがとうございます

>その日にTOHOで観ました♪

なんですってー だったらもう800円払ってTOHOの方に行ったのに(笑)
ま。それはともかくコ○ナさんは近隣ではメンズデーのある数少ない劇場なのでお世話になっとります。TOHOさんもマイナーなのよくかけてくれるんでありがたいですけどね

>ラストについて、皆さんがハッピーな風に考えているんですね~

そのようですね。というか、あの絵からアンハッピーな解釈をするほうが難しいかと あ、でも「地球侵略?」みたいな解釈をしてた人もいたなあ ・・・・まさかね(笑)

それにしても息子さんはずいぶんナナちゃんにラブラブのようですね。クラスにナナちゃんそっくりの子がいたら要注意ですよ!

>誰に似たんだろう?(汗)

あなたです。あなたしかいません(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | July 03, 2008 05:47 PM

>migさま

またまたありがとうございます!

>くたびれた 40オヤジって!

あはは、やっぱり怒られた
ジェラシーゆえの発言とゆーことでお見逃しを~

>表側にリンク移動しましたのでお知らせしますね〜☆

こちらもありがとうございます!
これで晴れてわたしもゴールドメンバーズの一員か・・・(違)
相変わらずしょぼい当ブログでありますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします

Posted by: SGA屋伍一 | July 03, 2008 05:52 PM

そうなんです、ストーリー自体は「E.T」の焼き直しなんですが、全体のムードは「ドラえもん」っぽい。
これがアジアテイストなのかも知れませんね。
チャウ・シンチー物としてはやや薄味でしたが、これは彼が新境地へトライしたと考えて、次での飛躍を期待したいと思います。

Posted by: ノラネコ | July 06, 2008 12:51 AM

>ノラネコさま

お返しありがとうございます

チャウ・シンチーは作品の元ネタを全然隠そうとしないところがいっそすがすがしいですね(笑) 

『E.T』よりもかなりウェットな仕上がりとなりましたが、この辺がアジアンテイストなんでしょう

次回作は『カンフーハッスル2』だそうですが、また元のスタイルに戻るんでしょうかね

Posted by: SGA屋伍一 | July 06, 2008 10:10 PM

これ、爆笑というよりか ほのぼのしてしまいました!

ななちゃん最高ですよね!
あの表情がたまりません(><)
すごいハイテクな存在なはずなのに、コイルが飛び出るなどベタなところもけっこうツボだったりします。

Posted by: コブタです | July 07, 2008 10:54 AM

>コブタさま

お返しありがとうございます
ななちゃんがドツボだったみたいですね
全体的に「困り顔」が多かったような気がするんですけど、その辺が母性愛をくすぐるのでしょうか?

>コイルが飛び出るなど

あれはマジで心配でした でもいつの間にかひっこんでいたりして。自動修復システム? それにしても宇宙人が作ったはずのなのにバネって(笑) ハイテクなんだかローテクなんだか・・・

Posted by: SGA屋伍一 | July 08, 2008 01:53 PM

こんばんわ。

私もディッキー少年、ちょいとイラっとするところがありました(笑)。
でも、あの子が実は女子で、しかもシンチーの養女だってことを知り、
「うおおおおー!!」と思ったわけです。

今年は可愛いキャラクターがたくさんですね。
ナナちゃん、ポニョ、エアーガンのシガー・・・・(←?)などなど、
みんな魅力的(←そうか?)。


≫ヘンテコな円盤を見かけた方、ぜひこちらにご一報を。

いえいえ、ぜひとも私の方に先にご一報を(笑)。

Posted by: 睦月 | July 24, 2008 10:55 PM

>睦月さま

お返しありがとうございます
わたしもディッキー役の子が女の子と知った時にはビックリしました
インタビューかなにかで「長い髪を切るのがいやだった」と言ってました。やっぱり女の子ですね

>ナナちゃん、ポニョ、エアーガンのシガー・・・・(←?)などなど、
みんな魅力的(←そうか?)。

そちらのコメントにも書きましたけど、最初はとってもダサ~く見えるところが共通してますね。『クローバーフィールド』の「アレ」ちゃんも忘れがたいです

>ぜひとも私の方に先にご一報を(笑)。

ふふふ・・・・ 愛するムッキーさんの頼みとはいえ、こいつだけは譲れねえな!

Posted by: SGA屋伍一 | July 25, 2008 06:57 PM

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