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March 05, 2008

小と・笑と・掌と 筒井康隆 『怪物たちの夜』

20080305202656今をさかのぼること20数年前のこと。おませでウブな小学生のSGA屋伍一くんは、デパートの古本市でお得なブツを発見しました。文庫五冊でまとめて五百円だったか。五冊のタイトルは確か豊田有恒『タイムスリップ大戦争』『マーメイド戦士』 筒井康隆『時をかける少女』『ミラーマンの時間』『にぎやかな未来』。そんでこの五冊の中で、とりわけ何べんも何べんも読み返したのが『にぎやかな未来』でした。

内容は筒井氏がデビュー前後に書いたショートショートをまとめたもの。すでに星新一の作品集も何冊か読んでいて、その愛読者でありましたが、星氏にはない馬鹿馬鹿しさがあって強くひかれたのでした。
で、それからずいーぶん経って、この掌編集が徳間文庫より『怪物たちの夜』という題で復刊されました。収録作品に若干の追加・変更があるものの、ほぼ同じ内容。そんでわたしも久し振りに『にぎやかな未来』が読みたくなって、実家の本の山を漁ってみたのですが、これがどこにも見当たらない。さらにもたもたしてる間に、復刊されたヴァージョンもあっという間に本屋から消えてしまいました。

(さっさと確保しておくべきだった・・・)と肩を落としたわたしでしたが、昨年秋都に上ったときジュンク堂で発見。多少体裁は変わっておりましたが、ともかく感動の再会をはたしたのでした。

どちらかといえばエロ・グロ・ナンセンスな作風で知られる筒井先生ですが、この掌編集ではまだスタイルがさだまっていなかったのか、エロ・グロはわりと薄めでナンセンスだけが突出しております。
SFあり、怪談あり、スラップスティックあり、童話あり・・・・ まことにバラエティに富んだ内容。とりあえず20年後にもはっきりと覚えていた作品をいくつかご紹介しましょう。

☆『超能力』
ある資産家とその甥の、すごーくくだらない超能力バトル。高度なんだけどやっぱりしょうもない心理戦がえんえんと続きます。『逃げろ』も同じようなテーマ

☆『亭主調理法』
夫と生活していくことに疲れた妻は、ある晩のケンカがきっかけで禁断の行動に出てしまう・・・ と書くといかにも深刻そうな話だけど、オチはこの本の中でも1,2を争うくだらなさ(笑)。数年前出たコミックアンソロジーではなぜかあるエロ漫画の大家・・・名前が思い出せん・・・が書いてました

☆『マリコちゃん』『ユリコちゃん』『サチコちゃん』『ユミコちゃん』
こう並べるといかにもつながりがありそうなうな作品群ですが、少女が主人公という以外は特にそういうものはありません。ふざけた題とはうらはらに、どれもそこはかとなく怖い話。特に『サチコちゃん』は20年後の今読んでもちびります。

☆『池猫』
親に言いつけられて子猫を池に捨てていた少年。その後成長した彼がその池で見たものとは・・・・
いわゆる不条理系のお話。わけわかんないながらも印象に残ってました。この本以外にもあちこちのアンソロジーで見かけます。

☆『到着』
これすんごい短いので全文のっけちゃいます(著作権法にふれるだろうか・・・)


とつぜん地球が、なんの前ぶれもなく「ぺチャッ」という音をたてて潰れた。
太陽も「ぺチャッ」という音をたてて潰れた。
月も土星も、他の恒星群の星々も、「ぺチャッ」という音をたてて潰れた。
宇宙のあらゆる星が、いっせいに「ぺチャッ」という音をたてて潰れた。
今まで、一団となって落ちていたのだ。


これを読んだ星新一氏が「このぺチャッという音を誰が聞いたんだい?」とつっこんだそうです。

☆『怪物たちの夜』
新版表題作。午前二時、田舎町の駅に居合わせた男二人。片方の男は凶悪犯を追っている刑事だと言う。やがて彼らの口から驚くべき言葉が語られる・・・
この作品、高校時代美術部で無謀にも「漫画化」に挑んだことがありました。今回のイラストはそのとき書いたキャラ。あー、はずかしー
『幻想ミッドナイト』という番組でドラマ化されたこともあったそうですが、どうやったのか非常に気になります。

20080305202709先ほど検索してみましたら、オンライン書店では『にぎやかな未来』はどこでも品切れ。『怪物たちの夜』は店によってはまだちょびっと在庫がありました。興味を持たれた方、これが最後のチャンスかも! 早い者勝ちです!

・・・・なんか通販の宣伝番組みたいだな。まあとにかくオススメです。新版は徳間文庫より「筒井康隆自薦短編集」の二巻目として出されております。

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