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December 31, 2007

決定! 2007バカデミー賞! 幕内編

こんばんは! おスガです! それでは上位「幕内編」参ります。ランキング圏外の作品は幕下編に書いてあります。
いっときますけどバカが選ぶからバカデミー賞なんであって、必ずしも選ばれる映画がバカというわけではありません。ちなみに過去の大賞受賞作品は

2004年 『CASSHERN』
2005年 『魁!! クロマティ高校 THE MOVIE』
2006年 『ドラえもん のび太の恐竜2006』

・・・・
本当にバカですね・・・・ ま、『のび太の恐竜』はマジでいい映画だと思いますが。

では参りましょうか。まずは毎年恒例の「えこひいき賞」から。明らかにダメダメなんだけど、愛情のために目が曇って冷静な評価ができない、そんな作品に与えられます。

20071020124833 ・ゴーストライダー
 ・仮面ライダー電王 俺、誕生!
 ・キャプテン

平成ライダー、これで4年連続の受賞です!! おめでとう! 本当におめでとう!
しかも今年は日米ライダー夢の揃い踏みです!!

・・・『電王』はテレビの方は最近だいぶいい感じなんですけどね。


それではいよいよランキングの発表です。

18位 ファンタスティック・フォー 銀河の危機
今年色んなところで「物足りない」と言われた映画。でもいい! 俺が誉める!(その割にはこの順位(^^;))

17位 ペルセポリス
イラン版ちびまるこちゃん。来年早々にレビューいたします。

16位 バッテリー
名作小説の映画化。捕れないボールがあるものか!

2007082117411115位 ハッピー・フィート
後半暴走気味でしたが、冒頭の15分だけで全てが許せます(笑)

14位 ボーン・アルティメイタム
 「前二作と同じレベルを保つ」という偉業をなしとげた(さすがに大げさか)三作目。今年はマットの映画3本も見ちゃったよ・・・・

13位 パンズ・ラビリンス
リンク先やミクシィなど、色んなところで薦められまくった映画。電車で一時間二十分かけて観にいきましたが、それに見合う価値のある作品でした。のちにもっとぐっと近いところで上映始めたのには泣いたけど。♪るるるるるるるー(ToT)

2007032317382712位 ラストキング・オブ・スコットランド 通称『キン・スコ』。ここ十年で一番痛かった映画((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル。こないだ某ホラーファンにそう話たら「あの程度で!?」と言われてしまいましたが。「泥棒はいけない」「人妻には手を出さない」心に固く誓いました

11位 世界最速のインディアン 「俺もだいぶ丸くなったよ」とか言ってるそこの暴走族のキミ! なにをふにゃけたことを言ってる!
マンローさんを見なさい! ジジイになっても走り続けるんだ!

10位 仮面ライダー THE NEXT
これは本来こんなところにいてはいけない映画なんですが、前作『THE FIRST』に比べるといくらかの進歩が見られたので、「特別えこひいき賞」ということで

9位 鉄コン筋クリート
「こちら~ ちきうぼししろたいい~ん きょうも~ げんきに~ してました~ おっぱいぼい~ん」
蒼井優ちゃんってこんな演技もできるのね・・・ 感動した(笑)

8位 パフューム ある人殺しの物語
『キン・スコ』と並ぶ今年のインパクト賞。音楽も映像もとっても優美なのに、やってることはバカ話で素敵。特にダスティン・ホフマンの臨終シーンには笑いが止まりませんでした。「香水」に関しするウンチクも楽しゅうございました。
200705141714127位 スパイダーマン3
今年一番楽しみにしていた映画。収まりの悪いところもあるけれど、それがどうしたっちゅーねん!と言わんばかりの超絶アクション。
アメコミ映画もいっぱい公開されましたけど、やっぱりクモさんは格が違いますねー。

6位 レミーのおいしいレストラン
最初は「なぜブラッド・バードともあろうものがネズミものを・・・」と思ってましたが、開始5分でそんなわだかまりはどこかへすっ飛んでしまいました。バードさん・・・ あんたやっぱりスゲエよ! 一生付いていくよ! そんな決意を新たにさせられた一本。

5位 キサラギ
『パンズラ』のオマケで観にいったのに、『パンズラ』よりもどツボにはまってしまった困った映画。スクリーンでやる意味など全くない題材なんですけど、この面白さの前には「そんなの関係ねえ!!」です。

200712211937064位 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 

数々の伝説を作り出したあの問題作の帰還。
よくも悪くも、このアニメはすでに自分の一部となってしまってるんだなあ、ということを深く痛感させられました。願わくば庵野監督がまたぶっ壊れませんように。


200701221846183位 硫黄島からの手紙

本来なら昨年の映画として数えられるべきなのかもしれませんが、わたしが観たの今年に入ってからなんで。
今年一番ひろく人に薦められる作品を選ぶとしたら、やっぱりこれになるでしょうか。日本人としては『父親たちの星条旗』よりも断然肩に力が入ってしまうわけですが、姉妹編も併せて見ると一層深みが増します。
加瀬亮の「犬は悪くないのに・・・」に涙腺大決壊。『河童のクゥ』といい『アイ・アム・レジェンド』といい、今年はよく犬に泣かせられた年でした。

200708251143422位 河童のクゥと夏休み

もうね・・・ なにもかもが上手すぎる
普通こんだけ「うまい」とかえってイヤミになったりするものだけど、原監督のあふれんばかりの愛情ゆえか、それすらも感じさせません。
巨人の原監督も、ぜひがんばってください。

そして! 栄光の第一位は!


2007062917313020070629173146メル・ギブソン監督

『アポカリプト』

です!
名優が21世紀に蘇らせた、古代マヤ版『風雲! たけし城!』
最後まで・・・希望を捨てちゃいかん。諦めたらそこで人生終了だよ?

えー、なんでこの映画なのかと申しますと、後半の追いつ追われつのサバイバルバトルのあたりで、本当に主人公と自分が一体化してしまったかのような錯覚を覚えたのですね。それほどなシンクロシニティを味わえた作品は、今年はほかになかったので。強いて言うなら『キン・スコ』のあのシーンで乳首がビリビリとしびれたくらい。

20060719140650今年度もこんなバカに付き合ってくださり、まことにありがとうございました。たぶんこのブログまだ続くと思うので、来年度もどうぞお見捨てなきよう。

アディオ~ス

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December 29, 2007

決定! 2007バカデミー賞! 幕下編

こんばんは! おスガです! なにこの記事タイトル! もう本当にバカ!

・・・というわけで2007年に鑑賞した映画を二回にわけてザザーッと振り返ります。本当は昨日やる予定でしたが、突発的に飲みのお誘いがあったため一日ずれこみました。すいません。
今年わたくしが劇場で観た作品は全部で51本。・・・・おかしい。おかしいよ。なんで自粛するはずだったのに去年より増えてるんだよ!! きっと映画ブロガーのみなさんとの交流(というかこちらからの一方的な押しかけ)が増えたからでしょうね。
・・・・どうしてくれるんですか!!(知ったこっちゃねーよ、つー話だよな)

では参りましょう。順序よくお尻の方から。ワースト5の発表です。

20070206213543 5位 ザ・シューター 極大射程
 4位 シュレック3 
 3位 墨攻
 2位 ディパーテッド

あはは・・・ 身の程知らずにもオスカーにケンカ売ってるよ(笑)
5位・4位はあんまし監督の「やる気」が感じられませんでした。3位・2位は観ている間はまあまあ楽しんだんですけど、上映直後にものすごい虚無感が押し寄せてきまして。「なんでお金払ってこんな気持ちにならなきゃいけないんだろう」と落涙しながらお家に帰りました。
そして栄えある第一位は

20070611121407 松本人志 『大日本人』
です。
松本氏のお笑い、特に作りこんだコントは、かなり人を選ぶものだと思います。そして自分は今回、思いっきり選ばれない側の人間でした(笑)。
邦画を観ているのに、まるで字幕無しの外国映画を観ているような感覚。
ただ、その妙ちきりんなヴィジュアルは鑑賞後6ヶ月たった今でも鮮明に覚えています。そのインパクトに敬意を表して堂々の第一位!
おめでとう!


さて、次は「どっちかっていうと良かった」映画を順不同で7本

20070211192035 ・どろろ
 ・ゾディアック
 ・ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
 ・スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ
 ・グッド・シェパード
 ・ベオウルフ
 ・サーフズ・アップ!

限りなく「可も不可もなし」という表現に近い作品。どれもいまひとつ決めてにかけるというか。
それでも『ゾディアック』の不気味な語り口、『ジャンゴ』の色物ぞろいのキャスト、『ベオウルフ』のアンジー&キングギドラなどはそれなりに心に残りました。


続きまして「普通に良かった」作品を4本
20071019131348 ・東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
 ・ロッキー・ザ・ファイナル
 ・バベル
 ・スターダスト

『東京タワー』と『ロッキー』はそのまっすぐなところが観ていて「心地いいね!」という作品。
『バベル』は実は観終わった直後はワースト決定でした。が、いろんなブロガーのみなさんの記事を読んで「ふんふん、こういう見方もあるんだなあ」と大変勉強になったので、感謝の意味を込めて格上げ。
『スターダスト』はベテラン俳優のプライドをかなぐり捨てて、はっちゃけまくっていたデ・ニーロに敬意を表して。


さらに続きまして、「なかなか良かった」作品を8本
20070615183103 ・ナイトミュージアム
 ・ブラッド・ダイヤモンド
 ・パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド
 ・300 ザ・スリー・ハンドレット
 ・プレステージ
 ・トランスフォーマー
 ・ALWAYS 続三丁目の夕日
 ・アイ・アム・レジェンド

すごい期待してて、まあまあ期待に応えてくれた、そんな作品群。特に『トランスフォーマー』と『300』はそんな感じでした。ただ、「期待以上」ではなかったような。
なんとなくメジャーどころの作品が並んでしまいました。映画ファンというより、娯楽を求めている人たちに薦めるならこのあたりでしょうかね。


最後に「けっこう良かった」作品を6本
20071120173132 ・エラゴン 遺志を継ぐ者
 ・パプリカ
 ・デジャヴ
 ・ダイ・ハード 4.0
 ・キングダム 見えざる敵
 ・バイオ・ハザード3

こちらは逆に前評判がよくなかったり新鮮味が感じられなかったりで、ほとんど期待してなかったら、意外にも「やるじゃないか! キミ!」という作品群。
特に『エラゴン』の尻尾の使い方や、『デジャヴ』の「4日前を追いかける」というアイデアは高く評価してあげたいです。また『キングダム』には「最後の一言賞」を進呈いたしましょう。


これより上の残る21本の作品は、順位をキチンとつけて「幕内編」にて解説いたします。


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December 26, 2007

第4回SGA屋漫画文化賞

SGA屋漫画文化賞とは? 年に一度わたしの脳内で行なわれる漫画賞のことです。対象範囲はわたしが今年読んだマンガすべて。一応旬のものを選ぼうとは思っていますけど。

そんなんですから当然賞金も賞品もありません。ってゆーか、誰かよこせ。オラ(年々横柄になっていくな・・・)
ちなみに今までの結果は以下の通り
第1回 第2回 第3回

では参ります。

☆少年漫画部門 ひぐちアサ 『おおきく振りかぶって』 (9巻まで・講談社) 

20070808184115少女漫画の要素(巧みな心理描写、叙情的なモノローグなど)もあるし、なにより『アフタヌーン』は少年誌ではないけれど、この漫画の根底に流れているものはまぎれもなく「少年漫画」のそれであると思います。
「友情・努力・勝利」そのどれもが大事な柱となっているのにも関らず、ここまで「ジャンプ」系と違う世界を作り出しているところが興味深い。
第一回のレビューはコチラ


☆少女漫画部門 吉田秋生 『ラヴァーズ・キス』 (全一巻・講談社)

20071226185648ああああああ! 身悶えするほどに恥ずかしいタイトルだ!
これまでなんとなく避けていたまっとうな男女の恋愛を、(たぶん)初めて吉田先生が正面から描いてみた作品。
しかしそこはなんと言っても吉田秋生。ほぼ同じ期間の出来事を、視点を変えて3回語るという多重構造が試みられています。

もう文庫版でさえだいぶ前に出た本ですが、わたし今年になって初めて読んだもので。ブックオフで350円。今回一番元手がかかってません。


☆青年漫画部門 『GANTZ』 奥浩哉 (22巻まで 集英社)

20071226185747そういえば去年のいまごろは電話帳のように分厚い『GANTZ』の総集編を「いや~ん! なにこの漫画! 超キモ~い!!」とか言いながら、夢中になって読んでいたものでした。
一風変ったサイバーパンク・アクション。悪魔的な残酷趣味やユーモアセンスは、全盛期の筒井康隆と通ずるものがあります。


☆ギャグマンガ部門:安達哲 『バカ姉弟』 (5巻まで 講談社)

20071226185842今年もっとも癒された漫画。
老人の原宿と呼ばれる巣鴨を舞台に、町全体からいつくしまれている不機嫌な顔の姉弟の日常を描く。
この姉弟、生態がかなり野良猫に似ていて、「モン吉賞」に入れようかとも考えていました。
完結したものと思われていましたが、作者から「忘れたころにまた描く」なるコメントがあったそうです。


☆ノンフィクション部門:西原理恵子 『毎日かあさん 4 出戻り編』 (毎日新聞社)

20070527194213「家庭円満漫画を描こうと思ったら連載中に離婚してしまいました(笑)」 これは一巻の帯に書かれていた作者からのコメント。
しかし真に壮絶なドラマは、そのあとに待っていたのです。
「暖かな家庭というものにヘドが出る」 かつてそう言っていた彼女が、「わたしに子供をありがとう」と書いているページは、何度読んでも鼻水大噴出。
女王様とその子供たちに幸アレ。
その辺のレビューはコチラ


☆モン吉賞(ネコ漫画部門):はるき悦巳 『帰ってきたどらン猫』 (全一巻 双葉社)

20071226185900『じゃりン子チエ』のスピンオフで、オールタイム・ベストの一本(というか二本)である『どらン猫小鉄』と『どらン猫小鉄奮闘記』。
その続編が発行されていたことを知ったのは今年のことでしたが、すでに在庫切れで悔しい思いをしておりました。
しかしめでたいことについ最近文庫版となって再発売。双葉社さん、どうもありがとう。
さらなる続編である『帰ってきたどらン猫2』も刊行されています。


☆翻訳部門:ジェームス・ジャービス ラッセル・ウォーターマン 『ヴォーティガンズ・マシーン ラスティとウィッグズのマジカル・アドベンチャー』 (全一巻 青山出版社)

20071226185921本当ならフランク・ミラー入魂の『300』原作本を挙げなければいけないのですが。すいません、ミラー先生、このコミック、あまりにもツボだったんです。
「犬は本当にアホなのか」 愛犬家が聞いたら激怒しそうなこの命題を解くべく、二人のチョイ悪ボーイズ・ラスティとウィッグズは幻想の世界へと旅に出る。
キュートな絵柄とおバカなセリフ、そして何が出てくるかわからないストーリーに、ウヒウヒ言いながら楽しみました。
それはいいんだけど、今年はとうとう普通のヒーローコミックが一冊も翻訳されなかったなあ・・・ とほほ


☆アニメ部門:今石洋之 『天元突破グレンラガン』

20071028211202「なんでここで終るんじゃあ! さっさと続きをみせんかーい!!」
そう思えるアニメ(ドラマ)というのは、年に1,2本もあればいい方です。んで、今年はこれでした。
地下の穴倉から始まった物語が大宇宙への果てへと広がっていく爽快感。レビューはコチラ
今年はほかに『コードギアス 反逆のルルーシュ』や『DARKER THAN BLACK ~黒の契約者』などが印象に残りました。


☆大賞:内藤泰弘 『トライガン・マキシマム』 (13巻まで 秋田書店)

20071226185944掲載誌の廃刊という荒波を乗越え、ほぼ十年の歳月を費やして大河叙事詩を十二分に描ききった業績を讃えて。
この作品についてはブログ開始当初レビューしたことがありましたが、無事完結を迎えられて本当に良かったです。内藤先生お疲れさま・・・・と言いたいところですけど、まだあなたには最終巻を仕上げてもらわないと困りますねえ。


最近漫画の単品レビューをさぼっているため、ほとんど未紹介の作品ばかりが並んでしまいました。年があけたらまたぼつぼつと取り組んで行きたいと思います。
次(あさって)は、いよいよ映画ベストを選考いたします。


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December 23, 2007

波乗りコディー アッシュ・ブラノン&クリス・バック 『サーフズ・アップ!』

20071223211644みなさんはサーフィンはお好きですか? こう見えてもわたし、昔は「伊豆の青きウェイブライダー」なんて呼ばれたことが・・・ありません。すいません。正直ネットの波ですらよく溺れます。
でも台風が迫っている荒れた海でチャプチャプはしゃいでる波乗り野郎たち(死ぬぞ!)を見ていると、はまってしまった人たちにとっては、「命の危険を冒してでも抗しがたい」そんな魅力があるんだろうなと思います。

で、今回はペンギンがなんとサーフィンに挑む奇天烈CGアニメ『サーフズ・アップ!』の紹介です。
主人公は南極に住むしがないイワトビペンギンのコディ。彼は幼き日伝説的サーファー「ビッグ・ジー」と出会ったことにより、いつか自分もサーファーとして名を馳せることを夢見ていた。そんな折南の島「ペンギン・アイランド」でサーフィン大会が開催されることを知ったコディは、スタッフに懇願して、その大会に出場させてもらうことになる。だが島に着くやコディは前チャンプ・タンクの挑発に乗せられ、見事に大敗。すっかり自信を失ってしまう。そんな時、彼は「ギーク」という謎めいた男に出会うのだが・・・・

最初に疑問に思うのは、やはり「なぜペンギンがサーフィンを!?」というところですね。ペンギンは極地に住むもの。サーフィンは温暖な地方でやるもの。つまりこれは「極地にも温暖化の影響が押し寄せている」ことを警告しているに違いありません。この未曾有の危機に我々はどうしたら良いのか? その答えは「戦いをやめ、友情を築きあうこと」・・・・ えーとね、たぶん違います(笑)
実際は
(バーにて)
プロデューサー 「ねえアッちゃん、なんかいい企画ない?」
監督 「そっすねー。ペンギンがサーフィンやる話なんかどうです?」
プロ 「ええ!? なんで!?」
監督 「いやー。なんかパッと思いついちゃって」
 
(数日後)
プロ 「ああ、アッちゃん、例のペンギンの話ね」
監督 「やだなあ。アレ冗談ですよ」
プロ 「企画通ったから」
監督 「マジ!?」

こんなとこじゃないかと。
こうした経緯はともかく(ってこれ妄想だろ)、大事なのはエンターテイメントとしてどうかということです。
まずコディとギーク、そしてコディの友達のチキン・ジョー。こいつらが微妙に可愛くない。けれどもそれはそれで味があるというか、ひょうきんなコメディアンのような趣があります。あと「可愛さ」はときどき出てくる三人の子ペンギンが補ってくれています。
ギャグの方はブラック風味だけどイヤミでない程度。毒があるのにキレがある、って感じ。「南極ではお父さんが食べられるのはよくあること」とかね。これって「ピーターラビット」からの伝統なんでしょうか。
で、何より感心したのは幻想的な「波」のビジュアルの数々。特に波がうねってチューブ状になったところを通り抜けていくシーンには、運動からきしのわたしにすら、「サーフィンっていいかもしれない」と思わせるものがありました。

えー、ただ全体的にこぢんまりした印象が強く、ペンギンに興味のない人には多少物足りなく感じられるやも。ぺンギン好きなわたしでさえ、サービスデーで『アイ・アム・レジェンド』の直後でなければスルーしたやもしれません。
跡鑑賞しながら少し不思議な感覚に襲われたんですね。見るのは初めてなのに、なんか前にも見たことあるような。いわゆるデジャヴってやつです。
勝利より友情を大切に・・・・ すっとぼけた主人公の友人・・・・ ジェットコースターのようなヒロインとの並走・・・・説教好きなオヤジの正体は実は・・・・  あれ? これもしかして『カ○ズ』!?

ごほんごほん。まあ気づかなかったことにしといてあげます。

20071223211742今年はあとイランを舞台にしたアニメーション『ペルセポリス』を観る予定ですが、レビューはこれが最後になりそう。
そんで、いよいよ2007年の漫画・映画のベストを決めてみたいと思います(自分の中だけで)。

なんかこう・・・ 非常に盛り上がってきた、って感じだな!(自分の中だけで)。

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December 21, 2007

第9回くらい黒白ネタ合戦

「ネタ」というほどのモンでもないんですけど

そのいち ちょっとフライング

2007122119304920071221193107 ・

 ・

 ・

 ・


そのに 気づくのが遅すぎた

200712211931322007122119314520071221193158 ・

 ・

 ・

 ・


そのさん イノセンス

2007122119321420071221193231コチラ

 参
 照
 の
 こ
 と


そのよん 新世紀エパンダニャオン ふたたび

200712211936322007122119370620071221193722 ・

 ・

 ・

 ・


そのご ジ・エンド・オブ・エパンダニャオン

200712211937412007122119375420071221193827 
 
 ・
 
 ・

 ・

 ・


そのろく 著作権法

200712211938422007122119385420071221193905 次

 回

 未

 定

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December 19, 2007

うつし世は夢野久作③ 『少女地獄』

200712191825562007年最後に紹介する小説のタイトルが『少女地獄』ってなんかアレだなあ。ま、いいや。
夢野久作シリーズレビュー第三弾はこの作品を。現在角川文庫版が手に入りやすい模様。ちなみに先日放送されていたアニメ(ドラマ)『地獄少女』とはなんの関わりもありません。たぶん。

先に紹介した教養文庫版『爆弾太平記』の紹介によるとこうあります。
「三人の少女の地獄の道行きを描く」 まんまやん!
夢野久作がこんなタイトルで描いた話ならば、純真な乙女が悪魔のような男の毒牙にかかり、「やめて! 許して!」と叫ぶお話を想像するかもしれません。が、残念ながら直接的なエロ描写は皆無です。

肝心の内容はと申しますと、『何んでも無い』『殺人リレー』『火星の女』という三つのエピソードからなる連作となっております。順を追って紹介しましょう。

☆『何んでも無い』
都内の耳鼻科、臼杵医院にふらりと現われた看護婦(って言っていいよね? 昭和初期の話だし)姫草ユリ子。明るく世話好きで手際がよく、おまけに美人な彼女は、正式に雇われるやいなや、たちまち患者たちの人気者に。臼杵医院の株を上げる。だが院長は次第に彼女の身の上話に矛盾を感じはじめる・・・・

人間は出来心やはずみでついウソをついてしまう生き物です。これは「ウソをつかずにはいられない」性癖をもったある女のお話。奇妙なDNAがもたらした現象なのかは知りませんが、ユリ子にとってはウソをつくことは息をするのとほぼ同じことなのです。
すごいのは本来なら蔑まれるべきこのキャラを、すこぶる魅力的に描いている夢野先生の筆致。騙されていたと判明したあとでも、彼女を憎まず、むしろいとおしく思う語り手。それはあたかも読者の気持ちを代弁しているかのようです。
角川版解説にもあるように、さらにウラがあるようにも解釈できる構造も秀逸。なげやりなタイトルとは裏腹に、三篇で最もよく出来た話だと思います。

☆『殺人リレー』

東京のバス会社で女車掌(時代だなあ)を務める友成トミ子は、親友月川ツヤ子をある事故で亡くす。ツヤ子が生前送ってきた手紙から、トミ子は「彼女は婚約者新高の手により殺害されたのだ」という確信を得る。
驚くべきことにその男・新高は、トミ子の会社に就職してくる。親友の仇と彼を憎んでいたトミ子だが、次第に新高に魅力を感じはじめ・・・・

これはとある青髭に魅かれてしまった女のお話。時として女のシトの目に、フグの肝がごとき危険な男というのは、限りなく魅力的に思えるようですね(そして『いいひと』だけの男は大概ソデにされる)。そんで「わたしの愛で、このひとを変えてみせるわ!」と無茶な思い込みに走ったりするわけですが、その結果やいかに。
三篇中ボリューム的にも質的にも最もあっさりした話。

☆『火星の女』
あるミッション系の女学校で火事が起きた。そしてその焼け跡から一人の少女の全焼死体が発見される。この事件の後校長は謎めいた言葉を残して失踪。はたして少女は殺されたのか? それとも自ら命を絶ったのか? そして校長はそれにどのように関っていたのか・・・・

題名を見て「夢野先生もベタなSFを描くのだなあ」と思ったらさにあらず。火星も宇宙も出てきません。この「火星の女」というのはヒロインのあだ名。長身でスポーツがよくできた彼女はいつしか人間ばなれしているということで、こんな風に呼ばれることに。なんじゃそりゃ。
罪のない女の子がただひたすら不幸の落とし穴に落ちていくという、普通に考えるとすごいかわいそうな話なんですけど、「ミス黒焦げ」とか「火星の女はどこですか!」なんて言葉に、つい「プ」と噴出してしまうことが度々ありました。


わたくし最後まで読み終えたら三つの話の意外なつながりがわかるのかと思っていました。でもそんなつながりはまったくありませんでした。この三本、なぜ抱き合せになってるのかさっぱりわからないほどにバラバラです。
まあ幾つか共通項を持つ作品ということで、夢野先生がひとまとめにしてしまったのでしょう。
その共通項とは、彼女らがいたいけな「少女」であるということ。「何んでもない」「殺人リレー」のヒロインはぶっちゃけ少女でも処女でもないんですけど、精神的にはかなり乙女であります。思い込みが強かったり感情のふり幅が激しかったり・・・
そんな少女特有の感情が、やがて彼女らを強い強迫観念へと押しやっていきます。この辺が「地獄」ということなんでしょうね。
共通項といえば三篇とも書簡の形式で記されている点もそう。書簡というのは本来書き手と受けてしか内容がわからないものです。ゆえにこうした形式はなんだか人の秘密を盗みみているような、そんなイケナイ気分を呼び起こしてくれます。

この『少女地獄』、実は日活ロマンポルノで映画化されております。もちろんまともな映画化ではなく、『火星の女』をベースにしてぶっとんだセンスとエロ描写を盛り込んだ問題作だそうです。また『殺人リレー』も『ユメノ銀河』というタイトルで石井聰互監督の手によって映画化されています。

20071219182630書簡形式の短編というと夢野先生には『瓶詰の地獄』(『~地獄』っていう題好きよねえ、このひと)という大傑作があるのですけど、疲れてきたのでこの作品についてはまた別の機会に。

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December 17, 2007

昼歩く フランシス・ローレンス 『アイ・アム・レジェンド』

20071217174907♪伝説の男~ 伝説の男~

と言っても、もちろんガッツ石松の話ではなく
リチャード・マシスンが50年代に書いたSF小説『地球最後の男』、三度目の映画化です。
この映画、できれば予備知識無しで見たほうがいいかもしれません。主演のウィル・スミスは、来日プロモーションの際堂々と結末をばらしてくれたそうですが。そこまではしませんけど、「多少バレてもいいよん」という方のみ、以下へおすすみ下さい。

西暦200X年、人類は異常ウィルスの炎に包まれた・・・
だが人類はまだ、辛うじて滅びてはいなかった
「 世 紀 初 救 世 主 伝 説 」

あれ? 前にもこんな文章書いたような・・・ ま、いいや。
ガン細胞の特効薬と思われたある薬物。しかしその副作用により、人類はほぼ絶滅。見渡す限りの無人地帯と化したNYで、ロバート・ネビルは生き残りの捜索と、ウィルス対処に励む。だが誰も話す相手がいない孤独は、次第に容赦なく彼をむしばんでいく。そして彼が戦わねばならない相手はまだほかにもいた・・・

エイリアン(数種類)、ギャング、マッド・サイエンティスト、国家権力、ジョージ・フォアマン、リストラ・・・・
ウィル・スミスもこれまで色々なものと戦ってきましたが、今回は三種類もの難敵と対することになります。
まずウィルスによる汚染。ウィルスを管理しようとした試みが、結果的に大惨事をひきおこすことに。主人公はなんとかしてそのウィルスを無効化すべく研究を続けます。つまりウィル・スミスが、ウィルス・ミスと戦うわけです! どうだ! 文句あるか! ・・・・失礼しました。暴言平にお許しください。

二つ目はそのウィルスにより怪物化した人類。ダーク・シーカーと呼ばれる彼らは紫外線に極端に弱いため、夜しか野外に出られません。この映画もいわゆるゾンビ映画の一種なんでしょうけど、そういう事情で安全地帯がやけに多いため、その手の映画にしてはちょっとまったりした雰囲気が漂っています。
ただ、時々どうしても危険地帯に足を踏み入れなきゃならない事態も当然生じます。さらにこのダーク・シーカー、通常のゾンビよりも幾らか頭がよく、主人公のウラをかくこともしばしば。ですから怖い映画がダメなひとはやっぱり避けたほうが賢明でしょう。

三つ目。これが一番手ごわいかもしれません。その相手とは「孤独」。
ウサギは寂しいと死んじゃうらしいですが(実はウソらしいですが)、「寂しさ」に弱いのは人間だって負けちゃいません。ロバートには一応愛犬がいます。でもどうやっても犬と会話するのは無理な話。
ロバートは孤独を紛らわそうとあれこれ工夫するんですが、これが傍から見てるととっても痛々しい。架空の友人を作ってそれに話しかけたりとか。そんな描写はトム・ハンクスの『キャスト・アウェイ』などを思い出させます。
ただ気づいたんですが、戸外の描写はともかく、屋内で悶々としているロバートの姿は、もしかするとその辺の寂しい独身男性のそれと大差ないかもしれません。一人ごとを頻繁に言いいながらトレーニングしたり家事をこなしたり・・・・ こんな人、すごく身近に知っているような気がするんだが・・・・ ま、いいや。

この映画、そんなに込み入ったテーマはないと思います。強く感じさせられたのは「人はどうしようもなく絶望的な状況でも、どうしても希望を求めてしまう」ということ。
あと、もしロバートのような境遇に自分が陥ってしまったら・・・・と考えると、なかなか深いものがあります。感情を伝える相手も喜びをわかちあう相手も誰ひとりいない世界で、自分だけ無限の時間を生きていく・・・・ そんな生に、果たして何の意味があるのでしょう。まるで巨大な牢獄に閉じ込められている、そんな境遇と似たものを感じます。

20071217174927果たして人類最後の男の、悲願はかなえられるのでしょうか。お正月から暗い気分になるのがイヤな方は、今のうちにどうぞご覧ください。

おしまいに有名な小話をひとつ。人類最後の男が部屋でくつろいでいた。するとドアからノックの音が・・・・
オチのわかった方から抽選でチロルチョコ一個プレゼント。年末ですから大盤振る舞いです♪

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December 14, 2007

コント山本くんと武田くん⑰ 結末予想編  ~大河ドラマ『風林火山』より

武田 「武田信玄です。みなさん、一年のご愛顧、まことにありがとうございました。カンスケのヤツも・・・ カンスケのヤツも・・・ きっと草葉の陰で喜んでくれていると思います! ううっ・・・」
山本 「ちょっと待って! まだ死んでない! みなさん、ご安心ください! 山本勘助は永久に不滅でごいす!」
武田 「・・・まったくしぶといやっちゃのう。まっことゴキブリなみじゃ」
山本 「大きなお世話でごいす!」
武田 「まあよい。最終回直前のクライマックスに至る流れを、みなさんに説明せい」
山本 「は。互いに雌雄を決すべく、川中島にて相対した武田・上杉両軍。しかし上杉軍は妻女山に陣を敷いたまま、山のように動かない。そこでそれがし山本勘助が敵軍を誘い出し、上手に挟み撃ちにしようと計画を練るわけでごいすが・・・・」
武田 「たしかキツツキ作戦だっけ。こんな話、なんか去年の正月にも見たような気がするなあ」
山本 「かっちゃーん! 今度再放送するそうでごいす。あっちは『サンドイッチ作戦』とか言ってたでごいすけどね」
武田 「どっちにしても作戦名に覇気っつーもんが感じられないんだよなあ。実際やってみたらウラをかかれて大失敗だったわけだし」
山本 「お言葉でごいすが殿! それがしとて人の子、たまには失敗することだってあるでごいす!」
武田 「いや、おまえの場合成功したことよりアテが外れたことのほうが多かったような・・・ 献策が見事に的中して大勝利、なんてこと今までどれほどあったっけ?」
山本 「失敬な! そのような例いくらでも・・・・ いくらでも・・・・・ アレ?」
武田 「なんでお前なんか軍師にしちゃったんだろうなあ。不思議だなあ」
山本 「不思議でごいすねえ。きっとヤマカンで決めちゃったんでしょう。ところで『川中島の戦い』に関しては皆様に謝らねばならないことがあるのでごいす」
武田 「何よ?」
山本 「実は第14回において。『山本勘助、第五次川中島の戦いにおいて戦死』と書いちゃったんですが、本当は『第四次』でごいした。謹んで訂正とともにお詫びさせていただくでごいす」
武田 「おいおい、しっかりしてくれよー」
山本 「殿が言ったんじゃないですか! ・・・しかし殿、それがしやっぱり死んじゃうんでごいすかねえ」
武田 「ま、歴史がそうなってるし、原作もそうなってるしな。それに最近『最後に死んじゃう』っていう話、流行りみたいだし」
山本 「♪ひーとみーをとじーてー きーみーをーおもーうよー」
武田 「♪そーれーだけーでーいーいいー」
山本 「助けてください! 助けてください!」
武田 「察してくれ、カンスケ! ワシとて辛いのじゃ! これは『最近』じゃないだろ、という気はするが・・・」
山本 「殿・・・・」
武田 「そこで場を明るくすべく、ひとつ企画を考えてきたぞ。『第一回! チキチキ! カンスケ君の死に様をみんなで予想してみよう!大会』~ どんどんどんぱふぱふぱふ」
山本 「こっ このアンパンマン・・・・ 他人事だと思いやがって・・・」
武田 「まずは上杉ガッ君と真っ向から一騎打ち。互いにフルラウンド打ち合った末、よろめくようにコーナーへ。『燃えた・・・ 燃えたよ・・・・ 真っ白にな・・・』」
山本 「それじゃ『あ○たのジョー』じゃないですか!」
武田 「じゃあ若い兵隊をかばってやるものの、そいつが後ろから鉄砲でズドーン。おなかに手をあてて『なんじゃあ、こりゃあ!』みたいな」
山本 「それは松田○作のジーパン刑事でごいす」
武田 「えーと、それじゃあわしをかばって全身に矢を受ける。当に命は枯れ果てて、されど倒れぬオトコ立ち・・・」
山本 「それは一昨年松平健がやりました」
武田 「・・・まあ順当に考えるなら傷ついて弱ったところへ平蔵のヤツが現われて、おいしいところをもらっていくんだろうな」
山本 「うわさに名高い『鬼の平蔵』に斬られるなら、それがしも少しは溜飲が下がるでごいす」
武田 「バカ! なんでこの時代に鬼平が出てくんだよ! 木更津のマスターで『ちりとてちん』に横恋慕してたアイツだよ!」
山本 「はて・・・ そのような男いたでしょうか・・・ 寄る年波のせいかさっぱり思い出せませぬ」
武田 「ダメだ、こりゃ。『どんどん忘れちゃう話』も最近の流行ではあるけどな」
山本 「それでごいす! 殿! 激戦の最中、忽然と姿を消すカンスケ。以降誰も姿を見ることなく、いつしか『戦死した』ということになってしまう。しかしある雪の降る夜、ヒロイン(チェ・ジウ)は街で突然その男を目にする・・・」
武田 「あなたは・・・ カンさまなの?」
山本 「パンニハム、ハサムニダ!」
20071214191834
武田 「・・・・・『風林火山』、いよいよ明後日最終回です。皆様どうぞお見逃しなきよう」
山本 「死んでも命がありますように・・・・」

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December 12, 2007

狼男じゃないよ ロバート・ゼメキス 『ベオウルフ』

20071212182055いやあ、年末ですねえ。
みなさんは「年末」に必要なものってなんだと思いますか? こたつ、ミカン、紅白歌合戦・・・・ いろいろありますけど、何より大事なのはやっぱり「怪獣映画」ですよね。
三年前東宝さんが怪獣映画をやめてしまった時には、「日本の年末はどうなってしまうのだろう・・・」と心配になったものですが、幸いにもハリウッドさんがなんとかその火を灯し続けてくれています。05年は『ハリポ4』、06年は『エラゴン』。そして今年はこの『ベオウルフ』です。原作は「英語で書かれた最古の叙事詩」。それを『スターダスト』が記憶に新しい二ール・ゲイマンが、いろいろひねくって調理したものです。

舞台はたぶん西暦4,5世紀あたりのデンマーク。怪物グレンデルの来襲に頭を悩ませていた王・フロースガールは、怪物を退治してくれる英雄を諸国に広く募ることにした。すると荒海を越えて猛者の一団がやってきた。長の名はベオウルフ。かつて海の怪物をも葬り去ったことのある彼は、意気揚々とグレンデルの退治に臨む。しかし彼は知らなかった。フロースガールとグレンデルの間には、ある忌まわしいつながりがあることに。そしてやがて自分の身にも、同様の災いが降りかかることを・・・

「ベオウルフ」という語を初めて聞いたのは確か小説『銀河英雄伝説』。そういう名前の戦艦が、作中に登場するんですね。「人狼」と書いて「ベイオウルフ」と読む。恐らくこれがなまってRPGなどによく出てくる「ウェアウルフ」もしくは「ワーウルフ」となったのでしょう。だから狼男がガオーと暴れる話なのかと思っていたら、一応ホモ・サピエンスが主人公の映画でした。「人狼」ってのはあくまでイメージってことですかね。

んで、このベオウルフ、なんでかすぐ脱ぎたがる。異常なまでの暑がりなのか? それともただの見せたがりなのか? いずれにせよ生放送には決して呼んではいけないタイプの男です。

興味深いのは、ちょうど北欧にキリスト教が浸透してきた時代を扱っているということですね。恐らくキリスト教が広まることにより、神話に出てくるような英雄の時代は終わりを告げたのでしょう。「神話に出てくるような英雄」とは、手っ取り早く言うと「怪獣と取っ組み合うような英雄」のことです。この時代以降英雄の自慢話は「戦場で何人倒した」とか「頭の上のリンゴを射落とした」とか、ぐっと現実的なものが多くなってきます。

ベオウルフがアンジー演じる妖女から誘惑を受けるところも、恐らくキリストとの対比かと思われます。悪魔は「ただ一度だけひれ伏してくれれば、世界の王国全てを与えよう」とキリストを誘惑しますが、聖者はきっぱりとその申し出を退けます。
ところがベオウルフはこの誘惑に勝てない。これは「英雄といえども、人間である以上もろい部分があるはず」と考えたニール・ゲイマン独自のアレンジです。ベオウルフが屈したのはなんだったのか? 権力への耐え難い魅力か、あるいは目の前の美女に対する欲望か・・・・
いずれにせよ、彼は自分の犯した過ちの報いを身に受けることになります。この「過ちの結果」がなんともシビアなものでして。果たしてベオウルフに名誉挽回の機会は訪れるのでしょうか。

まあこんなややこしいこと考えずとも、単なるダーク・ファンタジー、あるいは怪獣映画としても楽しめます。予告の時は全然気がつきませんでしたが、実はこれモーション・キャプチャーなる手法を用いた一種のCGアニメなんだとか。さらに凝ったことに、劇場によっては3D効果も楽しめるそうです(わたしの観た劇場はそうじゃありませんでしたが)。ただゲイマンの趣味のせいか下ネタも多く、お子さん連れでいくとかなり気まずい思いをすることになるでしょう。

20071212182014年末には『エイリアンVSプレデター2』も公開予定。さらに日本公開は未定ながら『Cloverfield』なる大怪獣ものも用意されてます。
http://www.youtube.com/watch?v=IvNkGm8mxiM&feature=related

ちょっとちょっと! 日本も負けてらんないっすよ!

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December 11, 2007

適当掲示板57&いらっしゃいグーグルさん

うぃっす。SGA屋伍一っす。寒さも増してきた今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。
このヘボサイトも今月末で丸三年。非常に盛り上がってきました(自分の中だけで)。
ここ約100日間のアクセス数は13,065 (日平均: 129) 。訪問者数は 7,865 (日平均: 78)。相変わらずの零細企業ではございますが、そんでもあっしにとっては本当に十分すぎるほどの数字でございます。

そんな当店の一番のお客様は、ご存知検索システムgoogleさま。かつて「ゴーグル」と読んでいたことは内緒です。本日は三周年記念の第一回としまして、皆様がどんな言葉でこちらに飛んでこられるのか、ズバッと公開いたしましょう。(っていうか、こんな地味な記事のどこが記念なのやら・・・・)。集計データは2007年9月1日(土) ~ 2007年12月10日(月)の間のものです

まず単語(ワード)別に
200708211743591 SGA屋 141
2 福田己津央 139
3 山田風太郎 77
4 インカ展 67
5 映画 64
6 西原理恵子 63
7 谷口悟朗 62
8 感想 58
9 風雲児たち 55
10 ますらお 54

以下「平成ライダー」 「 神戸」 「 物語紹介所 」「 いけちゃんとぼく 」「 風林火山 」「 富樫倫太郎 」「インカ 」 イラスト」「 離婚 」「 画像」 と続きます。

続きまして組み合わせ(フレーズ)別に
200608011741521 SGA屋  141
2 福田己津央  114
3 谷口悟朗  59
4 平成ライダー  35
5 西原理恵子 離婚  33
6 インカ展 神戸  30
7 ますらお 北崎拓  29
7 SGA 物語紹介  29
9 富樫倫太郎  28
10 風雲児たち 27

以下は「オタク四天王」「谷口タカオ」「堺雅人」「福田己津央」「仮面らいだー」と続きます 。

一位は両方とも「SGA屋」 ・・・・ふっふっふ。ワタシの名前もようやく世間に浸透してきたようだな! と言いたいところですが、この語でくるアクセスのほとんどは、友人のZくんによるものかと思われます。仕事中のひまつぶしで。ありがたいけど仕事もしっかりやらな。あと上司に見つからんようになー。

二位の「福田己津央(ふくだみつお)」氏は、ご存知テレビアニメ『ガンダムSEED』二部作の監督さんです。『ガンダムSEED』についてはそれこそ膨大な数のブロガーさんが語っておられますが、監督の名前を表題に持ってこられた記事はあんまりなかったようで。もっともわたし、『SEED』に関しては二回しか記事にしてないんですけどね・・・
その記事はコチラコチラ

20070319175125ワード7位、フレーズ3位の「谷口悟朗」氏もアニメの監督です。こちらはそれなりに書いてるかなあ。検索で上位に来てる記事は
『ガン×ソード』
『コードギアス 反逆のルルーシュ』(入門編)など


20070527194213ワード上位の「西原理恵子」さんはこの単語だけだとなかなかウチと結びつきませんが、「西原理恵子 離婚」で検索すると一発でつながります。みんなそんなに人の不幸が好きかー!!
ちなみに出てくる記事はコチラ

「山田風太郎」も同様です。「橋本治」「NHK」で組み合わせるとつながります。
こちらはカテゴリ専門にしてありますんで、興味あるかたはどうぞご覧ください。

20070902203525あと最近のヒットとしては『インカ展』の記事ですかねー
「神戸」との組み合わせで来られる方が多いですけど、これ東京で見たものの記事です。すいません。内容はほとんど変わらないと思うのですが。

あと『ますらお』の記事については次回の掲示板「あの思い出の記事をもう一度」で語らせていただきます。
そんなの読んで誰が楽しいかって?

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オレだよおおお!!


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December 10, 2007

それでは西浦高校三回目の攻撃、ピッチャー・・・ ひぐちアサ 『おおきく振りかぶって』③ 武蔵野第一編

20071210112631難敵三星学園を退け、チームとしてまとまってきた西浦高校野球部。監督桃瀬はそんな彼らをある公式戦へ連れて行く。春季大会のベスト8を決める試合で、カードは浦和総合対武蔵野第一。そして武蔵野第一の「エース」榛名元希は、シニア時代阿部と組んでいた因縁の相手だった・・・

『おお振り』レビュー三回目。一回目はコチラ。二回目はコチラ
スポーツマンガでは大抵重要なライバルに、実力的にかけはなれた「雲の上の存在」と、主役と大体同格の相手の二つを配すされます。『スラムダンク』でいうと前者が海南大付属、後者が稜南。『キャプテン』でいうと前者が青葉学院で後者が江田川中。ストーリーが進むにつれ「同格」の存在も主役と同時進行でメキメキ力を着け、終盤には二チームとも「雲の上の存在」を凌駕するに至る、という展開がよく見られます。んで、たぶん『おお振り』における「同格のライバル」がたぶんこの「武蔵野第一」なんではなかろうかと。

「対三星戦」までは主人公三橋のトラウマが描かれましたが、この部分ではキャッチャー阿部の過去が語られます。阿部くんがなぜあそこまで自分の配球にこだわるのか。それはシニア時代組んでいた榛名から、自分の主張を徹底して無視された、という背景のゆえでした。
ここだけ読むと榛名に対して、「なんてヤナ野郎なんだーっ!!」と怒りがムラムラこみあげてきますが、その少し後に収められている番外編『基本のキホン!』を読むと、榛名にもそれなりの事情があったことがわかってきます。こちらは『おお振り』連載前に書かれた読みきり短編。時系列的にも『おお振り』第1話より前の話となっていますので、その辺を把握して読まないとけっこう混乱します。

んでこの『基本のキホン!』、主人公は榛名でも阿部でもなく、武蔵野第一の二番手だけど先発という不思議な位置づけにあるピッチャー、加具山くん(通称カグヤン)。そんでプレイの場面はほとんどなく、このカグヤンがえんえん愚痴り続けるというすごい内容だったりします。
加具山くんは中学時代から一度足りとて公式戦で勝てたことがありませんでした。ゆえに、いつしか「勝ち」を諦め、「自分は野球をできさえすりゃいいんだ」という気持ちになっていました。しかしケタ外れの実力を持ち、練習量も半端じゃない榛名の入部が、悟りの境地に達していたカグヤンの心をかき乱していきます。

我々は「一回戦負け」と聞くと「フッ」と冷めた笑みをつい浮かべてしまいますが、考えてみりゃ一回戦勝つことだって相当大変なことなんですよね・・・・ 劇中のセリフを借りるなら「初戦で半分が負ける」わけですから。ウチの一番近くの高校の子たちだって、大会直前は9時近くまで練習してるのにそれでも初戦敗退だったし・・・
自分は学生時代体育会系の連中ってあまり好きではなかったけど、言ってみれば彼らは社会に出る前からそんな風にして「現実の厳しさ」を教えられているのかもしれませんね。
冷めたカグヤンのハートに、再び火は着くのか? 続きは『おおきく振りかぶって』第3巻でご覧ください。

それでは二巻末あたりから三巻最後までのチェックポイントを

・合宿終了後の翌日、共に練習に向かう途中で。三橋から差し出された肉まんを、ちょいひきつりながらも「いいよ、お前全部食え」と言う栄口くん。育ち盛り、食べ盛りの年頃だというのに・・・・・ 大人だ。榛名のことを「最低だ」という阿部に「かつてのチームメイトのことをそんな風に言うなんて・・・」とたしなめているところにもそれがうかがえまる。母親を早くに亡くしているらしいので、きっと色々苦労してるんだろうなあ

・みんなで「リラックス」の練習をしている場面。女子の手を握っているというのに一人眠りこけている水谷。三星戦での落球のことも考えると、こいつ相当のウッカリ者だ。あるいはもう「手を握る」ことなんてどってことない、というレベルにまで達しているのか・・・・

・モモカンから×ゲームとして用意されたプロテインを見て、激しく動揺する巣山。「オレ、もうあのプロテインは飲まないと神様に誓ってしまったんです!」「いつもは冷静な巣山が・・・・」
いまんとこ出てる巻で巣山くんが目立っているのはここともう一箇所くらい。この「いつも冷静」というところで割を食っているのかもしれない(あとルックスでも・・・)
×ゲームを免れた時の喜びようが微笑ましい

・「ゲンミツってなんだっけ」「80球投げたらマウンドを降りるんだ」「絶対?」「絶対」
これにより田島は後々まで「ゲンミツ」を間違って使い続けることに・・・・

・観客席に陣取っている強豪校二チーム。前年度埼玉代表の桐青とはこのあと単行本4巻にわたる(・・・・)熱戦を繰り広げることになる。もう一個は双子のバッテリーが印象的な春日部市立。たぶんここともいずれあたるだろうけど、負けることはないと思う(ヤマカン)

・以前阿部がいくら要求しても、意味のない場面では投げなかった決め球を、阿部に見せるためだけにぷっぱなす榛名。・・・それなりに「悪かった」と思ってるということだろうか。あと「阿部に感謝する」といいことを言ってくれるメガネキャッチャー・秋丸。原型ではこいつが『おお振り』の主役だったんだとか。・・・・謎だ

・『基本のキホン!』には今のところ『おお振り』唯一のお色気シーンがある。演じるのは武蔵野第一の辣腕マネージャー涼音ちゃん。それにしてもなぜ榛名でもカグヤンでもなく下駄のようなツラの大河と付き合っているのか?
男は顔じゃないということか? しかしこいつの場合内面もちょっとアレだと思うが・・・

・「部室で大量のゴキブリみたり夏だっていうのに長袖長ズボンでなんかの拍子に噴水みたいに吐いたり・・・」
「(それでも)野球、やめたいですか?」 やめたいね、オレなら(笑)

20071210113730折りよく今月20日には最新第9巻が発売の予定。この4ヶ月は長かった・・・・
 

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December 07, 2007

ジェイソン最後の戦い ポール・グリーングラス 『ボーン・アルティメイタム』

仮面スラッシャー・ジェイソン・ボーンは改造人間である。悪の組織CIAの手先であった彼だが、ある事件をきっかけに洗脳から脱し、愛と正義の戦士として生まれ変わった。ある時は花の都パリでアバンチュールを満喫し、ある時は粉雪降るロシアでコサックダンスを堪能し、様々な戦いを潜り抜けてきたジェイソン。
だが、その世界を股にかけた「自分探しの旅」もいよいよオーラス。旅の終着駅はCIAの本拠地、アメリカはNYだ。マンハッタンの月が鮮血に染まる時、最後の惨劇の幕が斬って落とされる。果たして生き残るのはCIAか!? ジェイソンか!? はたまたフレディなのか!?

原作は前二作と同様、R・ラドラムの冒険小説。リンク先を観ていただければお分かりのように、このシリーズ、ブログ開始してまもなくの時レビューしたことがあります。いまあらためて見返して見ると、ほんっとーに大したこと書いてないですね。

お話は前作のラストシーン
20071207183643←・・・・から始まっていません。なぜか思いっきり遡っております。このシーンけっこう重要なんで、「前作見返すヒマない」という方はここだけでも思い出してください。

事件はひとまず解決したものの、「知りすぎた」ボーンをCIA上層部は“危険”と判断。新たなるプロジェクト「ブラック・ブライアー」の後顧の憂いを失くすためにも、ボーン抹殺に動き出します。
一方ボーンは「ブラック・ブライアー」に関る謎を追います。その最中、彼は自分が「兵器」として生まれ変わった忌まわしい記憶を思い出していくのですが・・・

相変わらず地味なアクションと世界旅行を続けながら、謎の核心へと迫っていくボーンくん。自分の過去と、陰謀の真相と。これまでもボールペンとかミネラルウォーターとかすごい秘密兵器が色々出てきましたが、今回も「伊藤家の食卓」的な裏技をたくさん披露してくれます。困った時は手近なものをなんでも利用しましょう。

しかしこのシリーズの一番の魅力は、主人公のボーンが無敵の強さを誇る反面、少年のように純粋であるところにあると思います。身を守るためとはいえ誰かを殺すたびに深く傷つき、二作目では殺した男の遺族のところへ、わざわざ謝りにさえ行きます。元CIAのすご腕の殺し屋が、そんなにピュアピュアになってしまっていいものでしょうか?
実は人間というものは記憶の一切合財を失くしてしまうと、それはもう生まれたての赤子のように純粋になってしまうものらしいです。実際以前友人が、そういう人に立ち会ったことがありました(くわしくはココココに書いてあります)。
人間の脳というやつは、まことにミステリアスでありますね。

この三部作には、何度も「水の中に沈んでいく」あるいは「漂っている」シーンが出てきます。我々が水の中から生まれ出ることを考えるなら、こういったシーンはジェイソン・ボーン、あるいはデイビッド・ウェッブの死と生まれ(Born)変わりを意味しているのかもしれません。
しかし今回の『アルティメイタム』を観終わっても、わたしは彼がまだ完全に再生できたとは思えませんでした。好きなあるマンガのセリフを借りるなら、「彼の心はまだ血を流して」います。その傷が完全でなくても癒されて、彼が心の底から笑えるようになって、初めてこの物語は「終れる」と思うのですが、どうでしょう。

20071207183710ラドラムによる原作が三部作なので(ただし別の人が書いた続編がもう二作存在する)、本来ならこれでオシマイにするのがスジなのかもしれませんけどね・・・
ちなみに主演のマット・デイモンは「肉体的に限界」と言ったり、「僕の中での『ボーン』はまだ終ってない気がする」と言ったり。もう! あいまいなんだから!

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December 06, 2007

オバケのリュウタロス 『仮面ライダー電王』を語る④

20071204184820小さくなってしまったハナ。突如出現した行先不明の未知の路線。自分の存在を代償に変身を繰り返す侑人。薄れつつあるモモタロスたちとのつながり。そして現われたイマジンの長らしき青年・・・・ 様々な謎や不安を抱えながら、電王=良太郎は戦い続ける。自分が守ろうとしている時間とは一体何なのか? 仲間たちのために自分に一体何ができるのか? いよいよ物語はクライマックスへと進んでいく。

残り話数もあとわずかとなった『電王』。今回はこれまでの流れを振り返ってみると共に、残された謎をまとめてみたいと思います。
まず主人公の野上良太郎くん。「人類が」「世界を」という大きな気負いはないけれど、「自分の力の及ぶ限りは、できるだけ多くの人を救いたい」・・・・その姿勢は当初と少しも変っていません。ひ弱だけど頑固なところはやはり小林女史の作品である『龍騎』の城戸真司を思い出させます。
その良太郎のアンチテーゼ?として出てきたのが桜井侑人=ゼロノス。「野上、時の運行を守るっていうのは、人助けとは違うんだよ」 そううそぶく彼は、なによりもまず事の元凶であるイマジンを倒すことを優先しようとします。
火事の現場近くで人が倒れていたら、まずその人を手当てしようとするのが良太郎。それ以上広がらないよう火の勢いを弱めようとするのが侑人。(ほんで面白がってあちこちに火を付けて回っているのがカイ)。この場合、彼らは二人とも正しい。問題は世の中どっちか一つを選ばなくてはならない時がある、ということです。
そういう二人の姿勢を巡って丁々発止のやりとりがなされるのかなー、と思っていたんですが、お話はあんまりそういう風にはいかず、むしろ侑人の置かれたあまりの苛酷な境遇に、良太郎が何も出来ずに立ちすくむ・・・ そんなエピソードが多くなってきました。
ゼロノス=侑人は「自分に関する誰かの記憶」を代償として変身します。ゆえに、彼は変身するたびに大切な人・・・恋人や恩師など・・・から忘れられていきます。彼がそこまでして「時の運行」を守ろうとする理由は何なのか? つい先日の回でそのヒントらしきセリフがありましたが・・・

「存在の危機」が迫っているのは侑人だけではありません。モモタロスたちライダーイマジン(と、便宜上呼ばせていただきます)たちも、自分たちと良太郎のつながりが希薄になりつつあることに気づき始めます。彼らは成り行き(というか気分)で良太郎の味方になってしまいましたが、本来はライダーたちと相容れない存在。いわば『アマゾン』(なつかしい・・・)のモグラ獣人か『寄生獣』のミギーのようなキャラクター。事が全て解決したら・・・イマジンの発生した時間軸が消滅してしまえば・・・彼らもまた消滅してしまうのは明らか。良太郎に「憑き」にくくなっているのは、どうやらその前兆のようです。
それでも気づかないフリをして、良太郎を励まし続けるタロさんたち。その姿には鼻水を禁じえません。

こうやって書くとかなり深刻なお話のように感じられますけど、実際は相変わらずのどんちゃん騒ぎも続いていますので、「悲劇」という印象は極めて薄いです。平成ライダー史上もっともC調になってしまった本作品。正直お笑いがくどいなあ、とも感じていましたが、普通やるとに暗くなってしまうお話を、どうにかして明るくもっていこう、という狙いだったのかもしれませんね。

それでは残された謎に関して
1・結局ライダーベルトや時の列車を開発してるのは誰なのか? 普通に未来人?
2・「特異点」はなぜ時の改変に左右されないのか? 
3・イマジンたちが発生した原因は? 
4・桜井侑人はなぜ失踪したのか? そして若き日の彼がなぜ「ゼロノス」となったのか?
5・イマジンたちを操る青年・カイの出自と目的は?
6・ハナが小さくなってしまった原因とは?
7・行く先不明の路線の果てには、いったい何があるのか?

20071204185017・・・・なんか4・7以外は全部スルーされそうな気がするなあ。

小林さんの最近の作品について考えると、「悲しいお別れ」は避けられそうにありません。それでも『電王』の「ギャグ体質」にわずかな希望を託すことといたしましょう。

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December 03, 2007

東京タワーが出来てから 山崎貴 『ALWAYS 続三丁目の夕日』

20071201073039夕日町を揺るがしたあの激闘から二年(劇中では4ヶ月)。街はひと時の平和を取り戻していた。だがその平和は、怪獣王ゴジラの来襲によりもろくも崩れ去る。鈴木は共に戦った英霊たちの助けにより、ゴジラに対抗しうる怪獣モスラの存在を知り、モスラを呼び寄せる鍵である「小雪人」の捜索を始める。一方茶川は自分を慕う少年淳之介に未来を残すため、禁断の兵器「アクタガワン・デストロイヤー」の開発に手を染めてしまうのだが・・・

一昨年から去年にかけて大ヒットを記録した『ALWAYS 三丁目の夕日』の続編であります。前回が昭和33年を舞台にした歳時記というか、「時代」が主題であったのに対し、今回はアクマでそこに生きる人々の物語という印象を受けます。乱暴な言い方をしますと、鈴木さんにしても茶川さんにしても前回はあの時代の風景の一部のようなところがありました。しかし今回は両家とも時代の枠を越えて動き出します。すなわち鈴木オート夫妻は今まで歩んできた道のりを振り返ることにより。茶川氏は家族と一緒に生きる未来をつかもうと奮闘することにより。その他の人々も自分の人生を謳歌すべく、それぞれにすねたり踊ったりやさぐれたり諦めたりイヤミを言ったりします。

今年は例年にもまして続編の多い年でありました。2,3は言うに及ばず、4や5や完結編、おまけに前日譚までありました。なぜこうも続編がたくさん作られるのか? 映画会社の姑息な戦略、ということはひとまず置いといて。人間誰しも好ましい人ができたなら、「また逢いたい」と思うのは当然のことでしょう。ダメダメだけど根は「いいひと」たちばかりの三丁目の世界に、日本の皆さんが「また逢いたい」と思ったのも無理ないことであります。
ただ再会というのは必ずしもいいことばかりではありません。前には気づかなかった嫌な部分が見えてしまったり。あるいは幸せにやってるもんだとばかり思っていたら、実際は不幸のどん底に落ち込んでいたり。「いっそのこと逢わなければよかった・・・」ということさえあります。
では今回の『ALWAYS 続三丁目の夕日』は果たしてどうであったか。思わせぶりな前フリでしたけど、ウン、かなり理想に近い再会であったと思います。どの人も基本的にはそれほど変らず、どの人もそれなりにがんばってやっていました。鈴木さんも茶川さんも前より「いいひと」になってしまったのが少し寂しい気もしますが、ここは「人間的成長を遂げた」と見てあげるべきでしょう。その分イヤミなところは淳之介の実父の小日向氏、新顔である一平の遠縁の少女、ベテランストリッパーを演じる手塚理美などが担当してくれます。もちろん彼ら、彼女らもイヤミなだけの人ではありません。

作品は「虚構の素晴らしさ」を説きます。劇中のセリフで「(しょせん)願望だな。現実はこうじゃない」というものがあります。この映画で描かれている時代も、実際はこんなにきれいなことばかりではなく、もっとジメジメとした汚らしいものもいっぱいあったことでしょう。しかし例え演出が入っていたとしても、それが人々を癒し、勇気づけているならそれでいいのではないでしょうか。実際にそうした虚構が現実を動かすことさえあるのですから。
また特筆しておきたいのは、登場する食べ物が素朴なものばかりなのに、なんでかやたらうまそうであること。まさかただの「塩むすび」がこんなにも輝いて見えるとは・・・・ 映像の力・演出の力というものを改めて思い知りました。 

20071201073101この映画は「お別れ」もほぼ理想的でありました。「また逢いたい」という気持ちがまだないでもないですが、できればもうそっとしておいてあげたほうがいいのかもしれませんね。次に逢う時は誰か死んじゃいそうな予感がプンプンしますし。
あと監督の山崎さんは本来の畑であるオタク系SF映画を撮りたくて撮りたくて、辛抱たまらなくなってると思います。次の作品が『ゴジラ/FINAL ALWAYS』にならないといいのですが・・・・

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