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June 20, 2008

親友どうでしょう 内田けんじ 『アフタースクール』

20080620192008キャストも絵面も地味なのに、最近やけに評判のよいこの映画。なるたけ慎重に紹介いたしますが、これから観ようという方+勘の良い方は読まれないほうがよいかも・・・・

母校で教諭を務めているジンノの前に、ある日元級友だったというシマザキと名乗る男がやってきます。
シマザキは探偵をやっているらしく、ジンノにやはり元同級生のキムラの行方を尋ねます。彼の説明によればキムラはどうも身重の奥さんをほっぽって、ヤクザの情婦と浮気をしているということなのですが・・・

この映画の存在を知ったのは一ヶ月ほど前に某劇場で見た予告編で。その時の印象は「『転々』や『全然大丈夫』みたいな日常系ユルユルムービー?」というものでした。んで、この時わたしはこの映画にこれっぽっちも興味を抱いていませんでした(笑)。一応「甘く見てるとだまされる」というコピーはありますが、それはてっきり登場人物に対しての言葉であって、ストーリー全体に巧妙な仕掛けがほどこされいるとは夢にも思わず。
それがいざ公開されてみると、「だまされた」「びっくりした」という賞賛の雨嵐。「これは・・・・そういう映画だったのか?」とようやくわたくしも気づいた次第です。だからこの映画を一番楽しめたのは、仕掛けなど何も期待せず、「大泉洋がなんか面白そう~♪」くらいの軽い気持ちで観にいかれたごく最初のお客さんたちでしょう。

さんざん「驚く」と聞かされたので、かなり身構えて臨んだ鑑賞。そのせいか、ストーリーのごく最初からさまざまな違和感がそこかしこに感じられました。たとえば
「なんでキムラは嫁の親父と同居してるんだ?」とか
「いくら元同級生で親友の嫁だからといって、ジンノはどうしてここまでかいがいしく面倒をみるんだ?」とか
「キムラの嫁は幸せの絶頂のはずなのに、なんでそんなに悲しげなことを言うんだ?(ダンナの浮気に気づいているのか?)」とか
「同じ団地の住人とはいえ、この人はなんでこんなに底なしに親切なんだ?(そしてこんなにいい人に、ジンノはどうしてここまでそっけないんだ?)」とか。他にもたくさんありました。
しかしまあこれらの違和感はどれも決定的なものではなく、どれも「なんか事情があんだろ」「そういう人なんだろ」で流せるものです。
ところがストーリーのある一点を過ぎたあたりから、これらがすべて巧妙に張り巡らされた伏線であったことがわかる。いやー、やられました。完敗です。

ただ、この映画は単なる「巧い」だけの作品ではありません。わたしにとってはなんとも心地い~い作品でもありました。クライマックスのある場面など、もう画面に映るすべての人々が微笑ましい(笑)。
そして終盤にジンノが叩きつけるある言葉。

「つまらなくしてるのは学校じゃない。つまらなくしてるのはいつだって・・・」

これを『水曜どうでしょう』で色々苦労している大泉洋が言うからこそ、イヤミがないし説得力があります。
そう、ちょいと角度を変えただけで、物事はこんなにも違って見えてくる。

世の中相変わらず先行き不透明だし、やんなることも時々あるけれど、
でも毎日ってけっこう楽しいよな?

わたしは根が単純なんで、こういう小気味よい映画に出会えたりすると、なおさらのことそんな風に思えてしまうわけです。

ちなみに友達からの又聞きで恐縮ですが、ある番組で内田監督はメインの三人を選んだ理由についてこのように語っていたそうです。

堺雅人・・・・すごく怪しそうだから(もう、そこにたたずんでいるだけで怪しい、とか)
佐々木蔵之助・・・・演技力を評価して(公式では「世の中の色んなものを見てきた目をしているから」とありました)
大泉洋・・・・なんか笑いがとれそうだから

20080620192019そっ、そんな簡単な理由で・・・・

まあこれは彼一流のたばかりでしょう(笑)。きっと深い思慮と綿密な計算によってこれらのキャストを選んだはず。そうに違いありません。
このハードルを越えるのはなかなか難しいかもしれませんが、できればまたわたしたちを「ステキにだまして!」ほしいものです。

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Comments

こんにちは。
>「なんか事情があんだろ」「そういう人なんだろ」で流せるものです。
私は、騙され系と知らずに、個性的なキャスト目当てで観に行ったのですが、妙な違和感に終始モゾモゾ。流せませんでした。
「やられた!」と言うよりは、「え~~~」な感じ。
何か別のモノを期待していたんですよね。

大泉の最後のセリフが良いというコメントも多いですが、私はあまり好きじゃないです。
大泉洋がいうことは、伍一さんのおっしゃるように頷くところはあるけれど、現役教師のジンノの言いっぱなしは、突き放すだけみたいに感じられて。
ま、友達じゃないから、そんなものかもしれませんが、自分のクラスの、そんな子供とはどうせっしているのかな?なんて思っちゃいました。

あー、「つぐない」といい、批判的なコメントばっかりでごめんなさい!
次ぎは楽しいコメントしたいですっ!

Posted by: たいむ | June 21, 2008 09:44 AM

>たいむさま

コメントありがとうございました

そういえばたいむさんは割と早い段階でこの作品を鑑賞されたんでしたっけ。まさに>「大泉洋がなんか面白そう~♪」という動機で観に行かれたお客さんだったんですね
そっかー そういうお客さんはもっと軽快で明快でスピーディーなノリを期待するものなのかなー

大泉先生の言葉はですねー あれは彼なりの愛のムチなんじゃないかと。たまには厳しくビシッと言ってやるのも教育なんじゃないかと
そっから自分を見つめなおせるかどうかは、また個々の問題ですよね
ま、わたしと個人としてはずっと言われっぱなしだった彼が最後に見事に返し技を決めてくれたんで、単純にスカッとしました

>批判的なコメントばっかりでごめんなさい!

ウチは誹謗中傷でない限り反対意見や間違いの指摘もバンバン受け付けてますんで、お気になさらず
真っ正直な(笑)コメントまたよろしく!

Posted by: SGA屋伍一 | June 21, 2008 11:32 AM

そうそう、もじゃもじゃ先生はねずみ男でもあるんですよね(笑)

「運命じゃない人」を偶然テレビで観ていなかったら、
私もそんなに興味を持たなかったと思います。
騙されたい・・・でも騙されないぞ~
そうとう鼻息を荒くして観ましたが・・・やっぱり騙されたっ
最初からある数々の違和感は、見るからに変人っぽい登場人物たちのキャラクターゆえ?だろうと、
自分の中であっさり処理してました

Posted by: kenko | June 21, 2008 08:26 PM

>kenkoさま

お返しありがとうございます~

そう、次はネズミ男が控えてるんですよね。どっちかってえとこっちの方が本来の大泉さんの芸風だと思います(笑)

>違和感

上で「流せるもの」と書きましたがそうでない方もけっこうおられたみたいで
自分はおおざっぱな性質なんでスルスルと流してしまいました

出産前後のあのドタバタ加減は三谷幸喜のカラーとなんか似てました。彼の作品にもひねた人とか変人が良く出てくるし(笑)
『マジックアワー』、どうしようかなー

Posted by: SGA屋伍一 | June 21, 2008 09:04 PM

こんにちは~
そぼ降る雨の音を聞きながら、心地よく温かいレビューを読ませて頂きました。
この映画に関して自分がどう感じたのかをそろそろ忘れつつありますので(早っ!!、もうスッカリSGA屋伍一さんと同じ気持ちで映画を受け止めている自分がいます。
ああ~これも、きっと雨のせいね。
雨が私を変えたのね~~~

考えたら、、、ユルユルな雰囲気がいい味でしたよね~
勝手に、もっと派手などんでん返し的なことを期待していただけで、この作品の持ち味を素直に感じられなかったわ~~~
未熟者でお恥ずかしい限りです。

先日『マジックアワー』を観ましたよ~
私にはどう~も合いませんでしたが、、、(滝汗)
結局、イケメンがいないと燃えないのよねぇ~困ってしまう

Posted by: 由香 | June 22, 2008 10:38 AM

こちらにもお邪魔します
私は、この作品とても楽しめたのですが。
何を書いてもネタバレになってしまいそうで、どうやってアップしたいいのかかなり迷ってしまいました。
コメントを入れてもネタバレになってしまいそうで。
かなり慎重になっておりますよ。  
でもって、内田けんじ氏の前作『運命じゃない人』はご覧になりまして?
本作よりも地味な作りとキャストですけど、必見っすー
デビュー作であそこまで作り上げるとは感嘆しまくりっす。

本作とは関係ないけど、伍一すわん『ぐるりのこと。』って興味ありますか?リリー・フランキーさんが出てまして、法廷画家という設定なんだけど。画を描く時に、ジックリと観察しているようでして。
画を描く人には、自分には持ち得ないクリエイティブな観察眼があるんだなーと妙に感心しながら、伍一さんのことを思い出したのであります。

Posted by: となひょう | June 22, 2008 11:18 AM

>由香さま

お返しサンクスです~

やみませんね、雨・・・

雨音を聞きながら物思いにふける由香様を想像して少しロマンチカな気分になれましたが、こちとら外の仕事がメインなもので、雨が続くともともとユルユルだった性格がさらにユルユルユルユルに・・・・

あ~ も~なんにもしたくね~ みたいな~

・・・・失礼しました。気を取り直してファイト一発!

由香さんはミステリーも読まれるので「叙述トリック」と呼ばれる類の作品もご存知だと思うんですけど、映像でその「叙述トリック」をかましてくれた気がしてとっても感心したんですね
確かにこないだの『ミスト』に比べればオチの衝撃度はやや落ちるかもしれませんが、満足感はこちらの方がはるかに上でした。ワタシ的に

『マジックアワー』はまだ思案中です。とりあえず今後の鑑賞は遅れて沼津にやってきた『俺たちフィギュアスケーター』と、『ミラクル7号』『インディ』を優先。後ろ二作は観たらまたそちらにお邪魔します♪

Posted by: SGA屋伍一 | June 22, 2008 09:00 PM

>となひょうさま

こちらにもコメントありがとうございます
みなさんかなり慎重に書いてますよね。そんな中空気読まずにけっこうズケズケ書いちゃうオレ そのウチお怒りのコメントが入るやも・・・・ ガクブル

『運命じゃないひと』は未見です。こちら観てかなり興味湧いてきました。なんとかして観たいなー
それにしてもこちとら最近ようやく内田氏の名前を知ったばかりだというのに、前作からいちはやく目をつけていた方たちは本当にすごいなー、と思います

>『ぐるりのこと。』

良さそうな映画ですよね。ただ地方在住の身のゆえミニシアター系の映画は月二本くらいが限界なんです。こっちに流れて来たら観てみようかな。ちなみに来月は『庭から昇ったロケット雲』と『ホット・ファズ』が観られたらなあと

>伍一さんのことを思い出したのであります

すげーありがたい そしてすげー心苦しい(笑)
自分なんぞ一番クリエイティブから程遠いところにおるので・・・ 最近じゃ「いかに手を抜くか」にひたすら腐心しております・・・

となひょうさんはリリーさんが著した『日本のみなさん、さようなら』という邦画オンリーの紹介本をご存知でしょうか。とっても面白いですよ
「似てない似顔絵を描いた時は、カオの近くに名前を書いておけばOK!!」という一節があって「リリー先生! 一生付いていきます!!」と思いました(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | June 22, 2008 09:23 PM

SGA屋伍一さん、こんばんは。
大泉洋とかって、よく知らないんですよね。
最初、お笑いの人かと思ってました・・・。
一番馴染みがあったのは、常盤さんですかね。
「悪魔のKISS」のマリコ役がハマっていたから、オミズな女はアナタの方が似合うでしょうーって思ったら、そうでした!
メジャーな邦画は嫌いなので、カンヌで評価された「運命じゃない人」の内田作品じゃなかったら、私は観に行かなかったと思いますー。
大泉って、そんなに人気者なん?
メジャー嫌いと言いつつ、ザマジックアワーも観ちゃいましたー。
こちらもそちらも人情に泣けました!
ミストはオチにはうなったけど、人情に泣けないから好きじゃないーって感じ。

Posted by: かえる | June 24, 2008 12:56 AM

>かえるさま

お返しありがとうございまする

大泉さんは劇団員でもあったようですが、北海道ローカルの『水曜どうでしょう』という番組で人気が出た人みたいですね。
サイコロの出た目で次の行き先と手段を決定する「サイコロの旅」とうのが売り物の番組です
その後『ブレイブストーリー』でジャージャーもどきをやったり、『ゲゲゲの鬼太郎』でねずみ男をやったり(笑)

常盤さんは一時期テレビドラマで天下とってましたよねー 特に興味ないひとでしたが、今回はぞくっとするほどキレイに見えました。オイラお水系に弱いのかしら

マジックアワー良かったですか。それなら『有頂天ホテル』もおすすめです。こちらはどっちかといえば お笑い>人情 ですが

『ミスト』は確かに感心すんだけど、二度見たくはないですよね。それに対し『アフタースクール』はもう一回確認したくなる。この差はでかい(興行的に)
まあ『ミスト』は本国ではまあまあ稼いだようですが

Posted by: SGA屋伍一 | June 24, 2008 04:29 PM

こんばんわ。

≫「『転々』や『全然大丈夫』みたいな日常系ユルユルムービー?」

私もてっきりそう思ってたんです。
内田監督の前作『運命じゃない人』も未見だったし、それ以外に
どんな映画かなんて検討もつきませんでした。

なのにね。
こんなに緻密な高IQ映画だったなんて!
ってか、内田監督ってメチャクチャ頭いい人なんだろうなって思います。

今をトキメク売れっ子中堅俳優さんたちの活躍が素晴らしかったー!
大泉さんって苦手な役者さんだったけれど、この作品で見直しちゃったわー!

Posted by: 睦月 | June 25, 2008 10:41 PM

>睦月さま

お返しありがとうございますでやんす
睦月さんはいい意味で期待を裏切られたみたいですね~ できればわたしも何の予備知識もない状態で見たかった・・・ でも「驚く」という評判を聞かなきゃ観にいく気にならなかっただろうし・・・・(堂々巡り)

頭のいい人っていうのは、色んな角度から物事を観てると思うんですよね。そんな内田監督の「頭のよさ」が光っていた作品でした

>大泉さんって苦手な役者さんだったけれど

ははは。ネズミ男の演技が睦月さんのイメージとそぐわなかったんでしょうか

Posted by: SGA屋伍一 | June 26, 2008 08:12 AM

私もあのラストのジンノの台詞最高だと思いました!

今年のコブタ賞 名台詞部門で受賞(そんな賞はありませんが)間違いないとすら思ってしまいました。
あれがあるから、もともと上手い脚本が見事に締まったように感じました!

大泉洋さん 佐々木蔵之介さんの演技もいいのですが やさぐれパンダでもいい味の堺雅人のあのラストの笑い方も結構好きだったり。
(ていうか、、あの笑顔が私のタイプだけ?)

Posted by: コブタです | July 07, 2008 11:01 AM

>コブタさん

こちらにもありがとうございます。確かにジンノ先生のあのセリフ、今年見た中映画のでも有数の名セリフでした
物価高など不安になるニュースが多いのでこちらも気分が暗くなりがちですが、ジンノ先生の言葉を胸に刻んで楽しくやっていきたいものです

コブタさんは大河ドラマはご覧になられるでしょうか。数年前の大河『新選組!』で、堺さんのあの笑顔、大人気だったんですよ。どのくらい人気だったかというと、彼が死ぬ回で予告で「もうあの笑顔に会えない」というテロップが流れたり、その回だけ年末に特別アンコール放送があったり。『アフタースクール』よりもう少しさわやかでしたが(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | July 08, 2008 02:22 PM

隣県でまだやっていたので観てきましたの。
面白かったですね~,途中まではたしかにユルくって
ちょっと睡魔に襲われたりもしましたが
神野の部屋にあのひとが「おかえり!」と待機していたあのシーンから
一気に目がさめました!それからは
いやいやいやいや,そ~だったのか~!の嵐で。
こーいう騙され方,心地いいです。
それにしても,監督がお三人を選んだ理由,おもろすぎ。
特に堺さんの「怪しそう・・・」というのはなんかわかる。
あの笑顔がねぇ~~好きなんだけど,怪しいですよ,彼。

Posted by: なな | August 31, 2008 09:03 PM

>ななさま

おはようございますー

>隣県でまだやっていた

確かこれ6月から始まってたのかな? 未だに全国巡業中なんですね
ウチもなかなかの田舎でして、あきらめたころに回ってきたりする作品もけっこうあります。今月は『赤い風船』というリバイバル作品が楽しみ

>神野の部屋にあのひとが「おかえり!」と待機していたあのシーン

これ、わたしも一番ウケたシーンでした(笑)。「なんでお前がそこにいんだよ!」と叫びたいのを必死でこらえましたね~ アメリカ人なら劇場でも遠慮なくつっこむだろうな・・・・

わたしの堺さんのイメージは「薄幸のひと」というものでしたが、内田監督のせいですっかり「怪しいひと」に変わってしまいました  これからはああいう顔の人を見かけたら用心することにします

Posted by: SGA屋伍一 | September 01, 2008 08:34 AM

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