どっちのマジックショー クリストファー・ノーラン 『プレステージ』
19世紀末ロンドン、アンジャーとボーデンは修行中の若き奇術師。それなりに仲よくやっていた彼らだったが、ある事件を境にして不倶戴天の間柄となってしまう。時には足を引っ張り、時には芸で出し抜き、次第にエスカレートしていく競争。その果てに待つものとは。
面白かったのは、彼らの仕返しのやり方てえのが、なんでここまでってくらい回りくどいというか、手が込んでるとこ。「正々堂々と闇討ちすりゃいいじゃん」と思ってしまうんですが、その辺が彼らの奇術師としての美意識なんでしょうね。奇術の恨みは奇術で返す!みたいな。まさに奇術師の鏡ではないでしょうか(そうか?)
お話はこうしたデッドヒートと、彼らが得意とするある奇術の謎でもって観客を引っ張ります。自慢するわけじゃないんですけど、わたくしにしては珍しく、お話の半ばくらいで、謎のひとつがわかっちゃいました。しかしそれはわたしが鋭いからってわけじゃなくて、単にその手のミステリーを今までに何冊か読んでいたから。
あと監督、ヒントくれすぎ(笑)。もうちょっと控えめでもよかったと思いますよー。ですからがっかりしたと言うよりか、そのフェアプレイ精神にむしろ感心しました。

ちょっとわかりづらいな、と思ったのはお話の途中で登場人物の一人が「テスラ」というキーワードを目にした途端、急にアメリカへ飛んでいってしまったこと。あとで他のサイトを見てわかったんですが、この時代の人々にとって、テスラというけったいな発明家がいて、アメリカで妙な研究をしているというのは、一般常識だったようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%A9
いやー、このひと面白いわ。エジソンとの確執とかオカルトに興味があったとか、かなりエキセントリックな方だったようですね。この映画で初めて知りましたが、なんかいかにも映画の主人公になりそうな人物です。ちなみに演じているのはデビッド・ボウイ。言われないとわかんないですね。
先にも述べましたが、全編が「奇術」で彩られていまして、有名な手品のトリックをちょこちょこバラしてくれたりもします。「いいのかなー」と思いつつけっこう楽しみました。某団体から抗議が出そうなネタも一個ありましたが・・・・
人をだますことに、そして拍手を受けることに全てを捧げる彼らマジシャンたち。アンジャーとボーデンも最初はそうだったんでしょうけど、「あいつをぶちのめす」ことが目的となった時から、阿修羅の道を歩むことになります。
原作はクリストファー・プリーストの幻想小説『奇術師』。あらすじを読みますと彼らの子孫が語り手を務めているということで、また映画とは違った味わいがありそうです。
日本のスタッフでこれをやるとするなら、やはり主人公を演じるのはMr.マリックとマギー司郎氏でしょうか。
「ハンドパワーです!」
「あなたのやってることはね、ホントにわたしもー、認めませんから♪」
そんな感じでひとつ。
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» プレステージ(評価:○) [シネマをぶった斬りっ!!]
【監督】クリストファー・ノーラン
【出演】ヒュー・ジャックマン/クリスチャン・ベール/スカーレット・ヨハンソン/マイケル・ケイン/デヴィッド・ボウイ
【公開日】2007/6.9
【製作】アメリカ
【ストーリー】
... [Read More]
Tracked on June 24, 2007 at 05:54 PM
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「プレステージ」 THE PRESTIGE/製作:2006年、アメリカ 130分 [Read More]
Tracked on June 27, 2007 at 08:11 PM

Comments
まいどです。
映画は正直見てないのでなんともいえないのですが
ナスカ君の秘技見て吹いた(爆笑)
・・・・・・そうか、こうして合体したのか(えー
この調子で黒パン太も復活させてください。
SGAっちのレビューは見てない映画も
なんか楽しくさせてくれる要素がところどころにありそうです。
なんか絵が楽しい奴が特に・・・・・。
と言うわけで君にザブトン10枚なまさとしでした。
Posted by: まさとし | June 24, 2007 at 10:01 AM
えぇー
Mr.マリックとマギー司郎対決って…あんまり見たくない~
これ原作も読んでみました。
原作でもやはりアンジャーとボーデンの回りくどく大人げない競争は繰り広げられているのですが、「もうこんな競争やめたい」とか「あんなことしてちょっと申し訳なかった」とか人並みに反省しながらもやめられない様子が詳しく描かれていて面白かったです。
ニコラ・テスラって実在の人物だったんですよね。後で知ってビックリです。
世界のどこかにあんな装置がホントにあったら大変~
デヴィッド・ボウイだなんて全く気がつきませんでしたが、なかなか面白いキャスティングだなと思いました。
結末は映画と原作とではちょっと違うのですが、どちらもゾッするほど恐ろしくてでもどこか哀しくて・・・なんか好きでした。
Posted by: kenko | June 24, 2007 at 12:16 PM
SGA屋伍一さんこんばんわ♪TB有難うございました♪
自分も途中で分かっちゃうトリック(ボーデンのタネ)とかあったので、『ひょっとして自分って天才?』なんて一瞬鼻高々な気分になってしまいましたが、考えてみるとファロンは見た目で怪しさ大爆発なので、気づかない方がもしかしたら疎いのかもしれません(汗)でも逆にアンジャーのタネを途中で分かった人は結構凄いと思ってしまいます。
>ミスターマリックとマギー史郎
日本を代表するこの2人のマジシャン対決も見たいですけど、個人的には『世界最年少のイリュージョ二スト』なんて呼ばれている山上兄弟が、何時か仲違いをして将来アンジャーとボーデンみたいになってくれる事を期待してしまいますw
Posted by: メビウス | June 24, 2007 at 06:06 PM
>まさとしさま
毎度お世話になっとります
上の一連の落書きは奇術におけるイロハみたいなもんです
一度消したら消しっぱなしにしないで、また別のところからひねくりだす。そいつをプレステージ(偉業)というんだそうで
>黒パン
そんなのもいたな~(笑) ネタ思いつき次第
最近観た中でまさとし様にすすめられそうな映画というと、『バッテリー』かなあ。あと来月『時をかける少女』が地上波でかかるんですと。関西方面でもやるといいですね
Posted by: SGA屋伍一 | June 24, 2007 at 09:15 PM
>kenkoさま
もう原作読んだですか! お早い!
>「もうこんな競争やめたい」とか「あんなことしてちょっと申し訳なかった」とか
少なくとも映画では、そんな可愛らしいところは微塵も見られませんでしたな(笑) ヒューにせよ、クリスチャンにせよ、自信満々な役がよく似合います
>世界のどこかにあんな装置がホントにあったら大変~
22世紀には「フエルミラー」とかいうもんが発明されるらしいっすよ
・・・ま、それは冗談として、アンジャーが使ってたプラズマがバチバチ飛び散るあの機械は、実際にあったもんだそうです
自分は映画よりも、小説でびっくりさせられた経験の方が多いです
『十角館の殺人』とか『殺戮にいたる病』とか
kenokoさまおすすめの『SAW』は実は録画はしてあるんだけど、まだ見てない(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | June 24, 2007 at 09:24 PM
>メビウスさま
毎度ありがとうございます
自分も「やったぜ! 見抜いたぜ!(もちろんボーデンの方)」と浮かれてたけど、この問題、けっこう難易度が低かったようですね(^^;)
自分は中国人の奇術師を見てボーデンが言った一言や、「どう結んだんだ!」「覚えてない」というやりとり、「絶対○○を使ってるんだ」というアンジャーのセリフなどからピキピキピキーンと来ました。あと『少年アシベ』でこんなネタがあったんですよね・・・
>山上兄弟
そんな兄弟がいたんだ・・・ モノ知らずですいません。わたしが知ってる有名な奇術師といったら、他はプリンセス・テンコーくらいでしょうか
それはともかく、兄弟は仲良しが一番です!
Posted by: SGA屋伍一 | June 24, 2007 at 09:31 PM
懐かしいタイトルが出てきたので思わずしつこくコメント入れちゃいます☆
「十角館の殺人」なつかし~
綾辻行人さんの館シリーズ大好きで、昔よく読んでました。
ちょっと前の最新作「暗黒館~」は未読ですが。
彼の師匠?の島田荘司先生の作品にもめっちゃハマりました~
お二方とも、大どんでん返しと猟奇殺人を期待する読者をけして裏切らないので好き♪
今回はたまたまオチが分かっちゃったけど、小説だと大概騙されますね。
「ソウ」は体調の良いときに、なるべく前知識なしにご覧ください♪
Posted by: kenko | June 25, 2007 at 10:01 AM
>kenkoさま
そちらからならいつでもコメント大歓迎ですよ♪
わたしもまったく同じですね。綾辻さんの館シリーズにまずはまり、ついで島田先生の「御手洗もの」にはまり、
他の新本格作家も一通り読んで、冒険・ハードボイルドにも手を出して、京極夏彦氏に落ち着いた・・・(のか?)
でも結局最初の『十角館』が一番びっくりしましたかね(笑)
最新作『びっくり館』はどうもイマイチでしたが、『暗黒館』と漫画『月館の殺人』はなかなか良かったですよー
『SAW』もがんばって見てみることにします。問題はどのテープに録画したのかわかんなくなってる、ってこと(^^;)
Posted by: SGA屋伍一 | June 25, 2007 at 09:07 PM
こんにちわ。TB&コメントありがとうございました。
奇術師の美学は、阿修羅の道。
あああ、嫌ですわ何か。そこまでいかなくてもと思いますけど、この作品を見て薄っすらボンヤリと感じたのが、男性の持つ嫉妬心についてでした。女性のソレとは少し違って、才能への嫉妬が入ると本作のように度を超してしまうのだろーかなんて少しだけ考えて見ました。
ところで、『十角館の殺人』ですか!私は綾辻さんにハマッたのが巷よりかなり遅くてですね、今『暗黒館』の下巻に入ったところなんですよぉ!!!実を申しますと、上巻は余りノリきれていなかったんですよね。下巻は、グググーッと引き込んでくれると期待しているんですけどね。
私が一番ハマッたミステリー作家は二階堂黎人氏の『二階堂蘭子シリーズ』でして。『人狼城の恐怖』ぶ厚い文庫本にして4冊を、ドドドーッと一気読みしてしまった次第です。
映画から逸れますけど、何かおススメのミステリー小説があったら是非とも教えて頂きたいです♪
Posted by: 隣の評論家 | June 27, 2007 at 08:23 PM
となひょうさん、こんばんは
>男性の持つ嫉妬心
「ナンバーワンじゃなくても、オンリーワンでいいじゃない」
「やだやだ僕が一番じゃなきゃやだ! 特にあいつだけには絶対負けないもん!」
みたいな感じでしょうか
ほんっとオトコってバカよねー。やんなっちゃう!
・・・失礼しました。『アマデウス』のサリエリにも似たところがあったかもしれません
>今『暗黒館』の下巻に入ったところなんですよぉ!!!
そりゃまたタイムリーでした。がんばって耐えてください。クライマックスにはきっと綾辻マジックのカタルシスを味わえる・・・はず
おすすめというとやっぱ師匠の島田荘司作品ですかねー
『占星術殺人事件』『異邦の奇士』『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』あたりがおすすめ
綾辻さんは『緋色の囁き』もよいですよー。怖いけど
他は歌野晶午『ヴードゥー・チャイルド』『ROMMY』とか、法月綸太郎『密閉教室』とか
二階堂さんは『悪霊の館』までつきあったかな。『人狼城』はそのボリュームに怖気づいて未読。『吸血の家』が一番感心しました
Posted by: SGA屋伍一 | June 27, 2007 at 09:47 PM
SGA屋伍一さん、こんばんは♪
>奇術の恨みは奇術で返す!
>その辺が奇術師としての誇り
そうなんですよね~^^wこの辺りが、自分はすごく好きでしたぁ~。
ただ単に斬った張ったじゃなくて、相手の土俵に上がった上で、正当に奇術で勝負なんですよね♪
私は、膝を打ち打ち、いよいよ身を乗り出して、楽しんでしまったんですよー☆
そう言えば、以前イタリア旅行に行った時、ツアー同行者のご夫婦の娘さんが、プリンセステンコーの下で働いていた、という話を聞かせてくれました。
その方曰く、「イリュージョンなんて、タネ明かしを聞いてしまうと、どこの馬の骨にだって出来る」なんて言ってました。
さすがに明らさまにネタばらしを聞いた訳ではないのですが、「子供騙しもいいとこ」だなんて言ってたそうです。
やっぱ、裏話を聞いてしまうと、奇術ってつまらないものがあるんですよね。
Posted by: とらねこ | June 27, 2007 at 11:05 PM
とらねこさま、おはようございます
アンジャとボーデンのマジシャン勝負、とっても陰湿なようでいて、反面極めて純粋な戦いとも思えました
「男の勝負」を描いた話は数あれど、こんなに変化球な話も珍しいです
プリンセス・テンコーのお話も面白く読ませていただきました
確かに大抵のタネは「なーんだ」ということなんでしょうけど、その何でもないことを超常現象が如く見せるあたり、やはりマジシャンというのは異能の人々なんでしょうね。目にも止まらぬ手さばきなんかもすごいし
>裏話を聞いてしまうと、奇術ってつまらないものがあるんですよね。
ネッシーやピアノマンもそうですけど、真相を聞くとがっかり、ってことありますよね(^^;)
とはいえこの映画で描かれた奇術のネタバレ・・・というか舞台裏は、見ていてとても面白かったです
Posted by: SGA屋伍一 | June 28, 2007 at 07:26 AM