夜明けの鐘を鳴らすのはあなた 水島精二 『機動戦士ガンダム00』1クール目まで
今日はオタクらしくガンダムの話をします。たった今17話が終わったばかりの『機動戦士ガンダム00』。そのおおまかな説明と感想を。まずはあらすじから。
西暦2307年。人類は本格的な太陽光発電の開発に成功。これによりエネルギー問題はほぼ解決したが、国家間の争いはなおも絶えない。
そんな時代に突如として現れた私設武装組織ソレスタル・ビ-イング(CB)。「戦争根絶」を目標に掲げる彼らは、絶大な戦闘力を誇る有人兵器「ガンダム」を用いて、世界各地の紛争地帯で双方の勢力に壊滅的な打撃を与えては風のように去っていく。だがその活動は当然大国の怒りをかい、強引なやり方は穏健派から疑問の声があがる。果たして彼らの戦いは人類に変革を促すものとなるのか・・・・
それなりに第一作(以下FG)を意識した『SEED』にくらべ、今回のガンダムにはその影はあまり見当たりません。強いて言うなら主役メカがガンダムの顔をしているくらい。実際水島監督もFGにはさして思い入れが無いそうです。
思い起こされるのはむしろTVシリーズ五作目となった『新機動戦記ガンダムW』。主人公が複数の美形キャラで、彼らが属しているのが国家の軍隊ではなく、小規模な戦闘集団であること。ヒロインが弱小国家の王女さまで、ガンダムが他のMSに比べ桁外れのパワーを有しているところなどは、いやでも『W』を連想させます。
一方で『00』には『W』に対するアンチテーゼのようなものも感じられます。『W』は最終的には「世界から争いはなくなりました」という形で終わっているのですが、その結末は徹底的にニヒルだった中盤までとも、富野監督の作り上げた「宇宙世紀」の『ガンダム』ともそぐわないものでした(あとで知ったことですが、監督交代とかいろいろあったらしいです)。
対して『00』では「戦争をなくすなんて無理」という思いが作品の随所から感じられます。実際、CBのてっぺんにいる者たちも、真の目的は「戦争根絶」とは別のところにある様子。ならば彼らの真の目的とはいったい何なのか・・・・ この辺が前半のポイントとなる謎かと思われます。
脚本に『無限のリヴァィアス』『スクライド』の黒田洋介氏。すでに何度か書いてますが、わたしがひいきにしているライターの一人です。ただこの人、スロースターターというか、話が本当に動いてくるまでに数回を要することもしばしば。ゆえに、この『00』も最初の2,3話の時点では作品世界に入り込めず「ぽかーん」としてた人も多かったようです。わたしも「黒さんならきっとやってくれるさ」とは思いながらも、このままなかずとばずで終わったりせんだろうな・・・と漠とした不安がないでもなかったです。
その不安が払拭されたのが第9話から第11話。ガンダムのパイロットの一人であるアレルヤ・ハプティマスの苦悩を描いたエピソードです。呪われた過去と凶暴なもうひとつの人格に怯えるアレルヤは、それらと決別すべくあるミッションに志願するのですが、その行為は彼をさらなる地獄へと追いやることになり・・・ この一連の回が放映されるやネットの各所では「アレルヤ祭り」が勃発し、人気も話の勢いもぐんと上昇した感があります。
(以下、チョイバレ注意)
水島監督によると今回のガンダムでは「最初圧倒的優位に立っていた主人公たちが、徐々に追い詰められていく」流れになっていくそうです(新選組みたい・・・・)。その言葉を信じるなら、おそらく『Z』に匹敵するか、それを超える悲壮な展開が待ち受けていることでしょう。
さらに驚くべきことに今回は第1部(全25話)を放映した後、半年の期間を置いて第2部(全25話)をまた放映するという特殊な形式となる模様。この形式や、ガンダムのギミック、さらに主人公たちの性質(二重人格、双子、両性具有?)など、あらゆるところに「ダブル」がちりばめられた本作。それが意味するものとは?
あとこの放送形式には中だるみやスケジュールの逼迫を防ぐとともに、「『コードギアス』とかぶらないようにする」という目的もあると思います。本当に、なんでこんなにいろいろダブって、もといかぶってしまったんだろ・・・
まあ面白ければそれでいいです。とりあえず今後一年、楽しめそうなロボアニメが続きそうでおじさんはうれしいです。
そんなわけで『機動戦士ガンダム00』は現在土曜6時から好評放送中。第1部の山場まであと8話。はや~
Comments
まいど。このところ「Z」劇場版が
マイブームなまさとしでございます。
>00
雑魚メカが色々面白そうですね。
せっちゃんに絡んだヒゲの人なんて
某サイトでは「ヒゲ沢」と呼ばれていたな(笑)。
軌道エレベーターなんて「テッカマンブレード」かよ。
オービタルリング・・・・懐かしいな。
>ヒロイン
エロ度は格段に違うがな。
「W」はタカラヅカ的なんだけど
「00」はそれに「SEED」分を注入したような・・・。
スメラギさんとやらのおっぱいとか(おい
>戦争をなくすなんて無理
「W」を未だに最高峰にすえてしまった私には
どうしても受け入れがたいかも。
ある意味雑音入ってもファンやめない「W」は貴重
「SEED」なんかその点ボロボロ
ハンブラビにMKⅡがボコボコにされても平気だけど
インパルスがフリーダムの羽折っただけで相当カチンと
きたからねぇ。
>半年の期間を置いて
この放送スパンは面白いけど逆に4クール仕切れる
スタッフが少なくなったという現われかも。
昔はそれで佳作多かったモンね・・・・・人がいないな日本。
>監督交代
「サムライトルーパー」もあったね。
改めて「Z」見て最近思ったのは、最近のガンダム作品は
「ガンダム」という名の兵器を出しすぎという点ですね。
「W」は主役の5人、ガンダムなくてもむちゃくちゃ強いし
アムロだってリックディアスでしっかり活躍してたよ。
「V」の本で語っていたけどサンライズがバンダイ傘下である以上
どうしよもないのかもね(バイク戦艦はバンダイの意向という件)。
00は見てないけど情報は嫌でも入るので楽しみにしてます。
ではでは。
Posted by: まさとし | February 03, 2008 08:47 AM
>まさとしさま
おばんです
>Z劇場版
話題になった「もうひとつのラスト」。わたしはポカーンでしたが、たしかにまさとしさん好みかもしれません
>「ヒゲ沢」と呼ばれていたな(笑)。
あのおじさんはいい人ですよー。本作品の中では数少ないまともな大人です。声はアナベル・ガトーのひと
>エロ度は格段に違うがな。
そういえば「W」は色気皆無でしたもんね
スメラギさんの中の人はたしか『耳をすませば』や黒キュアの人だったかと
大きくなったなあ(←いやらしいなあ)
>昔はそれで佳作多かったモンね・・・・・人がいないな日本。
「佳作」クラスならそこそこありますけど、一年通してだれなかった作品は、アニメ史通じても片手で数えられる程度ではないかと
あと昔の人は働きすぎだと思います(笑)
>最近のガンダム作品は
「ガンダム」という名の兵器を出しすぎという点ですね
一番出しちゃったのは十年前の『G』ではないかと(笑) まあ『SEED』も二作通じて乱発気味ではありましたが
とりあえず『00』では現在8機確認されてます。・・・・確かに多いかも
Posted by: SGA屋伍一 | February 03, 2008 10:16 PM
どうも。
まあ、水島監督なら大丈夫と思って観てました。
個人的には世界政治情勢とか好きなので
初めっから面白く観てましたが、
そうでない人はどうなのかな?
相互関連のないキャラ続出は
大河ドラマ(NHKと限定しない)好きの私としては
今後のドラマを予感させられて期待大ですが
そうでない人は(以下略)
上記記事を拝読して視聴者の反応がおよそ分かりました。
「アレルヤ祭り」ですか……。
最初は主役を書き込むのがセオリーなのにねー。
変わった作りですね。
変わった作りといえば、キャラクターの関連性も
あまり進展していないようです。
世界が舞台だから仕方のないことでしょうが。
トミノ監督なら無理にでも出会わせて
ドラマを作るところなんでしょうね。
強化人間が暴走するのはガンダムっぽいと思いましたが、
あれはZですか。
それにしても気になるのは
巨乳キャラの多さでしょう!
OOの真の意味はそこにあると見た!
(いや、ほら、ナウシカみたいな意味づけが
あるんだよ、きっと……)
Posted by: かに | February 05, 2008 03:17 PM
>かにさま
おお、かにさんもまだついていってますか。そいつは心強い
わたしのオフ友は早々と脱落してしまったので(笑)
>そうでない人はどうなのかな?
「サジくんがなんでいるのかわからん」という人が多いみたいですね。だーかーら、これから生きてくるっつーの(^^;)
あとあの子には戦場で戦わねばならない境遇の子と、平和な日本で暮らしてる我々を結びつける役割もありますね
>最初は主役を書き込むのがセオリーなのにねー。
一応主役も「戦闘中に顔出し」とかありましたが、あの強烈なエピソードのせいですっかり食われてしまった感があります
あとアレルヤ氏はカミーユ・ビダンがモデルという説があるそうで。似たような機体に乗ってますし。とすると最後は・・・・
各キャラの関連性もこれから密になってくるのではないでしょうか ・・・ってもう第1部ラストまであんまり回数がないわけですが
>OOの真の意味はそこにあると見た!
つまりダブルOっぱいということですか!?(ああこれで女性ファンが一気に減った気が・・・)
Posted by: SGA屋伍一 | February 05, 2008 09:41 PM
私にとってのマリナ姫は、こんな感じです

http://stratosphere.sakura.ne.jp/frame.htm
マリナちゃん、しゅごぉぉい
あとマリナ姫とシーリンさんの関係は、このイラスト


で私の中では完全に固まりました
あぁ、もー可愛いなぁ
シーリンさんはマリナ姫が可愛くて可愛くて
仕方がないのでしょう
http://stratosphere.sakura.ne.jp/20071031.jpg
Posted by: 犬塚志乃 | March 26, 2008 08:28 PM
あれ検索できません?

では日記の11月と10月をご覧ください。
可愛い絵で百合というのは最高ですよね
Posted by: 犬塚志乃 | March 26, 2008 08:31 PM
>犬塚志乃さま
正直自分には百合は801と同じくらい理解不能な世界です・・・・
で、この「可愛いなあ!もう!」はたぶん『あずまんが大王』が元ネタですかね
ここんとこめっきり影が薄くなってしまったマリナさま。第二期での活躍を期待しましょう
Posted by: SGA屋伍一 | March 26, 2008 09:31 PM
こんにちは。
TB&コメントをありがとうございました。
どちらのお得意様かしら?と思っていたら、映画関係のほうでしたか!
記事のラインナップを拝見すると、いろいろとカブってますね(^^)
メビウスさんとはアニメ話も良くしますし、嬉しいですね、両方でお話が出来る方が増えるのは。
こちらこそ映画&アニメで今後とも宜しくお願い致します。
>『00』には『W』に対するアンチテーゼ
監督は「ガンダム」全般を意識していないとの事ですが、内容といい、セリフの数々といい、本当に意識していないとしたらたいしたものですよね(^^;
黒田節はハマルとスゴイとのことで楽しみにしていたのですが、グラハムの名言集に留まってしまったのが残念でした。「W」も後半からが面白かったので「00」も2期目で開花してくれることを祈っています。
Posted by: たいむ | May 01, 2008 06:26 PM
>たいむさま
ようこそいらっしゃいまし。お返しありがとうございます
メビウスさまにはいつもお世話になっております。あとkenkoさまにもとってもお世話になってます・・・
。どうぞよろしくお願いいたします
突然お邪魔した者に暖かいお言葉感謝です
『W』と『00』は本当に共通項が多いですよね。そもそも『W』って普通「ダブル」と読むものだし(笑) お姫様の名前も方や「リリーナ」で方や「マリナ」 主人公たちの風貌もそこはかとなくかぶってるような・・・
>黒田節
「すげえな
」と思ったのは『スクライド』
わたしの好きな黒田作品は他に『リヴァイアス』『ガングレイブ』といったところですが、毎度そんなにセリフがはっちゃけてるわけではないような・・・
Posted by: SGA屋伍一 | May 02, 2008 08:15 AM