« 平成ライダーの六年間を振り返る 響鬼編⑤ | Main | 井の中のモグラ 大宇宙を知る 今石洋之 『天元突破グレンラガン』 »

October 26, 2007

風と雲とギャグと 『風雲児たち』を語ってみたい 雲竜奔馬編①

20071026185620気がつけばここもずいぶんほったらかしてたなー(苦笑)。お休みしている間に、なんと御作者みなもと太郎先生自ら目を通してくださっていたことが判明いたしました(((( ;゚Д゚))))。まさにお尻から血が出そうな気持ちでございますが、張り切って再開したいと思います。今回は懐かしの『コミックトム』の思い出について。つっても、わたしこの雑誌ほとんど読んだことないんですけどね(^^;)

1965年、潮出版社から『希望の友』という漫画雑誌が創刊されました。『希望の友』は後に『少年ワールド』『コミックトム』と名を変え、漫画黄金期の影でひっそりと出版され続けます。この『トム』、言ってみれば「横山光輝氏の『三国志』さえ載ってれば、あとは大概のことはOK」という雑誌だったため、世間ウケに流されない文芸的価値の高い漫画が、多数生み出されることになりました。手塚治虫『ブッダ』、諸星大二郎『西遊妖猿伝』、坂口尚『石の花』、星野之宣『ヤマタイカ』・・・・ そしてわれらが『風雲児たち』もまた、そうした作品の一つでありました。
『三国志』完結後も、横山先生は『若き獅子たち(項羽と劉邦)』『殷周伝説』と、『トム』に中国史劇を連載し続けます。しかしさすがに寄る年波には勝てず、97年に体調不良でダウン。大黒柱を失った『トム』は休刊を余儀なくされ、『風雲児たち』もそのあおりを食らってひとまず終了したのでした。

ところが横山先生&『トム』は驚異的なねばりを見せ、半年後に復活。『トムプラス』と名を改めた雑誌において『殷周伝説』を再開します。その連載陣の中にはもちろん「みなもと太郎」の名はありましたが、『風雲児たち』の字は見当たらず、代りにあったタイトルは『雲竜奔馬』というものでした。

この『雲竜奔馬』、主要キャラクターはみな『風雲児たち』から引き継がれておりますが、一応「坂本龍馬」が中心となった作品となっております。そのため竜馬と関わりの薄い人物(村田蔵六、おイネなど)は言わば「切られた」形となってしまいました。
多数の視点から公平な史観を作り出す、というコンセプトのもと描かれ続けてきた『風雲児たち』。しかし幕末も近くなってくるとどんどん追いかける人物も多くなっていき、いつまで経っても話が先に進まない事態に(笑)。そんなわけでリニューアルに合せて、編集部の「もっとシンプルに!」という命令が強行されることになりました。また編集部としてはメジャーな人物である竜馬を主役に据えることで、この作品を横山史劇と並ぶ二枚看板に発展させたい、という狙いもあったようです。しかし残念ながら『雲竜奔馬』が世間に浸透する前に、『殷周伝説』は完結。横山先生は事実上引退され、『トム』は今度こそその命を終えたのでした。

そんな事情のもと描かれたこの『雲竜奔馬』は、やや微妙なポジションの作品となってしまいました。『風雲児たち』の続編のようでいて、いささか方向性を異にしている。その点不満を抱いた読者たちも少なからずいたようです。わたしといえばどんな形にしろ続いてくれたこと自体がありがたかった。しかし宙ぶらりんになってしまった蔵六や西郷どん、おイネの物語はもう語れることもないのだろうか・・・と寂しいものを感じたのも確かです。幸いにも『風雲児たち』はその後さらに奇跡的な復活を遂げることになり、「切られた」キャラたちのお話はちゃんと続行されることになるわけですが。

『雲竜』の中で書かれたストーリーのほとんどは、現在連載中の『幕末編』にちゃくちゃくと組み込まれております。このまま行けば『雲竜奔馬』という作品が消滅するのも時間の問題でしょう。しかしそれではあまりにも不憫ですし、この漫画には好きなところも多々あるので、これから数回はこの『雲竜奔馬』を中心に語っていきたいと思います。忘れられぬよう(笑)

20071026185718現在オンライン書店ビーケー1では、みなもと先生の画業40周年を祝して、サイト内に「みなもと太郎特設コーナー」が設置されております。
http://www.bk1.jp/contents/booklist/0710_minamoto01
あとこちらはわたしが書いた1、,2巻のレビュー
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2006/03/post_e154.html
そんなわけで未体験の皆さん、買うなら今です!

そうです。回し者です(笑)

|

« 平成ライダーの六年間を振り返る 響鬼編⑤ | Main | 井の中のモグラ 大宇宙を知る 今石洋之 『天元突破グレンラガン』 »

Comments

ナゾのマスコットにバカウケです。
なつかしすぎて泣きそうです。

Posted by: 秦太 | October 26, 2007 at 10:09 PM

>秦太さま

ヤフオクに出されていた『トム』を参考に書きました
漫画誌のマスコットってどうしてこうヘンテコなものばかりなんでしょう

Posted by: SGA屋伍一 | October 26, 2007 at 10:55 PM

あの時ゃあ、
「竜馬」が終わったら「蔵六」行って、「海舟」行って、色々行って、
それぞれ全部描き終わってから、編集で時系列に並べ直して、
『風雲児たち』にするという荒ワザを!?
と思ったものでした……。

幕末編にどんどん組み込んで下さいと語る会で一席ぶったのは
ワタクシであります。あの頃はまだ、そうでもなかったので、
初めの方のさな子さんとのやり取りとかが組み込まれないままになっているのが残念です。と思いきや今月やってくれましたね。
今後に期待。わくわく。

Posted by: かに | October 29, 2007 at 06:53 PM

かにさま、こんばんは

わたしは当時竜馬を書ききったら、ちょっとだけ時間を巻き戻して薩長中心の話を書き、次いで新撰組をやるのかなあ・・・なんて勝手に考えてました。しかしそこまでたどりつくのにどれほどかかるのか、そしてそれまでトムと先生の命が持つのか、不安でしょうがなかったですね
・・・ってあれ? トムが乱に変っただけで今もそうか?(これこれ)

結局なんだかんだで色々組み込まれてますけど、こっちのほうの黒船来航のくだりはだいぶ切られちゃいましたね。あの辺けっこう好きだったので残念。「なんかわからん血が騒ぎゆう。謀反人の血じゃろうか・・・」
っつーセリフも好きなんだけどなー こちらも切られそうですね

Posted by: SGA屋伍一 | October 29, 2007 at 09:17 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/16881505

Listed below are links to weblogs that reference 風と雲とギャグと 『風雲児たち』を語ってみたい 雲竜奔馬編①:

« 平成ライダーの六年間を振り返る 響鬼編⑤ | Main | 井の中のモグラ 大宇宙を知る 今石洋之 『天元突破グレンラガン』 »