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September 05, 2007

谷口タカオの伝説 ちばあきお・室賀厚 『キャプテン』

20070905172354
毎年パッとしない墨谷二中野球部に、ある日時期はずれの入部希望者がやってくる。彼は転校生の谷口タカオ。彼が名門中の名門である青葉学院に在籍していたことを知り、部員たちは色めきたつ。たまたま事情で不在だったキャプテンの座を、谷口に押し付けてしまうほどに。もしかすると一回戦はおろか、二回戦だって勝てるかもしれない・・・・
そんな部員たちの期待は、練習試合での谷口のお粗末なプレーを見て、瞬く間に失望へと変った。実は谷口は、青葉では補欠のさらに補欠だったのだ。
誰もががっかりする中、実は一番堪えていたのは、勝手に誤解され勝手に失望された当の谷口本人であった・・・

この『キャプテン』原作はわたしにとってとりわけ思いで深いマンガです。なんせ自分の小遣いで初めて買ったマンガなもんで。内容はその辺の平凡な少年たちが、「ただ一生懸命野球をやる」という極めてどシンプルなもの。必殺技もなく、可愛い女の子も出てきません。変ったところがあるとすれば、脇役だった下級生が進級してキャプテンを襲名すると、主人公の座も同時に受け継ぐというクロニクル的な構成くらい。
だのにこの『キャプテン』という漫画は数年ごとにひっそりとしたブームを巻き起こしていて、その度に新たな読者を獲得しております。この度はとうとう実写映画化まで実現してしまいました。

で、映画の印象はといいますと、とにかく子供たちの演技がたどたどしい(笑)。まるで『中学生日記』です。なかでもたどたどしいのが主演の谷口役の子。「オーディションの時、一番ヘタだった(監督・談)」 なんでまたそんな子を主役に据えたのか。その理由は「人一倍不器用だけれど、人一倍必死なその姿が、谷口のそれとオーバーラップしたから」だったそうです。
なるほど、口調はぼそぼそしているけれど、何度も泥まみれになって白球にくらいつくその姿は、まさしく谷口くんでありました。不器用でもいい。たくましく育ってほしい。そんな言葉が思い浮かびました。

他に目立った点は、原作以上に大人たちががんばっていたということ。原作は第1話で谷口父が重要な役割を果たすほかは、それはもう大人の影が薄い作品なんですが、映画では谷口父(筧俊夫)はもちろんのこと、谷口母(宮崎美子)やオリキャラの顧問の先生、大工のサブなど、みながそれぞれに谷口たちをあったかく引っ張っていきます。
そんなさわやか極まりないキャストのなかで、一人だけ暴力団幹部みたいのがいるなーと思ったら、『殺し屋1』(未見)の熱演でタランティーノに呼ばれたという菅田俊さんでした。ちなみに彼のデビュー作は一回こっきりのテレビSPで終ってしまった『仮面ライダーZX』です。
んで、監督の室賀さんもフィルモグラフィーを見ると『真夜中のギャングたち』『野良犬たちの挽歌』『復讐の荒野』などVシネ臭漂うタイトルばっかり。「なんでオレのところに依頼が来たのかさっぱりわからなかった(監督・談)」
まあ『キャプテン』も画面をタマが飛び交う作品ではありますが。
ただ、幸いにも室賀氏も少年時代『キャプテン』を愛読されていたそうで、作品上の謎・・・・「なぜ墨谷二中には顧問が存在しないのか」「なぜ中学野球があそこまでマスコミに注目されているのか」・・・・を上手に処理していたのには好感が持てました。

そうです。やればできるんです。平々凡々の野球部が名門校と互角に勝負することだって、ヴァイオレンス・ヤクザ映画専門の作家が明朗快活さわやかムービーを撮る事だって。

20070905172124先日の甲子園決勝、ド田舎から出てきた(失礼)公立校の佐賀商業が、逆転満塁ホームランで見事勝利を飾った時、わたしがその姿に墨谷二中の面々を重ね合わせたのは言うまでもありません。
人間、やればできる。
そんな当店らしからぬ前向きな言葉でもって、この記事を締めたいと思います。


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Comments

まいどです。
>キャプテン
ああ・・・懐かしい。
私はアニメの方が初めてでして、ちょうど谷口クンの後の
丸井クンがキャプテンの時代でした。襲名していくキャプテンが主人公と言うのもなかなかよい演出でしたね。その後原作読んだんですけど、まさかあの傍若無人な近藤クンまでがキャプテンやるとは・・・・・・・めっさ驚いた(ああ、関西弁)。イガラシよナニ考えてるんだ(ある意味な)。
谷口クンは青葉との試合で選手生命を(ある意味な)
絶たれるのですが・・・・・・・・この後は「プレイボール」読んで!
とは言うものの、なんかドラマといい映画といいマンガ原作流用が
バカみたいに多い昨今。オリジナルな脚本力はもはや
絶望系&不条理系でしか発揮されないのか・・・・・・。
夜9時台に「デスノート」平気で流すくらいなら夕方の再放送で
パンチラがでるアニメ再放送したっていいじゃねえかと叫びたい
まさとしでした。

Posted by: まさとし | September 05, 2007 at 09:47 PM

>まさとしさま

毎度っす。実はわたしもアニメから入ったクチですよ。最初にOPを観たとき、あまりに地味な顔ばっかりだったので、「誰が主人公なんだ・・・」と思ったのを覚えています

>近藤クンまでがキャプテンやるとは・・・・・・・
「お前の兄貴、なんで近藤さんなんかをキャプテンにしたんだ?」
「あいつ以外に誰がいる、だってさ」
このやりとりは、みなもと先生が『漫画の名ゼリフ お楽しみはこれもなのじゃ』という本の中で取り上げてました
『プレイボール』ももちろん全部読んでますよー

>パンチラがでるアニメ

ワカメちゃんもいつもパンツが出てますけど、あれはいいんですかねえ(^^;)

Posted by: SGA屋伍一 | September 06, 2007 at 07:52 AM

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Tracked on September 05, 2007 at 09:46 PM

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