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September 18, 2007

ファンタスティック・パー ブラッド・バード 『Mr.インクレディブル』解説編

20070917193707ブラッド・バード集中特集(あんまし集中してないけどね)第三弾。氏の出世作『MR.インクレディブル』を、英語の読めないアメコミファンの対場から、ネチネチと解説いたします。まあDVDで『ファンタスティック・フォー』を観てもらえれば元ネタの半分くらいはわかると思うんですけど。

☆政府がヒーローを強制的に監視下におき、自警活動を禁止する・・・・ このアイデアはザック・スナイダーの手により映画化が決まっている『ウォッチメン』からのものだと思われます。1986年に発表されたこの作品はかつてないシビアな作風で、アメコミに大きな衝撃と影響を与えました。以後『キングダム・カム』『X-MEN:ゼロ・トレランス』、そして昨年の『シビル・ウォー』など、このテーマはアメコミにおいてくりかえし扱われることになります。

☆本編の主人公たるボブ・パーことMR.インクレディブル。『ファンタスティック・フォー』(以後FF)でいうと(お父さん)Mr.ファンタスティックの立場ですが、空こそ飛ばないものの、その怪力、容姿、そしてヒーローたちの代表のようなポジションなどから、恐らく『スーパーマン』がモデルと考えてまちがいないでしょう。
異名の『インクレディブル』は『ハルク』の冠言葉でもあり、「驚異の」くらいの意味かと思われますが、「信用できない」とも訳せます。そんな人間が保険会社で働くというのはやはり無理があるのでは。

☆ボブの愛妻ローラことイラスティガール。「消しゴム女」とでも言うべきか。『FF』でいうインビジブル・ガールのポジションで、能力はMr.ファンタスティックのそれ。アメコミにおけるゴム人間の歴史は意外と古く、戦前から活躍している「プラスティックマン」というバカヒーローもいます。

☆パー家の長女ヴァイオレット。能力は『FF』のインビジブル・ガールから。自分のパワーを毛嫌いしていたり、恋にも奥手になってしまうというあたりは『X-MEN』のローグがモデルでしょうか。

☆パー家の長男ダッシュ。『FF』でいうヒューマントーチのポジションで、能力はDCコミックスは『フラッシュ』から。フラッシュ(二代目)にはキッド・フラッシュという子供の相棒がいましたが、のちにこのキッドが正式にフラッシュ三代目を継承します(ややこしい)

☆ボブの友人フロゾン。ポジションは『FF』のザ・シングで、能力は『X-MEN』のアイスマンから。本家『FF』に火炎人間が在籍しているのを逆手にとって、「氷人間」を別作品からひっぱってきたのにはニヤリとさせられました。

☆パー家の次男ジャック・ジャック。複数のパワーを持ち、成長した暁には最強の存在となることが予想されます。たぶん『FF』主人公夫妻の息子フランクリンがモデル。こちらは現実を改変したり世界を創造したりできるもはや神に近い存在。

☆「マントは絶対ダメ!」というファッションデザイナー・エドナ。これはゴールデン・エイジ(1930年代に起きた第一次アメコミブーム)の際には定番だったマントが、シルバー・エイジ(1960年代の第二次ブーム)以降では「ダサいもの」としてほとんど見当たらなくなったことを揶揄しているものと思われます。スーパーマン、バットマンは伝統を忠実に守っておりますが。

☆海底でミイラ化していた悲劇のヒーロー・ゲイザービーム。正体が弁護士、というのは『デアデビル』『シーハルク』らを連想させますが、名前、姿などから『X-MEN』の「サイクロップス」がモデルと予想されます。このあまりにひどい扱いが『ファイナル・ディシジョン』に影響を与えたかどうかは不明。

☆インクレディブル・ファミリーを苦しめる悪者シンドローム。実は彼はかつてボブのパートナーになることを切望した少年バディだった。アメコミには「サイドキック」なる用語があります。ヒーローが連れている年少の助手のこと。代表的な例としては『バットマン』のロビンや『キャプテン・アメリカ』のバッキーなど(日本で言うと明智小五郎に対する小林少年のようなものか)。そうした連中は大抵の場合押しかけてきてヒーローの相棒の役に居座るものの、無鉄砲が過ぎて足手まといになることもしばしば。
本作ではこのパターンが思いっきり皮肉られております。『アイアン・ジャイアント』では「人は自分のなりたいものになれる」って言ったのに・・・・ ひどいよ! ブラッディ!!

☆最後に出てくる地底人はほぼ間違いなく『FF』第1話に出てくるモグラ男「モールマン」がモデル。かようにあまりにもパロディが露骨なため、マーヴル・コミックスから訴えられたという話も聞きましたがその後どうなったのやら

20070917193729ぼちぼち『ファンタスティック・フォー』の第二作も始まるようです。第一作とあわせて、予習にぜひどうぞ。

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Comments

工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工
んな混ぜこぜにしなくったって、Mr・インクレディブルの素晴らしさは語れますぞ。っていうくらい大好きな作品デス♪

でもそうだね・・・FF4は劇場で楽しみたいよね~。

しっかしイラスト、バッチグ~です(^_-)-☆

Posted by: HARRY | September 19, 2007 at 12:56 AM

>HARRYさま

>んな混ぜこぜにしなくったって、Mr・インクレディブルの素晴らしさは語れますぞ

それはまったくごもっとも
でもアメコミオタクとしては、ついつい「これはあれだよなー」とニヤニヤしてしまうのですよ
あと、ブラッドさんは本当にアメコミヒーローが好きなんだなーということが感じられて、胸がホコホコあたたまるアニメでもあります

へタッピなイラストに毎度フォローサンキューです!

Posted by: SGA屋伍一 | September 19, 2007 at 07:36 AM

はへぇ~~~
こ、こんなにもぎゅうぎゅうにアメコミネタが詰まっておったとは・・・
アメコミって果てしなく奥深いんですねぇ・・・
そして改めてSGAさんのアメコミ野郎っぷりに感服であります。

Posted by: kenko | September 20, 2007 at 07:31 PM

>kenkoさま

>アメコミって果てしなく奥深いんですねぇ・・・

あちらにも70年以上の歴史がありますからねえ・・・
ジャパコミに較べてジャンルは狭いかもしれないけど、調べれば調べるほど奥行きのある世界なんですよ
『インクレディブル』はその70年がギュギュッと濃縮されたアニメともいえますね

kenkoさんは感服してくださいましたけど、英語力が無いため、最近の事情がとんとわからないのが辛いところでございます(ToT)

Posted by: SGA屋伍一 | September 21, 2007 at 07:36 AM

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