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November 24, 2007

星のお姫様 二ール・ゲイマン マシュー・ボーン 『スターダスト』

20071124134535終了直前緊急UPです(またかい)。アメコミ界の人気ライター(お話担当の人)、ニール・ゲイマン原作の一風変ったファンタジーです。

少し昔のイギリスの片田舎。雑貨屋店員のトリ太くんは、なにをやってもダメダメなボンクラ青年。ある晩幼馴染のシズカちゃんと流れ星が近くに落ちたのを目撃したトリ太くんは、ついいいところを見せようと、「君のためにあの星を取ってくる!」ことを宣言。さらにジャイアンには「取って来れなかったら鼻でスパゲッティを食う」と約束。あとに引けなくなってしまう。しかし流れ星が落ちた先は頑固親父で知られるカミナリさん(オバQより特別出演)の敷地。やすやすとは入れそうにない。途方にくれたトリ太くんはダディエモンに相談。するとダディエモンは「思うだけでその場に行ける」魔法のろうそく、「どこでもキャンドル」を貸してくれた。その力で魔法の王国に飛んだトリ太くんは、空から落ちてきたお姫様を守って、王位を狙う邪悪な王子や、姫の心臓を食おうと企む恐ろしいマゾ、もとい魔女と戦うことに・・・・

だいたいこんな話です。
ニール・ゲイマンの名を初めて知ったのは『スポーン』日本語版の確か3巻。ビキニスタイルでKISS風のメイクのとんでもねえ天使「アンジェラ」と、スポーンの初対決が描かれたエピソードでした。その後彼の代表作『サンドマン』(こないだのスパイダーマンに出てきたアイツとは全然関係ありません)も読みましたが、いまひとつ好きになれませんでした。たぶん、どっちにも親切な人が善意ゆえにひどい目にあうようなお話が含まれていたからだと思います。
その後アメコミの邦訳も途切れがちになり(涙)、ゲイマンの名も忘れていましたが、劇場の予告で久々に名を聞いて、「やっぱアメコミ者としてはチェックせねばなるまい・・・」ということで足を運んだのでした。

で、印象ですが、ゲイマン氏、昔より人がよくなったようです(笑)。今回はおとぎ話にふさわしく、いいひとは恵まれ、わるい奴は相応の目にあう、そういうハートウォーミング?なストーリーになっていました。一方で、持ち前の趣味の悪さや皮肉っぽさも失われていません。無邪気な残酷趣味が、画面のそこかしこにちりばめられています。少し前に『本当は残酷なグリム童話』という本が売れてましたが、童話というのは元々は総じて残酷なものであることを思い出させます。
ただそうした「残酷さ」もギャグと併用して使われてるため、陰惨には感じられません。
また「星が人の形をしている」ということや、まるでファイナルファンタジーに出てくるような飛空艇、さらに魔法に関する細かい描写など、その豊かなイマジネーションには本当に圧倒されます。

しかし何より光っているのは、ミシェル・ファイファーやロバート・デ・ニーロといったベテラン俳優たちのふっきれた演技(笑)。特にすごかったのがデ・ニーロ。重厚な演技で知られる彼ですが、今回は何を狂ったのか「表コワモテ、裏は○○趣味」なぶったまげた船長役にチャレンジしています。くわしくは申しませんが、筋金入りのデ・ニーロファンでさえ、これに耐え切れるだろうか・・・・というシーンがあります。
一体何が彼をそこまで駆り立てたのでしょう。地位も実力もあるデ・ニーロが、なぜあそこまでしなくてはならないのか? あれほどまでに痛々しいデ・ニーロは初めて観ました。
でもね・・・・・ ロバート。

あんた、とっても輝いてたよ! 星の光がかすむほどにね!!

そう。脇が弾けすぎていて主役二人の影が薄い。それこそがこの映画の問題点であります(笑)。でもまあたまには、こういうのもあってもいいんじゃないでしょうか(適当)

20071124134513_2 年末には脚本で参加している『ベオウルフ』も公開。さらに自身の原作である『サンドマン』番外編『デス:ハイコスト・オブ・リヴィング』も製作中。にわかにゲイマンの周囲が活気付いてまいりいました。かつて邦訳版を出していたインターブックスでもその空気を察したのか、HP見たら『サンドマン』シリーズが復刊されていました。そんなわけで、さらに「彼の空想に浸りたい!」という方、いらっしゃいましたら(いるかなあ・笑)そちらもぜひご覧ください

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Comments

 あ~サンドマンとは関係ないんですか。
「S・キング絶賛!!」の人の中では有名になりつつありますね。
 けっこうハンサム、とひかわ玲子先生がおっしゃってました。
 
 べオウルフって、ああクリストファー・ランバート(ハイランダー)
の奴ですよね(ちがう)
 ジョリ姉さんが世間の望む役で帰ってきてくれるようです。
 真面目な姉さんには悪いですが、こういう役が似合います。
 

Posted by: 犬塚志乃 | November 26, 2007 at 11:45 PM

こんばんは、SGAちゃん☆
うん、確かに、星がかすむほどの働きをデニーロがしていたせいで、そのせいで☆の数を減らしちゃう人が多いんだけど?って感じでしたw
私は、主役より、悪役が元気がいい作品てすごく好きだったりするんですよ。
しかし、クライマックスの辺りの物語の進み方は、どっからどう見ても、ミシェル・ファイファーが主役だと思っちゃいました。
てゆーか、そもそも、正義なんて退屈なのさ~!ヘン!

Posted by: とらねこ | November 27, 2007 at 01:24 AM

>犬塚志乃さま

>けっこうハンサム、とひかわ玲子先生がおっしゃってました。

こないだの柳下氏のブログに、その女殺しのテクニックが紹介されておりました。アメコミオタクでもイケメンかつ心細やかならプレイボーイになれるということです

>ジョリ姉さんが世間の望む役で帰ってきてくれるようです。

そのようですね。最近は貧しい国へのボランティアにも力を注いでおられますけど、「悪役ほど根は善人」と申しますし(なんか違うな)

Posted by: SGA屋伍一 | November 27, 2007 at 07:35 AM

>とらねこさま

こちらにもコメントありがとうございます

>星がかすむほどの働きをデニーロがしていたせいで、そのせいで☆の数を減らしちゃう人が多い

もうアレのインパクトが強すぎて、デ・ニーロ以外何も覚えていない・・・というのはちと言いすぎですが(笑)
わたしはむしろアレで☆一つ増やしたいくらいですね。日本の「名優」と呼ばれる方たちの中で、あれほどまでに自分を捨てられる人がどれほどいるでしょう? まあ北野武や西田敏行だったらやるかもな

>クライマックスの辺りの物語の進み方は、どっからどう見ても、ミシェル・ファイファーが主役だと思っちゃいました。

「あれ? そんなんで諦めちゃうの?」と思いきや「計算だったんだよ!」という流れに、「いいぞ! それでこそ真の悪役だ!」と思いました(笑) とらねこさんとしては彼女に勝ってほしかったでしょうね


Posted by: SGA屋伍一 | November 27, 2007 at 07:55 AM

こんにちは!
TB&コメントありがとうございました~♪
いつもストーリー紹介が面白いですね~
頭の固い(古い?・泣)私は、お見せしたいくらい喜んで読ませて頂いています。
この映画は面白かったですが、いかんせん主役の2人が地味だったのが難点でした。
特にトリスタン・・・他に誰かいなかったのかしら???
ちょっとボーっとし過ぎでしたよね。
脇を固めたデニーロとファイファーは良かったです。
デニーロのあの恰好は・・・ビックリでしたよね(笑)
ミシェルのシミ&皺は、身につまされました(汗)

Posted by: 由香 | November 27, 2007 at 08:44 AM

>由香さま

スーパー人気ブロガーのそちらに誉めていただけると、サービス込みとわかっていても舞い上がっちゃいますね
「いいかげんサムいんだよこのやろー」と思ってる人もたくさんいると思いますけど、その言葉を励みに力の限りボケ続けたいです

>特にトリスタン・・・他に誰かいなかったのかしら???

きっとCGと大御所のギャラに制作費使いすぎて、もう彼くらいしか雇う余裕がなかったんじゃないでしょうか(笑) 同じボンクラとしては大いに親近感を感じましたが

ま、この映画はデ・ニーロとミシェルさんのためにあったと言い切っても支障ないと思います

>シミ&皺

30過ぎると、お肌の曲がり角ってあっという間よねえ・・・
今度いい化粧品あったら教えてね!(あー ひいてるひいてる)

Posted by: SGA屋伍一 | November 27, 2007 at 09:50 PM

SGA屋伍一さん☆

こんばんは♪

ロバートデニーロは最近、お笑い方面によく出ますね〜
ミートザペアレンツも良かったし♪
アダムサンドラーとのコメディも実は結構好きです☆
(原題、アンガーマネージメント)

今回はちょっとサムいし痛々しかったけど
SGA屋さんの励まし、笑いました〜
輝いてましたよね♪

Posted by: mig | November 29, 2007 at 01:22 AM

>migさま

お忙しいところ返信ありがとうございます

>ロバートデニーロは最近、お笑い方面によく出ますね〜

彼もシリアスな役が多いので、たまには息抜きしたいんでしょうね。とはいえ最近は息抜きのほうが多くなってるのかな?

>SGA屋さんの励まし

なんか興行成績もあまりよくなかったようだし、きっといまごろ「やりすぎた・・・」と落ち込んでるじゃないかなって思ってエールを贈ってあげました(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | November 29, 2007 at 07:47 AM

こんばんわ。


そうだよ!!
ホントに輝いていたのは、デ・ニーロさんとファイファーさんだよ!!
デ・ニーロさんのあの強烈な演技は、
かの有名な『デ・ニーロアプローチ』だよっ!


でも、あんなアプローチの仕方はちょっとイキすぎ・・・かな(苦)。
イヤイヤ、そんなことない!あたいにとっては一番星だよう!


それにしても、ドラエ○ン風あらすじ、
だいぶ大笑いで楽しませていただきましたです。
いつもありがとう・・・。

Posted by: 睦月 | November 29, 2007 at 11:58 PM

こんにちは。
TB&コメントありがとうございます。
主役に華がないと、色々なところでお見かけしますが。
そこをデ・ニーロさんとミシェル・ファイファーが見事にカバーしていましたね。そうそう、寧ろ輝いておりました。
シリアス路線のデ・ニーロさんしか知らない映画好きの人にとっては、踏み絵となる映画かもしれないですねー
私は、ビックリしたけど「デ・ニーロさん、あんたは凄い!!!」と改めて感心させられましたです。

Posted by: となひょう | November 30, 2007 at 06:16 PM

>睦月さま

こちらにもコメント&TBありがとうございます

>『デ・ニーロアプローチ』

そんな技があったとは・・・ 恐るべしデ・ニーロ 
きっと話かけられた数分後にはもうマフィアの一員にされてしまってるんだろうな・・・ 怖え~

>あたいにとっては一番星だよう!

もう並みのアプローチでは我慢できない体になってしまったのね・・・
おいたわしや(ToT)
今回おでこもやけに輝いてましたけど、あれはメイクですよね? 彼、まだあんなに頭髪後退してなかったと思うけど、もしかして・・・

つまんないネタにいつもフォローサンキューです(^^)/

Posted by: SGA屋伍一 | November 30, 2007 at 07:59 PM

>となひょうさま

こちらにもコメント&TBありがとうございます

>主役に華がない

なんというかニール・ゲイマン氏の特長みたいなもんですかね。主役よりも世界観に凝る作風の人みたいなので。そのせいかこの『スターダスト』も、背景や小道具なんかがけっこう見ていて楽しめました

>シリアス路線のデ・ニーロさんしか知らない映画好きの人にとっては、踏み絵となる映画かもしれないですねー

ですね。特に『タクシー・ドライバー』に思いいれのある人は「トラビス! どうしちまったんだ!」と嘆くかも。もっともあの役も急にモヒカン状に頭を剃ったりとか、尋常でないキャラではありました

自分だけの秘密だとばかり思っていたらみんなにバレまくりだったことがわかって、「シュン」となるあたりが、また笑えたり、身につまされたり


Posted by: SGA屋伍一 | November 30, 2007 at 08:06 PM

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