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March 14, 2008

仮面は意外と早くはがれる 美内すずえ 『ガラスの仮面』 なんとか15巻まで

20080314191301みなさん覚えておられるでしょうか。かつてこのブログで『ガラスの仮面』のレビューがあったことを(一回目・(二回目
あれからはや数ヶ月。時の経つのは早いものです・・・・
「何をいまさら」という感がなきにしもあらずでございますが、ようやく続きの紹介をいたします。まずはこれまでのあらすじから。

母と二人ラーメン屋で働く「何のとりえもない」「顔もまずい」平凡な少女北島マヤは、往年の大女優月影千草にその演技の才能を見出され、彼女に誘われるがままに女優の道を歩み始める。
月影のしごきや、同業者からの妨害、ライバル姫川亜弓との激闘、大手プロからのいやがらせ・・・ 試練は尽きない。だがそれにもめげずに舞台を踏んでいくうち、マヤは演劇界で徐々に注目を集めていく。

9巻真ん中から15巻までのストーリーは、「『奇跡の人』編」「芸能界サバイバル編」におおまかにわけられます。『奇跡の人』編は大舞台の主演の座をめぐって、各劇団えりすぐりの少女たちが熾烈な生き残り競争を始めるところから幕を開けます。
関門の度に一人、また一人と脱落していく候補たち。スポーツマンガのトーナメント戦と似ているようで微妙に違うような。一番近いのは『ミスター味っ子』の味皇グランプリ編でしょうか。
で、結局マー坊と姫川が選ばれます。
この部分では、台本が一緒でも演じる人によって芝居の印象はかなり変わる・・・ということを教えてくれます。同じ試みは『たけくらべ』のあたりでもありましたが、ここでは姫川歌子という絶妙な「受け」がいる事によって、その点がさらにわかりやすく描写されています。

この舞台を大成功させたことにより、世間のマーヤへの注目度は急上昇。仕事がばんばか舞い込んでくるようになります。とりわけ大口の仕事が大河ドラマ『天の輝き』(ただし大河といっても民放の製作らしい)。この部分で面白いのは舞台とテレビ・映画の様々な違い。舞台ではラストシーンで役者の仕事はひとまず終わりですが、効率重視のテレビでは極端な話ラストシーンのあとにファーストシーンを撮ることもあるわけです。舞台も大変ですけど、テレビドラマってのもなかなか大変ですねえ・・・
あとこの辺を読んでいて三谷幸喜の舞台『ショー・マスト・ゴー・オン』の
(舞台監督が脚本家に)「あれ、やめた方がいいなあ。『リンゴをかじったら歯形がドクロに見えた』ってヤツ」「舞台はテレビと違ってズームアップできませんからね」
なんつーやりとりを思い出しました(笑)

さて、このドラマの撮影中マーちゃんはジャニーズ事務所所属(推定)の若手タレント里美茂と遭遇します。
それまでになく積極的なタイプのシゲちゃんに、あっという間にメロメロパークになってしまうマヤ(この娘けっこう惚れっぽいよな)。しかしそんなマヤをシゲ坊の親衛隊は当然快く思わず、さらには役を奪われた若手女優、田舎から出てきた謎の少女・乙部のりえなど、多くの難敵がマーヤの息の根を止めるべく策略をめぐらすのでした。

この辺はこの辺で面白くはあります。しかしそれまで「演技」について初心者にわかりやすく教えてくれていた作風が、この部分では唐突に昼メロ風、もしくは『女性セブン』的に豹変。「衝撃! 北島マヤと里見茂! 謎の密会!?」「わたしは捨てられた! 姫川亜弓の元彼、真相を語る!」そんな見出しがついつい頭に浮かんでしまいます。「美内先生、こいつはちょっと違うだろ」と思いましたが、リアルで読んでた方たちの反応は、どんなもんだったのでしょうか。

小うるさい親衛隊連中はなんとかド根性で調伏したものの、乙部の策略により母の死をしらされたマーヤは、ショックのあまり舞台上で演技ができなくなってしまう。あっという間になくなる仕事・・・・
まるで力石を殺してしまった反省から、頭部へパンチを撃てなくなってしまったジョーのようです。さらに追い討ちをかけるかのように、捏造されたスキャンダルによってマーヤは芸能界引退を余儀なくされます。

20080314191335わずか数巻で天国から地獄に落ちたマヤ。果たして彼女に再起の可能性は残されているのか?  というところで話は「つづく」

つづけて「おちゃらけ編」もやろうかと思ったのですが、力尽きたのでまた近いうちに・・・・(いつだ・・・)


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Comments

ぶゎーっははははっ!いいですよ、いいですよ、桜小路くんの心の叫び!
日本中の「いい人止まり」の男性諸氏から賛同の嵐が起きそうです

私がリアルタイムで読んでいたのは連載ごく初期のころなので(トシがバレる)、この昼メロ部分を読んだのはもういいオトナになってからだったかもしれません。
だから(かどうか)、たしかに「努力家なのに人の恋心を利用する残酷な亜弓さん」や「天才のくせに色ボケしちゃったマヤ」に違和感を感じる部分ではありました。

ただ、ずっと後まで彼女たちの成長につき合って(自分もいいトシになって)みると、どちらも少女の頃にはありがちな幼さであり、彼女たちが大人の階段をのぼるためには必要なステップだったのだとわかります。

もっと後に出てくる(文庫版用の書き下ろし部分かもしれませんが)月影先生と尾崎一蓮の昼メロ回想シーンでは、不覚にも涙してしまいました。
くじけずこの先も読んで下さい。

Posted by: シュウ | March 15, 2008 at 09:08 PM

>シュウさま

リアル読者からの貴重なご意見、ありがとうございます

>「いい人止まり」

「いいひとのどこがいけないんだーっ!!」(『サルでも描ける漫画教室』より)
でもヤツは影からそっと慕ってくれる女子がいたり金持ちの両親がいたりするので、それだけでも恵まれてると思います

ご意見読んでみますと、やっぱりこの「昼メロ部分」もあとで生きてくるんでしょうかね。月影先生が「これも芸の肥やしよ!」みたいなことを言ってて「あんたがそうじゃいかんだろ」と思いましたが、先生も一度は通って来た道だったんだなあ。うんうん

シュウさんとも近いうちまたお酒でも酌み交わしつつ、いろいろご教授いただきたいものです。よろすぐ

Posted by: SGA屋伍一 | March 16, 2008 at 07:18 PM

遅いレスで恐れ入ります(ビミョーに韻を踏んでますな)。

以前「マンガ夜話」かなんかで
「巨人の星」は意外に少女マンガに影響を与えたなんて
話を聞いたように思います。
とすると、このどん底編、
「あしたのジョー」力石の死とそれ以後に例えたのは
実は正解である可能性があります。

この後です!この後のたった一人での再起がいいんだよ!

Posted by: かに | March 21, 2008 at 11:36 PM

>かにさま

>「巨人の星」は意外に少女マンガに影響を与えた

あはは。マジっすかcoldsweats01
でも確かにこの漫画、「演劇をモチーフにしたスポ根ものだから」と紹介されて読み始めたんですよね

転落のくだりとか底辺を這いずり回ってるところをやけに丁寧に描いてるところなんか、まさしく『ジョー』だと思いました

で、再起のあたりも、もう少し読みました。一度は天下をとった身が、学校の体育倉庫から再出発・・・・ すばらしいですよね!

Posted by: SGA屋伍一 | March 22, 2008 at 08:22 AM

もうちょっと後の『ふたりの王女』のオーディションから舞台あたりが私は一番好きです!

Posted by: | March 22, 2008 at 09:04 AM

コメントありがとうございます

>『二人の王女』

現時点で17巻くらいまでいったんですけど、もう5巻くらい先の話でしょうかねえ

Posted by: SGA屋伍一 | March 22, 2008 at 10:51 AM

あっ、ごめんなさい1個前のコメント私です
名前入れ忘れました。

Posted by: シュウ | March 22, 2008 at 12:48 PM

>シュウさま

やはりあなたでしたかsmile
どうぞお気になさらず~

Posted by: SGA屋伍一 | March 22, 2008 at 09:35 PM

こんばんは☆
そうですね、確かに、里美くんとのはにかみデートは、女性誌並のメロドラマ風でしたでしょーかw。

いい人の桜小路くんをほったらかしにして、イイ男に走るマヤ。
やはり、マヤも人の子だったんだなーと思いました。
「あの子のならいいや」(強調点付き)
これでドキーン!!!!とするマヤの気持ち、スゴーク分かります(爆)

乙部のりえ(熊本出身)「のりばってん」さんの策略、すげー怖かったです。
舞台でガラスの仮面がはがれて小菊の演技が出来なくなっちゃう小細工等、アフターフォローも万全の乙部のりえさん。
待て次号!待て『吸血鬼カーミラ』!
「わたしは牛乳じゃなきゃダメって言ってんのよ~っ!!!」


PS・・・あっそうそう、三池監督の新スタートするTVドラマの情報を、教えていただきありがとうございました。
リンクさせていただきましたが、何か不都合があれば、どうぞお知らせくださいませ。

Posted by: とらねこ | March 30, 2008 at 07:28 PM

>とらねこさま

こんばんはっす
里美くんって・・・もしかして浩太郎の息子だったりして(字が違うっつーの)
そうですかー。あのエクレアのつまみ食いにズキーンと来ましたか
あれもいい男だから許されるのであって、そうでなければ嫌われるか怒られるかだと思います
そいうや学生時代、テーブルの上にジュースをおいとくとよく「ヒトクチ♪」と言って勝手に飲まれたものだった。あ、もちろん男から(オエッ)

亜弓さんがのりえさんを舞台上でネチネチといたぶるくだりも読みました
共通の得意分野でもって相手の足を救おうとするあたり、昨年の映画『プレステージ』あるいは将棋漫画『月下の棋士』などを思い出しました

それにしても里美くんものりえさんもこの後出番はあるのかな?

>リンク

全然かまいません。むしろ光栄ですhappy01

Posted by: SGA屋伍一 | March 30, 2008 at 09:24 PM

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