第4回SGA屋漫画文化賞
SGA屋漫画文化賞とは? 年に一度わたしの脳内で行なわれる漫画賞のことです。対象範囲はわたしが今年読んだマンガすべて。一応旬のものを選ぼうとは思っていますけど。
そんなんですから当然賞金も賞品もありません。ってゆーか、誰かよこせ。オラ(年々横柄になっていくな・・・)
ちなみに今までの結果は以下の通り
第1回 第2回 第3回
では参ります。
☆少年漫画部門 ひぐちアサ 『おおきく振りかぶって』 (9巻まで・講談社)
少女漫画の要素(巧みな心理描写、叙情的なモノローグなど)もあるし、なにより『アフタヌーン』は少年誌ではないけれど、この漫画の根底に流れているものはまぎれもなく「少年漫画」のそれであると思います。
「友情・努力・勝利」そのどれもが大事な柱となっているのにも関らず、ここまで「ジャンプ」系と違う世界を作り出しているところが興味深い。
第一回のレビューはコチラ
☆少女漫画部門 吉田秋生 『ラヴァーズ・キス』 (全一巻・講談社)
ああああああ! 身悶えするほどに恥ずかしいタイトルだ!
これまでなんとなく避けていたまっとうな男女の恋愛を、(たぶん)初めて吉田先生が正面から描いてみた作品。
しかしそこはなんと言っても吉田秋生。ほぼ同じ期間の出来事を、視点を変えて3回語るという多重構造が試みられています。
もう文庫版でさえだいぶ前に出た本ですが、わたし今年になって初めて読んだもので。ブックオフで350円。今回一番元手がかかってません。
☆青年漫画部門 『GANTZ』 奥浩哉 (22巻まで 集英社)
そういえば去年のいまごろは電話帳のように分厚い『GANTZ』の総集編を「いや~ん! なにこの漫画! 超キモ~い!!」とか言いながら、夢中になって読んでいたものでした。
一風変ったサイバーパンク・アクション。悪魔的な残酷趣味やユーモアセンスは、全盛期の筒井康隆と通ずるものがあります。
☆ギャグマンガ部門:安達哲 『バカ姉弟』 (5巻まで 講談社)
今年もっとも癒された漫画。
老人の原宿と呼ばれる巣鴨を舞台に、町全体からいつくしまれている不機嫌な顔の姉弟の日常を描く。
この姉弟、生態がかなり野良猫に似ていて、「モン吉賞」に入れようかとも考えていました。
完結したものと思われていましたが、作者から「忘れたころにまた描く」なるコメントがあったそうです。
☆ノンフィクション部門:西原理恵子 『毎日かあさん 4 出戻り編』 (毎日新聞社)
「家庭円満漫画を描こうと思ったら連載中に離婚してしまいました(笑)」 これは一巻の帯に書かれていた作者からのコメント。
しかし真に壮絶なドラマは、そのあとに待っていたのです。
「暖かな家庭というものにヘドが出る」 かつてそう言っていた彼女が、「わたしに子供をありがとう」と書いているページは、何度読んでも鼻水大噴出。
女王様とその子供たちに幸アレ。
その辺のレビューはコチラ
☆モン吉賞(ネコ漫画部門):はるき悦巳 『帰ってきたどらン猫』 (全一巻 双葉社)
『じゃりン子チエ』のスピンオフで、オールタイム・ベストの一本(というか二本)である『どらン猫小鉄』と『どらン猫小鉄奮闘記』。
その続編が発行されていたことを知ったのは今年のことでしたが、すでに在庫切れで悔しい思いをしておりました。
しかしめでたいことについ最近文庫版となって再発売。双葉社さん、どうもありがとう。
さらなる続編である『帰ってきたどらン猫2』も刊行されています。
☆翻訳部門:ジェームス・ジャービス ラッセル・ウォーターマン 『ヴォーティガンズ・マシーン ラスティとウィッグズのマジカル・アドベンチャー』 (全一巻 青山出版社)
本当ならフランク・ミラー入魂の『300』原作本を挙げなければいけないのですが。すいません、ミラー先生、このコミック、あまりにもツボだったんです。
「犬は本当にアホなのか」 愛犬家が聞いたら激怒しそうなこの命題を解くべく、二人のチョイ悪ボーイズ・ラスティとウィッグズは幻想の世界へと旅に出る。
キュートな絵柄とおバカなセリフ、そして何が出てくるかわからないストーリーに、ウヒウヒ言いながら楽しみました。
それはいいんだけど、今年はとうとう普通のヒーローコミックが一冊も翻訳されなかったなあ・・・ とほほ
☆アニメ部門:今石洋之 『天元突破グレンラガン』
「なんでここで終るんじゃあ! さっさと続きをみせんかーい!!」
そう思えるアニメ(ドラマ)というのは、年に1,2本もあればいい方です。んで、今年はこれでした。
地下の穴倉から始まった物語が大宇宙への果てへと広がっていく爽快感。レビューはコチラ
今年はほかに『コードギアス 反逆のルルーシュ』や『DARKER THAN BLACK ~黒の契約者』などが印象に残りました。
☆大賞:内藤泰弘 『トライガン・マキシマム』 (13巻まで 秋田書店)
掲載誌の廃刊という荒波を乗越え、ほぼ十年の歳月を費やして大河叙事詩を十二分に描ききった業績を讃えて。
この作品についてはブログ開始当初レビューしたことがありましたが、無事完結を迎えられて本当に良かったです。内藤先生お疲れさま・・・・と言いたいところですけど、まだあなたには最終巻を仕上げてもらわないと困りますねえ。
最近漫画の単品レビューをさぼっているため、ほとんど未紹介の作品ばかりが並んでしまいました。年があけたらまたぼつぼつと取り組んで行きたいと思います。
次(あさって)は、いよいよ映画ベストを選考いたします。
Comments
こんばんは!SGAさま☆
おー!漫画文化賞ですか。私もまねっこしてやってみようかな?
マンガの感想、最近サボりまくってるし・・・
バカ姉弟もどらん猫も、SGAさんにお奨めしていただいてたのに
まだ読んでなかった!貸してくださいよー
それと全然関係ないんですけど、
どうやらもうすぐお別れっぽい電王・・・
最近は観るたびにウルウルしてます・・・えーん
Posted by: kenko | December 28, 2007 01:20 AM
>kenkoさま
おはようございます
>私もまねっこしてやってみようかな?
ぜひぜひ。映画ベストの記事ってたくさんあるけど、漫画の方のベストってあまり見かけないので
kenkoさんの一位はたぶん一平ちゃんでも三平ちゃんでもないあの人のアレだろうな
>まだ読んでなかった!貸してくださいよー
貸してあげるから、ここまで来なさい(笑)
>どうやらもうすぐお別れっぽい電王・・・
44回ですか。良太郎くんが「一緒には戦えない」と言い出した回
マジで涙と鼻水が滝のように止まらなくなってしまい、病院行ったほうがいいかな、とまで思いました(^^;)
Posted by: SGA屋伍一 | December 28, 2007 07:34 AM
あぁ!!もうバカデミー賞が始まっちゃってる・・・
うちの映画ベストはもちょっと先になると思いますが
マンガベストの方はさっそく挙げてみました。
たぶん大方SGAさんの予想通りです〜
>良太郎くんが「一緒には戦えない」と言い出した回
「あえて言うなら今を守りたい」というモモタロスの優しさがもう切な過ぎてたまりませんでした・・・
Posted by: kenko | December 29, 2007 09:46 PM
>kenkoさま
>大方SGAさんの予想通りです〜
そうか! やはり『包丁人味平』だったか!
映画ベストも楽しみにしてますね
>モモタロスの優しさ
あいつはいつからあんなに出来たヤツになってしまったのでしょう(^^;)
当初は良太郎・・・親 モモ・・・子の関係だったのに、今ではすっかり逆転してしまいました
次回はキンタロスが号泣させてくれそうです(ToT)
Posted by: SGA屋伍一 | December 30, 2007 07:56 PM