« 適当掲示板66&ナルニャー国物語第二章 カルカンピーナツ味は猫まっしぐら | Main | あつ姫じゃ~っ!! ~大河ドラマ『篤姫』より⑧ 素顔のままで・・・の巻 »

June 17, 2008

ラスベガスでぶっつぶす ガイ・リッチー 『リボルバー』

20080617190932名作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』監督で、マドンナのダンナとしても知られるガイ・リッチー、待望の新作。ちなみに記事タイトルは「ギャンブラー→ベガス」という安直な発想から来ているもので、作品の舞台がベガスなのかどうかはよくわかりません。

わたしがこの映画を観ようと思ったのは、まず予告編がとってもポップ&スタイリッシュで、なんか面白そうだったから。そんで監督は一部で評判の高いガイ・リッチーじゃあーりませんか。さらに製作にリュック・べッソンが名を連ねている。こいつはカタいだろうと思って鑑賞に臨んだのですが、果たしてその結果は・・・・

とりあえずあらすじから。ム所から出て二年の辣腕ギャンブラー・グリーン。彼はム所に入るきっかけを作った組織のボス・マカに、ギャンブルの腕と度胸で復讐をしかけます。
ところがグリーンが宣戦布告した直後に、謎の二人組が現れます。彼らはグリーンに「君の命はあとわずかしかない。それまで守ってやるから俺らの言うことを聞け。そんで有り金全部よこせ」と、よくわからない取引をもちかけます。それに対し、一通り疑ってはみるものの、「それじゃお願い」とこれまたよくわからないリアクションを返すグリーン。以後この調子で、ひたすら脈絡のない行き当たりばったり的なストーリーが展開されていきます。

うーん。なんといえばいいのかなあ そう、これはちょうどガイさんの「昨日オレこんな夢みちゃったんだけど、聞いてくれる?」という話に、えんえんとつき合わされているような、そんな映画。
まあ夢の話なら夢の話でいいんですよね。最初からそう言ってくれれば。そんでもっと思いっきりはっちゃけてくれればそれはそれで楽しみようもあるわけです。ところが中途半端に現実&エンタメの領域に片足つっこんでいるので、こっちもどういう姿勢で鑑賞したらいいのかわからない。
わたしが足りない頭を振り絞ってどうにか読み取れたのは、グリーンもマカも内にいる「もう一人の自分」に怯えているということ。そしてグリーンとマカは非常に近しい存在である、ということくらいでした。

・・・と、気がつけば文句ばっかり書いちゃってるな。「いつなんどき、どんな映画でもホメ殺す」がモットーの当店としては、このまま終わってはいけない気がします。
そういえばこんな時便利な脳内キャラクターが一人おりました。ちょっと呼んでみましょう。ポジアンナちゃーん!!

「はーい、ポジアンナです♪ 出て来れてよかった♪」

ポジアンナちゃん、この映画はどんなところが良かったかな?

「えっとね、個々のキャラクターはとっても個性的だと思う。特にグリーンにつきまとう二人組みと調子の悪いメガネのヒットマンさんは、なかなかよそではお目にかかれないようなキャラじゃないかしら♪」

確かにあの二人組みは、なんだか人間を超越したメフィストフェレスのような存在で面白かったね。他には?

「絵的にもインパクトのあるシーンが幾つかあったわ。チェスのコマが画面いっぱいにずいずいと動いていくとことか、グリーンが内なる自分を制した途端、中の明かりがパーッと点くシーンとか。だからこの映画、個々のパーツは悪くないと思うの」

そうだね。ハイクオリティのプラモデルを、説明書を見ずに衝動のままに組み立てているようなものかな?

「あはは。オタッキーらしいいい例えね♪ あとガイ=グリーンとすると、彼って根は悪くない人だと思うの。だってほら、グリーンは結局誰も殺さなかったでしょ?」

まあ確かに。なぶり殺しの目にあうように、えぐい罠にはめたりはしてたけどな。

「『最大の敵は意外なところに潜んでいる』『上達の道は自分より強い相手と勝負すること』なんていう古今の警句が出てくるところもお洒落で勉強になったわ♪」

マキャベリの「戦争回避は相手を利するのみ」という言葉はどうかと思ったけどね。

「あはは♪ 相変わらず腰抜けチキンボーイね♪」

なめたこと言ってるとぶっ殺すよ(笑) でもこうやっていいところを並べ立てただけで、ずいぶん作品に対する印象が変わってくるね! ポジアンナちゃん、またアレな映画にぶつかった時はよろしくね!

「はーい! 役に立てて、良かった♪」

20080617190953・・・・ふう。ちょっとくたびれましたけど、脳内キャラというのもそれなりに役に立つものですな。
しかし脳内キャラにはくれぐれも警戒されてください。なんでも「最も恐ろしい相手」というのは、自分の脳内に潜んでいるらしいので。ガクブル

|

« 適当掲示板66&ナルニャー国物語第二章 カルカンピーナツ味は猫まっしぐら | Main | あつ姫じゃ~っ!! ~大河ドラマ『篤姫』より⑧ 素顔のままで・・・の巻 »

Comments

よかった探し〜(笑)
なつかしいなぁー
この映画はこちらの方で上映がなくて観てないんですけど・・・
ポジアンナちゃんのよかった探しに反応してしまいました
さすがポジアンナちゃん

Posted by: kenko | June 19, 2008 12:13 AM

>kenkoさま

毎度どうもです~

このキャラ、ネロやハイジに比べるとあんまり話題になることがないので、果たしてどれほどの方がわかってくれるか心配でした
ウケてくださって一安心です

よかったらDVDでもいいのでこの作品見てください! そして「よかった探し」してみてください!(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | June 19, 2008 10:15 PM

もうなんか、半分過ぎくらいから興味を無くして早く終わらないかなあと時計ばかりみてました。
作りを見ると、たぶん途中まではしっかり構成しようとしてたと思うんですよね。
途中で投げ出した感が伝わって来ちゃうから、グダグダな印象になってしまったんじゃないでしょうか。
はじめからシュールで突っ張るなら、それはそれでこちらとしても観方があるのに。

Posted by: ノラネコ | June 19, 2008 11:23 PM

>ノラネコさま

お返しありがとうほざいます
よっぽど辛かったんですね(笑)
ちなみにワタシが今まで一番劇場にいるのを辛いと感じた映画は、『ゴジラ』の同時上映だった『ハム太郎』です

昔美術部だったんですが、最初こそていねいに描いていたものの、途中から集中力が薄れてきてだんだん乱れていく・・・・
そんな感覚を思い出しました(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | June 20, 2008 08:56 PM

コメントありがとうございました!
たしかに 映像とか部分的にみると ガイ・リッチーらしさが光ってていいんですがでも、全体としてみると、、うーん ですよね。


まず 記事タイトルがあまりにも上手くいて笑ってしまい、ポジアンナ懐かしくて反応してしまいました!

私は、見終わったあとに良かった探しではなく、物語に納得できる意味づけ探しに奔走してしまって迷走してしまいました。

Posted by: コブタです | June 20, 2008 10:45 PM

>コブタさま

お返しありがとうございます

ポジアンナに反応してくださりありがとうございます(笑)
けっこうメジャーなキャラクターだったんだなあ、これ
ちなみに『ぶっつぶせ』の方は観てません

コブタさんはけっこうクールというか論理的に作品をとらえてますよね。そちらの記事での考察、興味深く読ませていただきました
作品にチェスが出てきましたけど、将棋なんかお上手なのでは?

わたしはあの手のゲームは二、三手先を読むともう頭から煙が噴出します(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | June 21, 2008 11:13 AM

こんにちは。
TB&コメントありがとうございます。
す、すみませぬー、反応が遅くなってしまって  
言葉でストーリーを説明すると、何だか面白そうでワクワクするんだけど。
蓋を開けてみると、はてなマークで一杯になってしまいますよねん。
何か評判もイマイチみたいで。

夢オチだったら納得できるんだけどなぁ。
夢だというままで突っ走ってくれた方が、文句なしに楽しめましたね。
やっぱり、終盤のもっていき方が違和感アリアリだった気がします。
まぁ、キャストは良かったですよ。
レイ・リオッタは、リッチー監督の期待に応えていたと思いまっす。

Posted by: となひょう | June 22, 2008 11:06 AM

>となひょうさま

お返しありがとさんですー

記事にも書いてますけど予告とかチラシ見るとすんげー面白そうなんですよね ここは宣伝マンの手腕を讃えることといたしましょう

評判はどこも悪いですね(笑) その中でもとなひょうさんのレビューはまだ優しめに書いてあったほうだと思います

>夢だというままで突っ走ってくれた方が、文句なしに楽しめましたね

ですねー。ただ夢の話ってよほどうまい人か、かなりつきぬけた人が語るのでもない限り面白くならないんですよね。それこそ漱石かつげ義春くらいのレベルでないと

「キャストは良かった」点については同意です。脚本がアレでも全力を尽くす! 裸にもなる! なレイ・リオッタは役者の鑑ですなー

Posted by: SGA屋伍一 | June 22, 2008 09:10 PM

こんばんわ。

『どんなクソ映画だったとしても必ずいいところを見つける』
『どんなクソ映画だったとしても決してけなさない』

淀川先生的映画美学を私もモットーとしておりました。
でも最近、それってちょっと違うんじゃないの?って思い始めております。

ライターや評論家は試写会にお呼ばれして、タダで映画を観まくって
いるんですよね。
その点、私たちはきっちり金を払って劇場に足を運んで鑑賞している。
それを思えば、こちらも正直に思ったことを吐き出す権利を得ているはず。

ということで、この映画は意味不明でした。
もちろん、好きなところもあります。前半は好き。映像も音楽もカッコイイ。

でも、結局意味不明でした。
製作者のオナニーに付き合うほどこちらはヒマじゃありません。
・・・って感じです(苦笑)

Posted by: 睦月 | June 29, 2008 11:07 PM

>睦月さま

お返しありがとうございます。ご意見謹んで読ませていただきました
「きっちり金を払っ」てるのだから、「正直に思ったことを吐き出」したいというお気持ち、よくわかります

ただわたしの場合は、「お金を払ったのだから『得たものが何にもなし』ではいやだな」と思ってしまうんですよね。その映画から、ひとつでもいいから何かいいものを得たい。地雷を踏んでも、タダじゃおきねーぞ、みたいな(笑) ま、要は貧乏性なんですな

悪口はけっこう書いてますね。上の記事でもずけずけ書いてしまいました でも悪口オンリーの記事というのはなるたけ書きたくないな、と思っております


>意味不明映画

たくさん映画を見ていると、たまにぶつかりますよね。今年でいうと『ノーカントリー』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の終盤もかなり難しかったです。ただ『リボルバー』はそれらに比べると熱気というか気合が足らなかったですねえ

Posted by: SGA屋伍一 | June 30, 2008 09:04 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference ラスベガスでぶっつぶす ガイ・リッチー 『リボルバー』:

» ●リボルバー(REVOLVER) [コブタの視線  ]
昔は匆々たる役者陣が、ギャラ無しでも出演したいとまで言われていたガイ・リッチー監督。 いろいろあって最近ではその名を潜めていたのです... [Read More]

Tracked on June 20, 2008 10:47 PM

» リボルバー [映画通の部屋]
「リボルバー」 REVOLVER/製作:2005年、イギリス=フランス 115分 [Read More]

Tracked on June 22, 2008 11:20 AM

« 適当掲示板66&ナルニャー国物語第二章 カルカンピーナツ味は猫まっしぐら | Main | あつ姫じゃ~っ!! ~大河ドラマ『篤姫』より⑧ 素顔のままで・・・の巻 »