新たなる福音 庵野秀明 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』 0パート
現在絶賛公開中の 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』。今回はその底本であるテレビシリーズ1話~6話の思い出を語ってみたいと思います。
わたしが最初に『新世紀エヴァンゲリオン』の名を見たのは、1995年夏ごろのアニメ雑誌(オタクです)。放映前の宣伝記事で、「最近のロボットアニメはつまらない! おれたちが本当に面白いものを見せてやる!」というスタッフの意気込みが書かれてました。当時『新機動戦記ガンダムW』のハードボイルドな作風にしびれていたわたしは、「てめえら、偉そうなこと言ってくれんじゃねーか」と少なからずカチンときたのを覚えています(笑)。キャラクターデザインがちょっと軟派調だったのも気に入りませんでした。
そんなわけでやや斜に構えた姿勢で臨んだ第一話視聴。感想は「ふーん。まあ言うだけのことはあるんじゃないの?」でした。確かに作りこまれた設定&画面構成は凡百のアニメとは一線を画しておりました。特に印象に残った絵は、なんでか蜂の巣状につながったモニターに、シンジくんの顔がたくさん映ってるシーン。
しかし本当の意味で「違うな」と思ったのは、第二話でした。この回は前話からのヒキで初号機と最初の敵・サキエルが向かい合ったところから始まります。操縦に不慣れなため、シンジ君はあっという間にピンチに陥ります。絶体絶命のその時、お話は突如として先の時間へジャンプ。病院のベッドで目覚めるシンジ。そのあと退院やら引越しやらの描写が入るわけですが、「もしかして決着のシーンがないまま終ってしまうのか?」とえらい不安になりました(笑)。
幸いにもその部分はちゃんとありました。多忙だった一日が終わり、ベッドについたシンジのフラッシュバックという形で、ようやく初戦の決着が描かれます。
今にして思えば「クライマックスにバトルを持ってきたい」というスタッフの苦肉の策だったんでしょうけど、この定型を踏みつつ斬新な構成に、「これまでになかった」ものを感じたのでした。
続く第三話は特にこれといって目立ったところはありませんでしたが、注目すべきは第四話です。この話は家出したシンジが町をふらふらとさまよう、その描写にお話のほとんどが費やされています。当然エヴァも怪獣もバトルもありません。ここにいたってスタッフも、ロボットアニメのパターンを当てはめることを諦めたたようです。あるいは「つかみ」は終了した、と考えたのか。いずれにしてもパターンよりもドラマを重視した、その姿勢には感銘を受けました。ロボ目当てで見てるお子さんたちは、きっとがっかりしただろうなーとも思ったけれど(^^;)
そして5話・6話にいたると、わたしのわだかまりもほとんど消え(笑)、かなりのめりこんで見ていたような。特に「ヤシマ作戦」における、「日本中を一時停電させてエネルギーを引っ張ってくる」というアイデアには言い様のない面白さを感じました。ロボットのエネルギー限界って、気合と根性でクリアされてしまうことが多いですからね(笑)。あえてこういう「縛り」を作って、バトルの緊張感・ゲーム性を高める。この手法は後のアニメにも大いに影響を与えていると思います。
おしまいに今回劇場版から削られて惜しいな、と思った場面を幾つか。もし記憶違いがあったらすいません。
☆VSサキエル戦における初号機の宙返りシーン。「巨大ロボが宙返りを!」と素直にびっくりしました(追記:すいません・・・これありました)
☆サキエル戦終了時、頭部装甲がすっ飛んだ初号機と目があってびびりまくるシンちゃん。初号機の怪物性を表わす上で重要なシーンだったと思うんですが・・・
☆ミサトが買い物をしてる間えんえんと映っているシンジの横顔(追記:これもありました。ただオリジナルよりも時間的に短かったような。重ねてお詫びいたします・・・・)。あるいは駅のホームでずーーーーーっと向かい合ったまま動かないシンジとミサト。いわゆる「時間稼ぎ」の意味もあるんでしょうけど、動きっぱなしのことが多いテレビアニメにおいては斬新な手法でした。しかしこれってやっぱりやるのに勇気がいるのか(笑)、その後の作品においてはあんまり見かけません。
つづく七話以降に関しましては、また『破』が公開された時にでも振り返ってみましょう。でもそれって、いつのことになるのやら・・・・
Comments
おー!0パート!
ビデオ見つかったんですか?
アニメージュとかニュータイプなら中学生の頃買ってました。
大人になった今こそまた懐かしんだりして楽しめると思うのに、
たぶんもうとっくに捨てちゃってないだろうなぁ・・・
最近書店でレイちゃん表紙のニュータイプとか見ると
ついまた手がのびます。
>頭部装甲がすっ飛んだ初号機
私もこのシーンは残してほしかったと思う、初号機ファンとして。でも
>動かないシンジとミサト
これ系はぶっちゃけなくてもOKです。
昔観たとき本気でテレビ壊れたかもしくは放送事故かと思ってドキドキさせられたから。
特にカヲル君をグシャっとするシーンは長く感じました(笑)
Posted by: kenko | October 04, 2007 06:34 PM
こんばんわ。
第何話だったか定かじゃないですが、レイとシンジ(アスカだったかも)が
2人きりでエレベーターの中にいて、延々とその場面が映し出される
シーンがあるんですが。
「ああ。また得意の一時停止手法だよ」と思ってじっくり見ていたときに
レイちゃんが一度だけまばたきするんですよ!!
それを発見したときはちょっと鳥肌が立ちました(苦笑)。
ウチのDVDや再生機器の欠陥によるものだったんでしょうか?
いや・・・違うはずだ(笑)。
そういえば、私もね、あのギョロ目とシンジくんの対峙のシーンが
削除されていたのはショックでしたわ。
あれ、メチャクチャ重要な場面
でしょ・・・。
Posted by: 睦月 | October 04, 2007 10:50 PM
>kenkoさま
ちはっす。ビデオは見つかってません(笑) おぼろげな記憶を頼りに書いております。文中に出てくるアニメ誌はたぶんアニメ-ジュ。近所の図書館に置いてあったやつだから
自分は『OUT』というかなり問題のある(笑)雑誌をよく買ってました
>>頭部装甲がすっ飛んだ初号機
やっぱりこれなかったですよね? 記憶違いでなくて良かった~
わが子を必死で守ったのにびびられてしまうお母さん、カワイソ
>これ系はぶっちゃけなくてもOKです。
実はわたしこの「間」がけっこう好きだったりするんです。「いらない」というのも十分わかるんですが。ほら、あの小説でいう「行間を読む」というのと少し似てませんか?(我ながら苦しい(^^;))
Posted by: SGA屋伍一 | October 05, 2007 04:59 PM
>睦月様
お礼参りありがとうございます
>レイちゃんが一度だけまばたきするんですよ!!
よく見つけましたね! 睦月さんの眼力に感服。自分も確認したくなってきましたが、テープがどこにあるのかわかんない(笑)
このシーン、「時間稼ぎ」演出のなかでも最長だったと思いました。すでに製作状況がにっちもさっちもいかなくなっていたことを偲ばせますね(苦笑)
>あれ、メチャクチャ重要な場面
でしょ・・・。
ですね。そのバトルの場面ですでに「機械にしちゃあずいぶんイキがいいな」とは思ってましたが、このシーンで初めて「もしかして・・・・ナマモノ!?」と気づかされました
Posted by: SGA屋伍一 | October 05, 2007 05:06 PM
こんばんは〜。
私はエヴァの1〜4話は完璧だと思ってます。
私はエヴァのあの時間稼ぎ?的な間の取り方好きですよ。
特に、駅でのミサトとシンジがジッと動かないあのシーン
すごく好きなんですが(笑)
カヲル君の例のシーンも、シンジがカヲルを握りしめた手をどうするんだと
目が離せられなかったし。
ああいう間のシーンってそれこそ画面を凝視してしまいますよね(笑)
そういえば、新劇場版ではしょごたんの頭の装甲が取れて
目がギョロッと…というシーンは省かれてましたね。
やっぱり意図的に省いたんでしょうが気になりますね〜。
Posted by: みずぐきまり | October 06, 2007 12:22 AM
>みずぐきまり様
おはやうございます
>私はエヴァの1〜4話は完璧だと思ってます。
5,6話は?(笑) わたしがテンションが落ちたのはアスカ登場直後のあたり(11、12話)。あの辺はいま見返すとなおさら恥ずかしいんですわ・・・
>駅でのミサトとシンジがジッと動かないあのシーン
すごく好きなんですが(笑)
みずぐきさんもですか。考えてみれば1話からずーっと神経張り詰め通しだったシンジくんが、やっと初めて一息つける場面なんですよね。あのくらいの「タメ」はあってもいいと思います
>シンジがカヲルを握りしめた手をどうするんだと
目が離せられなかったし。
こちらはこちらでタメがあることが息苦しくなってくるシーンですね。ちょっとやりすぎな感もありますが、こういう沈黙のあたりでキャラが何を考えているのか、いろいろ想像したものでした
>やっぱり意図的に省いたんでしょうが気になりますね〜。
わたしは「ついうっかり」か、時間の都合でサクッと切られたものだと考えてました(笑)が、「意図的」だとすると、またいろいろ勘繰ってしまいますね。とりあえず『破』の公開日をさっさと決めてほしいもんです
Posted by: SGA屋伍一 | October 06, 2007 10:02 AM
ミサトさんの絵を見てSGAやんは女の絵を修行しなおせと
思っちまったまさとしです(笑)。
気が付いたらオレはミサトが好きだったのかも知れん。
第一話放映時は函館を旅行しており、ホテルで見た記憶が・・・・。
>『新機動戦記ガンダムW』
この作品、第2話から見ましたが
当時、第2話から見た作品は自分に取って名作となるジンクスが
いつも発動してました
>向かい合ったまま動かないシンジとミサト
カレカノでもあったね。
これはそうでもなかったけど、
この作品から生まれた手法である(多分な)
文字の羅列表示はアニメ以外も含め
うんざりする程大流行しましたな。
>ヤシマ作戦
これは結構面白かった。
>頭部装甲
まさかコレがあの「食らう」前兆になろうとは・・・・・・・。
「YOU TUBE」で「前完結編」の2号機惨殺(虐殺かも)シーンを見て
それを感じたまさとしでした。
Posted by: まさとし | October 07, 2007 08:38 AM
>まさとしさま
>SGAやんは女の絵を修行しなおせと
なんだとー! つか修行しなきゃならんのは、男もその他もおんなじ
思い出のヒトを適当に書いてごめんなさいです
>『新機動戦記ガンダムW』
二話からか・・・・ 二話というとヒイロが救急車をかっぱらって現場に直行してたエピだな・・・・
>カレカノでもあったね。
これはまああんまし見たことないんだけど。『エヴァ』に比べるとぐっと力が抜けたアニメでした
>2号機惨殺(虐殺かも)
モニターの図がびしっびしっと削られていく, アレはたしかにえぐかった・・・・
Posted by: SGA屋伍一 | October 08, 2007 02:16 AM