嘘つきは絶望の始まり ロバート・デ・ニーロ 『グッド・シェパード』
CIAが作り出した恐るべき人間兵器ジェイソン・ボーン。彼の正体は実はクローン人間だった。これはボーンのオリジナルがいかなる人物だったのか、その謎にせまる・・・という映画ではないようです。コッポラが考えて何年も寝かされてたアイデアを、名優ロバート・デ・ニーロがメガホンを取って実現。現在全国で公開中であります。
時は60年代。アメリカ合衆国は共産圏の勢いをとどめるべく、ノドもとにつきつけられた刃ともいえるキューバに兵を送った。だが作戦は大失敗。CIAの中に情報を漏らしたものがいたのだ。内通者を探し出すべく捜査を始めるCIA。第二次大戦中から諜報活動に従事していたエドワード・ウィルソンにも疑いの目がむけられた。物語はエドワードの半生と、ケネディ政権下でのCIAの暗闘を行きつ戻りつしながら進んでいき、やがて二本の糸は一つとなる。
タイトルの『グッド・シェパード』とはワンコの種類ではなく、聖書に出てくる一節で「よき羊飼い」の意味。おそらく教会でいうところの「牧師」の由来となった言葉でしょう。エドワードはか弱い羊=民衆を外敵から守る役割をになう者として、諜報活動に邁進しますが、聖書では偽り、裏切りは重い罪とされています。でもそんなことを気にしていたら、諜報活動など到底なりたたない。エドワードは国のためにホラを流し続けますが、気がつけば彼の周りからは誰も人がいなくなってしまいます。牧師のつもりがホラ吹きの羊飼いだった・・・これはそんな男の物語。自業自得と言ってしまえばそれまでですが、人間というのは基本的にウソをつく生き物です。「一度もウソをついたことがない」などという人間が果たしているでしょうか? せめてその数をへらすよう、努力することはできるにしても。
エドワードが孤独になっていくもう一つの理由は、彼が誰の前でも感情をさらけ出さないところにあります。なにがあろうとバスター・キートンばりの石仮面で、ひたすら耐えるのみ。タフでなければ生きられない、そんな境遇だったのでしょうけど、本心を洗いざらいぶちまけることができる「誰か」がいたなら、もう少し救いようもあったかもしれません。
隠蔽や陰謀に明け暮れているうちに、どんどん薄汚れていくアメリカの裏面史として見ることもできます。たぶんCIAという暗部を抱え込むことによって、アメリカは国家として「大人になった」のでしょう。個人的に面白かったのは古きよき時代のアナクロチックなスパイ活動。ハイテク機器が発明される前は、こんな風に地味にやってたんだな~と少し微笑ましい気分になりました。
主人公にマット・デイモン。つくづく騙しあいとかスパイ活動とかに縁のある男です。今年公開されてる4本なんかそんな話ばっかしですし。
監督は冒頭でも述べたように、ロバート・デ・ニーロ。どちらかというとぶち切れたような役柄で知られるデ・ニーロですが、本作は極めて冷静で物静かな男を主人公としております。その辺興味深いですね。
さて、この映画アンジェリーナ・ジョリーが出てると聞いたのですが、観終わったあともどこに出てるのかさっぱりわかりませんでした。わたしの目が大概おかしいというのもありますが、今回の役は彼女のキャリアの中でももっとも「らしくない」役だったと思います。やっぱりアンジーだったら例え旦那とうまくいかなくてもメソメソしてたりしないで、マシンガン片手に浮気相手のところに乗り込むくらいやらないといけないと思います。
やっぱり人間、正直が一番ですよね。最近のニュース見ててなおさら思うんですけど、世の中ウソとか隠蔽とかって、上手にバレるようにできてますし。
だからこの際わたしも正直に告白します。わたしが億万長者の息子でハーバード大卒でジャニーズ事務所から勧誘されてて、細木数子とマブダチだっていうあれ、全部ウソです!
本気にされたみなさん、どうもすいませんでした!
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» グッド・シェパード [★YUKAの気ままな有閑日記★]
『CIA』と聞いただけで気分が高揚する性質なので楽しみにしていた映画―【story】1961年4月17日、キューバのカストロ政権転覆を狙った上陸作戦がCIA内部の情報漏れにより失敗し、CIAは窮地に立たされる。その数日後、作戦を指揮したエドワード(マット・デイモン)の元にCIA内通者と敵側スパイと思われる男女が映ったテープが届く。彼は部下のレイ(ジョン・タトゥーロ)にその分析を依頼するが― 監督 : ロバート・デニーロ【comment】かなり面白かった―予告やチラシから、この映画は、「CIA... [Read More]
Tracked on November 03, 2007 at 12:16 AM
» グッド・シェパード /THE GOOD SHEPHERD [我想一個人映画美的女人blog]
タイトルの『グッド・シェパード』とは新約聖書で"良き羊飼い"を意味する。
ヨハネによる福音書には"わたし=イエスは良い羊飼いである。良い羊飼いは羊のために命を捨てる。"とある。
内容は全く気にかけずに、デニーロが『レイジング・ブル』以来
13年ぶりの監督作っていう興味だけで観て来た{/light/}
監督/制作&出演 ロバート・デニーロ
製作総指揮 『ゴッドファーザー』{/fuki_suki/}シリーズのフランシス・コッポラ
脚本 『フォレスト・ガンプ/一期一会』のエリック・ロス
撮影 『... [Read More]
Tracked on November 03, 2007 at 10:07 AM
» グッド・シェパード [映画通の部屋]
「グッド・シェパード」THE GOOD SHEPHERD/製作:2007年、アメ [Read More]
Tracked on November 08, 2007 at 09:05 PM
» ★「グッド・シェパード」 [ひらりん的映画ブログ]
マット・デイモン主演のCIAもの。
といっても、第二次大戦の戦中・戦後のCIA創成期のお話。
監督は名優ロバート・デ・ニーロ。
[Read More]
Tracked on November 22, 2007 at 03:07 AM

Comments
きゃー、なんてことかしら。最近偽装問題が多いと
思ったらSGA様もそうだったなんて!?
あたし玉の輿を狙っていたのに!
ウソ、本当は知っていたのよ。
Posted by: 犬塚志乃 | November 01, 2007 at 09:26 PM
>犬塚志乃さま
ちょっとブームにのっかってみました
今後は信用回復のために、お客様第一をモットーとした製品開発をこころがけ、誠心誠意をつくして(略)
Posted by: SGA屋伍一 | November 02, 2007 at 07:54 AM
それで例のバッタ作戦なんですが、どうも変なんですよあのシーン。
1)なんで集会の群衆めがけて散布すんの?謀略バレバレやん!
2)バッタ類はふつうイネ科など単子葉草本植物を食べるのに、コーヒー(アカネ科木本)を食べるの?
3)だいたい現代農業においてバッタ類はさほど重要な害虫じゃないし・・・。
しかし作品の性質上、モデルとなったなんらかの史実があると思われます。
また【アメリカ】、【 キューバ】 、【害虫散布】というキーワードに記憶の奥底から微弱な応答もあり、手元にある昆虫資料の山を探ってみました。
発掘されたのは、昆虫専門誌に掲載された下記のレポート。
桐谷圭治 (2000) 世界を席捲する侵入昆虫.インセクタリウム 37: 224-235.
また、ネット上にも情報がありました。
http://pub.ne.jp/cubaorganic/?entry_id=339952
アメリカの飛行機がキューバに害虫を散布した(…という疑惑が濃厚な)事件は実在したのです。
ただし時代は映画の舞台より最近の1996年。
害虫はバッタではなく、ミナミキイロアザミウマという昆虫とのこと。
アザミウマは砂粒くらいのサイズの微小昆虫なので、映画的には「絵にならない」から、わかりやすくバッタに変更したのでしょうか。
あるいは実際にバッタを撒いたとされる別の事例もあるのやもしれません。
上記ブログに「いままでにもそのような話は十数回あり」とありますから。
Posted by: 秦太 | November 02, 2007 at 11:29 PM
こんばんは!
私は前世はきっと秘密情報部員だったに違いないと思うくらいスパイ物の映画や本が好きです。
私の中のスッパイの血が・・・おっとスパイの血が騒ぐんですよ。
今回の映画でも騒ぎました。特に『古きよき時代のアナクロチックなスパイ活動。』を観て・・・クラクラと眩暈が!!!
だから同僚の目でエドワードを観察してしまいました。
彼はなかなか出来る奴です。
きっと孫子もスパイになるでしょう・・・ってボーンか?!
アンジーはらしくなかったですね。
彼女は耐えるタイプではなく、耐えさせるタイプでしょうから(笑)
Posted by: 由香 | November 03, 2007 at 12:26 AM
>秦太さま
専門家のご意見ありがとうございます。うん。そうですよね。謀略ってヤツはもっとこっそりやらなきゃいかんですよね
お話から察するに映画のアレはまんま実際にあったことというよりも、実際にあった(らしい)事件をわかりやすく脚色したもの、ってとこでしょうか
そうすっと「ヒトラーは○○というウワサを流したのはCIAの前身」というアレもかなり怪しいですね。『四十七人の刺客』で「吉良が賄賂をねだった」というウワサを流したのは赤穂浪士たちだった・・・・なんてくだりがありましたけど、東西を問わず謀略ものの書き手が考えることは一緒だなあ、と思いました
わたしもウィキでCIAの項を見ていたらこんなもの見つけました
「聞き耳ネコちゃん計画」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%9E%E3%81%8D%E8%80%B3%E3%83%8D%E3%82%B3%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93
ネコちゃんをそんなことに使うとは・・・ 許せん!
Posted by: SGA屋伍一 | November 03, 2007 at 08:03 AM
>由香さま
毎度素早いコメント・TB返しありがとうございます
スパイ系大好きですか。このジャンルでは映画では『ミッション・インポッシブル』(一作目)、『ボーン』シリーズ、小説ではフリーマントルの『消されかけた男』などが好きです
本当に携帯もPCもハンディカムもない時代に、よくあれだけ活動できたなあと思いました。いまはむしろスパイ機器が簡単に手に入ってしまう、怖い時代でありますね。まあわたしがプライバシーを侵害されるなんてこた、まずないですけど
>ボーンか?!
CIAの設立に貢献したあとは、CIAに復讐するべく真っ向勝負
マットくんも切り替えの早いヤツです
>彼女は耐えるタイプではなく、耐えさせるタイプでしょうから(笑)
がんばれブラピ
Posted by: SGA屋伍一 | November 03, 2007 at 08:13 AM
こんにちは♪
SGA屋伍一さん☆
ほんとウソはいけません。
あんまり楽しめなかったけど、デニーロもマットも好きですよ〜。
アンジーはミスキャストだった気がしたけど、、、、
いやん、最後のブタちゃんのイラストかわいいー!
Posted by: mig | November 03, 2007 at 10:05 AM
>聞き耳ネコちゃん計画
これを聞いたとき思い出しました。
実録・アメリカ超能力部隊
http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/65/16/9784167651633.shtml
60年代のアメリカはいろいろ考えていたんですかねw
それとも疲れていたのかw
でも最初は超能力と愛で相手を包み込む優しい軍隊を目指していた
のに、それが変貌し後の変な事件にまで影響を与えている(のか?)
と聞くとその理想はうんうん、とうなづきたいのですが。
しかし「ジェダイ計画」って本気で考えていたんでしょうか?
敵の位置を透視しろ、と言われてネッシーについての意見を述べた
そうなんですが、むかしの牧歌的で素朴なアメリカを思い出しました。
スーパーマンが育ったような麦畑にみんないたんでしょうね。
そんな優しい(?)アメリカが大好きです。
Posted by: 犬塚志乃 | November 03, 2007 at 03:09 PM
>migさま
こちらにもコメントありがとうございます
マット自体は嫌いじゃなかったんですね。トンチンカンなこと書いてすいませんでした
アンジーは次の作品『マイティハート』ももっぱらお家で待ってる役どころのようですね。どうも最近自分を見失ってるような気がしてなりません
>ブタちゃん
これ、『ベイブ』のつもりだったんです。牧羊犬(豚)ということで。でもこれじゃわかんないですよね。あはは(^^;)
Posted by: SGA屋伍一 | November 03, 2007 at 10:09 PM
>犬塚志乃さま
60年代というとアメコミの第二黄金期でもあります。マンガをそのまま真に受けてしまった頭のゆるいひとがいたんでしょうね
この時代、ソ連も超能力を研究していたと聞きました。みんなまだオカルトに夢や希望を託すことのできた時代だったんですね
最近はその手のニュースもすっかりなりをひそめました。寂しい限りです
Posted by: SGA屋伍一 | November 03, 2007 at 11:03 PM
こちらにもお邪魔しちゃおう。
>エドワードが孤独になっていくもう一つの理由は、彼が誰の前でも感情をさらけ出さないところにあります。
嗚呼、エドワードの辛さをどうにか中和するスベは無かったのでしょうか。本当に気の毒でなりません。私が同情したってどうにもなりませんが。
同時に、CIAの為に必死で生きている姿も、何と言うか【男】を感じていたりしました。
Posted by: となひょう | November 08, 2007 at 09:12 PM
>となひょうさま
こちらの記事にもよっていただいてありがとうございます
映画『シークレットサービス』で、イーストウッドが「男がすぐ涙を見せる最近の風潮は好きじゃないんだ」と言う場面がありました
どうもアメリカでは「男は辛い感情は表に出さず、ひたすら耐える」のが伝統というか、美徳とされているようです。ましてこれ、60年代の話ですしね
でもそのままだと普通はいつかパンクしてしまうもの。映画ではそこまで描かれませんでしたが、果たしてエドワードもいつかそうなってしまうのか。あるいは死ぬまで耐え続けるのか。どちらにしても哀れな男であります
Posted by: SGA屋伍一 | November 09, 2007 at 07:55 AM