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March 31, 2008

おれたちに国はない コーエン兄弟 『ノーカントリー』

20080331192657カントリーノー
この道を ずっと 行けば
あの世へと 続いてく 気がする
カントリーノー

アントン・シガーは必殺仕事人である。人呼んで「酸素ボンベのシガー」。ただ彼は仕事でというより、気分で人をばらすことの方が圧倒的に多い。
そのアントンの大事(でもないか?)な仕事料が、組織の抗争のドサクサに紛れて奪われた。盗んだのはたまたまそこを通りかかったルウェリン・モス。いまでこそしがない一低所得労働者だが、かつてはベトナムで「地獄のモス次郎くん」(監督S・キューブリック)と恐れられた男だ。
行く先々で盛大な迷惑をふりまきながら、南部街道を追いつ追われつする二人の男。そしたさらにそのあとを、一人の老保安官がヨタヨタとおいかけていく・・・・

コーエン兄弟の作品は世評高い『バートン・フィンク』と『ファーゴ』を見たことがあります。質の面はともかくとして、両作品とも箱の中の虫を小突き回しているような意地悪さが感じられ、あまり好きにはなれませんでした(と言いながら、『バートン・フィンク』は面白く観ましたcoldsweats01)。
で、今回のこの『ノーカントリー』、いま述べたような「意地悪さ」は希薄になっていましたが、一緒にコーエン兄弟の持ち味(だと思う)であるすっとぼけたユーモアセンスまで薄味になってました。

わかるようで、微妙にわからない作品。作品の七割がたは一風変わったサスペンス・アクションとして見ることもできますが、残り三割のところで急に定型を逸脱し、観客をはぐらかします。この辺が「文芸性に富んでいる」「芸術性が高い」と評される所以なんでしょうな。
思わせぶりなセリフや構図もてんこ盛り。果たして自分もどこまでわかっているか怪しいものです。とりあえずそれでもがんばって一生懸命考えてみました。というわけでこっから先はかなり主観が入ります・・・・

まず多くの人の疑問が集中するのは、「なぜシガーが凶行を繰り返すのか」というところでしょう。まるで飯を食うように、屁をひるように人を殺めるシガー。そのくせ彼はいっつも悲しげというか困ったような表情を浮かべております
そんなシガーや最近の恐ろしい事件について考えますと、「ある種のひとびとには、生来『ひとを殺ろさなきゃ』というスイッチが深層心理の中に備わっていて、一度そのスイッチが入ってしまうと、もう自分ではどうしようもないのでは」なんてことを思ってしまいます。ちょうどプログラムの命ずるがままに動く機械のように。
これは非常におっかない考えです。まず、そうであるなら彼らには人を殺す理由なんてないことになる。二つ目にその種の人間がこの世にどれほどいるかわからない。三つ目に「自分にはそんなスイッチなんてない」と証明するのは極めて難しいことだと思われるからです。
そしてアメリカは多くのネイティブやメキシコ人の屍の上に築かれ、その後も内外で大量の血を流し続けてた国です。あるいはシガーはそんなアメリカの裏面を象徴したキャラクターなのかもしれません。

不可解と言えばもう一人の主人公・モスにもよくわからないところがあります。どうもこの男、自ら進んでピンチを招き寄せているというか、自分をその中においやっているようなフシがあります。彼もシガーと同じくずっと仏頂面ですが、ただ一度だけ晴れやかな笑顔を見せる場面がありました。それがわたしにはまるで「ああ、楽しいゲームだったな」と言っているように思えてなりませんでした。

最後に秘宝さんからの受け売りネタをひとつ。
いまを遡ること数年前、コーエン兄弟は『To The White Sea』という作品を企画しておりました。大戦中日本に不時着した米軍のパイロットが、道中出会うジャッピーどもを片っ端からぶっ殺しながら、オホーツク海まで逃避行を続ける、という内容(ちなみに主演にはブラピが予定されていました)。
が、この企画は諸事情で流れました(・・・・)。それでも「出会った奴らは皆殺し、みたいな話やりてえよなー」と兄弟が悶々としていたころ、ちょうど目に留まったのがこの映画の原作『血と暴力の国』だったんだとか。

20080331192716コーエン兄弟・・・・ つくづくおそろしかヤツラです。
みなさんもどうぞ、警戒を怠りませんよう。

ところで
←コレ
珍しく上手に書けたと思うんですが、どうでしょう。

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March 30, 2008

あつ姫じゃ~っ!! ~大河ドラマ『篤姫』より④ 漢字を覚えよう!の巻

あつ姫 「あつ姫じゃーっ!!」
肝付 「肝付尚五郎です」
西郷 「西郷吉之助にごわはんど」
肝付 「さみしゅうございます、姫様・・・ いよいよ東京に行かれるそうでhappy01
西郷 「うっ うっ 全くお名残おしい・・・ happy01
あつ姫 「てめーら、そのにやけ顔をどうにかしろannoy。言っとくけどな、あたしが東京に行ってもこのコーナーは続くから」
肝付 「そんな無茶な!shock 鹿児島から東京まで、一体旅費がいくらかかると思ってるんですか!」
あつ姫 「そんなこたテメーの財布と相談atmしやがれ」
西郷 「おそれーながらー 姫様。こんなコーナー、終わったところで誰も惜しみはしないと思うんでごわすが・・・」
あつ姫 「ところがどすこい。記事別で見ると、いま一番アクセスが来てるのはこのコーナーなんだぜ~ すでに一回目、二回目ともに二百人以上の方に読んでもらってるんだわ。これもひとえにアタシの魅力のせい? むふheart01
西郷 「確かにここでなら上等な数字でごわすが、人気ブログに比べればその程度ゴミpouchみたいなもんでごわすよ」
肝付 「いま見てみましたけど、『あつ姫』で検索pcして来られる方が圧倒的に多いみたいですね。たぶんこれは公式でも見ようかと思ったら漢字がわからなくなって、『まあ、これでひっかかるだろ』とぐぐっててみたら、ここがでてきちゃったんじゃないでしょうか。要するに間違いか気の迷いで来られた方がほとんどですよ」
あつ姫 「てめえら余計な分析してんじゃねえ! ちなみにお前らは・・・・書けるよなpencil? アタシの名前」肝付 「もちろんです!happy01 『圧』姫さま!」
西郷 「ええ! 『厚』姫じゃなかったんでごわすか!coldsweats02
あつ姫 「お前ら・・・・ わざと間違ってるな?gawk
肝付 「めめめ滅相もございません。てっきり押しが強いからそういう名前になったのだとばかり・・・・」
西郷 「おいどんはてっきりツラの皮が厚いからだとばっかり・・・・」
あつ姫 「(グサグサ)restaurant 『あつ姫』の『あつ』は『情に篤く、情けに篤い』の『篤』だ! よく覚えとけ!」
肝付 「ああっshock お怒りはごもっともですが、いきなり真剣shineでツッコまないでください!(ぴゅー)」
西郷 「『名は体を表す』ってあれ、あてにならない言葉でごわすのう・・・・(しゅぱー)」
あつ姫 「この機会にみんなもキチンと覚えようね! あつ姫の『あつ』は『たけかんむり』に、『馬』って書くんだよ!happy01
西郷 「つまり・・・・ タケウマ?」
あつ姫 「(グサ)restaurantこれがゆとり教育の結果か・・・・ 日本の未来が心配でならん・・・」

「だいじょうぶだ~!!(ででんででんempty)」 

あつ姫 「ああ・・・ また変なのbanがひっかかってしまった・・・」
腰元たち 「家祥さまのおな~り~」
西郷 「なんです? この頭の悪そうな御仁は?despair
あつ姫 「・・・・・これがわたしのご主人様gawk
西郷 「げえっ!!shock
家祥 「苦しゅうないぞ、西郷とやら。・・・・・褒美に即刻打ち首を命ずるbleah
西郷 「ちょっと待って!!crying そんなことしたら日本の歴史が変わっちゃ(ずしゃあ!!thunder
あつ姫 「あーあgawk。まあ次回には何事もなかったかのように復活してくんだろ」
家祥 「ところで奥よheart04 余はお前のことを『あおい~~ん』と呼ぶが良いか?」
あつ姫 「はいはい、お好きにどうぞgawk ・・・・ったく、これがマジで婚約者だっつーんだから、泣くに泣けねえ」
家祥 「angry 何か言ったか?」
あつ姫 「いえいえgawk、なーんも」
肝付 「ぶっちゃけ良くお似合いかと・・・・」
あつ姫 「(グサ)restaurant テメエは馬鹿につける薬でも探して来い!」
肝付 「(ぴゅー)マジメな話、このように言えば(カンペを渡す)まともな会話ができるようになるみたいです」
あつ姫 「ふむふむ・・・ 山南さん! 日本の未来はどうなるんですか!?」
家祥? 「・・・・そうですねshine。まず海外の情報を良く知らねばなりません」
あつ姫 「おお!flair えなりでかした!」
山南 「その上で尊王精神のもと国をひとつにまとめあげ、朝廷と幕府が一体となってうんたらかんたらなんたらちんたらsnail
あつ姫 「こうなってみると、これはこれで面白みがないというかうざったいというか・・・gawk
肝付 「ああもうcrying、じゃあどうしろっていうんですか!」
20080330201111

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March 28, 2008

インド鉄道の昼(と夜) ウェス・アンダーソン 『ダージリン急行』

20080328132459♪ インドの鉄道で 修行しない

壊れかけてる長男(長男)
むっつりスケベの三男(三男)
コウモリ野郎の次男(次男)

インド三兄弟(ちゃっちゃ)


途中で曲が変わってるだろ、というツッコミは無しの方向で。

「ココロの旅(チューリップtulip?)をするんだーっ!!」
父の死とバイク事故のせいでテンパッてしまった長男が言いました。仕方なく、それに従う次男と三男。こうしてアメリカ育ちのボンクラ中年三兄弟は、インドの広大な大地を列車に乗って旅することになりました。ですがこの三人、そろいもそろってアクの強い性格のため、道中は緊張と衝突と裏切りと流血が絶えません。果たして三人は旅の終わりまでに仲直りすることができるでしょうか。

インド・・・・ それは悠久のかなたより、多くの人々にスピリチュアルなメッセージを与え続けてきた土地。古くは仏陀が悟りを開き、新しくはビートルズがインスピレーションを受けたり。他にも有名どころのジャーナリストたちはそろって「インドに来れば人生観が変わる」と申します。が、天竺に行こうが天国に行こうが、変わらないヤツは変わらない。そんな救いがたい、でも愛すべきおバカさんたちを描いた作品です。

まず「急行」とついてるのに全然急いでない。それどころか列車のくせに○○になったりします。
そしてインド料理なのに全然辛くない。といって甘いというわけでもなく・・・ そう、「珍味」という言葉が一番しっくりきます。ちょうど駅のキオスクで売ってる、イカくんせいか貝柱のような、あんな味わい。

思ったのは、「列車の旅って楽しいよな」ということ。もう何年もしてないので、なおさらそう思えました。しかも行き先は多くの旅人があこがれるインド。雑然としていて、どこか懐かしい風景。エキゾチックでエスニックな装飾や風俗。それらはまさしくわたしたちの頭にある「インド」のイメージそのものです。
一点、そうただ一点不満を言わせてもらえるなら。この映画には「カレー」が出てこなかった(と思った)。インドといえばカレー。カレーを食わずして何のインド。その点だけはウェス・クレイブン氏の片手落ちと言わざるをえません(
つか、お前もなんか間違えてるぞ)。

あと印象的だったのは、「男兄弟」というものの微妙な関係。そりゃあ大切に思ってるし、幸せであってほしいと願ってますけど、男兄弟って別にそれほど「会いたい」とは思わないものなんですよ(笑)。年をとればとるほどにね。
たまに会ったら会ったで、つまらないことでケンカになったりするしcoldsweats01。そんな厄介な絆がよく描けてるな、と感じました。

本作品は本編の前に『ホテル・シュバリエ』というプロローグ的な短編が上映されます。こちらでは気障なセリフを吐くジゴロ風の男、実は『ダージリン急行』の主役の一人でして。本編ではうってかわった三枚目ぶりを見せてくれます。そんな奇妙な仕掛けが実に楽しいhappy01

人生は旅に似ていると言います。同行者もいれば、すれちがうだけの人もいる。そんな長い長い旅を象徴的に表したお話。

もしかしたら、わたしの旅とあなたの旅も、どこかですれちがうかもしれませんね。これを読んでる人の中には、幾度かすでにつき合わせている方もいらっしゃいますが。

20080328132530♪今度旅行に行くときも
三人そろって同じ部屋shock
できれば今度は晴郎が
監督してる超特急

インドインドインドインド・・・・・

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March 26, 2008

適当掲示板62&モジラ対ぺギラ 南極の大決戦

ご意見、ご感想そのほかありましたらこちらへどうぞ。

さて、すっかり春めいて足取りも軽くなりがちなこのごろですが、最近特に変わったところには行ってません。
ので、苦し紛れにこんなネタ思いつきました。
ペンギンブームに止めを刺す!
こころゆくまでお楽しみください・・・・
 

20080320223401やあ、みんな。僕の名前はペン吉

この南極に住む、おませなペンギンのガキンチョさ

毎日毎日僕らは氷原で

こけつまろびつ、いやんなっちゃうよ


20080320223446ある朝パパと二人で語り合ったさ

この地で生きる喜び そして悲しみのことを

「坊や、あの山の向こうには決して行ってはいけないよ」

「えー? なんでさ?」


20071201073039「なぜって、あの山の向こうにはモジラという恐ろしい怪物がいるからさ
お前なんかチョコボールみたく、一口でパックンチョだぞ」
「・・・・マジっすか」

だけど僕は恐怖を感じるどころか、むしろ高揚感を覚えた
(大怪獣モジラ・・・・ この目で見てみたい!)
あくる朝、僕はみんなには内緒でこっそりと禁断の地へ向けて旅立った


20080121161536そしてどれほどの山を越えただろう
いつしか僕はへんてこな空間へと迷い込んでいた

(もう限界だ・・・・)

疲れ果てた僕はとうとうへたりこんでしまった
その時だ。頭上から不気味な声が鳴り響いたのは


20070211132914「誰だ・・・・ 余の眠りを妨げるものは・・・」

ぎょっとして上を見上げると、巨大な影が僕を覆っていた

まちがいない

それこそは伝説の大怪獣モジラの姿だった


20070524165820(すごいぞ! モジラは本当にあったんだ!)

だが感動にうち震えている場合ではなかった

こちらの姿を見つけたモジラが、猛然と襲いかかってきたからだ

われに返った僕は全速力で駆け出した


20070524165722だがペンギンの足というのははっきり言って走るのにはむいていない
僕はたちまちモジラの肉球に押しつぶされてしまった

(もうダメだ・・・・)

氷の上ですってんころりんしていた日々が、走馬灯のようによみがえった
が、その時


Bbs22am3モジラが急に苦しみだした

「あいたたたた・・・・ 持病の腰痛が・・・・」
どうやらモジラはそれなりの歳のようだった
コレ幸いとばかりに僕はモジラの手をすりぬけて、
どうにかこの魔獣から逃げ出す事に成功した


20070404132153それから月日が経ち、僕は大人になった
だがあの日の衝撃と屈辱を忘れたことは一度もない
僕はいつも胸に誓う
いつかあの大怪獣を打ち倒し、ネコ鍋にして食ってやるのだ、と

FIN

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March 24, 2008

キッスは目でして ジャン=ドミニック ボービー 『潜水服は蝶の夢を見る』(原作)

20080324190815わたしはフランス人(特に男性)が嫌いです。
彼らは自分たちが世界で一番賢くてセンスがいいと思い込んでいて、我々を「黄色いおサルさん」と差別するからです。そのくせ匂いには鈍感で、華麗な並木道を飼い犬のウンコで埋め尽くしたりしています。
しかしこの度ある一冊の本を読んで、そんな高慢ちきなフランス人のイメージを改めなければいけないな、と思いました。その本とは最近話題になった映画『潜水服は蝶の夢を見る』の原作本です。

世界的に有名なファッション雑誌『ELLE』の編集長ジャン=ドミニック・ボービー氏は、まだ働き盛りの年齢でありながら、脳出血のため片瞼しか動かせなくなる「ロックトイン・シンドローム」に侵されてしまいます。
ですがジャン氏は驚くべき事にそんな体でありながら一冊の本を著されました(どうやって書いたのかは先の文中リンクをご覧ください)。それがこの『潜水服は蝶の夢を見る』。原題はもっとシンプルで、直訳すると『潜水服と蝶』となります。

読んでみますと、当然ながら映画とは色々異なるところがあります。たとえば映画ではジャンさんが色っぽい療法士さんの胸チラを見て「ウホッ♪」と喜ぶ場面がありましたが、底本ではそんなことはどこにも書いてありません。
やっぱり当人を目の前にして「彼女の胸元にムラムラした」なんて伝えたら、セクハラ以外のなにものでもありませんからね(いや、フランス人ならやるか?)

あとお子さんの数ですが、映画では三人でしたが、実際は二人だったようです。赤の他人はともかく、ジャン氏を良く知る人・・・特にお子さんたちは、映画を観て「こんなひとちゃうよ」と言うかもしれません。そこで監督はこうやってお子さんの数を変えることにより、「これはフィクションというか、わたしの一解釈である」ということを伝えたかったんではないでしょうか。

そう、この本はまずジャン氏のお子さんたちに捧げられるべき本だと思います。あんなにかっこよかったのに、突如として物の言えない体になってしまった父。最低限のコミュニケーションはできるものの、彼が心の底で何を思っていたかなんて、わかろうはずもありません。しかしこの本を読む事により、子供たちは父が思っていた多くのこと、そして自分たちが深く愛されていたことを知ることができるでしょう。そのことは二人の子供たちにとって、なにより大きな財産になると思うので・・・・

ほかにも映画では語られなかった追憶や幻想、文字通りの夢の話なども収録されています。
ただ普通なら最初にもってくるであろうエピソード(息子とドライブ)を、終盤に配置してあったのは映画と同じでした 。というか、映画が原作に倣ったのでしょう。
ジャン氏の心の中で一番大きなヤマ場とは、たぶんあの忌まわしい日の出来事を、もう一度はっきり思い出し、そしてその現実をしっかりと認めることだったのでは・・・・と思います。

あとがきにはこんなことも書かれています。「あまりの姿に取り乱したわたしに、彼が最初に伝えた言葉はこうだった。『パニックにならないで』」「彼が愚痴をいうのを一回も聞いたことがなかった」
本当に強い男、とはこういうひとのことを言うのではないでしょうか。確かにおフランスにも尊敬に値する男はいるようです。

映画も深刻な題材を扱っていながら不思議と軽やかなお話でしたが、原作はさらに軽やかです。その上文章が短くて表現もなめらかなので、とても読みやすい。厚さのわりに値段が高いと感じられる方もいるかもしれませんが、こんな風にして書かれた本はたぶんこの世にこの一冊しかないと思いますので、できるかぎり多くの人に読んでいただきたいものです(先ごろ紹介した『動くのは瞼だけ』は、おそらく回復(!)したあとに書かれたものと思われます)

20061008124252いま手元にないので正確ではありませんが、この本はたしかこう結ばれていました。
「いつかこの分厚い潜水服から抜け出して別の場所に行けるのだろうか」「行けるのなら、ぼくは行こう」

自分は死後の世界を信じていないので、ジャン氏がそこへ行った・・・とは思えません。
ですが彼が死の間際まで希望を捨てなかったことを思うと、とても慰められるのでした。

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March 22, 2008

怪奇! 豚鼻の呪い! マーク・パランスキー 『ペネロピ』

20080322091800はーい! あたしペネロピhappy01 意地悪な魔女に呪いをかけられたせいで、ブタちゃんpigの鼻をつけてこの世に生まれてきたかわいそうなあたし(いま、21世紀よね?)。でもこんなあたしにだって、いつか素敵な王子さまが現れる・・・ そう信じて生きてきた。
だけどママが連れてくるダンナ候補といったら、どいつもこいつもキャパシティーがミニマムなボンクラばっかり。さすがにげんなりきてたところに、出会ったのはナルニア国のタムナスさん。彼なら動物が話すのには慣れてるし、ダンゴっ鼻で釣り合いもとれてる。ポークハム・・・じゃなくてポーカーに目がないのが玉に傷だけど、これこそ運命の出会いheart01だって・・・ そう、思ってた。だけどタムナスさんには実は秘密があったの・・・


さすがに30半ばで朝からこんな文章書いてると、心の底からむなしくなってくるな・・・(じゃあ書くなよgawk
現在公開中の一風変わったファンタジック・ムービー『ペネロピ』。たぶんこの名前は求婚者がわんさか押し寄せたという、オデュッセウスの奥さんから取られたんでしょうね(人妻なのに・・・)。
あらすじを読むと上記のような少女漫画的ベタベタラブストーリーが連想されて、なにやらむかついてくるんですけど、予告で見たそれこそ絵本から抜け出てて来たようなビジュアルにひかれて、わざわざ遠方まで見に行ってきました。

顔面のパーツで何が一番不恰好か。それは鼻、特に鼻の穴だろう・・・と鼻の穴のでかいわたくしは思うわけです。ですから漫画では鼻はよく簡略化され、シラノはでかい鼻を持つがゆえに「一生チェリーボーイさ」と嘆くわけです。
そしてこのペネロピ、少女漫画としては(映画ですけど)異例なまでに「くわっ」と鼻の穴を強調したフェイス。おきて破りもここに極まれりです。ところが不思議なことに、劇中でいわれてるほど醜くは見えません。むしろクリスティーナ・リッチの童顔とあいまって、独特の可愛らしさを有しています。これで金持ち、邸宅付きなんですから、ほかに何を望みましょうや(いかん! 心の声が!)

登場人物の多くはペネロピほどわかりやすい形でないにせよ、みな何かしら呪いに囚われています。それは偏見だったり憎悪だったり、ある種のこだわりであったり。はたまたプライドだったりギャンブル中毒だったり・・・
童話で呪いを解くのはハンサム王子と相場が決まっておりますが、実際自分の心の問題を解決できるのは、自分以外にいません。そんなことを教えてくれているという点で、『ペネロピ』は単なる甘々ラブストーリーとは一線を画した作品となっています。
普通の映画ならケチョンケチョンの目にあって、泣きながら退場していくようなヤナ奴にすら、きちんと憑き物を落としてやる優しさには好感が持てました。もっとも約一名、解放されなかった方もおりましたが・・・

そういったテーマ以外にも、予想以上のおバカ要素(後半失速したのが残念)や、期待通りの美術センスもあり、男のアタシでも十分楽しめる作品となってましたわheart01 うっふんkissmark(←抜け切ってない)

きっとクリスティーナ・リッチも「名子役」「童顔」という先行イメージの呪いと、ずっと戦ってきたんでしょうね。ですがそれを逆手にとって個性を発揮している彼女の勝ちっぷりは、見ていてとてもすがすがしい。これからも特異な存在として活躍し続けていってほしいものです。実はスクリーンで彼女の姿を見るのは、まだこれで二度目なんですけどねcoldsweats01(一本目は『スリーピー・ホロウ』)。

20080322091824最後にペネロピのような鼻を持つ皆さんにエールを送ります。


世の中には、「マニア」もいます。


・・・えーとね、自爆上等!!bombannoy

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March 21, 2008

恐怖蝙蝠ライダー 『仮面ライダーキバ』を語る①

20080128210048平成版仮面ライダーシリーズも今年で9作目。そういや一作目(『クウガ』)の時はまだ二十代半ばだったなあ。パソコンも持ってなかったし・・・
なんかさみしくなってきちゃいましたけどcoldsweats01、最新作『キバ』について説明させていただきます。

古来より存在し、人を捕食する恐るべき生物ファンガイア。1986年、ファンガイアを狩る組織に属する麻生ゆりは、敵を追跡中、紅音也という青年と出会う。軽薄極まりないが、ヴァイオリンの腕は一級で、何事にも動じない音也。彼の正体は一体なんなのか。
一方現代(2008年)。母と同じ道を選んだ麻生恵は、戦闘中ピンチに陥ったところを謎の怪人「キバ」に助けられる。だが恵はキバに銃口を向けた。キバこそは、この世に終わりをもたらす存在と言い伝えられていたからだ・・・・

われながらよくできた要約だ・・・ と思ったら、肝心の主人公について書いてねーじゃねーかcoldsweats01
主人公の名は紅渡。極度なまでの引っ込み思案で、普段は家の中でひたすらヴァイオリン製作に没頭しています。しかしファンガイアの存在を感知すると勇を奮い起こし、無敵の戦士キバへと変身。いまのところ、なぜ彼がキバとなったのか、その謎は明らかになっていません。

この作品の特徴は今までも何度か試みられていた「二重構造」。1986年のパートと2008年のパートに別れ、たった一話の間だけでも頻繁にお話が入れ替わります。しかしただ闇雲にザッピングしてるわけではなく、そういう構成にすることによって、二つの時代が奇妙にシンクロしてることを明らかにしています。9年目にしてこのチャレンジ精神。スバラシイshineですね。

いまのところ、86パートの登場人物は音也とゆり。
08パートの登場人物は渡と恵、それに渡の母親代わり?の少女静香や、恵の同僚の名護啓介という男が加わります。
さらに二つの時代をつなぐキャラとして、ファンガイアハンターのリーダー嶋護、喫茶店のマスター(笑)、謎の狼男ガルル、謎の半漁人バッシャーなどが登場します。
お話がすすむにつれ、少しずつ現代編の謎が明らかになっていく・・・のかと思いきや、いまのところは共通項が増えていくばっかりで、まだまだ謎だらけです。まあ、まだたった八話ですしね。

この二重構造、面白いんだけど果たしてお茶の間の皆様(とくにお子チャマたち)にどれほど受け入れられるか心配でした。言ってるわたしにしてからが、1、2話の時点ではけっこう面食らいましたからcoldsweats01
しかし現段階で『キバ』は決して高くはないものの、ほぼ視聴率7%代をキープ。実はライダーの視聴率ってけっこう上がったり下がったりが激しいので、この安定ぶりはかえって不気味です(笑)。

20080215183401でも視聴率よりもっと心配なのは、特撮番組における生命線とも言えるおもちゃの売り上げ。なんせキバって、アイテムに「ガブッ」と噛み付かれて変身するもんですから、アレを見て「痛そうwobbly」と敬遠してしまうお子さんは多いんじゃないかなー

来月12日には早くも劇場版『電王&キバ』が公開。キバって観にいってきます!


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March 19, 2008

クイズ八人が見てました  ピート・トラヴィス 『バンテージ・ポイント』

20080319132234今回構成面でちょっとネタバレしております。鑑賞には問題ないと思いますが、一応ご了承ください。

テロ問題に揺れる情熱の国、スペイン。ある協定を成功に導くため、その地を(よせばいいのに)合衆国大統領が訪れる。警護チームの中には数々の死地をくぐりぬけてきたジャック・シェパード・・・によく似た人もいた。演説の会場で「こんな場所じゃ狙ってくれって言ってるようなもんですよ」とつぶやくオカダくん。果たしてその言葉のとおり事件は起きた。大統領を襲う一発の凶弾。犯人を確保しようと奔走する警護班。しかし居合わせた人の数はあまりに多く、割り出しは容易ではない。ここでジャック(に似た人)に妙案が浮かぶ。
「タイムマシンを使えばいいんだ!」
かくして犯行前の時間にタイムスリップしたジャック(に似た人)。しかし時間の復元力の故か、ジャック(に似た人)はどうしても犯行を阻止できない。その都度繰り返されるタイムスリップ。この無限ループはいつまで続くのか?


この映画のウリはなんといってもこの「巻き戻し」構成ですね。お話があるところまで進みますと、急にフィルムがキュルキュルとスタート地点に巻き戻り、また別の人物の視点から語りなおされます。それが全部で5回あるので、全6ラウンド+ロスタイム総力戦といった感じでしょうか。予告でくどいくらいに「8人、8人」と言ってますが、最後の三人は最終ラウンドでまとめて語られます。
とても短気なひとにはすすめられない作品です。なぜかって、「こっからどうなるんだーっ!」とすごく続きが気になるところで「ピタッ」とお話が止まってしまって、「じゃあまた最初からね」というのがえんえんと繰り返されるわけですから(笑)。わたしの見た劇場ではこの「巻き戻し」のたびに観客Aさんが「またかよー」と叫び、さらにそのたびに別の観客Bさんが「うるせー 静かにしてろ」とうめいておられましたcoldsweats01

しかしこの巻き戻しももちろん意味なく行われるわけではなく、様々な角度から物事を見る事により、少しずつ少しずつ事件の核心にせまっていく造りになっています。例えるならタマネギの皮をむいていくようなものでしょうか。
似た手法は、ミステリー小説で時々見受けられます。歌野晶午『世界の終わり、あるいは始まり 』とか西澤保彦『七回死んだ男』とか。先日紹介したコミック『ラヴァーズ・キス』も、回数こそ少ないものの、まさにこんな構成でした。ですから、ミステリーが好きな人、じっくり考えるのが好きな人には逆におすすめです。

俳優陣でジャックのほかに目に付いたのは、ごく普通の観光客を演じるフォレスト・ウィテカ。子供からアイスクリームを押し付けられても、「代わりを買ってあげるね」などと微笑む恐ろしいほどの好人物。ですが、彼がアミン大統領だったことを忘れてはなりません。いつ「人食い」の本性を現してもおかしくはないので、これからご覧になられる方はゆめゆめ警戒を怠りませんよう。
あと巻き戻しの度に吹っ飛ばされてる大統領役の人には、心から「お疲れ様」と言ってあげたいです。

スペインというとぱっと思いつくのはフラメンコと闘牛くらいのものですが、この国はけっこうコンスタントにテロ事件がおきている国でもあります。特に2004年の連続列車爆破テロは大きな衝撃を世界に与えました。そうした背景をふまえているせいか、娯楽作品のわりには「無常感」が強く浮き出た作品となっています。ひとつの事件が解決したとて、根本的な問題はなにも解決してはいない。何度も繰り返される「巻き戻し」は、もしかしたら一向に解決しないテロ問題を象徴しているのかもしれません。それでも諦めずに丁寧に問題を見つめなおしていくならば、いつかは解決される時がくるのでしょうか。

20080319132403そのスペインでは先日新政権が発足したばかり。「左派出身」で「テロ撲滅」を掲げる大統領は、その名を「サパテーロ」と言います。

・・・・・・

スペイン国民はダジャレが好きなのでしょうか。ともあれ、その「テロよりお笑いを」という姿勢には大いに共鳴したいところです。不謹慎ネタどうかご容赦。

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March 16, 2008

ニャイラの冒険 黄金の羅針パン だいたい11章くらい

そのいち 春のおとずれ

2007122119313211p0111p02 ・

 ・

 ・

 ・


そのに 続・春のおとずれ

11p0311p0411p0511p06 ・

 ・

 ・

 ・


そのさん らいらのぼうけん

11p0711p0811p09 始

 ま

 る

 !!


そのよん ぞく・らいらのぼうけん

11p1011p08_211p11 終
 
 わ

 り

 !!


そのご アッガイという名のもとに

11p1211p13 答えは
 

 風に


 吹かれている


そのろく 雪之蒸その後

11p1411p15
前回参照のこと


 

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March 14, 2008

仮面は意外と早くはがれる 美内すずえ 『ガラスの仮面』 なんとか15巻まで

20080314191301みなさん覚えておられるでしょうか。かつてこのブログで『ガラスの仮面』のレビューがあったことを(一回目・(二回目
あれからはや数ヶ月。時の経つのは早いものです・・・・
「何をいまさら」という感がなきにしもあらずでございますが、ようやく続きの紹介をいたします。まずはこれまでのあらすじから。

母と二人ラーメン屋で働く「何のとりえもない」「顔もまずい」平凡な少女北島マヤは、往年の大女優月影千草にその演技の才能を見出され、彼女に誘われるがままに女優の道を歩み始める。
月影のしごきや、同業者からの妨害、ライバル姫川亜弓との激闘、大手プロからのいやがらせ・・・ 試練は尽きない。だがそれにもめげずに舞台を踏んでいくうち、マヤは演劇界で徐々に注目を集めていく。

9巻真ん中から15巻までのストーリーは、「『奇跡の人』編」「芸能界サバイバル編」におおまかにわけられます。『奇跡の人』編は大舞台の主演の座をめぐって、各劇団えりすぐりの少女たちが熾烈な生き残り競争を始めるところから幕を開けます。
関門の度に一人、また一人と脱落していく候補たち。スポーツマンガのトーナメント戦と似ているようで微妙に違うような。一番近いのは『ミスター味っ子』の味皇グランプリ編でしょうか。
で、結局マー坊と姫川が選ばれます。
この部分では、台本が一緒でも演じる人によって芝居の印象はかなり変わる・・・ということを教えてくれます。同じ試みは『たけくらべ』のあたりでもありましたが、ここでは姫川歌子という絶妙な「受け」がいる事によって、その点がさらにわかりやすく描写されています。

この舞台を大成功させたことにより、世間のマーヤへの注目度は急上昇。仕事がばんばか舞い込んでくるようになります。とりわけ大口の仕事が大河ドラマ『天の輝き』(ただし大河といっても民放の製作らしい)。この部分で面白いのは舞台とテレビ・映画の様々な違い。舞台ではラストシーンで役者の仕事はひとまず終わりですが、効率重視のテレビでは極端な話ラストシーンのあとにファーストシーンを撮ることもあるわけです。舞台も大変ですけど、テレビドラマってのもなかなか大変ですねえ・・・
あとこの辺を読んでいて三谷幸喜の舞台『ショー・マスト・ゴー・オン』の
(舞台監督が脚本家に)「あれ、やめた方がいいなあ。『リンゴをかじったら歯形がドクロに見えた』ってヤツ」「舞台はテレビと違ってズームアップできませんからね」
なんつーやりとりを思い出しました(笑)

さて、このドラマの撮影中マーちゃんはジャニーズ事務所所属(推定)の若手タレント里美茂と遭遇します。
それまでになく積極的なタイプのシゲちゃんに、あっという間にメロメロパークになってしまうマヤ(この娘けっこう惚れっぽいよな)。しかしそんなマヤをシゲ坊の親衛隊は当然快く思わず、さらには役を奪われた若手女優、田舎から出てきた謎の少女・乙部のりえなど、多くの難敵がマーヤの息の根を止めるべく策略をめぐらすのでした。

この辺はこの辺で面白くはあります。しかしそれまで「演技」について初心者にわかりやすく教えてくれていた作風が、この部分では唐突に昼メロ風、もしくは『女性セブン』的に豹変。「衝撃! 北島マヤと里見茂! 謎の密会!?」「わたしは捨てられた! 姫川亜弓の元彼、真相を語る!」そんな見出しがついつい頭に浮かんでしまいます。「美内先生、こいつはちょっと違うだろ」と思いましたが、リアルで読んでた方たちの反応は、どんなもんだったのでしょうか。

小うるさい親衛隊連中はなんとかド根性で調伏したものの、乙部の策略により母の死をしらされたマーヤは、ショックのあまり舞台上で演技ができなくなってしまう。あっという間になくなる仕事・・・・
まるで力石を殺してしまった反省から、頭部へパンチを撃てなくなってしまったジョーのようです。さらに追い討ちをかけるかのように、捏造されたスキャンダルによってマーヤは芸能界引退を余儀なくされます。

20080314191335わずか数巻で天国から地獄に落ちたマヤ。果たして彼女に再起の可能性は残されているのか?  というところで話は「つづく」

つづけて「おちゃらけ編」もやろうかと思ったのですが、力尽きたのでまた近いうちに・・・・(いつだ・・・)


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March 12, 2008

サイコワープでポン ダグ・リーマン 『ジャンパー』

20080312163527よっしゃ! 今日はもう一本上げるぜ! こんなことは・・・いつ以来だ? なに無意味にがんばってるんだろうなー、オレ。

最近ありがちなのび太系高校生デビッドは、ある事件をきっかけに瞬間移動できる能力を身に着けてしまう。その能力をフルに活用して、金儲けやバカンスを満喫しまくるデビッド。だが彼は知らなかった。時空のトンネルにも交通機関と同じく「通行料」が存在するということを。このまま無銭乗車を続けられたら、空間のフォースとJRの財政が破綻する。事態を憂慮したジェダイ評議会は、ベテランの騎士メイス・ウィンドウにデビッドの抹殺を命じる。だがデビッドも負けてはいない。なんでかやたらと「YATTAAAA!!」と叫ぶ変な日本人を味方に付け、評議会に敢然と立ち向かうのだった。

ここんとこ公開されてる映画の中でも、この映画ほどポスターだけで内容がわかりづらい映画も珍しいでしょう。スフィンクスの上に立つ一人の男。そしてタイトルは『ジャンパー』。
「いや・・・ エジプトでジャンパーは暑いだろ」と全国で三千万の人がつっこんだことと思います(推定)。その後予告で判明しましたが、実は「ジャンパー」というのは上着のことではなく、空間をジャンプする=テレポーテーションができる人のことを指していたのでした。そういえばあの上着はなんで「ジャンパー」というのだろう・・・ ま、いいや。

この映画を楽しむコツをお教えしましょう。観てるといろんな疑問が沸いてくることと思います。
「なんでこんなことができるんだ?」とか「どうして連中はあんなに超能力者の抹殺に熱心なんだ?」とか「パラディンとやらは相当な資金を有しているようだけど、その金はどっから出てんだ?」とか「あんなに派手にジャンプしまくってたらいくらなんでももっと世間が騒ぐはずだろ」とか・・・・
しかし考えちゃいけません! とにかくデビッドくんの心情になりきることです! なぜできるのか? できちゃうんだからしょうがない! いいですか? 考えたら「負け」です。

『ボーン・アイデンティティー』の時はわかりませんでしたけど、『Mr.&Mrs. スミス』(未見ですがcoldsweats01)、本作と並べてみると、ダグ・リーマンという方はどうも「まず最初にアイデアありき」という方のようですね。「超人的な殺し屋が記憶喪失になったら面白いじゃん?」「相手が同業者とは知らずに殺し屋同士が結婚したら面白いよね!」「ストーリー? テーマ? そんなものはあとから付いてくるさ!」 ・・・・そんな感じなんじゃないかと。
『ボーン・アイデンティティー』はしっかりした原作があったおかげでキレイにまとまりましたが、この『ジャンパー』はどうかというと・・・ あははははcoldsweats01 まあこの作品も一応は小説が原作なんですけどね。
そんなわけで映画に感動とか重厚なテーマとか求めている人にはむかない作品です。わたしですか? 大好物ですともsign03

まず有名原作や前作のネームバリューに頼りがちな最近の映画界で、アイデアの面白さを前面に出しているところが好感が持てました。
瞬間移動の描写も力が入っています。たとえば至近距離で連続ジャンプするシーンがありますが、まるで古の忍者アニメの「忍者が残像を残しながら高速移動していく描写」、アレを実写で再現してくれているようでちょっと感動しました。この映画、人気海外ドラマ『HEROS』とひとつネタがかぶっていますし、その上あっちの方がなんか豪華そうに見えるかもしれませんが、たぶん能力描写に関してはあっちに負けてないと思います! っていうかたぶん勝ってる! はずだ!
そして『ジャンパー』は、我々を世界各地の名勝の数々に連れて行ってくれます。その数、ざっと二十はくだらないんじゃないかと。
わたしが飽きもせず映画ばかり観ている理由のひとつに、「当分行けそうもない海外旅行の代わりcrying」というものがあります。今年もすでに色々行きました。アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、スペイン、イスラエル・・・・ しかしこの『ジャンパー』は、一本でほぼ世界旅行を可能にしてくれます。まるで「一泊二日二十ヶ国周遊コース」。死ぬほど目まぐるしいスケジュールですが、映画館で座っているだけですから全然疲れません(笑)
この鼻血出血大サービスに、わたしは感激の涙を滂沱と流したのでした。

正直に申しますとこの作品と『ライラ』がいまんとこ本年度のワンツートップです。本当に「バカ丸出し」ですな。お恥ずかしいcoldsweats01
「理屈はいらない! 目を楽しませろ!」という方々に、自信を持っておすすめいたします。
20060818202645

←この絵も何回使ったことか・・・

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あつ姫じゃ~っ!! ~大河ドラマ『篤姫』より③ 名君乱舞編

オカツ 「あ~~~~ったくムカつくぜ! あの婆さんよお!angry
西郷 「おや姫様、ご機嫌ナナメでごわすな。何をそんなに怒っておられるのですか?coldsweats02
オカツ 「決まってんじゃねえか! あの松坂屋だか高島屋とかいうバアサンのことだよ! まったくアレがだめ、これがダメってこまっけえことにいちいちうるせえっつーの。いくらアタシが天才女優で注目を浴びてるからって、いい加減ジェラシー燃やすのやめてほしいもんだわ」
西郷 「おいどんは~ あの匂い立つような熟女の色香heart04も嫌いではごわはんな~ ぐふふ」
肝付 「深作監督も相当ぞっこんだったようですね」
オカツ 「てめえらの趣味なんざどうだっていいんだよ! あとわたしこないだから名前が『あつ姫』に変わったから。今度『カツオ』って言ったヤツがいたら即ぶっ殺すからね」
西郷 「それもよくわからん話ですの~」
肝付 「なんでですか? 西郷どの」
西郷 「カツオがグレードアップしたら、普通はマグロではないですかの~ 菊本どのもおっしゃってたではないですか。『女の釣りは一本釣り』とfish
肝付 「そういえば原作者宮尾登美子さんは土佐の(一本釣り)出でしたね」
あつ姫 「てめえら・・・・ よほど命が惜しくないとみえる」
肝付 「いや、ぼく大したこと言ってないですよ! 悪いのはコイツ↓です!」
西郷 「お許しを!shock おいどんは生まれつき思ったことが、ついスラスラ口から出てしまうんでごわす!」
あつ姫 「まあいい。コントが終わるまでは生かしておいてやる」
西郷 「それにしても・・・ 殿はなにゆえ姫様を養女にされたのでしょうな」
あつ姫 「決まってんじゃねえか! あたしのこのグラマラスでダイナマイトなバディが狙いなんだよ! あのオヤジ、『君は母に似ている・・・・heart04』とか『ボクって本当は寂しがりやさんなんだweep』とか、ナンパのやり方がベタベタだったらありゃしねえ」
西郷 「ああ見えてお若いころは毎週のように、どこぞの屋敷に殴りこみをかけてたそうでごわす」
肝付 「ぼくはどっちかっていうと『日本人の質問』とかが馴染み深い世代ですね」
あつ姫 「あっ てめえら露骨に話そらしてんじゃねえぞ!」

(いよ~っ ぽんぽんぽんぽんnotes

あつ姫 「ん?」
西郷 「なんでしょう。この効果音は・・・・」

「ひとつ 人より物知り博士
ふたつ 不平等条約断固阻止
みっつ みにくい異国の鬼を
退治てくれよう! (ぽんっ)
芋太郎sign03

島津斉彬、参上じゃ!」

あつ姫 「・・・・春だなあsun
肝付 「・・・・春ですねえchick
西郷 「・・・・春でごわすtulip
斉彬 「こりゃお前ら! 主君に対してその態度はなんじゃ!pout
あつ姫 「じゃあ一応つっこむけどさ、なんで『桃太郎』じゃなくて『芋太郎』なのさ」
斉彬 「やはり薩摩といえば芋であろう! 舞台が岡山だったら桃のままでもよかったんだがの! がははは!happy01
西郷 「じゃあ鳥取だったら梨太郎?gawk
肝付 「山形だったらサクランボ太郎?gawk
あつ姫 「お前らまともにうけとんなよgawk とっつぁんよう、あたしらもヒマじゃないんで新歓コンパのかくし芸の練習なら、向こう行ってやってくんない?」
斉彬 「その言葉はなんじゃアッコ! お前をそんな風に育てた覚えはない!angry
あつ姫 「あんたに育てられた覚えはない! あと『アッコ』っていうとどこぞのジャイアント和田fujiみたいだからやめろよ!」
西郷 「♪国はまーだー 眠りのなかーmoon3
肝付 「♪あのアーホーにー 嫁ぐのはあなーたーbell
あつ姫 「てめえらも紛らわしい歌、歌ってんじゃねえ!thunder
20080311212737斉彬 「それじゃ来週も『アッコにおまかせ!』楽しみにネ!happy01
あつ姫 「どいつもこいつも・・・ ぶっ殺すimpact

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March 08, 2008

北極あたりに針路を取れ クリス・ワイツ 『ライラの冒険 黄金の羅針盤』

20080308113035♪ライラライラライ~ ラライラライ~

お若い人は知らないだろうけど、これはアリス(谷村新司)の『チャンピオン』 っていう有名な曲なんだぜ~
エー、この春一番の話題作、『ライラの冒険 黄金の羅針盤』いってみましょうか。

舞台は無限に広がるパラレルワールドのひとつ。その世界では人々はみなダイモンと呼ばれる動物の形をした分身を持ち、マジステリアンというエリートたちによって支配されていた。
オックスフォード大学に住む勝気な少女ライラは、マジステリアンの支配を脅かす「真理を示す羅針盤」を手にしたために、彼らから追われる身となる。
一方そのころとある北酒場では、一人の熊八が飲んだくれていた。彼の名はイオレク・バーニソン。かつてはポーラ級世界チャンピオンと目されながらも、対戦相手の汚い手口にひっかかって惨敗。それがきっかけで身を持ち崩したた彼は、妻子にも去られ、いまやただの酔っ払いへと転落してしまっていた(ただし一応定職にはついているので、プーさんではない)。
逃亡の旅を続けていたライラは、イオレクと運命の出会いを果たす。
「イオレク・・・ あなたは強い人(?)よ! もう一度戦って!」
その言葉に心を動かされたイオレクは、酒とバラの日々に別れを告げ、もう一度野獣たちのひしめくリンク(北極なんで)に戻る決意をする・・・・

この映画、半年前からばんばか宣伝流してた割りに、いざふたをあけてみると総じて評判があまりよくなく(笑)、その時点でわたしは無理やりにでもほめてあげようと心に決めていました。が、実際に見てみたら普通に素直に面白いじゃあーりませんか。

ライラ世界の特色を二つほどあげてみましょう。まず文明レベルはぱっと見19世紀か20世紀頭くらい。電子機器のたぐいはあまり見当たらず、帆船や飛行船といった一昔前の乗り物が幅をきかせています。ただそれらの乗り物のメイン動力は、謎の青い球体から発生しているようで、もしかしたら魔法に近い力で動かされているのかもしれません。
あとこの世界の特色はなんといってもダイモン。自分の魂の一部が肉体の外で具象化したものということですが・・・ それって要するに「幽体離脱」みたいなもんでしょうか? 

・・・・・・

きっとこの世界ではコウノトリが誕生祝にペットを一匹サービスで付けてくれるんですよ! そういうことにいたしましょう!
このダイモン、何が便利かといえば、どんなボケにも必ずツッコミを入れてくれます。わたしがしばしば経験することですが、ボケを放置されるというアレは・・・ 非常に切ないものがあります・・・crying
でもダイモンさえあれば、そんなさびしい思いとももうさよなら! あー、本当にどっかに売ってませんかねえ。
ちなみにわれらがライラのポケモンはパンタライモンと言います。パンダなのかライオンなのかどっちかはっきりしてほしいところですが、ぶっちゃけどっちにも似てません。

さて、こうした独特の世界観も興味深いところですが、この映画の何が素晴らしいと言えば、それはクマ! クマと少女の友情! それに尽きます。
夢破れ放蕩の生活を送っていた男が、少女の言葉に勇気付けられて掃き溜めから這い上がっていく・・・ そういう話に、わたし弱いんです。
イオレクの対戦相手ラグナー(原作ではイオファー)は強面のくせに「お人形遊びが大好き」という要注意人物、もとい動物。そんなオトメンが相手ではありますが、イオレクはブランクが長かったこともあり、ラウンドが長引くにつれ多くのパンチを浴び、次第に誰の目にも敗色が明らかになっていきます。何度も何度も倒れ、しかしその度に立ち上がるイオレク。わたしの脳内では『燃えよドラゴン』と『ロッキー』のテーマが同時に鳴り響いておりました。

「イオレクもうやめて! あなたはもう十分戦ったわ!weep
「いいか、お嬢ちゃん・・・・ 絶対にタオルを投げるんじゃないぞ・・・・ こいつは、ライラ、お前が始めた戦いなんだぜ!?spa
(注:こんなセリフはありません)

問題はこのクマバトルがあまりにスバラシすぎて、その後何があったのかもうあんまり思い出せないことですね(笑) なんかサリーちゃんの大群とかショッカーの秘密基地とか出てきたような気がします。まああんまし書いてもネタバレになるしね。

実はこの作品、三部からなる第一部なんですが、まだ続編を作るかどうかは正式に決まっていないみたいです。主演のダッコちゃん自ら「続編をやるなら出ると思う」とか頼りない発言をしておりました。続きができるかどうかは今後の世界での成績次第というところでしょうか。

20080308113132
恐らくシリーズ化が実現するなら、第二部は熊八が我々の世界でロッキーと対戦し、完結編では平行宇宙統一王座に挑戦する話になるかと思われます。こいつは何とかして見てみたいものですが・・・・

♪ライラライラライ ラライラライ ~(←しつこい)

 

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March 07, 2008

適当掲示板61&ギャラリーSGAアゲイン 自画自賛でもしてみようかしらの巻

20070821174359なくしたと思ったグラサンですが、車のダッシュボードの中にありました・・・・
まったくもってお恥ずかしい限りですcoldsweats01

ご意見ご感想、そのほかありましたらここに書き込んでやってください。
さて、当ブログに「個性」を出したいな、と思って色々書いてきたヘボカット、いつの間にやらけっこうな数になりました。
昨年『大日本人』を観ていて「個性があればいいというもんじゃない」ということに遅まきながら気づきましたが、そこでやめてしまったら「負け」という気がしたので、今に至るまでセコセコ書いております(最初っから負けは決まってるんじゃないのか?)。
で、今回は特にネタもないので、個人的に気に入ってるブツを厳選・・・もとい適当にチョイスして、紹介させてもらうことにいたします。恥じ描き上等! では参りましょう。


20061018180238200703071748232007051417141220070627171705 ・

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向かって左端:アメコミ『X-MEN』より自分流ウルヴァリン。ジーン・グレイとどっちにしようか迷ったけど、スピンオフへの期待を込めて
左から二つ目:高野長英の晩年の肖像から。後ろの江川さんがアートみたくなっちゃってますが・・・
右から二つ目:がんばって書いたノーマル・スパイダーマン。これねえ、時間かかったのよ~
向かって右端:ブログ恩人のお一人TMさん。記憶3:妄想1くらい(笑)。現在ベビーと格闘中。負けるな!


20070519175955200707222024432007081222063920070812220554 ・

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向かって左端:小説『バッテリー』の主人公・原田巧くん。自分の脳内イメージをそれなりに具象化できたかなーと
左から二つ目:ミ○シィでよくコメントをくれるKRさん。髪型が違うとつっこまれました(笑)
右側の二画像:漫画『夕凪の街 桜の国』より皆実さんと七波ちゃん。この二枚はセットということで


20071028211202200711051907542007111419232320071201073039 ・

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向かって左端:アニメ『天元突破グレンラガン』より主人公シモンくん。このアニメ、面白かったよな~
左から二つ目:漫画『ガラスの仮面』より姫川亜弓(のつもり)。「お蝶夫人みたいです」と指摘されましたが、わたしにはいまだに両者が見分けられませんcrying
右から二つ目:『ヘルボーイ』から人狼さん。このころからディスプレイ等の上に薄い紙を押し当ててなぞり書きし、そのあと適当に手を加えるという小ずるくかつ原始的な手法を用いています。だってこの方が時間かかんないんだもん。「お前に落書き描きとしてのプライドはないのか」と言われそうですが・・・・ ありませんけど?
向かって右端:これも同様の手法を使って書いた初代ゴジラ。『続三丁目の夕日』と『ペルセポリス』で二回使いまわしましたcoldsweats01


20080107173603200801111453252008012517371420080217193900 ・

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向かって左端:大河ドラマ『風林火山』より山本勘助。内野聖陽さんとはあんまし似てませんね。
左から二つ目:吉田秋生の漫画『ラヴァーズ・キス』より依里子ちゃん。これは自分でも「おお・・・ 吉田が降りてきた・・・」と思えるほどによく描けたんではないかと(調子に乗るのもいい加減にしろ)
右から二つ目:三十秒で書いた「スウィーニー・トッド」。現在「スウィーニー・トッド ミートパイ」で検索するとグーグル第二位! やばいぜ!
向かって右端:松山ケンイチ風『デスノート』のL。ついこないだ書いたヤツです。


というわけでどうでしょう。第一回と比べてそれなりの進歩が見られ・・・・ないな。あはははは

20080307175027
ピクチャーはフリーダムです。ヘタクソだっていいじゃない!
これからも羞恥プレイ全開でがんばります。うっふ~んkissmarkheart04


←誰?gawk

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March 05, 2008

小と・笑と・掌と 筒井康隆 『怪物たちの夜』

20080305202656今をさかのぼること20数年前のこと。おませでウブな小学生のSGA屋伍一くんは、デパートの古本市でお得なブツを発見しました。文庫五冊でまとめて五百円だったか。五冊のタイトルは確か豊田有恒『タイムスリップ大戦争』『マーメイド戦士』 筒井康隆『時をかける少女』『ミラーマンの時間』『にぎやかな未来』。そんでこの五冊の中で、とりわけ何べんも何べんも読み返したのが『にぎやかな未来』でした。

内容は筒井氏がデビュー前後に書いたショートショートをまとめたもの。すでに星新一の作品集も何冊か読んでいて、その愛読者でありましたが、星氏にはない馬鹿馬鹿しさがあって強くひかれたのでした。
で、それからずいーぶん経って、この掌編集が徳間文庫より『怪物たちの夜』という題で復刊されました。収録作品に若干の追加・変更があるものの、ほぼ同じ内容。そんでわたしも久し振りに『にぎやかな未来』が読みたくなって、実家の本の山を漁ってみたのですが、これがどこにも見当たらないwobbly。さらにもたもたしてる間に、復刊されたヴァージョンもあっという間に本屋から消えてしまいました。

(さっさと確保しておくべきだった・・・)と肩を落としたわたしでしたが、昨年秋都に上ったときジュンク堂で発見。多少体裁は変わっておりましたが、ともかく感動の再会をはたしたのでした。

どちらかといえばエロ・グロ・ナンセンスな作風で知られる筒井先生ですが、この掌編集ではまだスタイルがさだまっていなかったのか、エロ・グロはわりと薄めでナンセンスだけが突出しております。
SFあり、怪談あり、スラップスティックあり、童話あり・・・・ まことにバラエティに富んだ内容。とりあえず20年後にもはっきりと覚えていた作品をいくつかご紹介しましょう。

☆『超能力』
ある資産家とその甥の、すごーくくだらない超能力バトル。高度なんだけどやっぱりしょうもない心理戦がえんえんと続きます。『逃げろ』も同じようなテーマ

☆『亭主調理法』
夫と生活していくことに疲れた妻は、ある晩のケンカがきっかけで禁断の行動に出てしまう・・・ と書くといかにも深刻そうな話だけど、オチはこの本の中でも1,2を争うくだらなさ(笑)。数年前出たコミックアンソロジーではなぜかあるエロ漫画の大家・・・名前が思い出せん・・・が書いてました

☆『マリコちゃん』『ユリコちゃん』『サチコちゃん』『ユミコちゃん』
こう並べるといかにもつながりがありそうなうな作品群ですが、少女が主人公という以外は特にそういうものはありません。ふざけた題とはうらはらに、どれもそこはかとなく怖い話。特に『サチコちゃん』は20年後の今読んでもちびります。

☆『池猫』
親に言いつけられて子猫を池に捨てていた少年。その後成長した彼がその池で見たものとは・・・・
いわゆる不条理系のお話。わけわかんないながらも印象に残ってました。この本以外にもあちこちのアンソロジーで見かけます。

☆『到着』
これすんごい短いので全文のっけちゃいます(著作権法にふれるだろうか・・・)


とつぜん地球が、なんの前ぶれもなく「ぺチャッ」という音をたてて潰れた。
太陽も「ぺチャッ」という音をたてて潰れた。
月も土星も、他の恒星群の星々も、「ぺチャッ」という音をたてて潰れた。
宇宙のあらゆる星が、いっせいに「ぺチャッ」という音をたてて潰れた。
今まで、一団となって落ちていたのだ。


これを読んだ星新一氏が「このぺチャッという音を誰が聞いたんだい?」とつっこんだそうです。

☆『怪物たちの夜』
新版表題作。午前二時、田舎町の駅に居合わせた男二人。片方の男は凶悪犯を追っている刑事だと言う。やがて彼らの口から驚くべき言葉が語られる・・・
この作品、高校時代美術部で無謀にも「漫画化」に挑んだことがありました。今回のイラストはそのとき書いたキャラ。あー、はずかしーwobbly
『幻想ミッドナイト』という番組でドラマ化されたこともあったそうですが、どうやったのか非常に気になります。

20080305202709先ほど検索してみましたら、オンライン書店では『にぎやかな未来』はどこでも品切れ。『怪物たちの夜』は店によってはまだちょびっと在庫がありました。興味を持たれた方、これが最後のチャンスかも! 早い者勝ちです!

・・・・なんか通販の宣伝番組みたいだな。まあとにかくオススメです。新版は徳間文庫より「筒井康隆自薦短編集」の二巻目として出されております。

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March 02, 2008

女王の奇妙な愛情 シェカール・カプール 『エリザベス ゴールデン・エイジ』

20080302204637ロリ 「あなたは美しい・・・」
エリ 「震えるぞハート」
ロリ 「愛さずにはいられない・・・・」
エリ 「燃え尽きるほどヒ~ト」
ロリ 「でもごめんなさい。浮気しちゃいました」
エリ 「貴様・・・ いったい何人の唇をその言葉で吸いとった!?」
ロリ 「(ニヤリ)お前は今まで食ったタクアンの枚数を覚えているか?」

U・・・・ UREEEEEEEEE!!

あ、わかんない人すいません。インド人監督シェカール・カプールによる、一大歴史絵巻の続編。実はわたし前作見てないんですけどbomb、どっかんどっかんの艦隊戦が見たくて行って来ちゃいました。『エリザベス ゴールデン・エイジ』です。

熾烈な後継者争いを勝ち抜き、見事ダイエー帝国の社長の座をもぎ取ったエリ。「この会社に命を捧げます!」そう誓ったはいいものの、そこはやっぱり生身のオンナheart04 恋もしたいし遊びもしたい。
そんな彼女の前に現れたのは、傘下の企業「トゥモロー・ワールド」の若社長。ワイルドで飾らない彼の甘~いcake言葉に、エリのハートは年甲斐もなくときめいてしまう。
しかし彼女が色恋にうつつを抜かしている間に、元社長のマリはかつての部下を使って、エリをトップからひきずりおろすべく陰謀をめぐらしていた。さらにライバル大手のサイベリアグループはスキャンダルを作り上げ、ダイエーを破滅させようと大々的にバッシングを展開する。どうするエリ!?

えー、このあらすじからわかるように(つっこまない)、前半は基本昼メロです。体も乙女だけどハートも乙女なエリザベス。ちょい悪系の二枚目探検家ローリーに、つんつんしたり、でれでれしたり、メソメソしたり。
しかし流石は名君。いざというときにはぺカーッと後光を放ってヒットマンや敵艦隊を圧倒します。さしずめ「エリザベスパーク」とでもいいましょうか。あれはまちがいなく中にハロゲンランプか何かが仕込まれています。

興味深いのは、やはりライバルであり親戚でもあるメアリ・スチュアートとの確執でしょうか。この点、源平絵巻の源頼朝の立場と似たものがあります
頼朝が主人公の場合→「ああ、本当は殺したくないのに・・・weep
義経が主人公の場合→「とっとと始末しちまえよ! ったくannoy
この作品ではどちらかというと・・・・ 言うまでもありませんね。

ほかに見所はといいますと、当時の宮殿の豪勢なセットなど。なんていうか面積は広いはずなんだけど、無駄に柱がでかくて通路が狭いような。この映画、宮殿内部の場面がかなり多いので、「2時間宮殿じっくり見学ツアー」に参加しているような気分にもなれます。もちろん宮殿にはウラの部分もあり、時折牢屋とか拷問部屋といったえぐいスペースにも案内してもらえます。きっと「エリザベスも一歩間違えばこうなったんだ」ということを強調したいんでしょうけど、わしら、歴史知ってるからねえ(笑)

先ほども述べましたように監督はインド人。結果としてここでエリザベスが勝利を収めたため、イギリスの植民地政策にはますます拍車がかかることになり、インドはこのあとイギリスに搾取されまくるわけですが。カプール監督はそのあたり撮っていてなにか思うことはなかったのでしょうか。とりあえず作品からはあまり政治的なメッセージは感じられませんでした。

20080302204652それでは最後にもう1ネタ
ロリ 「女王陛下にちなんでバージニアと名づけました」
エリ 「わらわが年老いたらどうするのじゃ?」
ロリ 「はっ ババージニアと・・・・」
エリ 「こいつ処刑ね」

女性に年と目方の話は厳禁です。以上。

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