スピッツとスガシカオ 羽海野チカ 『ハチミツとクローバー』 ハチミツ編
2000年6月 連載開始
2005年4月 アニメ放映
2006年2月 映画公開
2006年7月 連載終了
2008年1月 ドラマ放映
そして2008年4月、このオレ様がブームにとどめをさす!
・・・・失礼しました。大人気コミック『ハチミツとクローバー』、このほどようやく全巻通読する機会にあずかったので、二回に分けてレビューいたします。今回は「ハチミツ編」と題しまして、作品のあらまし等を紹介いたします。
都内にある浜田山美術大学。そこに集う、一風変わった若者たちの青春の軌跡を描いた作品。
一応恋愛モノではあるのですが、彼らの絆はなんというか男と女のソレより、擬似家族的なものに近いような気がします。てなわけで、勝手に家族的な立場に位置づけて、主要登場人物を精神年齢順に紹介していきましょう。
父親:花本修司
浜田山美大の講師で、はぐみの父の従兄弟ではぐみを溺愛している。一人だけ一回り年が上なので、当然父親的ポジション。
長男:真山巧
メンバーの中で一番常識人で、面倒見がよい男。ただ自分酔いが激しかったり、ストーカーの気があったり、意外と危険人物でもある。モデルはスガシカオ氏だそうだが、こんな風に描かれてスガさん(笑)はどう思っているのだろう
次男:森田忍
実年齢では真山より年上だが、性格的にはどう考えても次男坊。そのエキセントリックな行動で周囲をいつもあぜんとさせるが、卓抜した美術の才能も持ち合わせている。突然ブラリとよくいなくなる、謎の男。
長女:山田あゆみ
真山を一途に思い続ける乙女。必殺技はパンチラも意に介しないビューティフル・ハイキック。その魅力の前に屈した男は数知れず。メンバー中、もっとも少女漫画らしいキャラであり、それゆえ30男としては彼女の心情吐露の部分が一番恥ずかしかった。
三男:竹本祐太
『ハチクロ』の実質的な主人公(だよね?)。個性的なメンバーの中にあって、ただ一人没個性的な青年。しかしそれだけに感情移入もしやすい。山田に次いで少女漫画らしいキャラでもある。
次女:花本はぐみ
彼女が大学にやってきたところから、物語は幕を開ける。一応大学生だが、せいぜい中学生程度にしか見えない。一度モノを作り出すと、それ以外のものは全く目に入らなくなる天才タイプ。その才能はすでに多くの注目を集めているが、それがかえってプレッシャーにもなっている。
これにさら真山のバイト先の社長であるリカという女性や、やはり真山の勤め先の先輩である野宮という男がからみます。
さて、この漫画のテーマですが、自分は「優しさ」と「別れ」だと思っております。
まず「優しさ」。恋愛モノにおいて、普通主人公たちは、「なにがなんでもあの人(娘)をゲットしてやる!」、そういうスピリットで満ち溢れているものです。
しかしこの『ハチクロ』の登場人物は、みんなそろってとっても控えめ。彼らはみな、自分では好きな人を幸せにできないことがわかっています。だからその人が欲しくても、彼(彼女)の幸せのために自分の思いをぐっとこらえ続けます。それでも時々どうしてもこらえられない時もあり・・・ そんな姿がなんとも切ない。まあそういうのは目まぐるしいギャグの合間合間に挟まれているので、漫画自体は楽しく読めるんですが。
もうひとつの「別れ」。この漫画には「どんなに仲が良くても、いつまでも一緒にはいられない」 そんな空気が絶えず流れております。なんつったって2巻の時点でもう、「別れの季節が近づいている」なんてナレーションがあるくらいですから(笑)。「まだあと8冊もあんじゃねーかよ! 早えーよ!!」と突っ込まれたのはわたしだけではありますまい。そんなわけで、以降はメンバーの誰かが途中でいなくなっては戻ってきたり、別れ別れになりそうでなんとか回避されたり・・・という展開がひたすら続きます。
この漫画、もともとは短気集中連載の形で始められていたそうなんで、もしかすると羽海野先生もそんなに長く続けるつもりはなかったのやもしれません。でもキャラに思い入れを込めて描いてるうちに、どんどん話が膨らみ、結局全十冊にもなってしまった・・・ そんなところじゃないでしょうかね。もちろんだからといって決して間延びしているわけではなく、その長さにふさわしい深いドラマが展開されていきます。
1巻のあたりなんかほとんどギャグ漫画といっていいくらいバカバカしく、できればこのノリで半分くらいまで行ってほしかったなあ・・・と思ったのですが、まあ、ないものねだりでしょうかね。
「クローバー編」では印象に残った場面や、結末についての感想など述べてみたいと思います。どうぞシクヨロ。
Comments
こんばんは
これ今うちにあります。
職場の男性がおすすめマンガとして貸してくれました。
まだ全然読んでいないけど、全部で10巻くらい?しかないんですね。
大人気作なので、てっきり延々続いてるのかと思ってた。
少女マンガって滅多に読まないですが
羽海野チカさんは絵がとびきりラヴリーなところがいいです
Posted by: kenko | May 15, 2008 08:54 PM
>kenkoさま
おはよっす
>職場の男性がおすすめマンガとして貸してくれました
ははは。そいつは嬉しい偶然ですね(笑)
自分も実は借りて読みました。貸してくれた方のところには、今代わりに『おお振り』の1,2巻がいってます
羽海野チカさんの絵で印象的なのは目の描き方でしょうかね
瞳孔がクシャクシャっとぼやけているような、そんなところが
Posted by: SGA屋伍一 | May 16, 2008 07:44 AM
こんにちは。
一昨年かな?一気に読みました。
あゆが好きです。
揃いも揃って一方通行がキツイところですが、自分の経験とシンクロしてしまい泣きながら読んでました。
6月のBSマンガ夜話で取り上げられるので楽しみにしています!
Posted by: たいむ | May 16, 2008 05:28 PM
>たいむさま
ご来訪ありがとうございます
山田がお好きですか。合コンの時、同性にとってこれほど同席するのがいやなタイプもいないと思いますが・・・
自分はなんつーかうじうじしたところが竹本くんと似てるので、彼に思いっきり感情移入しながら読んでました
>マンガ夜話
ウチはBS見られないので、ご覧になったら記事に書いていただけると嬉しいな・・・
Posted by: SGA屋伍一 | May 16, 2008 07:11 PM