一人と一体の特命係 三池崇史 『ケータイ捜査官7』
コンセプトを聞いたときは「うーん、これ、どうなんだろ?」という感じでしたが、フタを開けてみたらなかなか面白い!
たぶんいま日本で一番働いてる映画監督、三池崇史氏が総指揮を努める特撮テレビシリーズ。ずっと前から他局でやってる『ケータイ刑事』シリーズとはとりあえず関係ないようです(名前そっくりだけどね~)。
現在に限りなく近い明日未来(あしたみらい)。街では謎の「歩くケータイ」の噂が飛び交っていた。
都内に引っ越してきたばかりの網島ケイタは、友達に会いにいく途中、無人で暴走するショベルカーに襲われる。そのケイタを救ったのは、滝本と名乗る男と噂の「歩くケータイ」だった。彼らはサイバー犯罪を取り締まるために極秘に作られた組織「アンカー」のエージェントだった。
ケイタをかばって、重症を負ってしまう滝本。責任を感じたケイタは「歩くケータイ」セブンとともに、サイバーテロを阻止すべく犯人のアジトへ乗り込んでいく。この事件をきっかけに、ケイタはアンカーに加入。セブンの新たなパートナー「バディ」となるのだが・・・・
このケータイ型ロボットくん(フォンブレイバーと言います)、サイバー犯罪の元凶となっている端末に直接アクセスし、プログラムを無効化するという役割があります。そしてパートナーとなる人間の仕事は主に次の二つ
・ケータイを現場まで連れて行く
・ケータイが安心して仕事をできるように、犯罪者たちを追い出す。もしくは全力で足止めする
主人公のセリフで「この仕事、人間はあまりかっこよくないですね」というのがありましたが、まさにその通り。パソコンに向かってケータイが「むーん」と電波を発しているそのウラで、人間は血まみれになって犯罪者と格闘してたりします。少々釈然としないものが残りますが、いくらハイテクが進んでも、やはり犯罪との戦いにはローテク(鉄拳など)が不可欠であることがよくわかります。
人間とロボットがコンビを組むというこのアイデア、日本では『鉄人28号』『ジャイアント・ロボ』などでおなじみですが、前述の作品と違うのは人間よりロボットの方がえらい小さいということ(笑)。そんでケータイくんはリモコン操作ではなくて自分でひょいひょいと動き回ります。人間の言う事に逆らうこともしょっちゅう。なかなか扱いづらい相棒でございます。
何事にも無関心のようでいて、実際はまだまだ青臭いケイタ(なんせまだ高校生ですし)。対していつもクールで(メカですし)なにかと理屈っぽいセブン。
そんな二人がかみ合わないやり取りを続けながらも、なんとか事件を解決し、少しずつ信頼を深めていく。そんなところは数あるバディ・ムービーの名作や、傑作コミック『寄生獣』のシンイチとミギーを思い出させます。
第二話で「こんなのかすり傷さ」と強がるケイタに対し、セブンが無機質な声で「ヤルジャン」と答えるシーンには、思わず30オヤジでもテレビの前でぐっと拳を握ってしまう「熱さ」がありました。
もっともそれ以降は脱力系のおバカなエピソードも頻発。まあこのシリーズ丸一年やるらしいので、ちょこちょこ力抜いていかないと最後までもたないのかもしれませんね。がんばって約50話突っ走っていってほしいものです。
幸いお子さんたちにはなかなかの人気のようです。こないだトイ○ラスに行ったら主役のセブンくんはおろかライバルのゼロワンまで売り切れておりました。
『ケータイ捜査官7』は現在テレビ東京をメインに11話まで放送中。
今後は押井守氏や金子修介氏の担当するエピソードもあるとかで、その辺にも期待です。
最後に良い子のみんな、ケータイは投げちゃダメだよ! 壊れるから!
Comments